本当は怖いブラック本丸で双子生活 其の十三

「演練?」

 

「演練行こうぜ大将」

 

薬研の提案に、

 

「演練って何?」

 

と聞いたら、みんなビックリした顔をしていた。なんでや。

 

 

 

 

本当は怖いブラック本丸で双子生活 其の十三

 

 

 

 

「きみはもう少し審神者としての勉強をしっかりしなければダメだろう・・・!何で演練も知らないんだ!!」

 

 

なぜか歌仙に怒られつつ、みんなから演練について教えてもらった。

ちなみにカオナシは絶対演練しってるはずだけど、なんかもう私を助ける気はないようで、短刀ちゃん達と折り紙して遊んでる。ひどい。

演練の授業とか絶対寝てたもん私。

 

 

歌「はぁ・・・だから今まで一度も演練に行こうと言わなかったのか・・・」

ま「いや、だって、最初仲悪かったし、演練行こうなんて言えないじゃん」

へ「それは・・・!申し訳ございませんでした・・・」

ま「まぁどっちにしても知らなかったし、別にいいんだけどさ」

歌「今なら主が演練に行くと言えば、反対するものもいないだろう、やはり勉強不足だろうきみは!」

ま「いち兄たすけてー」

一「はい、主、いいこいいこ」

ま(∩´∀`)∩ワーイ

歌「一期一振・・・主を甘やかすなといつも言っているだろう!悪魔

一「甘やかします(`・ω・´)キリッ」

髭「じゃあ、僕も主を甘やかそうっと。いいこいいこ」

ま(∩´∀`)∩ワーイ

秋「カオナシさん、僕も頭撫ででください!」

虎「ぼ、僕も、お願いします・・・」

さ(くそかわいいなんだこの天使たち)ナデナデ

鶴「・・・なんだこの状況は・・・」

 

 

この本丸ツッコミ不在だから、最近鶴丸が仕方がなくツッコミに回ることが多いw

鶴丸不憫だなw

この前太刀の飲み会で「俺もツッコまれたい」と嘆いていたそうだw

残念だな、さおちゃんが喋れれば、ツッコミはさおちゃんだったのになw

あ、だめか、さおちゃんイケメンに囲まれるとツッコミ出来ないんだった。

 

 

歌「ともかく、演練に一度言ってみるのは僕も賛成だ」

薬「演練は他の本丸の刀剣男士たちとの練習試合みたいなもんだな。演練でうけた傷は治してもらえるし、他の本丸との交流も出来るし、勉強になるぜ」

ま「ほう」

獅「勝っても負けても少し練度に影響あるしな」

ま「ほう、カオナシ行く?」

さ(行くはずない)フルフル

薬「いや、大将にいこうやって言ったんだぜ俺っちは」

ま「もう薬研ってばアタシのこと大好きすぎるな・・・」

薬「ああ、愛してるぜ大将!」

清「俺も!主愛してる!」

今「ぼくもあるじさまのことあいしてますよー!」

岩「がっはっは!ならば俺も愛しておるぞ!」

ま「モテ期!!」

に「おやおや、痴情のもつれだねぇ」

鶴「・・・話しが進まんな・・・」

さ(ツッコみ不在すぎるなホントこの本丸)

ま「で、なんか行くにあたって準備とかあるの?」

薬「さあな」

ま「さあなって・・・薬研お前・・・」

歌「こういうのは審神者の采配だろう」

ま「え」

歌「さぁ、ちゃんと考えるんだ、主!」

ま「ええ~~~カオナシ助けて~~~」

 

 

アタシがそう頼むと、さおちゃんはコクリと頷いて、立ち上がって、アタシと庭にでた。

庭でヒソヒソ相談して、大体分かったから、また中に戻った。

 

 

ま「なんか、誰も傷つかないし、経験値もらえるから、練度低い人連れてったほうがいいって。あと6-4に日本号実装されたから、演練は短刀・脇差中心で行けって言われた」

太「ほう、カオナシ殿は戦術が得意なのですか」

ま「あと、刀装は金玉つけてけって。銃の金玉」

歌「雅じゃない!!女性がなんてことを・・・!」

薬「うん、さすがに金玉はよそうな大将」

ま「うん、わかった。じゃあ金玉作ってくるわ」

 

 

 

よいしょと立ち上がったアタシをみんな見た。

ん?なんか変なこと言った?

 

 

 

安「そういえば、前に主が刀装作ってるって聞いたけど・・・」

ま「ああ、うんそうだよ」

蜂「・・・あれは、近侍の仕事じゃないのかい?」

ま「え?そうなの?」

へ「・・・前の審神者はあまり刀装作りはしませんでしたが、昔演練にいった際に他の本丸の者も刀装作りが上手くできないと言っているものがおりましたので、てっきり刀剣男士が作るものかと・・・」

ま「え、絶対作らせないよ」

鶴「なぜだ!?」

ま「え、だって失敗したら資材もったいないじゃん」

一「え?」

ま「アタシ、金玉しか作ったことない」

 

「「「「「「「ええええええ~~~~~~~!!!!???」」」」」」」

 

 

みんな、そんなことってありえるのかと、驚いていたけど、あり得るから仕方ないよね。だって、作るの得意すぎて、本当に金玉しか出来ないんだもん。

カオナシも深く頷いている。材料もったいないから、自分で作ってくるよ。

 

 

 

「まってくれ、主」

 

 

 

そう、声をかけられ振り向くと、歌仙が立ってこっちを見ていた。なんだなんだ、まだ何か小言を言う気か・・・!

 

と、構えていたけど、全然違って、

 

 

 

「主・・・!僕にもコツを教えてもらえないか・・・!」

 

 

 

そう言われた。

 

 

 

「なぜ」

「僕は、刀装作りに興味があったんだ・・・!お願いだ!主・・・!」

 

 

 

よくわからんが必死すぎて笑える。

どうやら、以前から刀装を作ることに興味があったけど、作らせてもらったことなかったらしい。

ってか、そもそも、資源もったいないとかで刀装とか作ってなかったらしい。そりゃ丸裸で出陣したら折れるわな。前任者死ね。

 

 

 

「・・・私は厳しいぞ・・・ついてこれるか・・・」

「・・・ああ!もちろんさ・・・!!」

「・・・うむ、ではついて来い歌仙よ!」

 

 

そういって、一緒に刀装作り教えてあげた。

見事に、歌仙が金玉職人となるのは、この後の話・・・

 

 

 


 

 

 

んで、金玉もたくさん装備させたので、演練にやってきましたー。

 

メンバーは、

 

薬研、後藤、愛染、博多、鯰尾、浦島

 

の6人。

 

あと保護者で一期と蜂須賀がついてきたよ。

なんか、私とこのメンバーじゃ心配なんだって言われた解せぬ。

っつーか、蜂須賀前任の件で一番凹んでたはずだけど大丈夫なんかな。と、思ったけど、なんか浦島と楽しそうだから大丈夫そうだわよかった。

 

演練の登録をして、演練する予定の子達とバイバイした。

保護者2人は、まずは心配だからって演練する子達の控室についていったよ。

ここに着いて早々に博多が演練場の中の骨董品を品定めにいったり、鯰尾が受付のお姉さんのおっぱいガン見したり、浦島が大きな水槽の中に亀吉を入れようとしたり、愛染が祭りだーとか言って走り出したり、なんかいろいろ大変だったから仕方ないよね。

薬研もしっかりしてはいるんだけど、こういう時は諦めて何にも言わないし、後藤は1人で焦ってどうすればいいのかわかってないみたいだし。

結局は、いつの間にが練度が90超えてたいち兄と、80越えの蜂須賀が頑張っていたけども。

アタシ?もちろんアタシもお宝さがしに行こうとしたら、止められたよ!残念!

 

そんなこんなで、みんなと分かれたから、1人でプラプラしようとしたら、審神者の控室とやらに通されて、どうしたらいいのかと思う。なんかソファとかあるけど座っていいのかな。

演練初めてだから、わかんないなぁと思ってたら、声をかけられた。

 

 

「やぁ、はじめて見る顔だね?新人さんかい?」

「あ、はい」

「そうかい、演練も初めてかい?」

「はい」

「そうかそうか、同じ審神者同士仲良くしようじゃないか」

 

 

そう言って、ニヤニヤとアタシを見るおっさん。

ああ、これ知ってるわ。バイトとかでもいたわこういうおっさん。審神者業なんておっさんばっかだしな。こんな小娘珍しいんだろう。

 

と思ったら、他にも数人のおっさんがやってきた。詰んだわ、今日の演練イケメンおらん。みんなおっさんかよ。チッ。

 

 

「どうも、お久しぶりです」

「こんにちは、今日はお手柔らかに」

 

 

アタシ以外のおっさんたちは知り合いみたいだ。まぁアタシ初心者だしな。演練いつも来てる人たちなら顔見知りになるもの当然か。

 

最初にアタシに声をかけたおっさんが、「おや、うちの部隊の子達が出てきたよ」と言ったので、控室のソファの前にあった大きな窓を見る。そのにはいたのはおっさんの刀剣らしい。

 

三日月・髭切・膝丸・小狐丸・日本号・明石

 

いずれも「レア刀」と言われている刀ばかりだ。あ、これあれか、見せびらかすタイプのやつか。やだねぇ~~~いるよね~~~最悪だ。

おっさんが相変わらず話しかけてきた。

 

「おや、きみの部隊も出てきたようだね?きみは、短刀中心なんだね。初心者だから仕方ないね。だが、浦島がいるね。検非違使はレベルが低い方が倒しやすいというから、きっと運よく手に入れられたんだね。よかったじゃないか」

 

おっさんは、相変わらずニヤニヤしながら、そう言っている。

なんだろうこのおっさん。キモい。こういうおっさんがブラック本丸を運営しているんじゃないだろうか。

すると、おっさんは、「試合が始まりそうだから、ここにおいで、一緒に座ろう」と言って来た。

 

やな予感しかしない。

 

遠慮しようかと、一歩下がったら、無理矢理手を引かれて、ソファの隣に座らされてしまった。他のおっさんたちはちょっと気まずそうにしている辺り、良い人たちなんだろうけど、誰もこのおっさんを止める人がいない。大人なんだから誰かとめてくれよおおおおお。ここキャバクラじゃねーぞおおおおお!!!

 

きもすぎてついつい固まるアタシ。ほんとよかった。逆にさおちゃん来なくてよかったわ。さおちゃんこんなことあったらもう審神者止めるって言い出すいきおいだわ。むしろ、男嫌いに拍車がかかって一歩も外にでなくなるやつだわ。多分乙女ゲーと漫画の世界に逃げるわあの人なら。

 

 

そんなことを考えていたら、うちの子とおっさんのところの部隊と試合が始まる。

まぁ、当然のように負けましたよね。みんな練度低いし。ボッコボコですわ。

 

 

そんな様子を見てとなりのおっさんは、ものすごく満足気だ。嬉しそう。まぁ短刀だから当たり前だよねっていう感じ。

そして、気持ちが悪い事に、おっさんは、私の肩に手を回しながら相変わらずニヤニヤしてこういった。

 

 

 

 

「練度をあげるには、コツがいるんだよ。レアの刀を集めるコツなんかもあるよ。もしよかったらわたしが教えてあげようか?・・・今夜、よければどうだい?」

 

 

 

 

ゾワワワワワワワ

 

 

 

 

鳥肌たった。

やばい。

しぬ。

いや、むしろしね。

 

 

そして、おっさんは「ああ、やっぱり女の子はいいなぁ、抱き心地はやっぱり男とは違う」とボソッと、小さな声で呟いた。

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

今なんていった?

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

嘘だろ・・・!?

 

 

 

 

 

 

お前やっぱり

 

 

 

 

 

ブラックじゃねぇかよおおおおおおおお!!!!

 

 

 

 

 

 

よくよく、おっさんの刀剣たちを見たら、みんな目が死んでる。

やばいわこれ、ブラック案件だわ。しかも、恐れていたおっさん×イケメンというブラック案件の中でも一番たちの悪いやつだわ。

なんとかして、ここは、あの刀たちを救いたい。なんとか出来ないものか。

 

 

と、考えていたら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うちの主に何か御用ですかな・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うちの本丸がまだブラックだった時代に聞いたことがある、一期一振(重低音ボイス)の声が聞こえた。あ、これおっさん死ぬわ。

 

 

 

 

ふり返るのも怖いけど、一応ふり返ってみたら、めっちゃ笑顔だけど、黒い殺気を纏ったいち兄がそこにいたよ!!!

 

こええええええ

 

ってか、この殺気はさすがにアタシにも向けられたことないわwwwここまでじゃなかったもんwww

 

今のいちご、超こええええよ!!!

 

 

 

そんなことを、考えていたら、グッと腕を引っ張られて、その引っ張った人物の胸にすっぽりと収まる。

ちめたい。

この金の鎧つめたいし、なんか固い。

 

金色ってことはあれなんですよね、これは・・・

 

 

 

「主・・・大丈夫かい?」

 

 

 

あ、何気に初めて主って呼ばれたと思ったけど、蜂須賀の目がヤバかった。

なんかもう、多分、あのブラック時代を思い出してる。目がやばい。なんかとにかく、目がやばい。

 

 

 

「ひっ・・・!」と小さな声を出して、おっさんがビビった。

 

後ろには一期一振。横には私を抱きしめた蜂須賀虎徹。2人ともものすごい殺気。

ということで、周りの審神者たちもビビっているようだ。

 

 

 

「き、きみ、初心者じゃなかったのかい・・・?なんだ、その、高練度の2人は・・・!」

 

 

 

そうおっさんが聞いてきた。そんなの決まってるじゃないか。

 

 

 

「私の大切な者たちですけど何か?今日は私の護衛についてきてくれましたので、私はこの2人と観戦いたしますね」

 

 

 

そうして、別のあいているソファに仲良く三人で座って、残りの試合を観戦した。

いち兄・私・蜂須賀の並び順で。誰も入ってこれないようにがっちりホールドされている。うちのセコムにめっちゃ愛されてるアタシ。

審神者の控室はなんでも無料で食べれたり飲めたりするみたいだから、ポップコーンとお茶を片手に観戦したよね。いち兄とか蜂須賀とか、弟たちを楽しそうに応援している風だけど、相変わらずの殺気だから、その場は氷ついてるよ。

まぁでも自業自得ってやつだ。

 

 

 


 

 

 

 

―――――― 演練が全て終わって、一同がホールに集う。

一応、ここで、本日の試合の反省とか、戦術を教えてもらったりとか、審神者や刀剣たちの交流の場になっているようだった。

 

そこでアタシは前もって、いち兄と蜂須賀に相談していたことを実行に移すことにする。

 

 

 

「えっと・・・、きみも何かあるかな?」

 

 

 

と反省会中の他の審神者から声がかかった時に、今がチャンスだと言わんばかりに行動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第一回!本丸対抗北斗の拳大会!!~ケンシロウに一番近づけるのは誰だ~」

 

 

 

パチパチパチパチパチ

 

と手を叩いているのは、うちの刀剣たち。何も知らないのに、拍手してわーっと盛り上がれるうちの短刀、脇差、ほんと好き。

 

 

 

他の本丸の子達は、審神者含め、みんなポカーンとしている。まぁ予想通りの反応だよね!

 

 

 

そして、アタシは説明を開始する。

 

 

 

 

「この大会は、北斗の拳のケンシロウのように、筋肉で服をどれだけ破けるかという大会です!!服をやぶくほどの筋肉を持っているものの勝ち!さぁ、交流会として余興を用意しましたよ!ゲート潜れば服は元に戻るらしいので、どんどん服を破きましょう!!」

 

 

 

アタシがそういうと、各本丸の筋肉自慢(岩融・山伏・同田貫)が「面白そうだ!」と声をあげた。

 

 

 

「さぁでは、まずトップバッターは我が本丸きってのロイヤル!一期一振です!一期一振の筋肉で服が破けたという話は聞いたことがありませんが、果たして服を破くことが出来るのでしょうか!?ではどうぞ!!お願いします!!」

 

 

 

そういうと、一期一振は

 

ふさぁ

 

と、着ていた上着を脱いだ。その仕草もロイヤル。

 

そして、Yシャツ一枚という姿になったいち兄は、「ふんっ!!」と力を入れ、服を破くために必死になった。

 

「いち兄頑張れ!!」「いち兄!!」とうちの子たちも応援している。

 

 

 

しばらく何も起きずに、一同が見守っている中、顔を真っ赤にさせたいち兄の胸元から「プチン」とボタンが飛んだ。

 

 

 

「ふう・・・これまでですな」

 

 

 

「な、なんと~~~~~!!一期一振の筋肉によって、Yシャツのボタンがはじけ飛びました!!さすが一期一振!!さぁ!!これに続く猛者たちはいないのか!!」

 

 

 

アタシがそう言うと、俺だ俺だと次々と筋肉自慢たちが前に出てきた。

審神者たちは必死に笑いをこらえているようだ。

 

 

そんな中、一切笑わず、真面目が顔をしている男が一人。さっきのセクハラ審神者だ。

セクハラ審神者の刀剣たちも、非常に戸惑っている。

 

 

「く、くだらん!!俺は帰る!!」

 

 

セクハラ審神者はそういうと、帰ろうとした。

が、それをうちの刀剣たちは許さない。

 

 

 

「おや、貴方の刀剣男士たちは参加していないようですなぁ?」

「どうしたんだい?良ければ我々が手伝うよ」

 

 

そういって、高レベルのいち兄と蜂須賀がセクハラ審神者の三日月に近づいて、

 

そして一気に

 

 

 

 

 

 

 

三日月をひん剥いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

さすがです。

 

 

 

 

 

 

 

でも、三日月宗近の体を見て、その場にいたものは騒然とした。

 

 

 

 

 

三日月宗近の体には、刀傷ではない確実に人の手によってつけられた無数の痣、それからいわゆる、まぁ口に出すのもおぞましいが、あの小さな痣もついていた。

それは、三日月が蹴られたり、殴られたり、あとはお察しください。

 

 

アタシはすっかり固まってしまったセクハラ審神者に近づいてこういった。

 

 

 

「おかしいですねぇ?あなたは今回の演練は特に誰も傷ついていないので手入れ不要と言って、手入れは受けませんでしたよねぇ?じゃあなんで三日月にあんなに痣があるんでしょうか?刀傷でもない痣が」

 

「し、知らん!俺は知らんぞ!!戦場でつけてきたんだろう!!」

 

「いやいやいや、戦場でつけてきたって、痛がってるのわかっててほっとくのだけでも重罪ですよねぇ?手入れしていない証拠ですよね??」

 

「では仲間内でケンカでもしたんだろう!!俺はしらん!!」

 

「仲間内でのケンカも審神者の耳に届いていないほど、あなたの本丸は無法地帯ということですか?」

 

「ち、違う・・・いや、そうではなく・・・」

 

「っつーか、どう考えても、あれ、あんたが付けたでしょ?見てみ、あんたの刀剣たち、顔面蒼白」

 

「おれは、ち、ちがう!!俺じゃない!!」

 

「・・・まだ、しらを切るのか・・・いい加減にしなよ。・・・じゃないとうちの一期一振と蜂須賀虎徹がアンタを今にも切ってしまいそうだよ」

 

「ひっ・・・!」

 

「うちは元ブラック本丸。こんな状況、この子達なら一目で何をされているかわかるよ。いい加減に認めて、政府に助けを求めたほうが楽だよ?今ここで、肉の塊になるよりはいいよね?」

 

 

 

 

アタシがそういうと、2人はチャキッと鯉口を切った。

さっきまで、いち兄のボタンが飛ぶ姿見て笑ってた短刀たちも目が笑ってない。うちの子たちは本気だ。

 

 

 

 

何事かと駆けつけた演練場の警備員に、おっさんは助けを求めた。おっさんは「あいつらが、俺を殺そうとしている!」と訴えていた。

けど、その場にいた人たちの証言と、おっさんの刀剣たちが正直に虐待を受けていたことを認めたので、呆気なくその場でおっさんは捕まった。

 

 

 

 

 

こうして、一連の騒動は終結したのだった。

 

 

 

 

 

ブラック本丸の検挙によって、アタシは駆けつけた政府の役人に感謝された。

っつーか、駆けつけた政府の役人中にいたんだけど、

 

 

 

「うちの担当官!」

「あなたねぇ・・・こんなところで騒ぎを起こしてなにしてるんですか」

 

そう、呆れた声を出すコイツは、あれだ、今わかった。宗三に似てるんだ!話し方とか!!そうか!!だから、なんかいつも冷ややかな眼だったんだこいつ!!

 

「大体、北斗の拳大会ってなんですか。誰が演練にきてそんな騒ぎを起こせって言いましたか」

「誰にも言われてない」

「しかもあなた、初の演練ですよね。こんな素晴らしい伝説になるようなブラックの検挙を初めての演練でしてどうするんですか」

「褒めてるのかけなしてるのか」

「両方です。ほんっと最高ですねあなたは。ブラック本丸を立て直しただけではなく、検挙までするなんて!」

「いや、圧倒的に褒めてんじゃねーか」

「担当官として、鼻が高いですよ」

「そりゃよかったですねーーーー」

 

 

 

 

なんか結局、ブラック本丸の件はうちの担当官が責任もって後任を見つけると約束してくれた。

 

アタシはブラック本丸の刀剣たちに近づく。

 

 

 

 

「・・・なんか無理矢理こんなことになってごめん。ばらされたくないことまでばれちゃったでしょ」

「・・・いやいや、そなたのおかげで救われた。礼を言うぞ」

 

 

そういう三日月は、さっきより穏やかな顔をしていた。よかった。

 

 

詳しくはわからないけど、やっぱり刀剣たちへの暴力は日常的で、基本的にケガは治さなかったんだとか。レア刀だけ見せびらかす為に顔にはケガをさせていないけど、他の刀剣たちは顔なども殴られているし、基本的に重症のまま放置されているらしい。

しかも、あいつは夜伽やらせてたらしいぜ。きもいわ、あのきすま・・・ううん。思い出すのもおぞましいけど、とにかく三日月にご執心だったらしい。きもいわ、死ねや。

 

 

 

そんなブラック本丸の刀剣たちに、うちの子たちが近づく。

そして、口を開いた。

 

 

 

「人間のことを恨んでいる気持ちはわかります。我々もそうでした。・・・しかし、人間が全てあの男のようなものではありません」

「・・・もし後任の審神者が来たら、嫌がらずに受け入れてあげてほしい。うちも審神者が来るたびに拒否してたけど、結局は彼女が来てくれて、本丸全員が救われたんだ」

「審神者の中にも良い人はいますよー!うちの主、すっごいバカだけど、毎日楽しいし」

「すっごいバカだけどな」

「バカだな」

「バカばい」

「ははは、バカだな」

「バカだぜ!」

 

「おい」

 

 

思わず、ツッコんでしまった。バカバカってなんだ、人のことなんだと思っているんだ。我、審神者ぞ。

 

 

 

そういうやり取りをする、アタシ達を見て、ブラック本丸の刀たちも笑った。

 

 

 

「・・・ああ、我々の審神者も、そなたたちの主のような者だったらよかったのだがな・・・」

 

「大丈夫、うちの担当官、けっこう毒舌だけど、人見る目はあるよ!ちゃんとした後任派遣してくれると思うから!」

 

「・・・ああ・・・。我々を苦しめたのは人間だが、我々を救ったのも人間だ。そなたを信じて、後任を待とう」

 

「うん、そうして!アタシなんて、初日にうちの三日月に斬られたからね!まぁいろいろあって大丈夫だったけど!!なんかあったらアタシが担当官に行って駆けつけるから、まずは人斬っちゃだめだよ!!」

 

「はっはっは、承知した」

 

 

 

とりあえず約束したから、大丈夫だろうと思う。

ぜひ、彼らには幸せになってもらいたいものだ。うちの担当官に念を押しておこう。

 

 

 

こうして初めての演練は終わり、私たちは無事に本丸に帰還した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「で、これが届いたってわけか」

 

 

庭で大きな骨付き肉をかじりながら、和泉守兼定は言った。

 

 

政府から感謝状と、たくさんの焼肉の肉と、BBQセットと、あとついでに夏の景趣くれたから、今みんなで楽しくBBQ大会だよ!やったね!!

 

 

 

一「本当に・・・主からあの人ブラックかもしれないから協力してって言われた時は、肝が冷えました・・・」

蜂「やり方はどうかと思ったけど、結果的に助けられてよかったよ」

一「他の本丸のとはいえ、弟たちが傷つけられているのは見逃せませんな」

蜂「本当にね」

乱「あ~あ、僕も見たかったなぁ~。服をやぶこうとして必死ないち兄」

ま「それな。頑張っても結局ボタンしか飛ばなかったという」

博「最高だったばい」

ま「じゃあ今見せてあげなよ。いち兄やってあげなよ」

一「え」

ま「第一回本丸内北斗の拳大会!誰が筋肉でボタンを弾けさせることが出来るか勝負!!」

山「拙僧の出番だな!」

蜻「負けませぬぞ」

狸「よっしゃ!」

岩「はっはっは!俺に勝てると思うなよ!」

長「俺も参加しよう」

へ「お、おれも参加します!」

ま「御手杵は強制参加」

御「うぇーなんでだよ・・・」

歌「雅じゃない上に、その破けた服はどうするつもりだい!?絶対に許さないよ悪魔

ま「お母さんよりNGが出たので終了です」

浦「えー残念だなー」

 

 

こうして、みんなでもらった肉にかぶりつく。

めっちゃ美味しくて幸せ。

 

ブラック本丸が1つでも減るなら、また演練に言ってもいいかなと思いました。まる!

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