好きやって思うたら、あとは気持ちを伝えるだけ
俺は、いよいよ気持ちを伝えようと思っていた
(好きて気づいてから・・・)
(アイツを見てたけど、)
(やっぱりアイツはモテる)
なぜか、アイツはモテる
いや、なぜかっちゅーんは失礼やけど、ホンマに不思議なくらいモテる
(こないだあいつが歩いてたから後ろから声かけようとしたら、いきなり告られててビックリしたで・・・)
(なぜあんなにモテるんやろうか・・・)
それは、俺の焦りを加速させるには充分やった
一緒にいて楽しくて、
なんだかんだで彼女も俺にいつも付き合ってくれていた
(せやから、嫌われてはいないと思う・・・)
(むしろ、氷帝の3人組よりも全然いいって言うてくれてたし・・・)
(嫌われてないなら、押して押して押しまくるだけや・・・!)
とうとう、
今夜
告ろうと思う
(花・・・とか買って行った方がええかな・・・)
(いや、アイツ花より団子や・・・)
(ほな・・・チーズケーキでも買うていこう)
俺は、ケーキ屋によって、彼女の好きなチーズケーキを買う
それを手土産に家に帰る
(あー)
(めっちゃ緊張する・・・!)
正直不安もあった
一緒に暮らしてるのに、フラれたら気まずいなぁとか
けど、それはそれでなんとかなるような気がした
彼女なら、もしダメでも今までどおり笑って一緒に過ごしてくれると思っていた
(いや!)(ダメでも!)(絶対に振り向かせてみせるけどな!!!)
よし!
俺は玄関の扉を開けた
「ただい・・・」
そこには
乱雑に散らばった男物の靴が・・・!
(まさか・・・!)
バタン
俺が居間のドアを開けると
「あ、おかえりー」
「よ、遅かったな」
「おう、こっち来て早く飲もうぜ」
いつものメンバーの顔が・・・そこに・・・
「あ、謙也、今日遅かったね」
そう言って彼女がキッチンからひょこっと顔を出した
「なんで・・・?珍しいしいやん、まなみがドアあけるなんて・・・」
「ん?今日会社帰りに会ってさー、宍戸がチーズケーキ買ってくれた!」
「え!(かぶった!!)」
「あと、ガクトもジロもつまみとか酒とか持参するっていうから」
「そ、そうなんか・・・」
「あれ?謙也何持ってるの?」
「えっと、あー・・・これ・・・」
彼女に聞かれ、俺はおとなしくその箱を差し出した・・・
(逆に恥ずかしいわ!)
「俺も・・・買うてきてん・・・けど・・・」
「え、なに、チーズケーキ?」
「おん・・・」
「やった!ありがと!」
「無理して食べんくてもええからな・・・」
「え、こんなの主食だよ、ワンホール食べれるし」
「・・・さよか」
「全然食べれるよ、ありがとね!」
(うん、)(今日は笑顔が見れたから・・・)(それでよしってことにしよう・・・)
「謙也車買ったんだろー?」
「さすが医者はちがうなぁ~」
「医者やから買ったわけでもないけどな・・・」
「車来たら乗せてね~!」
「おん、おっきいの買ったからみんなでどっか行こうや」
「やった!じゃあ跡部の別荘行こうぜ!」
「お、いいな!テニスコートあるし!」
「とりあえず軽井沢だな~」
「軽井沢アタシも行きたい!」
「えーまなみもー?」
「まなみ一番後ろで荷物と一緒ならいいぜ」
「そうだそうだ、荷物と一緒なwww」
「じゃあ俺隣~」
「ジローどうせ寝るから助手席で・・・宍戸と俺が真ん中で、一番後ろに荷物とまなみなwww」
「え!?」
おそらく、ここはいつも通り、
「ちょっとそこ並べ!」と彼女が怒るとこなんやろうけど・・・
一同が俺を見ている
自分でも変な声が出て、びっくりした
「どうした謙也?」
「あ、いや・・・」
「なんだよ?」
「いやー・・・ほら、助手席で寝られると俺も眠くなるから助手席はまなみに乗ってもらいたいなぁーなんて・・・」
おれが、はははと笑いながらそういうと、
また微妙な顔でこっちを見られた
(なんか、)(めっちゃ恥ずかしい!!)
「・・・ま、確かにそうだな、ジローが寝てたら眠くなるしな」
「まなみならうるせーから謙也が眠くなることもないしな」
「まなみうるさいもんね~」
「うるさくねーわ!アンタたちのがうるさいわ!」
そう言ってまた騒ぎ出す一同・・・
よかった・・・助手席は死守できた・・・
(律儀に約束守るとか・・・)
(惚れすぎやろ俺・・・)
どうしても彼女以外に助手席は乗ってほしくなくて、
そんなことを考えてしまった
「謙也!ほら、飲めよ!」
「お、悪いな」
「まなみー飯できたー?」
「もうすぐ!もう今日だけだからね!」
「とか言って作ってくれるよね~」
「お前、なんだかんだで作るよな」
「じゃあ感謝してよ!」
「しただろ、チーズケーキやっただろ」
「謙也は何もしなくても買ってきてくれましたけどー」
「医者と一緒にすんなよ」
「一応社会人だろアンタたちも!」
「なぁ、今から誰か呼ぶか?」
「あ!丸井くんがいい!!」
「やめろー!これ以上人数増えたら狭くなるー!」
(ま、これはこれで)(楽しいからええかな・・・)
いつものこの賑やかさも心地よくて、
とりあえず、自分の気持ちにまた蓋をした