さおちゃんたちが帰ってしまった
(あの白石という男・・・)(あれはヤバい・・・)
さおちゃんに「白石ウザいしキモいしやばいね」って言ったけど、さおちゃんは「うるさいけどいい人だよ」と全く危機感を感じていないようだ・・・
ヤバいけど、まぁさおちゃんのことは大事に扱っているようなので(口うるさいけど)とりあえずほっとくことにした
関わるのももうめんどくせぇわwww
そんなことより・・・
こっちも困っていた
なんだか最近同居人がやたら一緒に出掛けたがるからめんどくせぇwww
ホント、めんどくせぇやつ多いなwww
「なぁ、俺車買おうかと思うてんねんけど」
「うん、いいんじゃない?」
「ほな次の休み、車見に付き合ってくれへん?」
「え、なぜ」
「ええやん、車買ったらいろんなとこ連れてったるから」
「えー」
「一緒に見に行きたいんやもん」
「えーどうしようかなー」
「ほな、帰りにランチおごるっちゅーのはどう?」
「のった」
「やった!ほな予定入れんでな」
「じゃあ、謙也くん、きみは洗い物係をやるんだ」
「わかったで!」
ご飯の後、洗い物を嫌な顔せずにやってくれるこの男・・・
はっきり言って
便利だ
(友達と住んでるより全然楽だ・・・)(友達だとやっぱり気使うけど、)(こいつには気を使わなくていいからホント楽・・・)
家事も率先してやってくれるし、
話してて楽しいし、
何より優しいし、
ホント・・・ラッキーだな私・・・
ついでに医者で金もあるので、ケチケチしてない
心に余裕もある
やっぱり、人間お金は大事だな・・・
そして、次の休み
一緒に車の見学に来た
「どんなの欲しいか考えてんでしょ?」
「ある程度な」
「いいなぁ新車」
「いらっしゃいませ」
お店の人が近づいて来て、謙也と話を始めた
アタシは新車を見てウロウロ
(すげぇ、今の車すげぇ)
(新車いいなぁ・・・)(こんなキレイな車に乗りたいよ・・・)
そんなことを考えながらフラフラしていると・・・
「奥様もお茶を用意しましたのでどうぞ」
と呼ばれてしまった
・・・・・・・・
・・・奥様・・・だと?
(まぁ・・・)(車を2人で買いに来ると・・・)(そうなるか・・・)
「お茶請けもお召し上がりください」
「(うひょーお菓子だ)・・・はい、どうも」
アタシは謙也の隣に座ってお菓子とお茶を飲み始めた
うん、なかなかうまい
「否定せんのな」
そう謙也が声をかけてきた
「めんどい」
「めんどいって・・・」
「大きい車は奥様のご希望でもあるんでしょうか?やはり大きい車のほうがご家族が増えた時にいいですからねぇ」
「え・・・あ、まぁ(大きい車買うのか)」
「そうですよね、やはりファミリーカーとして人気なのはこちらですね」
「はぁ・・・」
「ちょうど試乗車があるので、ぜひお二人で乗ってみてはいかがでしょうか!?」
「お、ええな、乗ってみよか」
「え」
推しの強い営業と謙也が張り切ったせいで、なぜか試乗車でドライブだ・・・
なぜ・・・
「シートベルトしたかー」
「したわい!」
「ほないくでー」
「ちょっと、大丈夫なの!?運転できんの!?」
「大阪いた時はおとんの車運転しとったから平気やで」
「ほ、ほんとかよ~」
「平気やって」
そういって謙也が車を発進させた・・・
うん・・・まぁ・・・
意外と安全運転だな・・・
「はぁ・・・よかった・・・めちゃくちゃ不安だったわ!」
「失礼やな!前の病院は車で出勤しとったわ!」
「お父さん車使わないの?」
「おとん家の病院やからな」
「あ、そうか」
「病院の車もあんねん、せやから別に車乗ってええ言われてたからな」
「ふーん、なんで車持ってこなかったの?」
「まぁそこは親のやし・・・こっち駐車場代高いし、病院近いから歩いていけるし・・・別にいらんと思うてたけど」
「うん」
「やっぱりあったほうがいろいろ行けるからええよな!」
「そうか」
「まなみは運転できんの?」
「ゴールドの私に何を聞くか」
「ゴールドて・・・ペーパードライバーやろ?」
「そうです」
「運転できんなら乗ってもええと思うてたけど・・・でけへんのかい」
「助手席専門で」
「え?」
「アンタの助手席専門になってあげるよ!」
アタシがそういうと、謙也が固まった
(あれ?)
「ちょっと!赤!」
「あ!」
「危ないな!」
「す、すまん!!」
「ぼーっとするな!!」
「いや・・・嬉しくて・・・」
「え?」
赤信号で車が止まっている
その間に
謙也はこちらを向いて
「助手席!!ずっとお前のために空けとくから!!」
真っ赤な顔でそう言った
(・・・)
(・・・なにそれ)
今の一言で気づいてしまった
謙也がアタシに優しい理由
(・・・薄々は感じていたことだけど)
(今ので確定・・・)
けど、
嫌じゃない
「・・・青になったよ」
「あ!」
真っ赤になったアタシの顔がバレないように、
窓の外を見ながらそっけなくそう言った