「審神者様、政府より新しいお知らせがございます」
こんのすけが持ってきたお知らせに、1人燃えるのは、姉だった・・・
本当は怖いブラック本丸で双子生活 其の十一
姉の熱も無事に下がり、本丸はまた活気を取り戻していた。
熱が下がるまで側にいてくれたこんのすけに、姉の好感度もダダ上がりで、しばらく高級油揚げがこんのすけの食事となっていた。
カオナシ復活ということで、再び出陣や遠征が始まり、本丸のみんなの忙しそうながら、とても楽しそうにしていた。特に血の気の多い刀剣たちはやはり刀の本分は斬ることだと、本能の赴くままに、出陣しているようだ。
さて、こんのすけより、政府からのお知らせを聞いたカオナシは、妹にお願いをしていた。
「まなみくん、やってくるわ」
「なにがさ」
「物吉貞宗」
「誰だ」
「研修で習ったしょ!私たちが審神者になる前にイベントで実装された脇差!」
「覚えとらんなぁ~」
「・・・きみ、全然だな・・・」
「イベントの刀剣とか興味なさすぎて寝てたわ」
「あのね、物吉くんの写真あるよ・・・・・・・・ほら!!!」
「おお~」
「可愛くない!?」
「きみめっちゃ好きそうwww」
「めっちゃ好きなのさ!!!めっちゃ好きなのさ!!!!」
「2回言わなくても伝わったわwww」
「脇差尊い・・・」
「よかったなぁきみ」
「うん、じゃあ行こうか」
「どこに」
「本丸」
「何しに」
「物吉くん、ゲットしに行くぞって言ってくれよ」
「なんでwきみが行きなよw今アムネシア中だw」
「アムネシアみたいな病んでるゲームより、うちの子たちのが大切だ。さぁ行くよ」
「1人で行ってきなよwww」
「なんか気まずい」
「光忠かw」
「うん・・・しかも、カオナシじゃ喋れないし・・・」
「その設定いい加減にしろよwカエルで喋ってこいw」
「いやだぁ、お願いだよぉ~一緒に行ってくれよ~~~~~」
「こんのすけ連れていきなよ」
「こんのすけ政府から帰ってきてお昼寝しとる」
「のん気だなうちのこんのすけw管狐がお昼寝するってどういうこっちゃw」
「頼むよ~~~チーズケーキまた作るよ~」
「仕方ないなぁ~わかったよ」
妹は、しぶしぶ立ち上がり、2人は本丸に向かったのだった。
「っちゅーことで、ものきち捜索にご協力してくれる方募集中!」
なんの説明もなく、いきなり物吉貞宗の話が出て、大広間に集められた刀剣たちはポカーンとしていた。
前置きもなく、なぜ話はじめるんだろうと、隣のカオナシも首をかしげている。
鯰「ものきちって誰ですか?」
ま「ものきちはものきちだよ」
薬「ものきちなんて刀剣いたか?」
虎「・・・さぁ?」
宗「・・・・・・・・もしかして、物吉貞宗のことではないでしょうか?」
ま「あ、そうそう。ものきちくん」
歌「主は・・・少し・・・教養の勉強が必要なようだね?」
ま「ひえ~歌仙が悪魔になってる!」
石「えっと、つまり、物吉貞宗が見つかったということかい?」
ま「いえす!」
そうして、審神者の隣にいたカオナシがコショコショと審神者に何かを伝えているようだ。
「えっとね、なんか戦力補充計画っていうやつで、ものきちがたまにドロップするらしいんだよね。前回のものきちゲットイベントは前の審神者がちょうど逮捕されちゃってやってなくて、今回を逃すと次いつ機会があるかわかんないし、ぜひ我が本丸にお迎えしたい」
そう審神者は言った。
「んじゃ、とりあえず、ものきちと知り合いの子たちは手あげて~」
刀剣たちは顔を見合わせながらも、そっと手を上げた。
蜻蛉切・御手杵・鯰尾・一期一振・大倶利伽羅・宗三・獅子王・江雪の8人だった。
宗「基本的に、物吉貞宗はずっと徳川の守り刀でしたからねぇ。徳川に所有されていたものなら彼と知り合いですよ」
蜻「私の元の主の本田忠勝殿は、徳川家康殿の家臣なのでよく存じ上げております」
鯰「俺は大阪夏の陣で燃えたてその前の記憶はないけど、その後打ち直されてからもずーーーっと物吉と一緒のところに保管されてましたよ」
一「私も、燃える前は彼と一緒におりました」
伽「・・・会った事はある」
獅「おれも徳川時代に一緒だったぜ!江雪もだよな」
江「はい・・・私も彼と共に一時期ですが一緒におりました・・・」
御「俺の元主と徳川家康が兄弟だったから、何回か会った事あるぜ」
ま「御手杵もか!!!すっごい!!!御手杵って実はすっごいんだね!!知らなかった!」
御「なんだよそれ・・・」
宗「それで?知り合いを聞いてどうするんですか?」
ま「いや、もし知り合いでものきちお迎え行きたかったら、知り合い中心で行ってもらおうかなって。ものきちも、知らない人に迎えに来られるよりいいかなって思って」
まぁでも、無理強いはしないわ、と審神者は続けた
ま「戦うの嫌いな人もいるだろうし、元々出陣するのに口出さないって約束してたし、いつもの出陣する感じで行きたい人で気楽に行って来てもらえればって思うんだけどさ」
へ「いえ、もうすでに主は我々の主なのです。出陣でも遠征でも、なんでもお好きなようにご命令ください」
三「そうだぞ、もう主の命に逆らおうとするものはおらんからな。主が無理な進軍をさせないというのは皆わかっておる」
ま「う~ん、でも正直戦略とかめっちゃ苦手なんだよなぁ~。いまだに陣形とか、どれが有利で、どれが不利なのかわからんちんだもんなぁ~。こういうの、カオナシが得意」
燭「へぇ・・・カオナシくんがねぇ・・・」
ま「ま、出陣するメンバーは誰でもいいから任せるよ。ただ、せっかく見つかった仲間だし、お迎えして一緒に四つ葉のクローバー探して遊びたいから、 お願いします!」
鶴「それは楽しそうだな!」
薬「おい、大将、理由」
蜻「主の命とあれば、出陣してまいります」
こうして、蜻蛉切・一期一振・大倶利伽羅を中心に、いろいろとローテンションしながら、 物吉貞宗捜索を決行することとなった。
みんなも頑張って出陣してくれているのだが、なんせ
来ない。
物吉貞宗が来ない。
あまりの来なさにカオナシが落ち込むほどだった。
「御手杵お帰り!結婚して!」
「無理だって・・・」
「ものきち見つかった!?」
「いえ・・・なかなか見つけることが出来ず・・・申し訳ありません!」
「うんまぁ無理せずに」
「はっ!恐れ入ります!」
元ブラック本丸の刀剣たちに無理をさせるわけにはいかない。
今では全員、カオナシが購入したお守り(極)を所持しているが、それでも心配なものは心配だ。
まぁそのうち見つかるだろうと、審神者はのん気に構えていたのだった。
「・・・さむっ」
愛染国俊が寒さで目を覚まし、外を見ると・・・
「なんだこりゃ!?」
そこは一面の雪景色だった。
続々と起きてくる刀剣たち。みんな庭の雪に、喜んだり、顔を歪めたりと様々な反応をしている。短刀達には概ね好評のようだ。
「・・・雪景色も風流だが・・・主の仕業かな・・・」
「はっはっは!主の仕業じゃろうな!」
そう、歌仙と陸奥守が2人で話す。もちろんそこにいる誰もがそう思っていた。
短刀達は、庭を走り回って遊んでいる。
そこで「主も呼びに行こう!」と離れに向かったのだった。
離れについた短刀達は、勝手に中に入った。
すると、昨日まではなかったコタツの中でゴロゴロゲームをしている審神者の姿を見つける。
短刀達は、審神者に近づいた。
乱「主さん!この雪、主さんがやったの?」
ま「うん、そう」
秋「カオナシさん、雪がすごい積もってますよ!一緒に遊びましょう!」
厚「主も一緒に外に行こうぜ!」
ま「だが断る」
博「なして!」
ま「寒いの嫌いだ」
後「え・・・じゃあなんで冬にしたんだよ」
ま「前の審神者がけっこう溜めこんでた小判があって、前任者ムカつくから全部使い切ってやろうかなって思って」
虎「そ、それで、景色が変わったんですか・・・」
ま「この本丸最初に来た時、あまりにも空気悪いし、なんも植物なかったしでとりあえずほっといたけどさ、よく考えたら今って冬なんだよね。だから、雪景色にしてみた」
今「しきをかんじられるのはいいことだとおもいますよ!さぁあるじさま!こたつでまるくなるのはおしまいです!そとでいっしょにあそびましょう!」
ま「無理です」
小「・・・行こう」キュッ←手をつなぐ小夜
ま「!? さ、小夜たそにそんなことされたら・・・ぐぬぬぬぬ」
虎「と、虎くんたちも、あるじさまと遊びたいって言ってます・・・」
ま「ああああ、誘惑がすごい!!カオナシじゃないけど、短刀達の誘惑がすごい!!」
厚「大将なんだかんだ言っても、俺たちに甘いからなー」
ま「ああああああ、」
小「ね、行こう・・・」
ま「・・・わかったよ小夜たそ・・・・・・・でもそれには条件がある・・・」
乱「条件ってなに?」
ま「みんなにスキーウェア&帽子&手袋&マフラーを用意したので、みんなそれぞれつけること!体冷やしちゃダメ!絶対!」
そこで、カオナシが大きな段ボールをいくつも持って来て、それぞれに配り始めた。
なんでも、現代の防寒具らしい。
デザインも、それぞれに似合うように選んでくれたので、短刀達も喜んでいるようだ。
審神者は寒くて憂鬱だったが、コートを着て外に出た。
―――――― カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ
先日、保護者達に懇願されてカメラを買い与えていたのだが、本丸に戻るとすぐに撮影大会になってしまった。
乱「ねぇ、いち兄!僕のピンクのすきーうえあ、可愛いでしょ?」
一「ああ、すごく似合っているよ」
厚「俺は黒だぜ!かっこいいだろ!」
薬「ああ、似合ってるぜ」
ま「薬研wwwお前、はんてん着てモコモコ靴下履いてどうしたwwwうちにも来てなかったし!」
薬「俺っちは寒いのが嫌いだ!」
ま「おまwwwホント短刀かよwwwもっとやる気だせよwww」
浦「主さん、景色戻してくれよ~!寒すぎて亀吉が甲羅の中から出て来なくなっちゃった!」
ま「冬眠w」
宗「・・・そもそもなぜ、今更冬にしたんですか、今までは別に普通だったじゃないですか・・・」
ま「うむ、実はよくよく考えたら2月だったんだわ」
江「はぁ・・・それがどうかしましたか?」
ま「2月はな!!なんと!!アタシの誕生日がある!!」
ドーーーーーーンとそこで腕組みをした審神者に、一同、絶句した。
へ「あ、主!!!なぜそれを先に言ってくれないのですか!!」
清「え!?いつ!?主の誕生日いつなの!?」
ま「2月20日だ!」
「「今日じゃん(じゃないですか)!!」」
長谷部と加州の言葉が揃ったところで、審神者は笑う。
「はっはっは!いつも誕生日雪降ってて寒かったしね。別に雪いらんけど、誕生日だから買い物しまくろうぜ!って話になってさ~。けしき買いまくった!」
あ、カオナシも今日が誕生日だよ!
その言葉に、一同騒然。
じゃあ、誕生日会を開こうと提案するが、「そういうのいい」とあっさり断られてしまった。
そして、寒いから帰るわとまた引きこもるために、離れに帰って行った審神者・・・
しかし、なんとかして主を祝いたい一同は、考えた。
主が喜ぶものって何だろうと。
そこで誰かが
「物吉貞宗見つけたらいいんじゃない?」
と提案し、
そして、
いよいよみんな
本気になった。
その出陣は、まるで鬼気迫るものでまるで無双状態。
【主に物吉貞宗を!】がみんなの合言葉となっていた。
5時間後――――――――
本気を出した主ガチ勢とその他の力のおかげで、物吉貞宗を無事発見。
審神者に刀を渡して顕現してもらう。
「物吉貞宗と言います!今度は、あなたに幸運を運べばいいんですか?」
「ものきち!!いらっしゃい!!」
「ものき・・・え?」
カオナシ歓喜。
みんなも歓喜。
そうして、無事に物吉貞宗歓迎会&審神者お誕生日会が開かれることとなったのだった・・・
【余談】
「「「「「「物吉貞宗いらっしゃい&主、カオナシさんお誕生日おめでと~~~~~~~~~!!」」」」」
「跪け!崇めろ!奉れ!」
(氷のエンペラーの場面じゃないだろ)
「みなさん!ありがとうございます!僕嬉しいです!」
審神者の誕生日&物吉貞宗歓迎会ということで、全員集合。
カオナシは料理を手伝うと言ったのだが、カオナシも誕生日なら、と断られてしまった。
今日は主役なので何もしなくていいようだ。
審神者は「お前らなんだかんだいって宴会開きたいだけじゃねーか!」と思ったが、その言葉は飲みこんで、食事やお酒を堪能した。
「はいはーい!主さんが、前から見たいって言ってた、踊り覚えたよー!」
乱がそう言うと、各自の一芸披露の流れとなったのだった・・・
【粟田口】
短刀達によるAKBのダンスを披露。
一期一振とカオナシ死亡。
【おだて組】
おだて組による、三代目の流星披露。
カオナシ死亡。
【歌仙&蜂須賀】
歌仙と蜂須賀による日本舞踊披露
【鶴丸】
鶴丸によるマジック披露
【三条】
何かやろうとしたが、何も出来なかった
【新選組with陸奥守】
全員羽織を着て、新選組活劇vs坂本竜馬開始。
「御用改めである!」と全員が言った瞬間、カオナシは泣いた。
【左文字】
特に何もすることがないので、小夜がうさぎの着ぐるみを着た
左文字の兄とカオナシ死亡。
【来派feat.国広派feat.獅子王feat.長谷部】
関ジャニ∞披露。
カオナシ死亡。審神者拝む。
審神者の影響により、芸能に興味を持った面々が楽しく一芸を披露してくれた。
カオナシは、「尊い・・・」とたまに地声で呟いていた。
まだまだ芸の仕込みがいがあるなと、審神者はニヤリと笑ったのだった。
ちなみに、寒からという理由で、翌日にはすぐに景趣はいつもどおりの景趣に戻っていた。