「え?次は源氏の重宝?え?また検非違使ドロップなの?」
こんのすけの言葉に、姉は耳を疑った
本当は怖いブラック本丸で双子生活 其の十二
「だからね、検非違使が出る時は、レベルをそろえてから・・・」
「???」
先ほどから、必死に検非違使について妹に説明しているのだが、なかなか理解してもらえずに姉は悩んでいた。
こんのすけが新たに持ってきた新刀剣男士は、源氏にいた髭切と膝丸という兄弟刀だった。
源氏と言えば、今剣ちゃんと岩融が喜ぶな~と思い、ぜひともみんなにお迎えにいってもらいたい。
だが、彼らは元々虎徹兄弟をお迎えに行く際、めちゃくちゃな出陣をされ、何本もの刀が犠牲になった。
だからこそ、慎重にならなければいけないのだ。姉も検非違使のことを調べまくった。そこであきらかになったのが、レベル帯について。
研修の時は検非違使のことはあまり学ばなかったのだが、先人の先輩たちのおかげで検非違使についていろいろとわかってきたことがあり、それを必死に勉強した。
次は、誰も折らないために必死なのだ。
ちなみに一度検非違使の恐怖を身を持って体感している妹には、なかなか理解するのが難しいようだ。
「検非違使について、説明できる?」
「けびいしこわい」
「怖いじゃなくてね・・・」
「全然意味わかんない?レベル50がなんだって?レベル揃える???ん???」
「いや、レベル50は最初の1つのね、」
「けびいし怖いよ、誰か折れたら困るから、戦わない方がいいわ」
「・・・もういいよ・・・」
ここで姉は、覚悟を決める。
これは、きちんと自分の口で説明しなければならない・・・と。
きちんと対策をとっていれば、検非違使も怖くないのだ。
「姉審神者様・・・大丈夫でしょうか?」
「うん・・・大丈夫・・・カオナシのカエル声じゃ聞き取りづらいし、私自身が説明をしなければいけないわ・・・」
「申し訳ございません、わたくしが説明できるのであればいいのですが、政府が検非違使についての情報を公開していないため、わたくしの口からはなんとも・・・」
「いいよ、大丈夫・・・あの人に頼むから・・・」
そう言って、姉は重い腰をあげた。
その人を探しにやってきたのは、台所だった。まずはここからだなと思ったが、どうやらいないようだ。
キョロキョロと見回していると、そこに大倶利伽羅が通りかかる。
「・・・どうした?」
まさか、大倶利伽羅のほうから声をかけてもらえるなんて思ってもみなかったので、カオナシは驚いた。
恐る恐る振り向くと、不思議そうにこちらを見る大倶利伽羅がいた。
(すげーイケメンしぬ)
カオナシは固まった
「誰か探してるのか?」
そう言われて、必死に頷く。
大倶利伽羅は、少し考えてから、「・・・光忠か?」と聞いてきた。
カオナシは再び頷いた。
(なぜわかった)
(やはりキッチン=オカンの方程式だからか)
「光忠なら、畑のほうにいたぞ」
それだけ言うと、大倶利伽羅は
ポン
とカオナシの頭に手をやって、行ってしまった。
(!!!????)
固まるカオナシ。
(え・・・?)
(今の何・・・?)
(え・・・?)
(あ、なんかもしかして、動物の類だと思われてる・・・?)
(式神だけど、動物みたいに分類されてる???)
(これ、人間ってパレた時、どうすりゃいいんだよ~~~~)
そう思いながら、トボトボと畑に向かった。
――――― 畑に行くと、大倶利伽羅の言うとおり、そこには光忠の姿があった。
カオナシが近づくと、光忠が気付いた。
「あれ?カオナシくん?どうしたの?」
そう不思議そうにカオナシを見る光忠の手には、色とりどりの野菜があった。
「珍しいね、畑まで来るなんて。今、料理に使えるものをと思って収穫してたんだ」
そういう光忠は、まさか自分に用事があると思っていないのか、他の野菜を探そうとそちらに目をやった。
カオナシは恐る恐る光忠に近づく。
そこでやっと、
「ん?どうしたの?僕に何か用があるのかな?」
そう言った。
その言葉を聞いて、軽く頷いたカオナシは、一枚の紙切れを光忠の前に出した。
その紙を見ると、パッと顔を上げて、光忠は「いいのかい!?」と口にした。
カオナシはこくんと頷く。
そこには、【お話があるので、離れに来てください】と書かれていたのだった。
土で汚れているから、着替えてから行くねと告げられて、カオナシは一度、離れへ戻る。
やはり、あの人の前では緊張してしまうと心の中で思ったのだった。
「やぁ、お招きありがとう」
そう言った彼は、白いシャツにネクタイという恰好でかっこよすぎて倒れそうになった。
ちなみにNOTカオナシである。
コンコンとノックをして、入ってきた彼を玄関で出迎える。少しシャツを腕まくりして、ネクタイに白シャツだと、完全にサラリーマンにしか見えない・・・!やばい・・・!
真顔で固まってしまった、姉を見て、光忠は「ああ、」と口を開いた。
「せっかくお招きいただいたのに、ジャージはおかしいかなって。だけど、いつもの防具をしてくるわけにもいかないし、少し軽装だけどこのかっこうが一番かなと思ったんだけど・・・どうかな?」
(どうかな?なんて聞かないでよ!!!)
そう思いながら、一生懸命頷く。もう必死である。カオナシじゃないのに、一言も発しない彼女に苦笑する光忠。
スリッパを用意され、中に入ったのだった。
じゃあ、忙しいから離れには来ないように短刀達に声かけつつ、図書館の美人司書さんごっこしてくるわ!
と出かけたため、妹の姿は離れにはなかった。
しかし、こんのすけは、片時も姉の傍を離れようとはしなかった。
「いらっしゃいませ、燭台切光忠様」
「おや、きみはいつから、この家の子になったんだい?きみは政府の管狐のはずだよね?」
何やら、ピリピリとした空気が流れているのは気のせいだろうか?
姉は「座ってください」と椅子に促した。
光忠が椅子に座ると、飲み物を入れ、お茶菓子と共にテーブルに置く。
「ありがとう」と言って、口にすると、光忠は目を開いて、驚いたような表情になった。
どうしのたかと思い、首をかしげると、「これ、すごく美味しいね!!」と言って来た。
「これは何て言う飲み物?苦味があるけど、とても美味しいね」
「それは、コーヒーです・・・」
「きみが飲んでるのは?」
「私は、アップルティー」
「へぇ、ちょっと飲ませてもらえる?」
「え!?」
「ダメかな?」
「あ、えっと、じゃあ新しいのを・・・」
「わざわざ入れなくていいよ、一口だけだから、きみのでいいよ」
「あ、はい・・・じゃあ、どうぞ・・・」
「いただくよ。・・・・・・・・うん、香りがとてもいいね。本当にリンゴの香りだ。味も、甘いけど、美味しい。短刀達が喜びそうな味だ」
「すみません、私甘いの好きなので、お砂糖多めにいれてしまいました・・・」
「謝ることはないよ。へぇ、お茶にもいろいろな種類があるんだな。このこーひーは特に気に入ったよ」
「コーヒー、飲まないんですけど、よくもらい物でいただくんです・・・。だから、持って行ってください」
「え、いいの?」
「コーヒー好きじゃないんです、私たち」
「そうなんだ!じゃあ、遠慮なくもらおうかな。他にも好きな人がいたら、本丸でも注文していいかな?」
「はい、どうぞ」
まさか、飲み物1つでこんなに盛り上がるとは思わなかったなと思いながら、姉は光忠を見る。
本当にコーヒーが気に入ったのか、すっかりご機嫌の様子だ。
姉の視線に気が付いたのか、光忠が、話しはじめる。
「ああ、ごめん。話があるって言ってたよね?」
「あ、はい」
「・・・と、その前に、きみの名前を教えてもらえる?」
「え、名前?」
「うん、まずは自己紹介からっていうのはどうかな?僕は、ご存知のとおり、燭台切光忠だよ。よろしくね」
「いけませんよ、審神者様、名前を刀剣男士に教えることは禁止されております」
「(チッ)じゃあ、仇名でいいから教えてくれる?その姿なのにカオナシくんってずっと呼んでるのも・・・ね」
「あーっとえーっと」
「主様とでも呼べばいいではないですか!この方も審神者様なんですから!」
「・・・さっきから僕のこと敵視してるみたいだけど、僕きみになにかした?」
「わたしくはいまだ皆さまのことを信用しておりません!あなたのことは特に!」
「へぇ、そう」
「(え、なんかやっぱりケンカしてる?)え、えっと、あの、私のことは、えっと、お姉さんとでも呼んでください!」
「え?」
「姉審神者様だから、お姉さんなのですね!」
「(いや、適当なんだけど・・・)う、うん、そう・・・」
「・・・わかったよ。じゃあ”お姉さん”」
なんだろう、
なんかお姉さんと呼ばれただけなのにエロい・・・なんなんだこの人は、と思いながら、目の前でニコニコ微笑む光忠をみる
「きみはなぜ、主とそんなに似ているのかな?」
確かに、まだ何も説明してなかったから、不思議に思われても仕方がないと、光忠にまずは自己紹介をすることにした。
「あの、私、あの子と双子なんです」
「双子?」
「双子って、わかりますか?」
「うん、わかるよ。・・・へぇそうなんだ。だからかぁ、そっくりだと思ってたよ」
「隠しててすみません・・・私は姉で、あの子は妹です。前にこんのすけに聞いたと思いますが、それぞれ得意なものが違うので、私は主に手入れを担当させてもらっています」
「うん、なるほどね、あのカオナシは何なの?」
「あれは、未来の変装道具みたいなもので被るとあのカオナシになります・・・私も初めて政府の方からいただいたので、どうして足元が透けるのかとか、声が変えられるかとか、背が大きくなるのかとかは、うまく説明できなくて・・・すみません」
「へぇ・・・そういうことだったんだ・・・不思議だね。未来の道具ってすごいもんね。調理器具とかもさ。・・・それで?今日は、なんで僕を呼んでくれたのかな?」
「あ、あの、髭切さんと膝丸さんって・・・ご存知でしょうか・・・?」
「えっと・・・源氏の刀だっけ・・・?」
「はい、そのお2人が、新たに見つかったとのことなので、良ければご協力いただけないかと・・・」
「そうなんだ。またイベント?」
「・・・それが、検非違使に捕らわれているようなんです」
「検非違使・・・」
”検非違使”という単語を聞いて、少し光忠の顔が歪む。それもそのはずだ。仲間が何本も検非違使に折られているのだから。
少し考えように沈黙が続いたあと、光忠は口を開いた。
「・・・あのさ、」
「はい・・・!」
「僕たちが何度も検非違使に挑んで折られてるのは知ってるよね?」
「・・・えっと・・・はい・・・」
「それを知っていて、新しい刀が欲しいから、検非違使と戦えっていうのは、前の審神者と同じことをやってるんじゃないかな?」
その言葉を聞いて、悲しくなった。
確かにそうなのだ。今でも検非違使を避けながら出陣している彼らは、きっと、検非違使が怖くて仕方がないんだろう。
それなのに、出陣しろなんて、前任者と同じだと言われてしまえばそれで終わりだなと感じた。
「・・・確かにそう捕えられても仕方がないと思います・・・」
姉は静かに口をひらいた。
「・・・でも、前任者は何も情報もなく、検非違使に挑んだから、無用な被害が多かったんだと思います・・・」
「情報?検非違使に対する情報があるの?」
「・・・あります。みんな必死なんです。他の本丸の審神者の皆さんも、一本も折りたくないから、だから検非違使の情報を共有して、対検非違使用の作戦もたくさん作られています。前任者のしたことは、本当に許せないかもしれないけど、一振でも、その刀を知っている人がいるなら、会わせてあげたいって思ってます・・・!それでも、出陣するか、しないかの最終的な判断はみなさんにお任せします」
その姉の言葉に、光忠も黙る。
一本も折りたくないというのは、彼女の本心だろう。
彼女が全員にお守りを配ったのは、そういう気持ちが込められていたからなのだと彼も感じていたから。
「・・・その検非違使の対策ってなんなの?聞かせてもらえる?」
「・・・はい!」
そう光忠に言われて、姉も説明を始める。どこか、ほっとしたような表情だった。
・検非違使は同じ時代の大将首を10回倒したら出てくるということ(先日妹が同行した時に出た検非違使はちょうど11戦目で出てきた検非違使だった)
・一度検非違使がやってくると、その場に居座り、その時代からいなくなることはない
・維新の記憶の函館だけは検非違使が出ることはない
・出陣した中で一番練度の高い刀剣男士に合わせた強さの検非違使が出てくることが多い
・なので、練度が1の刀剣と、練度が80の刀剣が一緒に出陣すると、練度80に合わせた強さの検非違使が出てきてしまう
・その時代の適正レベルを超えて検非違使と戦っても、ドロップはしない
・勝利ランクが高いほど、ドロップしやすくなる
・練度によって、出てくる検非違使の強さが変わってくる。それは6部隊に分かれている(練度29まで、練度49まで、練度59まで、練度69まで、練度88まで、練度99まで)
・低レベルの検非違使は刀装もないので、比較的楽に倒せる
・高レベルの検非違使は、素早さもあり刀装も盾兵を連れているので、倒すのは困難
・昼戦の場合、短刀では力負けすることが多く、できれば打刀による遠戦での攻撃か、太刀、大太刀などの力技の部隊で攻撃するのが最適
・6面の検非違使は夜戦で弱体していることが多く、6面であれば短刀のほうが有利に勝てる
一通り、話しを聞いて、光忠は驚いていた。
全て初めて聞くようなことばかりだ。おそらく、前任者も検非違使のことを調べるということはしなかったのだろう・・・ただひたすら出陣の数をこなすというそんな荒々しいやり方がバカみたいだ。
必死に光忠に説明をする少女は、本当に真剣で、そしてよく調べているなということが伺えた。きっと、自分たちのことを考えて、懸命に調べてくれたんだろうと思うと、胸が熱くなる。
「・・・全然知らないことだらけだよ」
「そう・・・ですか・・・」
「だからか・・・練度1の子から練度70くらいの子でバラバラでよく出陣していたけど、それじゃあ練度の低い子は尚更勝てるはずがないよね」
「はい・・・昼戦夜戦によっても、検非違使の強さは変わってきますし、出来れば練度を揃えて出陣することが一番ですし・・・検非違使への対策で出来ることはたくさんあると思います」
「なるほどね・・・そういうことだったんだ・・・」
「刀装も、金の盾兵を装備して行けば、太刀や大太刀はほとんど傷を負わないようです。槍の攻撃だけは当たってしまうことがあるようですが、練度をそろえれば、最低でも軽傷の被害ですみます」
そういう彼女の顔は、一人前の戦略家だ。
そういえば以前に主が、「カオナシは戦略が得意」と言っていたなと思い出す。彼女の采配通りに動いていたら、本当に勝てるのかもしれないと思った。
「・・・それで?具体的な部隊は決まってるの?」
「・・・ある程度・・・まずは皆さんの練度を調べてみました」
そこで彼女が出した紙を見た
【各練度】※敬称略
■練度90以上
太郎太刀
■練度80以上
蜂須賀虎徹、和泉守兼定、燭台切光忠、同田貫正国、次郎太刀
■練度70以上
蜻蛉切、一期一振、御手杵、へし切長谷部、江雪左文字、山伏国広、石切丸、岩融
■練度60以上
蛍丸、歌仙兼定、山姥切国広、陸奥守吉行
■練度50以上
にっかり青江、大倶利伽羅、鳴狐、小狐丸、鶴丸、加州清光、大和守安定、堀川国広、獅子王、鶯丸、平野藤四郎、厚藤四郎
■練度40以上
宗三左文字、小狐丸、長曽祢虎徹、秋田藤四郎、前田藤四郎、乱藤四郎、薬研藤四郎、三日月宗近、鯰尾藤四郎
■練度30以上
明石国行、浦島虎徹、五虎退、骨喰藤四郎
■練度20以上
今剣、愛染国俊、小夜左文字
■練度10以上
博多藤四郎、後藤藤四郎
■練度10以下
物吉貞宗
練度が低いものは、最近来たり、折られたりしていた刀だということがよくわかった。
しかし最近の物吉貞宗チャレンジの低レベル用のマップで練度を上げたり、普通に出陣でも練度を上げているので、意外と全体的に低いわけではなかった。
やはり、一番前任者の被害に合っていた短刀たちが低レベル帯をしめていた。
「・・・へぇ、こんな感じなんだ。知らなかったよ」
「練度は・・・審神者が計るしか出来ないので・・・」
「僕もけっこう練度あったんだね・・・まぁ僕は一度も折れなかったからかな」
「・・・」
「それで?どの辺の練度で、検非違使に挑めばいい?」
「一番は練度70~練度88までの太刀、それから大太刀のみなさんで出陣するのが一番いいような気がします。全員金の盾兵装備だと、そこまでひどく被害を受けるとは思いません。馬に乗っての出陣だと、早さでも検非違使を越えることが出来るという結果もあるようです」
「短刀は?夜戦では強いんだろ?」
「6面はこんな低レベルで行くものではありません。今は途中撤退をしながらレベルを上げているようですが、それが正解です。大将首を10回とるまでがそもそも難しいですし、短刀ちゃんたちはあまり検非違使とは会わせたくありません」
「そうか・・・確かに短刀くんたちには、検非違使はいい思い出がないと思うよ」
「あともう一部隊作るとすれば、練度50代の方が多いので、大倶利伽羅さん、加州清光さん、大和守安定さんの打刀のみなさんに遠戦用の刀装を装備してもらって、鶯丸さん、鶴丸さんのレア太刀で敵を一掃してもらう・・・というところでしょうか」
「なるほどね、それならある程度遠戦で敵の数も減らせるし、いけそうだ」
「・・・はい、今度はこちらが検非違使に一太刀浴びせましょう」
そういう彼女の顔は、最初のおどおどした印象はなく、ハッキリと意思の強い印象を受けた。
彼女は僕たちを信じている、負けるはずがないと思っているんだというのが伝わってきた。
(ああ、本当にきみは・・・)
ジッと彼女を見つめていると、照れたように、下を向く。
僕はそんな彼女に告げる。
「・・・ここまで調べてくれたなら、みんなもきっと納得してくれると思うよ」
「・・・」
「ありがとう、きみのおかげで借りが返せそうだよ」
「え?」
「やられっぱなしじゃ格好つかないからね」
そう言って僕は席を立つ。慌てて、彼女もその場に立った。
「早速、みんなに話してくるよ」
そう言った僕に、「よろしくおねがいします」と頭を下げる彼女を見て、少しは頼りがいがある男だと思ってくれただろうかと、頭の中で考えた。
「・・・なぜその情報をお前が知っている?」
本丸に戻って、保護者たちに検非違使対策を話すと、不思議そうに三日月が聞いてきた。
光忠は、適当なことを言ってごまかす。
「離れの近くでこんのすけくんに会った時に聞いたんだよ。カオナシくんがいろいろ調べてくれたみたいなんだけど、主たちはまだ僕らが検非違使と戦うのはツラいだろうからって・・・」
「・・・そうか」
その言葉に、山伏も険しい顔をした。
みんな検非違使のことは憎いが、出陣することを躊躇っているようだった。
「・・・ふむ、まぁ練度が同じであれば太刀と大太刀の部隊で一度出陣してみるか?」
「しかし、」
反対しようとしたのは、一期一振だ。また彼のトラウマスイッチが入ってしまったようだ。
「なぁに、短刀たちは出陣させぬさ、それに検非違使との戦いが厳しいものであれば、検非違使と戦うのは止めにしよう。それでどうだ?」
一先ずは、検非違使に仇討ちできたらと思っていた一同は、出陣を決めた。
メンバーは
一期一振、江雪左文字、山伏国広、石切丸、燭台切光忠、次郎太刀
以上の6名となった。
太刀のほとんどが、仲間や兄弟を検非違使に折られたものばかりだ。
――――― そうして、6名は、武家の記憶”博多湾”へ出陣した。
しかし出陣しても、なかなか検非違使が出てこない。
今回は出ないのかと思っていた時、5戦目で、雷鳴が鳴り響き、検非違使が現われた。
「布陣の偵察を。しかるのち、各個撃破と洒落込みますか」
一期一振のその一言で、戦闘が始まる。
「格好よく決めたいよね!!」
光忠も検非違使に一太刀浴びせたが、あっさりと一撃で倒せてしまった。
以前はもっと苦労したのにと、拍子抜けだ。
「これは・・・」
「いけますな・・・」
「あたし検非違使2人も一気に狩っちゃったよ~!」
「カカカカカカ!以前の手ごたえはどうしというのだ!」
「やれやれ・・・戦いは好きではないのですが・・・」
「みんな、格好良くいこうね」
そうして、一同の目が光り、その時、被害が大きかったのはもちろん検非違使側のほうだった。
無事に6人が帰還し、心配していた弟たちは歓喜の声を上げた。カオナシもホッとした様子で出迎えた。
怪我をしていないか近づこうとすると、先に光忠がやってきた。
そして、
「きみのおかげで、今まで折られた子たちの仇がとれたような気がするよ。ありがとう。・・・はい、これお土産だよ」
そう言って、手に持っていたのは、”髭切”だった。
「怪我は誰もしていないよ。その代わり、刀装が2つほど壊れてしまったけど、僕たちは大丈夫」
その、言葉にカオナシは安堵する。仮面をかぶっていても、安心したんだろうと光忠にはなんとなくわかったのだった。
早速、妹の手によって髭切は顕現された。
「源氏の重宝、髭切さ。君が今代の主でいいのかい?」
「そうだよ!本丸の重宝、審神者だよ!よろしく」
「ふふ、面白いね。よろしく頼むよ」
こうしてまた1人、仲間が増え、夜はもちろん宴会となったのだった。
後日―――――――――
「光忠、めっちゃ機嫌よくてキモい。コーヒー飲んでた」
「ああ・・・コーヒーあげたからね・・・」
「ってか、きみバカだな。きみパソコン使えるんだから、資料作るなりして、けびいしについてプレゼンすればよかったしょ」
「はっ!!!その手があったのか!!!」
次回からは、みんなの前でパワーポイントでプレゼンだな(NOT音声)と思った姉だった。
「報告会?」
「そうです」
こんのすけに言われて、双子は顔を見合わせた。
各審神者の業務は、日々の日課の報告などがあり、それは全て姉がパソコンを使って報告していた。
今回はその他に、実際にどれくらいの刀剣が揃っているかなどを軽く政府に聞き取りされるというもので、特に難しいことはないのだが、審神者の安全を確認するためにも報告会に出向くのは必須だというのだ。
「報告会には、護衛の刀剣男士を1~2人連れていきます」
「ほぉ」
「今回は、審神者様の時代から選ばれた審神者の方が集合いたしますので、会場は2015年会場となります」
「そうなんだ」
「報告会終了後は、久々の現代で遊んで帰る方が多いですよ」
「マジで!?」
ガタッと立ち上がった妹にこんのすけも姉もビックリする。
妹は嬉しそうにこういった。
「御手杵とデート出来るってこと!?」
しかし、ため息をついてこちらを見ていたこんのすけにすぐに否定されてしまった。
「・・・槍を護衛として連れて行く方はおりませんよ」
「なんで!?」
「槍は、会議が開かれる室内では不利ですし、夜道を歩くには不向きです。皆さん、短刀・脇差・打刀から連れて行かれる方が多いですね」
「やだ、御手杵がいい」
「・・・姉審神者様がいかれてはどうですか?」
「カオナシのままじゃさすがに行けないし、カオナシ脱いでいくなら、燭台切さんと2人きりという選択肢しかないから嫌だ」
「しかたないですね・・・妹審神者様、高レベルの打刀ですと、へし切長谷部殿などいかがでしょうか?」
こんのすけのその提案に、ショックを受けた審神者は、あっという間に本丸に走って行ってしまった。
その後を急いで追うと、妹は御手杵に抱き着いていたのだった・・・。
ま「いやだ!!御手杵デートしてよ!!」
御「なんだよ急に・・・」
こ「実はかくかくしかじかで・・・」
平「護衛ですか?それならば、僕にお任せください!」
こ「ほら、審神者様、練度の高い短刀でしたら護衛に最適ですよ!」
ま「御手杵がいい!!」
さ(現代デートの文字で頭がいっぱいなんだろうな・・・)
へ「主、ぜひこの俺を連れていってください。お役に立って見せます」
ま「御手杵がいいの!!」
清「でも槍なんて、夜戦も室内戦も苦手なんだから護衛に向いてないじゃん。俺にしなよ、主」
ま「やだ!!御手杵と2人で出かけたいの!!」
御「言う事聞けよなぁ~」
御手杵から一向に離れない審神者を見て、一同ため息をつく。
カオナシが≪2人で行かせてあげてください≫とスケッチブックに書いて、頭を下げたので、仕方がないとその場は2人で行くことが認められた。
こうして、早速、妹は御手杵を連れて、御手杵用の現代服を選びに離れに戻ったのだった。
薬「で、誰が行くよ」
前「護衛の護衛ですね」
鶴「護衛の護衛w主は本当に驚かせてくれるなぁ!」
一「御手杵殿は、この本丸でも練度が高いほうですし、槍がなくてもある程度でしたら主を守ることができるでしょう。心配なのは、室内と夜戦です。出来れば脇差か打刀の中から行った方が・・・」
乱「はいは~い!僕いきた~い!」
一「お前達はダメだよ、まだ練度が低い」
獅「あーまぁ練度60以上あればいいんじゃねーの?」
陸「ほんじゃ、わしと山姥切で行ってくるきに!」
姥「・・・なぜ俺なんだ」
陸「長谷部は何かあるとすぐに抜刀しちゅう、心配やき、歌仙は美味しい飯を作ってもらわにゃ困る」
へ「そんな真似はしない!」
宗「しますよ、あなたなら」
浦「蜂須賀兄ちゃんは?兄ちゃんも打刀だし、練度高いよ」
陸「蜂須賀の髪の色は・・・目立つ!」
乱「確かに!主さんにもらった雑誌には、黒とか茶色とか金色の髪の毛の人はいたけど、紫とかピンクの人はあまりいなかったみたい・・・」
蜂「ふん、最初から行く気はないよ、そんなデバガメみたいな真似」
姥「デバガメ・・・」
鶯「山姥切、まぁ細かいことは気にするな。主の時代にはぺっぱーくんの仲間もたくさんいると聞いた」
姥「・・・なに?ペッパーくんのお友達だと・・・?」
和「んじゃ、決まりだな。お前ら2人で行ってこいよ」
陸「ほんじゃ、現代の服が欲しいんやけどえいがやか?」
そう言うと、陸奥守はカオナシを見た。
こうして、話しを勝手に決める刀剣たちに見つめられ、心の中で(妹を・・・よろしくお願いします)と思いつつ、コクリと頷いたのだった。
カオナシも、妹に気付かれないように、現代の服を用意し、陸奥守と山姥切に渡すのであった・・・。
そして当日 ―――――――
「行ってきます!!!」
「ふわぁ・・・いってくるぜぇ」
2人が出かけるということで、一同揃ってお見送りだ。
鶴「残念だな、俺が主に同行したかったのに、今日は俺は出陣だ」
清「主!今度は俺も連れてってね!!お土産買ってきて!!」
安「うるさいよお前、強請るのやめろよ!・・・主、気を付けてね」
後「大将、気をつけろよな」
薬「練度上げとくから、次は俺っちが行くからな」
ま「わかったわかった!じゃあね!!」
御「おー、じゃーな」
2人が時空の門をくぐって出かけていったところに、
後ろから、陸奥守とや帽子をかぶった山姥切国広がついていく。
へ「主を頼んだぞ」
陸「任せちょけ!なんかあったら、わしのこの拳銃でBANGじゃ!」
燭「いやいや、主の時代、銃使ったら警察に捕まるらしいからダメだよ」
陸「なに!?初耳じゃ!!」
清「心配だなぁ~・・・絶対俺のほうが主の時代で浮かないのにー」
秋「山姥切さん!これを!」
姥「これは・・・?」
秋「僕がカオナシさんからもらったのおとです!のおとたくさんあるので、主君の観察用に使ってください!」
蜂「観察って・・・主は植物じゃないんだよ?」
姥「・・・わかった、主のことは任せておけ」
蜻「くれぐれも、御手杵のこともよろしくお願い致します」
さ(ペコリ)
こうして、陸奥守と山姥切も2人の後を追うように、時空の門をくぐった。
「やぁ、あそこの本丸を引き継いでくれた子だね。今日はお姉さんは?」
「こんにちは、今日は姉はいないんです」
「御手杵が護衛かい!珍しいね!」
「はい」
「へぇ御手杵がこうして21世紀の服を着ているのは初めて見るが・・・意外とこの時代に馴染んでいるな」
「2人で並んでいると、カップルにしか見えないね!」
「ありがとうございます!!」
(かっぷるってなんだ?)
「では、報告会、よろしく頼むよ」
「はい!」
≪山姥切国広の主の観察日記≫
九時五十分:主たちが政府の用意した報告会場へ到着した。主は、何やら燭台切のような恰好をした男たちと話しているようだ。何を話しているかは聞き取れなかったが、主は嬉しそうだった。報告会のため主は部屋の中へ入って行った。陸奥守が厠へいったら音楽が流れたと興奮して帰ってきた。うるさい。
報告会も無事に終わり、(というか、あまり心配されていないようで、本丸にいる刀剣男士の人数と雑談をした程度)
思ったよりも、時間に余裕があったため、まずはお昼ごはんを食べに行こうということになった。
「御手杵ー何食べたい?」
「肉」
「肉かい」
「なんか美味いやつならなんでもいいぜ」
「美味いやつかー」
「あんたに任せる」
「絶対御手杵牛丼好きだな・・・」
「牛丼?」
「うん、牛丼食べに行こう」
「おう、わかった」
そうして、近くにあった牛丼屋に入る2人。
御手杵はきょろきょろしながら、周りを見る。
審神者は、御手杵の分まで注文すると、席に座った。
「へぇすごいな、俺がいた時代とは全然違う」
「うん、そうだろうね」
「写真見ただけで美味そうだ」
「御手杵は牛丼大盛りと、豚汁頼んだから」
「おう、あんたは?」
「アタシはネギ塩牛カルビ定食」
「うまそうだなそれも」
「分けてあげるよ」
「そっか、ありがとな」
そうして、2人の前に食事が運ばれてくる。
2人はそれを食べた。
「ん!?うまいなこれ!」
「男が好きな物ベスト5には絶対入ってるからね牛丼」
「気にいった」
「よかったねそれは」
「あんたのは?どんな味だ?」
「はいあーん」
「あー もぐもぐ うん、うまいなそっちも」
「じゃあ半分あげる」
「いいのか?」
「うん、アタシはあとでパンケーキ食べる予定だからいいよ」
「そっか」
「うん」
「牛丼うまいな今度燭台切に作ってもらおう」
「アタシも作れるよ」
「ほんとか?んじゃ、作ってくれよ」
「御手杵がお嫁さんにしてくれるならいいよ!!」
「なんだよそれ~」
「アタシ、料理上手だよ」
「ああこないだ食べたくっきーもうまかったよ、また食べたい」
「ほんと!!?いくらでも作るから!!」
「おう」
「ほかにも、たくさん得意な料理あるの!」
「うん」
「御手杵食べてくれる!?」
「おう、食うよ」
「やったぁ!!!」
「いいから食えよ、冷めるぞ」
「うん!」
ニコニコと笑顔の審神者を見て、なんかよくわかんねーけど嬉しそうだなと思う御手杵だった。
≪山姥切国広の主の観察日記≫
十二時五分:報告会終了後、主たちがなにやら店の中に入って行った。どうやら、食事をとるらしい。同じ店に入るわけにはいかないので、向かいのらーめんやというところに入ったら、めちゃくちゃ美味しくて驚いた。主たちが店から出て来たのに、陸奥守がかえだまをしようとしていたから、やめさせた。そういえば、ここに来る途中でペッパーくんのお友達がいたから挨拶をしてきた。首元に素敵な装飾をしていたから、帰ったらペッパーくんに作ってあげようと思う。
「・・・俺は刺すことしかできないからなぁ・・・」
「すごい!御手杵すごいよ!!」
刺すことしかできないといいながら、簡単にUFOキャッチャーでぬいぐるみをとる御手杵。
ボトッと、中からぬいぐるみが落ちて、審神者はそれを拾った。
「クリフォード!可愛い!もらっていいの?」
「おう、そのためにやったようなもんだしな」
「ありがとう!!宝物にする!!」
「そこまでしなくても別にいいけど、」
「宝物にするよ!!あと、プリクラとりたい!!」
「ぷりくらぁ?なんだそりゃ?」
「あそこにある機械で写真とるの!いこ!!」
「おお・・・」
「これ終わったら、パンケーキ食べにいこうね!」
「あーわかったわかった」
楽しそうに、2人はゲームセンターの奥へと向かって行った。
≪山姥切国広の主の観察日記≫
十四時十五分:ものすごくうるさい場所で、主が楽しそうにしていた。赤いもこもこしたものを持って、なにか箱のようなところに入ったから、どこかへ行ってしまうのではないかと心配になったが、ちゃんと出てきたから安心した。陸奥守はぞんび?を倒すげえむとやらをやって新記録が出たと喜んでいた。本当に、何しに来たんだこいつは。それと、さっき変な女たちに声をかけられた。「お暇ですか?」って言われたが、暇なはずないだろう。俺が写しだから馬鹿にしているのか。
夕方 ―――――――
海の見える公園で、2人は海を眺めていた。そろそろ、夕飯を作ってみんな待っているから帰る時間だ。
最後に、久しぶりに海を見たいといった審神者の希望で、キレイな夕日を眺めていた。
「俺、海に太陽が沈んでいくの初めて見た」
「そうなの?」
「錆びるからあんまり潮風には当たらないようにされてたし」
「そっか」
「キレイなもんだな」
「キレイだって思うんだね、御手杵も」
「俺を何だと思ってるんだよ・・・」
「なーんにも考えてないと思ってた!」
「失礼なやつだなぁ・・・俺だって考えてるさ」
「刺すことしか考えてないじゃん」
「そりゃあ俺は武器だからな」
「うん」
「まぁ、でも、今日は楽しかったぜ、連れてきてくれてありがとな」
そう言って、御手杵は、審神者の頭をポンポンと叩く。
御手杵を見る審神者の目がどんどん大きくなって、
「ぎゃーーーーーーーー!!!」
「え、な、なんだよ!!」
「かっこいい!!!!!」
「え」
「結婚して!!!!」
「はぁ・・・?」
「結婚してぇぇぇ!!」
「無理だって・・・」
「じゃあ神隠しして!!!!!」
そう言った、審神者の言葉に、御手杵はピタッと止まった。
しばらく審神者を見つめる。
審神者は、不思議な顔をして、御手杵を見た。
「あんた、それ意味わかって言ってんのか?」
御手杵の声がいつもより低く聞こえて、審神者はドキッとした。怒らせてしまったのかと、内心焦る。
少し揺れた審神者の目を見ながら、御手杵は続ける。
「神隠しされるってこと本当にわかってるのか?俺の神域に連れて行かれるってことなんだぞ?本丸のみんなとも会えなくなるし、あんたの家族や友だちや、カオナシとも会えなくなるんだぞ。それでもいいのか?」
真剣な顔で、それを言う御手杵に少したじろぐ。
でも、いつもはやる気のない彼がこうして真面目に伝えている言葉を、きちんと理解しようと、審神者は御手杵に向き直った。
「・・・それは、ダメだ」
「だろ?」
「でも、死んだ後なら?」
その突然の審神者の言葉に、今度は御手杵が戸惑う。
「・・・え?」
「死んだあとにアタシの魂を連れていくのはあり?できる?」
「・・・まぁ・・・出来ないこともないと思うけど・・・」
「じゃあ、死んだら御手杵がアタシの魂神隠ししてよ!!」
そういう、審神者の目はキラキラと期待した瞳をしていて、
「・・・ぷっ、・・・」
そこでようやく、御手杵は笑顔を見せた。
「はっはっは、ホント、変わってるなあんた!」
「御手杵ほどじゃないよ!」
「俺は別に変わってねぇよ」
「変わってるよ」
「・・・はぁ・・・そうだな、死んだあとならいいかな」
「ほんと!?」
「ああ」
「やったぁ!」
「でも、期待すんなよ、俺神隠し下手かもしれないし」
「神隠しに上手いとか下手とかあるの!?」
「んー、そもそもおれ神隠ししたことねーしなぁ」
「じゃあ頑張って!御手杵!」
「何を頑張るんだよー」
「死んだあとの神隠し」
「それ頑張ることじゃねーだろ、それより今は時間遡行軍倒すの頑張れって言えよ、一応審神者だろ?」
「一応!」
「ははは、んじゃ、帰るか。あんまり遅くなると、あいつら心配するから」
「そうだな、加州とか長谷部とか泣きながら探しに来るかもしれないし」
「・・・来そうだな、シャレにならねー」
「うん、じゃあ帰ろう」
そう言って立ち上がる。
夕日に照らされて長くなった二つの影は、仲良く、本丸のゲートへと歩き出していた。
≪山姥切国広の主の観察日記≫
十七時四十五分:ぱんけえきという店に主たちが並んでいたから、陸奥守も並ぼうと言い出して、二人で並んでいたら、周りがひそひそと何やら噂していたようだ。俺が写しだからって、こっちをじろじろ見るな!主たちが先に店を出ないように、急いでぱんけえきを食べたが、なかなかうまかった。今度兄弟たちとゆっくり食べたいものだ。店をでてから、少し買い物を主はしていた。それから、少し歩いて海の見える公園にやってきた。おれは海を初めてみたから感動した。途中で主の叫び声が聞こえたから何事かと思って刀を抜こうとしたら主が「結婚して!」と叫んでいた。なんだいつものやつか。安心した俺と陸奥守は、無事に帰還した。
へ「・・・なんだこれは!」
姥「主の観察日記だ」
歌「本当につけてきたんだね・・・」
山「カカカカカ!さすが兄弟!立派に責務をこなしたようだな!」
和「結局おめーは何しに行ったんだよ」
陸「わしが買ってきた腕時計型の電話じゃ!すごいじゃろ!?音楽も聴けるんじゃ!」
博「すごかぁ!それがあればIT情報も常にわかりそうたいね!」
さ(山姥切・・・ナンパされとる・・・さすがだな・・・)
燭「さ、主たちが買ってきてくれたお土産食べようか、ばうむくうへんっていうみたいだよ」
秋「わーい!おいしそうです!」
堀「切るの手伝いますね!」
≪山姥切国広の主の観察日記≫
主の買ってきてくれたばうむくうへんはとてもうまかった。