なんだかんだありましたが、またタワーマンションに戻ってきました。
まぁちゃん曰く、大馬鹿野郎の白石くんが私に謝罪し、私と一緒に今借りていた家具付きのマンションをすぐに解約に行き、さっさと私の荷物をまた前のマンションに運んで、全部今まで通りの場所に片付けて、
(すっかり元通りだ…)
自分でも驚くくらい、あの1ヶ月がなかったかのよう…
「家具捨ててなかったんだね」
さっさと捨ててるかと思った
そう言った私に、
「捨てるわけないやん!!」
と彼は言った
「だって、フッた女の家具なんていらないじゃん」
「……もう勘弁してくださいよ」
「へへへ、一生このネタでいじめてやる~」
「…一生俺とおる気でいるん?」
なら、俺めっちゃ嬉しいわぁ
そう反撃してきた
(くそっ!!)(こっちが優位に立てるはずなのに!)(口ではすぐ負けちゃう…)
結局真っ赤になった私の負け
ニヤニヤとする彼を前に悔しくて仕方がない
あれから、
あの日、彼が私に声をかけて、
好きだって、また一緒に暮らそうって言われてから、
思ったより、甘々な彼の態度に私は少し困惑していた・・・
(前は普通に友達って感じだったから全然触ったりしてこなかったけど・・・)
(なんか今はすごい・・・)
(一緒にいる時のベタベタ感がすごい・・・)
今も、なんだか、ものすごく甘くなってしまった彼に抱えられながらテレビを見ている・・・
もう逃げないのに・・・
テレビくらいゆっくり見せてもらえないだろうか・・・
「なぁ」
「ん?」
「来週また東京行くって言うてたやん」
「うん、舞台観に行くよ」
「俺も行くわ」
「え!?」
「休みとった」
「ええ!?」
「でな、」
「え、なに」
「さおりのご両親にご挨拶に行きたい」
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
突拍子もないことをいきなり言い始めるから、珍しく大きな声をあげてしまったのだった…
「…ってことがあってさ…」
「いや、ほんとねーわ」
「ねー、ないよねー!?」
「アホだな白石」
「せやって!一年も一緒に住んどるんやで!?ご挨拶せなあかんやろ!」
「バカ者!」ゴチン
「いたっ!」
「お前は何度殴られたらわかるんだ!!いい加減わかれ!!このバカ者!!」ゴチン
「何度も殴られたのか」
「かなりボコボコやったで、ずっと殴るどころじゃすまないって言うてたからな」
「バカだな白石!」
「めちゃくちゃ笑えるC~!」
「ほんま、誰のおかげやと思うてるんや」
「いや!ほんまに財前様には足を向けて寝られへんわ・・・」
「ゴチっす」
「今回もかい!」
「えー残念だな~。さおりちゃん、白石に飽きたら俺のとこおいで♥」
「千石くん、あのな、あんまり近づかんでもらえる?この子、俺以外の男に免疫ないしな、っちゅーかそもそも俺のやしな、一生離す気あらへんしな」
「キモイ!!お前こないだまで『好きとちゃうよ~友達やもん~』とか言ってたくせに!!!好きってなったら自分のもの扱いするのめっちゃキモイからやめろ!!!!」ゴチン
「いたっ!!もう堪忍してぇな~!」
「さおちゃん、ホントキモイよコイツ、考え直しな!!」
「う、うん…。なんかただのルームシェアだった時のがさっぱりしてるけどなんか優しいって感じで素敵だったんだよね…。なんだろう…もっとスマートな感じの人だと思ってた…」
「え!?」
「いや、これはウザいわ!キモイし!別れちまえ!」
「こいつは昔から自分の好きなやつにはウザいくらい愛情表現見せる奴やで」
「昔からか~もう生まれ持ったものなのかな…」
「ため息つかんで!」
なぜか、舞台が終わるとまた拉致され、テニス部の飲み会に参加させられてしまった私だち…
なぜだろうね…なぜ毎回拉致られるんだろうね…(そしてなぜ誰にも言ってないのに私たちが観てる舞台がわかってしまうんだろうね…)
(イケメンにまた囲まれて変な汗が止まらないよ…)
(しかし、今回は白石くんがかなり私を守っているのがわかる…)
(ちょっとイケメンとお話ししてみたいからほおっておいてほしいな…)
うちの親に挨拶に行きたいと言った白石くんを必死に止め、今回はとりあえず諦めてもらった
ほんと、突拍子もないよ…白石くんは…
「両親に挨拶か、白石らしいよ」
(あ、やっぱりそういう人なんだ)
「せやって、今まではルームシェアやったけど、付き合うとなると話は別やん?同棲やん?せやからご挨拶にいかなって思うててん」
「え!?ほな俺もいかなあかんやんか!」
「落ち着け、白石から変な影響を受けるな」
「大丈夫だよ、とりあえずうちの親も自由人だし、そんなかしこまらなくても・・・」
「けどなぁ…もう一緒にくらして1年以上経ったし…」
「親に挨拶より、まずプロポーズじゃね?」
赤い髪のイケメン(ブン太くんだっけ?)がそういって、一瞬その場がしーーーんと静まり返った
え、
なに?
プロポーズとか・・・
「せやねん…まずはそこやねんなぁ」
「今しちゃえば?」
「しかたねーな、俺様がとびっきりスペシャルなステージを用意・・・」
「いやいやいや!!それはええねん!!ちゃんと考えとるから!!大丈夫やから!!」
(ふーん…)
(考えてるんだ…)
「当たり前だろ、あんだけ泣かしといて、今更結婚しませんって言う方がビックリだわ」
「ほんまやな、さすがに次白石から別れたら俺も怒るわ」
「それは絶対大丈夫やで!!ホンマ、信じて!!」
「くらりんってば必死やーん」
「大体白石さおちゃんのこと泣かし過ぎなんだって!!口うるさいのとか直したのかお前は!!」
「俺全然口うるさくないで!!」
「それが前以上になんでもやってくれるようになったさ…」
「当たり前やん、前はさおりが1人で生きていけるようにせなって口うるさくしとったけど、俺とずっと一緒におるなら話は別やん。俺やればええ話しやもん」
「なんでもやるのか」
「ほんと、なんでもやる」
「便利だな」
「超便利」
「なら口うるさくて泣かしたことは許すわ」
「うん、許してあげて」
「フッたことは許さんわ」
「そこも許して!」
「しばらくヤケ酒しとったからな、長いで」
「将来、お兄さんになるんやで☆」
「キモイわ!!絶対認めない!!!」
「あえて煽る白石」
「www」
「www」
なんだか賑やかなまま、その日の飲み会は終了
白石くんのせいでイケメンたちとお話しできず…残念!
(次こそは…!)(もう白石くんに内緒で来よう東京)