あれから半年
すっかり街は白く姿を変えた
白石くんは初めてこんなに多くの雪の中で過ごすのは慣れないようで、けど雪をものすごく楽しんでいるようだ
結局、白石くんもあれから車を買って、休みの日にはいろいろと2人で出かけることが多くなった
1人の時間減っちゃったけど、
けど、
白石くんと一緒にいたいって思ってる自分がいる・・・
(この私が・・・)(ゲームより、)(イケメンより、)
(白石くんを選ぶなんて・・・)
白石くんのことが好きだって思ったら、少しでも彼と一緒にいたくて、
だけど、
絶対にこの気持ちはバレてはいけないと思っていた
(だって、ばれたら)
(一緒にいれないもんね・・・)
(白石くんは、私のこと嫌いではないと思うけど、)
(それでも友達って言ってるから・・・)
(関係を壊すのが怖い・・・)
「雪めっちゃ積もったな!」
「うん、そうだね」
「今度の休みスノボーしに行かへん?」
「うん、私スキーだけどいい?」
「ああ、ええなスキーも」
「もう12月だし、山はけっこう雪積もってると思うし、新雪で滑りやすいと思うよ」
「楽しみやわー、あ、俺スキーウェア持ってへんかった、さおりちゃん持ってる?」
「うん、スキーウェアあるよ、スキーの板はないけど」
「レンタルかー・・・けっこうレンタル代も高いよなぁ」
「前にレンタルしたら5000円くらいしたよ、リフト券と合せたら7000円以上になったかな・・・」
「けっこうやな!ほな毎週行くなら買った方がええか」
「え、毎週いくの?」
「おん、せっかくやし楽しみたいやん!雪!」
「・・・」
「年末年始は実家帰るからなぁ・・・ちょっと早く帰ってくればいけるか・・・」
「・・・」
「いやぁ、雪冷たいけど好きやわ俺!」
(ダメだ、白石くんがわくわくしている)
(こうなると私には止められない・・・)
(寒いの苦手なんだけどな・・・毎週は疲れちゃうな・・・)
そう思っていたんだけど、
「さおりちゃんは、毎週付き合わんでもええで」
「え?」
白石くんからそう言われてしまった
「さおりちゃん、いろいろ付き合ってくれとるし・・・寒いの苦手っていっとたやろ?」
「う、うん・・・」
「俺ナイターとか1人で行くし大丈夫やで」
「でも、私もスキー好きだから」
「ええよ無理せんでも」
たまには付き合ってな、
そう笑って言われてしまった
(・・・優しいなぁ・・・)
私のこと、かなり理解してくれるようになって、
それからの彼は本当に優しい
(でも、私)(白石くんの傍にいたいから、)
(出来る限り頑張るよ)
「大丈夫だよ、一緒に行きたいから行くとき誘ってね?」
「ええの?」
「うん、もちろんだよ」
「おん!・・・ほな、今日はさおりちゃんの好きなとこ行こうや」
「え?」
「いつも俺の好きなとこばっかりやし・・・今日はさおりちゃん優先でええで」
「じゃ、じゃあ!」
一段と冷え切った夜
私と白石くんは大通公園に来ていた
「キレイなぁ」
「・・・うん」
大通公園のホワイトイルミネーション
いつか、好きな人とずっと来たいって子供の頃から思ってたんだよね・・・
(って、かなり夢見がちだけど・・・)
(そんな私の夢が叶った・・・)
隣にいる彼は、”恋人”ではないけど、
それでも、好きな人とこのイルミネーションを見れただけで、ものすごく幸せ
はぁっと吐く息が白い
手袋をしているけど、それでも寒くなってきた
(冷え症だからな私・・・)
「さおりちゃん、寒ない?」
「・・・大丈夫だよ」
「大丈夫やないやろ、鼻真っ赤やで」
「え?ホント?」
「ちょお待ってて」
そして、走ってどこかに行ってしまった
(・・・どこ行ったんだろう)
(ぽつーん)
(しかし、カップル多いな)
クリスマスも近いし、イルミネーションを見にたくさんのカップルたちが公園には来ていた
(私たちも、)
(カップルに見えるのかな?)
(こうやって、たくさんのカップルに紛れてたら、きっとそう思われるよね・・・)
はぁ・・・
また白い息が出た
と
ころで、
ピタッ
!?
私のほっぺに熱いものが・・・!
「!?」
後ろを振り向くと、そこには白石くんの姿が
その手には、缶が握られていた
「すまん、熱かった?」
「大丈夫だけど・・・、ココア?」
「おん、暖かいの買ってきたら飲もう」
俺はコーヒーやで、
そう言ってココアを私に渡す白石くん
(やばい・・・)
(嬉しい・・・)
「ありがとう・・・」
「ええねん、ええねん」
「あったかい・・・」
「プルタブ開けれる?開けたろか?」
「ううん、大丈夫」
「おん・・・それにしてもカップル多いなぁ、あちこちカップルだらけやで」
「クリスマスも近いからね」
「あ、せやな、もうすぐクリスマスやんな?」
「うん」
「クリスマスのまえさんのご予定は?」
「・・・お仕事です」
「はは、俺もや」
「会社でクリスマス会はする予定だけどね、みんな家族がいるから23日にパーティーするんだ」
「そうなんや」
「クリスマスもクリスマスイブも空いてるなんて寂しい女だね」
「・・・そんなことないで」
「え?」
「・・・俺がいるやん」
「・・・」
「2人でパーティーしようや」
「・・・パーティー?」
「クリスマスなら惣菜も売ってるやろうし、買ってきてちょっとしたパーティーしよ」
「う、うん」
「ケーキ予約せんでも買えるよなきっと」
「うん、多分・・・」
「まぁデパ地下行けばなんか揃うやろ」
「うん・・・」
ほな、今からワインでも用意しとこか?楽しみやな!
そう言って、笑う彼から目が離せなかった
(これ以上好きになると、)
(おかしくなりそうだよ・・・)
彼の優しさが嬉しくて、
寒いはずなのに、体は暖かくなっていた