クロスオーバー23

学園とは別の裏側の話をしよう。

 

「これで全部か?」

全身を赤く染めた 長谷部が言った。

「多分もう動いてるのはいないよ。特殊能力あるやつらは向こうがやっつけたし」

そう、加州が答えた。、

「あーあ、早く風呂入りてぇな」

ベトベトできもちわりーわ、と呟くのは和泉守兼定。
長谷部と同じく敵の返り血を浴びて全身赤く染まった彼は非常に不機嫌そうにしている。

「はやくかえってあるじにほうこくしましょー!!」

まだ元気が有り余っているのか、今剣がぴょんぴょんと跳ねて言えば

「がはははは!腹が減ったな!今夜の夕餉はなんだろうか!」

こちらも元気が有り余っている岩融が笑った。
そしてそんなみんなを見て 笑顔で本日の隊長の彼は言うのだ。

「では、みなさん!帰還して主様へ幸運を届けましょうっ!!」

白い髪と肌が少しだけ赤く染まった、物吉貞宗だった。
(本日の隊長はさおりが決めました)

 

 

「主様ーっ!ただいま帰りましたよー!幸運運んできましたー!!」

「おかえり!!おおっと、ずいぶんみんな真っ赤で男前だね!主に会う前にお風呂直行して!」
「もう湯殿の準備はできてるからゆっくり入っておいで、主にこんな血だらけな姿見せられないだろう?」

そう慌てて出迎えてくれるのは燭台切と歌仙。
戦いに疲れた彼らはすぐに湯殿へ向かった。

特殊な刀を扱える彼らは
その特殊な力を引き出せる双子の家に代々住んでいた。

双子は主と呼ばれ、こちらも代々力を継承してきたが
その力を狙う時空犯罪者たちに彼女たちが狙われることもしばしばあり
彼らは世界と彼女たちを守るよう幼いころから教えられ、戦ってきた。
それは、彼らにとっては誇らしく嬉しいことでもあった。

普段彼らは普通に学校へ通うし、家のこともする。
家の家事や畑や馬、また双子のボディガードや遊び相手も含めて彼らはなんでもこなした。
それが彼らの「仕事」であり「生きがい」でもあるからだ。

双子は彼らが戦うことを好ましくは思っていなかったが
彼らとの生活はとても好きだった。

「あれ、長谷部帰ってたの?おかえり」

のんびり居間でアイス食べながらテレビ見てる主のひとりはまなみ

「あ、物吉くん!大丈夫だった?けがはない?」

心配そうに近づくもうひとりの主のさおり。

長谷部「主、先ほど戻りました。先に湯浴みをしていたものでご挨拶が遅くなりすいませんでした」
ま「そーいう堅苦しいのいいって。お土産は?」
長谷部「・・・すいません、店も何もなく・・・今買ってまいります!!」
ま「嘘だわいらんわw」
加州「あー、まなみぃー!会いたかったよー♡♡♡」
ガバッ
ま「ぎょえ!」
長谷部「こら加州!!主に抱き着くとはなんということだ!!!そこになおれ!!!」

ギャーギャーと騒がしい3人を
うるせーなーとテレビ見ながらつぶやく師子王

物吉「主様、はい、幸運見つけたよ!」
さ「え?」
物吉「四葉のクローバー!主様へプレゼント!」
さ「わぁぁ、よく見つけたね!すごいね!」
物吉「へへ、たまたま見つけたんですよー!」
今剣「あるじあるじ!ぼくきょうとってもがんばったのでほめてください!!」
さ「うん、今剣ちゃん、けがしなかったね!がんばったね!いいこいいこ」
今剣「えへへへへ」
物吉「いいなぁ!ボクにもお願いします!」
さ「え!!物吉くんも・・・!?(ドキドキ)いいこいいこ」
物吉「へへっ」
岩融「がはははは!主!俺もだ!」
さ「え・・・  ・・・・(なでなで)」
岩融「がはははは!!」

物吉「あ、そうだ!主様、今日の戦慄です!」
さ「ありがとう・・・みんなすごいがんばったね、ほぼ無傷だし」
岩融「だが頭上を飛び回るやつらがいて取り逃がしたな」
物吉「刀じゃ切れないやつもいました!」
さ「えー、こわいね・・・」
兼定「いやまぁヒーローたちがやっつけてくれたし問題ねぇけどさ」
ま「あぁヒーローたちね」
長谷部「刀で斬れぬ敵がいるとは情けないことです」
さ「気にしなくていいよ、そのためにヒーローがいるんだし」

この世界を守っているのは 刀を操る彼らだけではない。
他にも様々な力を持つ犯罪者や生物から世界を救うために特殊能力を持つものはヒーローとして活躍していた。
彼らとは協力せねばならぬのに、特殊な力を持つ者同士、 なんとなく互いをライバル視していた。
それはまた別のお話で。。。

バタンッ!!!

「さーーー!!みんなお疲れ!!今日はから揚げだよっ!!!!」
「おおおおおお!!!」

襖が勢いよく開いて、燭台切が食事を運んできた。

「短刀くんたちが運ぶの手伝ってくれてるよー!」
「はーい、ご飯持ってきましたよー!」
「食器も運ぶよー」

「あ!私御手杵呼んでくるわ!!!」
「きみ御手杵好きだね・・・」
「あぁ!そうさ!」
「ついでに脇差のみんなも呼んできてー!」
「任せろ!!!」

ダーーー!

まなみが走り去り、残された者たちでご飯をよそったり並べたり。
人数が多いのでなんせ大変だ。

「主、一緒にご飯食べましょう!」
「あー!ずるい!僕も食べたい!」
「ぼくも食べたいよぉ・・・」
「俺も一緒に!」
「後藤は昨日食べたでしょ!今日は乱の番!」
「順番から言って俺のが先たい!」

そしてさおりの隣の席争奪戦は大体毎晩繰り広げられる食事前のお決まり風景。

「んじゃ、今日もささっとあみだで決めるぜ~」

と慣れた手つきであみだくじを作成するのは短刀の中でも大きいほうの薬研藤四郎。
いつもこれですぐに解決する頼もしいアニキである。まだ子供だけど。

「わーん!悔しい!主の隣のがしたー!じゃあお風呂は一緒に入ろうね!!」
「僕も入りたい!」
「僕もです!!」

(お風呂・・・)
(いつまで一緒に入ってくれるんだろうか)
(たまらん)

こうしていつも可愛い短刀に囲まれヘラヘラとするさおりと
イケメンの男子たちを見つめニヤニヤするまなみ・・・
そして今日も1日が過ぎてゆくのであった・・・
チーン・・・

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