結局、あれから、
(告白でけてへん・・・)
常に2人きりで告白する機会なんてたくさんあるのに
(相変わらず休みの日は2人で遊びに行くし)(俺の車の助手席はこいつが過ごしやすいように改良されとるで!)
(・・・どっからどう見てもカップルやと思うけど・・・)
「はぁ・・・」
思わずため息が漏れる
「うぉ、どうしたんだよ、急にため息ついて」
いつの間にか後ろにいた宍戸に声をかけられた
「おお・・・今帰りなん?」
「おう、今日部活だったからな」
「休みの日までご苦労さんやなぁ」
「お前は?何してんの?」
「これや」
ガサッと、食料品でいっぱいの袋を見て宍戸が「ああ」と一言漏らした。
「あいつは?」
「飯作っとるで」
「へぇ(ニヤリ)」
「・・・今よからぬことを考えたやろ・・・」
「大丈夫だって、お前の分のビールも持ってくから」
「あーやっぱり来る気や!」
「だってよー、最近忙しくて俺なかなか行けなかったし」
「あーせやんな、宍戸おれへんかったな」
「この時期は忙しんだよなー卒園式に新入生の準備で」
「もうそんな季節か」
「おー、4月になったらみんなで花見しようぜ」
「ええなそれ!」
「じゃ、着替えたらあいつら誘っていくわ」
「おー待っとるわ」
(どうせ2人きりになってもなかなか告白でけへんし、)
俺は宍戸と分かれてすぐ目の前に見えるマンションに急いだ
――――――――――――
ドアを開けると、ご飯のええ匂い
俺はバタバタとキッチンへ向かう
「ただいま!頼まれてたもん買うて・・・」
「そっか・・・なんるほどね・・・」
(あ、電話中や)
彼女が電話しているのがわかった俺は、静かに買ってきたものを冷蔵庫にしまった
(誰と話しとるんやろ・・・)
(さおりかな・・・)
(・・・まだ落ち込んでるんやろな・・・)
(ほんまにかわいそうやわ・・・)
(きっと絶望よな)
(俺も一緒にいろんなとこ行ったら楽しくて勘違いしてまうもん)
(というか、すでに惚れてもうたし・・・)
(なのに今更フルとか・・・)
(白石・・・ほんまにあほやわあいつ・・・)
そう思っていると、「うん、じゃーねー」と言ってまなみは電話を切った
ピッ
「・・・さおり?」
「うん、おかえり」
「ただいま」
「ちゃんと買ってきた?」
「おん、買って来たけど・・・さおりなんやて?」
「え?」
「まだ落ち込んどる?」
「いや」
「元気なん?」
「うん」
「あ、そうなんか、よかったやん元気出て」
「付き合うって」
「・・・・・・は?」
「白石に告られたから付き合う事にしたって」
「え!?」
「ほんと白石勝手すぎるよな、今度あったら一発殴るくらいじゃ足りないわ」
「ええええええええええええええええ!!?」
「うるさいなぁ」
大きい声ださないでよ!
と怒る彼女と完全にフリーズした俺
(な、なんやてぇ!!??)
(あ、あいつ・・・!)
(結局告ったって・・・!?)
(え!?え!?)
(ほな、おれがこないだ告白途中でやめたんは何のためやったんや!!!)
(白石が普通に断らんでそこで付き合うてれば、俺らも上手く言ってたかもしれへんやん!!!)
(えー!あいつなにー!?)
(ホンマ最悪や・・・!)
(まなみやないけど今度絶対殴る!!!!)
・・・けど、
さおりの問題が解決したなら、もう何も問題あらへんよな?
俺がこれから告っても、問題あらへんよな・・・!?
「ま、まなみ!!!」
「え、なに大きい声だして」
「お、おれな・・・、おれ!!」
「どうしたどうした落ち着けwww」
「いや、急かもしれんけど・・・!!」
「どうしたwww」
「お、おれにとっては急やなくて!!!」
「落ち着けって」
「おれ、おれ、お前のこと・・・!」
ピンポーーーーーーーン
ドンドンドンドンドン
「金返せこらー!」
「出てこいこらー!」
「あ、あいつら~~~~~~~~~!!」
(・・・・・・・・・・・・ま、)
(・・・・・またか・・・)
いつもどおり、絶妙なタイミングで邪魔が入る
まなみは怒って玄関へ行って、「ご近所に誤解されるだろ!」と3バカを殴っていた
(はぁ・・・)
(またあかんかったか・・・)
「よー!謙也!」
「まなみー今日のご飯なにー?」
「あんたたちの分はない!」
(で、でも・・・)
(ほんまにこれでええんやろか・・・)
「ほろよいめっちゃ買ってきた」
「・・・仕方ないな・・・から揚げですが」
「おーやったー」
(いつもタイミングがってイイワケしとるだけとちゃうか)
(言うチャンスなんて、絶対山ほどあったで)
「コロッケも買って来たぜ」
「やったー食べるー」
「もう遅いからおっちゃん安くしてくれたC~」
「ラッキーだったよな」
(この関係を変えられるのは)
(俺次第、っちゅー話や!)
「おーい、謙也どうした?」
「何固まってんだ?」
ガバッ
俺は、キッチンに向かおうとしたまなみの腕を掴んで、こちらを向かせた
ビックリした彼女の腕を掴んで、逃げないようにして
(今までの気持ちを)
(タイミングとか関係あらへん!!!)
今言わな、いつ言うねん!!!
「好きです!!!!俺と付き合ってください!!!!!」
しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
俺がとうとう告白して
(・・・あ、あれ?)
3バカもおるから絶対からかわれるやろなって思ってたのに
(え、え、)
なぜかその場は静まり返った
(え~~~~~~~~~)
(なんやこの沈黙!!!!)
「え、ちょお!!!なんか反応してや!!!」
俺がそう言うと、
「え?」
「いや、」
「っちゅーか、」
「「「お前ら付き合ってんじゃなかったの???」」」
と同時に3バカが口を開いた
(え・・・)
「え、ちょお待って、え」
「付き合って・・・たんだろ?」
「え、いや、俺まだ告ってへんかったで・・・」
「え?そうなの?」
「けど、態度でバレバレだよなー」
(え!?)
(態度でバレバレやったん!?)
(そんなにわかりやすかったん!?)
・・・3バカにばれているということは・・・
もちろんまなみも・・・?
「いや、待って、」
「ってか、まなみも付き合ってるって言ってたよな」
「え?」
「普通に今日はどこにいった~って惚気られるから正直ムカついた」
「むかつくとか言うな!」
「え~~~~~~~~~~~!!!」
(ま、まなみ、付き合ってると思うてたん!?)
(いや、嬉しい)
(う、嬉しいけど、そういうことやなくて!!)
(なんかちゃう!!!)
目の前の彼女をチラリと見る
目があった彼女は
「・・・今更」
とボソッと呟いた
(わ~~~~~~~~!!!)
「え、え、え、ほな俺だけ1人でモヤモヤしてたんか!!!」
「だって謙也わかりやすいんだもん!絶対アタシのこと好きだと思ってたし!!」
「え、そんなにわかりやすかった!?」
「いや、お前彼女扱いしてたじゃん」
「完璧彼女だC~」
「だよなー、あれで友達って言ったら引くぞ」
「・・・だよね~」
「え~~~~~~~~~~~」
(なんやそれ・・・)
(俺、一人相撲やんか・・・)
がっくし
肩を落とした俺に、3バカが「飲もうぜ!」と言ってビールをとりだし
まなみはキッチンに向かった
(はぁ・・・なんや)
(やったらもっと早く言っとればよかった・・・)
(ほんだらもっとイチャイチャできたし・・・)
っちゅーか
(ホンマにまなみは気にしてへんのやろか)
チラッとキッチンに立つ彼女を見る
その耳は薄ら赤みがかっていた
(ん?)
(もしかして)
(照れとる?)
結局その日は3バカがおってゆっくり話もでけへんかったけど、
出てきた料理が豪華になっていたから
彼女の機嫌はいいものだと理解して、その雰囲気を楽しんだ