私が高校生になった時、世間的には”受験生”にあたる”高校三年生”のお兄ちゃん達に聞いてみた。
「進路どうするの?」
返ってきた答えは
「え?進学も就職もしないよ」
その言葉通り、卒業後六つ子揃ってニートになったお兄ちゃん達を、私は恥ずかしいと思っていた。
――――――――――
「ニート、誰でもいいから迎えに来て」
まぁちゃんと学校の帰り道、2人で可愛いお店に立ち寄って、「あ、これ学校で使いたいね」「これがあるといいね」なんて話して両手にいっぱいの買い物をしてしまった時、
立ち寄ったカフェでまぁちゃんが家に電話をし始めた。
「え?いいから、来てよ、どうせ暇でしょ、今誰いるの?」
「・・・(確かに荷物重いけど、まぁちゃんはすぐお兄ちゃん達に荷物持たせるな・・・)」
「全員いるじゃん!!じゃあ誰か来れるでしょ!!駅前のカフェにいるから!早く来てよ!」
そう言って電話を切った
「・・・おそ松お兄ちゃんだったでしょ」
「うん、よくわかったね」
「わかるよ、あの人めんどくさがって絶対来ないもん」
「これが十四兄とかカラ松ならすぐ来るのに」
「一松お兄ちゃんも嫌がるよね」
「嫌がりながら来るけどね、長男はダメだわ、あれ本当のクズ」
「うけるな、クズって」
「クズじゃん」
「クズだけど」
高校生の頃から私たち2人は家計の事情を把握してアルバイトをしていた
ちなみに、短大に進学したのも奨学金をもらって進学している
きちんと働いて返すつもりで進学したんだ
(それなのにあの六つ子ときたら・・・)
6人もいたら誰か一人くらいは進学するなり、働くなりしていてもいいと思う
なのに高校を卒業して2年も経つというのにいまだにニートなのだ!!(しかも20歳を過ぎてから酒もたばこもギャンブルも増々ひどくなった・・・)
正直、我が家はそこまで裕福ではない
だからこそ頑張らないといけないのに、なぜか6人共ニートでバカだと思う
おそ松お兄ちゃんの「いつまでも親のスネかじってたい!」発言にはホントに引いた
心底ダメ人間だと思った
(まぁちゃんはいつも6人のことをクズだと言う)
(そのとおりだわ)
「さおちゃんさー、サークルとか決めた?」
「あーどうしようなー・・・気になってるのは何個かあるよ」
「マジで」
「きみは?」
「水泳とか最高だなって思った筋肉」
「筋肉w」
「筋肉マジすごかったよ、水泳部は本当にすごかった、あれはサークルじゃなく部活だから忙しいけどマジ最高すぎて鼻血出るかと思った」
「ちょっとうけるw」
「あとバスケね、バスケ部のゆるぎない腹チラ」
「それはわかる」
「腹チラこそ正義」
「うけるなきみwwwそればっかりだなwww」
「それしか見てない」
「うけるwww」
「いや、きみのほうがイケメン好きの変態だからきみに言われたくないよ!」
「変態じゃないよ」
「変態だよ」
「他に気になってるサークルは?」
「あとね、テニス部の腹チラも最高だったよ」
「また腹チラ!」
「そこしか見てない!」
「うける、でもテニス部にはブンちゃんいるから私も気になってる」
「ブン太な」
「うん」
「まぁ私も顔見知りは多いわテニス部には」
「でもきみの選んだの全部部活だからさー、絶対忙しいよね」
「忙しいんだわ、でも部活のが真面目に頑張ってるからちゃんと鍛えてるし好感度高いよ」
「うん、だね」
私たちの通う大学はとても大きな大学で、学部の数も豊富だ
医学部や法学部などの偏差値の高い学部から、メディア学科などの割と偏差値もそこそこの学部まで各種摂り揃っている
私たちはこの大学の「短期大学部」のほうに通ってるけど、大学のほうと授業だったりサークルだったり部活だったりは共通なのでほとんど大学と代わりない
私も何人も同じ大学に通う友達がいるから寂しくないんだ(毎日楽しいよ!)
「でもバイトもしないといけないし、サークル活動はほどほどにだね」
「だね」
「ふっ・・・待たせたな、愛すべきマイシスターたち・・・」
私とまぁちゃんの話の最中にやってきたのは、イタイことで有名な次男だった
「おそい」そうまぁちゃんが言うと「す、すまん!」と謝ったカラ松お兄ちゃんはさっそく私たちの荷物を持とうとしていた(そんなに遅くなかったよ、早かったよ)
「ごめんねーお兄ちゃん」
「いいのさ、可愛いマイガールたちに何かあっても心配だしな」
「カラ松ー疲れたー抱っこー」
「・・・ああ!なぜ俺の腕は2本なんだ・・・!荷物を持ったら俺の愛しいシスターをこの腕に抱きしめることも出来ないじゃないか・・・!!」
「いや、普通は2本だし、抱っこしなくていいんだよ荷物持ってくれれば」
「今日のご飯何?」
「ん?今日はカレーだ」
「カレーか」
「から揚げ食べたいね」
「おお、マミーに言っておくか、明日はから揚げにしてもらおう」
「うん、明日私手伝えるから一緒にから揚げつくろーっと」
「でた肉食」
「ふっ・・・肉食男子・・・嫌いじゃないだろ?」
「さおちゃん、お弁当にも入れれるように最初に取り分けようぜ!じゃないと全部食べられる」
「だね~」
「え」
重い荷物も軽々と持っちゃって
夕日がまぶしく反射しているサングラスがキラキラと輝いているカラ松お兄ちゃん
こういう時、いつもすぐに来てくれるカラ松お兄ちゃんはすごく優しい(ホント、めちゃくちゃ優しい)
「おんぶーーー!!」
「わっ!まなみ!急に乗るな!!」
「ははは」
まぁちゃんはそんなカラ松お兄ちゃんが大好きでいつもじゃれている(ように思える)
(めちゃくちゃ甘えてるんだねきっと)
まぁちゃんを背中におぶって(まぁちゃんが首に抱き着いてるだけ)
両手には荷物を抱えて
「く、首・・・!しまってる・・・!」
というお兄ちゃんとまぁちゃんが面白くて、
私たちは笑いながら家に帰るんだ