今日は俺の誕生日やった
今日こそは
誕生日の今日こそは
彼女へ想いを告げようと思っていた
(バレンタインにチョコくれたけど・・・)
(みんなに配っとったのと同じのやったし・・・)
(彼女の誕生日は、)
(氷帝のやつらと誕生日パーティー・・・)
(ホワイトデーは、会社の男性陣のおごりだと飲みに行ってしまい)
結局は、
まだ告白できていないのだ
(別にいつでもええねんけどな!)
(特別な日に告らんでもええねん)
(けど!)
(どうしてもまなみとおるとふざけてしもうて!)
(アホなことばっかして終わってまう・・・)
(ホンマあかんな俺・・・)
雰囲気を気にする俺とちゃうけど、
イベントに後押ししてもらえるなら、それはそれでええと思うてた・・・
(誕生日こそは!)
(誕生日やからこそ!)
(絶対に!)
(2人きりで)
(気持ちを伝える!)
そう思っていた
「けんや、今日7時に六本木ね」
「おん!わかった!」
「遅刻するなよ」
「おん!早めに行くわ!」
「じゃ」
誕生日やって話したら、じゃあお祝いしてあげようと彼女は言ってくれて、
2人きりで飲みに行きたいと言った俺のリクエスト通り、個室の店を予約してくれた(家やと邪魔が入る可能性が高いからな!)
めっちゃ楽しみにして、ソワソワしながら仕事もこなし、
夜7時
彼女と待ち合わせの六本木に到着した
(えーっと、)
(まなみどこや?)
(まなみまなみ・・・)
彼女を探している時、目に留まったのは、
(まさか・・・)
女の子を囲んで必死に男たちが話しかけている姿・・・
(あっこにいるわけとちゃうよな・・・?)
その輪の中心に行くと、
(!?)
やはりそこにはまなみがいた・・・
(なしてこないにモテんねん!!)
すかさずまなみに近づき「おまたせ」と言うと、彼女はすくっと立ち上がりまたまた俺の腕に自分の腕を絡ませた
(・・・たまらん)
(あの男どもの悔しそうな目・・・)
「遅いわ」
「すまん」
「また声かけられまくったわ」
「ビビったわ!何アレ!?なんであんなことになってんねん!」
「キャッチだよあれ」
「え?」
「ホスト」
「あ、そうなん?」
「ホストクラブ行きそうに見えたんかwww」
「あ、あーどうやろ?おとなしそうに見える子ほどハマりやすいって言うからな・・・」
「おとなしそうに見えるのか」
「まぁ、黙っとればな」
「よく言われる」
「やろ」
彼女はパッと手を離し、「本日のお店はこちらです」と案内するように先に歩いた
離した腕が寒い
(もうちょっと腕組んでてもええんやけど)
駅からすぐ近くのその店に入り、個室に案内される
うん、なかなかええ雰囲気の店やな!これならいけそうや!
こうして、2人で乾杯をするのだった
「「かんぱーい」」
「謙也誕生日おめでとー」
「おおきに!」
「何歳になったのー?」
「同い年やろ!」
「やっと追い付いたか、若いなぁ」
「一カ月しか違わんやんか」
「この歳になると、その一カ月が大切になってくるんだよ・・・」
「そうなんか」
「よし、今日は飲み明かすぞー!」
「ほどほどにな」
「謙也連れて帰ってくれんでしょ」
「え?まぁそりゃな」
「帰る家も一緒だから助かるわ!よし飲もー!」
うん、まぁええけどさ!
ええけど、またグダグダになるまで飲んだらちゃんと話でけへんやんか!
どないしよう・・・
「ちょおさ、」
「なに?」
「スローペースでいかへん?」
「え、どうした?いつもハイペースなくせに」
「いや、ちょっとな、」
「なにさ」
「いや、あれやん、まだ一件目やからさ」
「うん」
「ほら、二件目こないだお前が行きたがってた牛筋美味い店連れてったるわ!」
「え、マジ」
「せやから、さ、ちょおここはゆっくりいこ、眠くなったらかなわんから」
「そうだな!じゃあゆっくりペースでいくわ」
(ほっ)
(よかった)
とりあえず、彼女が酔うのを防いだ俺は、ホッとした
(言うで)
「うーん、これ美味しー!」
(今日こそ言うで)
「はー酒も美味いし!」
(言うで、好きて)
「あー甘い物も食べたいなぁ」
(好きって言ったる!)
「まなみ!」
「ん?なに?」
「あ、あんさ、」
ガラッ
「失礼しまーす!」
いよいよ
と言う時に入って来たのは、
「けんやさんお誕生日おめでとうございます!」
ケーキを持った店員さん
「こちらサービスのアイスとケーキになります!」
「わー!おいしそー!」
「おめでとうございますー!」
(そ、そうか、)(誕生日のサービスな、)
たったのそれだけのことでも嬉しくなる
ちゃんと、用意してくれてたんやな
(今は邪魔されたけど、)(今度こそ!)
「・・・おおきに、めっちゃ嬉しいわ」
「だろ?食べていい?」
「ええよ」
「わーいアイスー」
「ちゃんと用意しといてくれたんやな・・・」
「そうだよ、予約の時にな!」
「いや、ほんまに嬉しいわ」
「うん、そうでしょ」
「おおきにな」
「うん、じゃあそんなきみにはこれをあげよう」
まなみはガサゴソ自分の鞄をあさって・・・
「はい、これ」
俺の手に小さな包みを乗せた
「え?これ・・・」
「プレゼント」
(え、プレゼントまで用意してあんの?)
(ここに2人で来れただけでも充分やのに・・・)
「あけてみてよ」
「お、おん・・・」
ガサガサ
丁寧に包まれている包装紙をとり、中を開けると・・・
「名刺入れや・・・」
「うん、謙也の使ってるやつ傷ついてたから」
「落としまくってるからな」
「今度は傷つかないように皮だよ!」
「え、めっちゃ嬉しい、どないしよう」
「ふふん、どうだ」
「・・・おおきに」
(あかん)(ほんまに嬉しすぎる)
きっともうこれは、
彼女に告白するには今が最高のタイミングだと思った
「・・・まなみ、俺」
「うん?」
「俺な、お前のこと」
「え?」
「す、」
Pulululululu Pulululululu
(!)
(今ええとこやったやんか!)
電話が鳴って、俺の告白は遮られてしもうた・・・
「あれ?電話」
「・・・はよ出て・・・」
「あ、さおちゃんだ」
「はぁ・・・(あーあ・・・なしていつもこうタイミング悪いねん・・・)」
「はい?どうした?」
「・・・(あ、もしかして俺におめでとう言うために電話してきたんかな)」
「うん、うん」
「・・・(そういや、白石今こっち来とるって言うてたな、寂しいから電話してきたんか?)」
「え!?うそでしょ!?」
「!? ビクッ (え?なに!?)」
「マジで!?あいつぶっ殺すわ!!!」
「・・・(え、え!?誰の話!?まさか、白石とちゃうよな!?)」
「いや、それ殺さないと許せないわ」
「・・・(え、なんの話やねん)」
「うん、うん、・・・とりあえずわかったわ」
「・・・(なんやろ?気になる)」
「うん、はい、じゃまたね」
ピッ
「ねえちゃんやろ?」
「うん」
「なんやて?」
「白石にふられたって」
「え!?」
「さおちゃんが告ったら白石ふったんだって!!」
「うそやろ!?」
「うそじゃないよ!!ちょっと白石に電話してよ!!あいつぶっ殺すわ!!」
「いやいや、ちょお落ち着け!」
「落ち着けないよ!!さおちゃんを泣かすとはいい度胸だわ!!」
「えー・・・マジかぁー・・・」
「ちょっと、白石に電話してよ!!」
「あかんて、多分まだ仕事中やし(白石何やっとんねん!)」
「ほんとムカつくんだけど!!!何考えてんのあいつ!!」
もう殴る以外に怒りはおさまらん!!
そう怒り狂う彼女を止めることに必死で・・・
結局その日も、俺の気持ちは伝えることはでけへんかった・・・
(あー・・・)(次は・・・)(次のチャンスは・・・)
(いや、とりあえず、)(ねぇちゃんのことどうにかせな無理やろな・・・)
それにしても、白石なにしてんねん・・・
アホすぎやろあいつ・・・
彼女のヤケ酒に付き合って、その日、
結局2人で特に甘い雰囲気になることもなく朝まで飲んでいたのだった・・・
(白石のアホー)