せっかくだから、このまま宴会しようと審神者が言い出したので、急遽本丸全員で宴会を開くこととなった。
初めて、審神者と刀剣男士たちが心を通わせた夜は、初めて酒を飲み交わした夜にもなった。
本当は怖いブラック本丸で双子生活 其の九
審神者たちは大量のお酒と、簡単な食事を用意した。ピザと寿司を頼んで、たまにはお食事係のみんなに休んでもらおうと思ったのに、結局簡単なつまみを作ると行って台所に籠る燭台切光忠、歌仙、それを手伝うカオナシ。
もちろんピザやお寿司を食べたことのない一同は大喜びだ。
博「ピザっっちゅー食い物、バリバリうまか~!」
鯰「どれどれ・・・・・・・・・・・ホントだ!めっちゃ美味い!!」
骨「だが、手がベタベタする」
一「ああ、その手で触ると汚れてしまうね。ほら、この手拭きを使いなさい」
三「ふむ、おれは寿司が気に入ったぞ、よく人々が食しているのを見ていたが、なかなかうまいものだな」
鶯「おれも寿司のほうがいいな」
獅「さすがじいさんたちだな、ほら、こっちの寿司も食べろよ!」
狐「・・・うむ、この稲荷寿司は美味だな。鳴狐も食しておるか?」
鳴「・・・うん、おいしい」「鳴狐!鳴狐!わたくしももっと食べたいです~~~~!!」
鶴「~~~♪」
伽「・・・おい、鶴丸、わさびを大量に入れるのはよせ、誰かが食べたらどうする」
鶴「それが楽しいんじゃないか!」
次「きゃはは!主も飲みっぷりがいいじゃん!その赤いお酒なにー?」
ま「これ、赤ワイン。飲む?」
太「主、私にも少しいただけますか?」
薬「大将、飲みすぎには気をつけろよ」
へ「主!ぜひ俺にも注がせてください!」
堀「はい、兼さんの分のお寿司とピザとっといたからね!」
泉「おお、悪ぃな。お前も食えよ」
浦「・・・蜂須賀兄ちゃん、大トロしか食べてないね・・・」
蜂「当たり前だよ、浦島。たまごやかっぱ巻きは贋作にでも食べさせていればいい」
長「・・・たまごは美味いぞ」
清「長曽さん、卵好きだよね~。近藤さんも卵大好きだったもんね~。」
安「うん、ピザもお寿司も両方美味しい!」
そこに、運ばれてくるつまみ系の食べ物。ポテトやから揚げもある辺り、カオナシも頑張っているようだ。
燭「足りないもの、ないかな?」
鶴「ああ、もう充分だ。お前達もこちらに来て食べろ」
伽「・・・光忠、お前の分だ」
燭「伽羅ちゃんありがとう!とっておいてくれたんだね!」
歌「ふう、では僕も休むとするかな」
小「・・・歌仙、お疲れ様」
秋「カオナシさーん!カオナシさんが作ってくれたぽてととっても美味しいです!」
乱「カオナシさんも何か飲む?」
料理もそこそこ落ち着き、全員が大広間に揃った。
こんなに賑やかなのはこの本丸が始まってから初めてのことで、刀剣たちはみんな、心の底から審神者に感謝した。
ある程度落ち着いてきたことろで、三日月がみんなに提案する。
「せっかくこのような場を設けてくれた主のために、挨拶の口上を述べようではないか」
そうして、「そういうのいい」と遠慮する審神者とカオナシを、無理矢理上座に座らせると、1人1人前へ出て、頭を下げて、口上を述べ始めた。
「三日月宗近。打ち除けが多い故、三日月と呼ばれる。そなたたちにひどいことをしてしまい、申し訳なかった。しかし、そななたたちのおかげで、人間の優しさを再び思い出したぞ。これからは主のために力を使っていく。よろしくたのむ。」
「大きいけれど小狐丸。いや、冗談ではなく。まして偽物でもありません。私が小!大きいけれど!二度と人の子のために働かないと思っていたが、いやはや、あなたたちには驚かされますね」
「石切丸という。石をも斬る神刀、とは言われるけれど、もっぱら腫れ物や病魔を霊的に斬ることが多いな。先だっての数々の非礼お詫びする。この本丸の行く末が素晴らしいものになることを願い、祈祷させてもらうよ。よろしく」
「俺は岩融、武蔵坊弁慶の薙刀よ!今後は主殿のためにこの力を使おうぞ!がはははは!」
「ぼくは、今剣! よしつねこうのまもりがたななんですよ! どうだ、すごいでしょう!あるじさま、たくさんぼくとあそんでくださいね!」
「僕は前にも、主に名乗ったけど、改めて。僕はにっかり青江。主、今度一緒にホラー映画見ようね」
「やあやあこれなるは、鎌倉時代の打刀、鳴狐と申します。わたくしはお付のキツネでございます!あるじさまのおかげで鳴狐が救われて、わたくしも本当に嬉しく思っております!どうか鳴狐共々よろしくお願い致します!」「……よろしく」
「私は、一期一振。粟田口吉光の手による唯一の太刀。すでにご存知でしょうが、藤四郎は私の弟達ですな。数々のご無礼、一生をかけて償っていく所存です。どうか、末長くよろしくお願い致します」
「俺の名前は鯰尾藤四郎。燃えて記憶が一部ないけど、過去なんか振り返ってやりませんよ!せっかく仲良くなれたんですから、主さま、おっぱい触らせてくだ「ゴチン☆」いってぇ」←一期一振に殴られる
「骨喰藤四郎。すまない。記憶がほとんどないんだ。・・・だが、これからは兄弟たちと楽しい記憶を作っていきたいと思っている」
「平野藤四郎といいます!お付きの仕事でしたらお任せください。・・・あなたがたを主に持てたこと感謝しております。またぷりん食べさせてくださいね」
「オレは、厚藤四郎。刃がまっすぐ、かつ厚いのが特徴で、兄弟の中だと鎧通しに分類されるんだ。今度、ヒロアカの続きが出たら教えてくれよな!」
「俺は、大将が初めて顕現してくれた刀、後藤藤四郎だ!大将、これからもずっと側で守ってやるからな!」
「前田藤四郎と申します。末永くお仕えします。お部屋のお掃除のお手伝いもお任せください」
「秋田藤四郎です。僕はカオナシさんが大好きです!もちろん主君も大好きです!お2人のために、これからも頑張りますのでたくさんつかってくださいね!」
「俺の名前は博多藤四郎! 博多で見出された博多の藤四郎たい。短刀ばってん、男らしか!主、おれも資金運営したかね、えふえっくすっちゅーの今度やらせてくれんね?」
「ボクは乱藤四郎。兄弟同様、粟田口吉光の打った短刀だよ。新しい主さんが女の人で嬉しい!ねぇ、こないだ言ってたへあばんど僕にも作ってね!」
「僕は、五虎退です。いつも・・・遊んでくれてありがとうございます・・・。虎くんたちも喜んでます。僕も虎くんたちもあるじさまのことが大好きなので、また・・・撫でてください・・・」
「大将。改めて自己紹介させてもらう。俺っち、薬研藤四郎だ。大将にもらいうけたこの命、散るまで大将のために使うと決めたからな。ずっと俺を側においてくれ!」
「古備前の鶯丸。名前については自分でもよくわからんが、まあよろしく頼む。今度うまい茶を買ってくれ。一緒に飲もう」
「すいまっせん。明石国行言います。・・・主はんが無害っちゅーんはよくわかりましたわ。どうぞ、よろしゅう。まっ、お手柔らかにな?できれば毎日なんもせんとゴロゴロしてるっちゅーのが夢ですわ」
「昔阿蘇神社にあった宝剣は、なぜか今、ここにあったりして。蛍丸、推参!あんまり撫でたら縮んじゃうから、お膝の上で寝てる時しか撫でちゃだめだよ」
「よ、はじめましてだな!オレは愛染国俊!オレには愛染明王の加護が付いてるんだぜ!へへっ、これからは俺も外に出てたっくさん遊ぶから、祭の準備よろしくな!」
「蜻蛉切と申します。数々のご無礼、お詫び申し上げます。今後は、主に天下無双の名前が与えられるよう、精進します。どうぞよろしくお願い申し上げます」
「僕は、燭台切光忠。青銅の燭台だって切れるんだよ。……うーん、やっぱり格好つかないな。この身になって嬉しいのは料理が出来ることだよ!あ、今度、欲しいキッチン用品があるから相談に乗ってもらえるかな?あと、主、普段の格好をもう少し整えようね」
「……江雪左文字と申します。……刀は、使われぬほうが良いのです。抜かれる前、振るわれぬように、和睦に務める。それが大事なのではないでしょうか。和睦のために、日々精進してまいります」
「……宗三左文字と言います。貴方も、天下人の象徴を侍らせたいのですか……?………なんですかその顔は、僕を使うなら、あなたにも立派な主になってもらわないと困りますからね」
「僕は小夜左文字。あなたは……誰かに復讐を望むのか……?………僕はあなたのこと、嫌いじゃないよ…」
「俺も改めて!俺、加州清光。川の下の子、河原の子ってね。扱いにくいが性能はピカイチ、いつでも使いこなせて可愛がってくれて、あと着飾ってくれる人大募集してるよ。夢は主の手作りの品で全身を飾ること!主、またアクセサリー作ってね!」
「大和守安定。扱いにくいけど、いい剣のつもり。ま、今度新選組の話しでもしてあげるよ。よろしく」
「僕は歌仙兼定。風流を愛する文系名刀さ。主、みんなの口上が長くて飽きてきたのはわかるけど、姿勢は正して、人の話を聞かないとだめだよ。あと、その格好もよくないな。いくら楽だからってなぜきみはジャージばかり着ているんだい?せめてこういう場ではきちんとした格好をしてもらいたいな。今度僕が見立ててあげるよ。いいね?」
「オレは和泉守兼定。かっこ良くて強い! 最近流行りの刀だぜ。仕方ねーからたまには仲良くしてやるよ。ま、よろしくな」
「わしは陸奥守吉行じゃ。坂本龍馬の佩刀として知られちゅうね。・・・主たちのおかげで、竜馬のこと思い出したき。あん人も、破天荒なお人じゃったが、主もなかなかにけったいじゃの!主、俺と一緒に世界を掴むぜよ!」
「山姥切国広だ。……何だその目は。写しだというのが気になると?…ああ、ペッパーくんのことは俺に任せてくれ。毎日充電は完璧だ。ところで、ペッパーくんが今度占いをしてくれると言うんだが、俺の誕生日を調べてくれ、頼む」
「拙僧は山伏国広と申す。以前は主殿に切りかかり、大変失礼なことを致した。今では、主殿が我々に非道な振る舞いをせぬことはわかっておる。むしろ、主殿はもう少し筋肉をつけたほうが良いな!今度拙僧と山籠もりで鍛えようではないか!カカカカカ!」
「僕は堀川国広です。主さん、洗濯機を設置してくれてありがとうございます!洗濯がとても楽になりました!兼さんと新選組のお話をしに、今度離れに伺いますね!今後とも、兼さん共々よろしくお願いします!」
「・・・蜂須賀虎徹だ。・・・正直人間に良い思いはしていないが・・・それでも俺はあなたの初期刀だったらと思ってしまった。どうか、これからもよろしく頼むよ」
「俺は浦島虎徹!ヘイ!俺と海賊王になるために海に出てみない?俺がルフィーで、主さんは、ナミ・・・じゃなくて、チョッパーって感じかな!」
「長曽祢虎徹という。贋作だが、本物以上に働くつもりだ。主のために、今後は力を惜しみなく使おう。よろしく頼む。」
「……大倶利伽羅だ。別に語ることはない。慣れ合う気はないからな。………だが、こんど料理くらいは手伝っても良いだろう」
「主、へし切長谷部です、改めてよろしくお願い致します。できれば今のまま、長谷部とお呼びください。主のために働きます。なんでもおっしゃってくださいね」
「俺の名は獅子王。恰好いいけどじっちゃんが持つ関係で軽く作ってあるんだ。だから、きっと主でも俺のこと使えると思うぜ!あ、今度げーむってやつやらせてくれよ!一狩いきたい!」
「俺は、同田貫正国。俺たちは武器なんだから強いのでいいんだよ。質実剛健ってやつだ。あんたのこと切ろうとしたのは、正直悪いと思ってねぇ。あの時はあーするしかなかった。でも、これからはそんな物騒な真似しねーよ。俺が切るのは敵だけだ」
「よっ。鶴丸国永だ。正直、俺はきみと上手くやっていける自信しかない!きみがいつも被っている奇抜な被り物を俺にも貸してくれ!2人でこの本丸中を驚きで満たそうじゃないか!」
「私は太郎太刀。貴方に触れ、貴方の霊力がとても澄んでいると感じました。これからは、主のためにこの力を使いましょう。どうぞよろしくお願い致します」
「こんにちは!綺麗な次郎で~す!こんなに美味しいお酒があるなんて知らなかったよ!ありがとね!これからも飲み会じゃんじゃん開いちゃおう~~~!」
「天下三名槍が一本。御手杵だ。斬ったり薙いだりできねえけど、刺すことだったら負けねえよ!「結婚してください」・・・それは無理だって・・・あんたも変わりもんだなぁ」
『ご結婚ですか?おめでごうございます!』「ありがとうございます!」「いや、だから違うって・・・」
全員の口上が終わり、審神者は全員の顔を見た。
そして、今度は彼女が口を開く。
「なげーわ」
「え、」
思わず、長谷部が声を漏らした。
「なんか途中で歌仙に怒られたけどさ~~~~、ホント長いわ47人分聞くの!マジつらい!!でもせっかく名乗ってくれたから、こっちも名乗るよ!私は審神者だよ!ぴっちぴちの女子大生☆女王候補にはなれなかったけど、守護聖よりイケメンの数が多いから、まぁ良しとするよ!じゃあ疲れたから、いち兄のお膝でゴロゴロする~(・∀・)」
「ええ、どうぞ、私の膝でよければ」
「一期一振・・・きみってやつは・・・」
「私は今後は主のことを全力で甘やかすと決めたのです( ・`ω・´)キリッ」
「「「「「え・・・」」」」」
「わ~~~~~い」ゴロゴロ
「主!膝なら私の膝をお使いください!」
「俺も!!ってか、俺逆に主に膝枕してもらいたい!!」
「だが断る!次は太郎さんのお膝にいくよ!」
「はぁ・・・私ですか・・・」
「あっはっはっは、主はホント、面白いねぇ!!さあ、酒じゃんじゃん持って来~~~~い!」
「ピザ冷えちゃったね、温めなおしてくるよ」
ワイワイ、ガヤガヤ
と、再びその場が活気に満ちる。
その様子を見て、カオナシの隣にいた薬研が笑う。
「ははっ」
カオナシが不思議そうに、その顔を覗くと、薬研はそれに気づいたのか、カオナシに話し始める
「あ、いや、本当に大将は愉快な人だなと思ってな」
そういう薬研の顔は、初めて会った時よりも、ひどく穏やかに見えた。
「こんなの、初めてなんだ・・・。みんなで笑って食事して、騒いで。こんなこと、一生できねぇと思ってた。大将がいると、みんな笑顔になっちまうんだな。俺は、ずっとあの人の刀でありたい」
そう、妹を見て優しく微笑む薬研を見て、姉も内心喜んだ。
よかった、楽しんでくれて
よかった、笑ってくれて
よかった、幸せだと感じてくれて
日々、何かに怯えて、絶望を感じるだけの生活は終わりでいい。
こうして、笑い合える普通の日常が来たことを感じてくれる、それだけで充分だ。
カオナシは薬研の頭を撫でながら、今度は太郎太刀の膝でゴロゴロして、歌仙に怒られている妹を見て、審神者になってよかったなと感じたのだった。