「「はぁ…」」
…
「ちょwため息かぶるとかwww」
「ほんとビックリだね…」
「最近元気ないけど何悩んでんのさ?三角関係か?」
「そっちこそ最近元気ないしょ」
「いや、おらは普通。それより三角関係の近況kwsk」
「え…近況もなにも…別に…なんもないから…」
「あやしい」
「ほんとに何にもないって!」
「わかったよ…じゃあおらはとりあえず出かけてくる」
「どこいくの?」
「ちょっと…すぐ帰るよ多分」
あの日、泣き出したあたしにビビって離れた黄瀬のキンタマ蹴りあげて逃げ出したんだけど
(…めっちゃ恐かった謙也)
あたしに冷たい視線を送る謙也が忘れらず
怖くなって結局会いに行くことが出来ず
拒否られるのが怖くてLINEも電話も出来ず
(あーでもこのままじゃダメだァ)
(とりあえず話だけでも聞いてもらわなきゃ)
そう思い、勇気を出して次の日、日曜日に謙也の家に行ってみたものの
(…いない)
ピンポン押しても出てこない。
私だと気づいて居留守つかってんだろーか?
いやでも謙也ならこんな寒空の下、女の子をほっとくわけがない。
どこか行ってるのかと夜まで待ってみたものの一向に帰ってくる気配はない。
その日は諦めて帰宅。
家に帰って心臓飛び出すくらいドキドキしながら電話をしてみた。
『おかけになった電話番号は電波の届かない場所にあるか電源が入っていないためかかりません』
マジか
LINEしとこう
いつまで経っても既読にならない。
マジか
拒否られたか。マジか。
LINE拒否、電話もおそらく拒否。
やばい
/(^o^)\オワタ
はぁぁぁぁぁ
( ;∀;) めっちゃキレてるぅぅぅ
絶望ぅぅぅぅ
(謙也はそーゆーことする人だと思わなかったのに…)
(まぁそれだけ私が傷つけたってことか( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`))
どうしよう
こんだけ拒否られてるならもういっそ諦めるか…
色々悩んだけど
でも
(…謙也の笑顔が頭から離れないんだよおぉぉぉ)
もっかいだけ…笑顔見たいし…(´・ω・`)
まだ何にも頑張ってないから…
もー少し頑張る…
(謙也のことずっとずっと傷つけてきたのは私だもんな…)
(ここでがんばらなきゃ女がすたる!!!)
てことで、それから毎日謙也の住んでるアパートに足を運んだ。
ピンポーン
「…」
しーーーん
(今日もいない…)
なんかもう1週間くらい通ったんだけどいないんだよね…
(; ・`д・´)ハッ
ま、まさか!引っ越してないよね!?引っ越したとかありえないよね!?
郵便受けの隙間から部屋の中を覗く…
┃•́ )ジー
(うーん、家具とかは変わらずありそうだな)
(引越しはしてなさそうだ)
(床に郵便物も落ちてるから…ほんとにしばらく帰って無いんだろうな…)
もし、
もしもだけど…
思い詰めて自殺とか…
何か事件や事故に巻き込まれているとか…
謙也に何かあったら どうしよう
(謙也…)
(もう、会えなくてもいい)
(だから、無事でいて…)
違う誰かにでいいから
笑顔を向けていて
楽しそうに笑っていて
(…謙也)
電話も繋がらない、LINEも見てもらえない、家にも帰ってこない
もう 絶望的だ。
(謙也…)
(私が来るのわかってて避けてるだけかなぁ?)
(だったらいいんだけど…)
(…とりあえず)
(手紙、書いていこう)
何もしないよりは
何かを残した方がいいもんね
あたしはそれから毎日謙也の郵便受けに手紙を入れた。
最初はまず、謝罪と弁解。
ごめんね、とか、黄瀬はただの会社の同僚で神に誓って何にもなかった、ほんとだから信じて欲しい、と。
次の日は、ただただ大好きという気持ちを。
その次の日はたわいもない話を。
また次の日は今まで都合のいい関係を続けてきたことへの謝罪。
それから次の日は安否が知りたいと、とても心配している不安な気持ちを綴った内容…
そのまた次の日はI LOVE YOUとたった一言を…
仕事の日も休みの日も関係なく
毎日通って毎日送った手紙。
日々その手紙は見られることもないまま
ただ郵便受けから玄関へと落ちて行く。
彼の家の玄関には
私が送った手紙と、同じく未開封の郵便物で埋め尽くされていた。
(…今日も、いない)
謙也に黄瀬との一件を見られてから
1ヶ月が経った。
(…もう、1ヶ月か)
(1ヶ月も、姿を見ていないなんて)
(謙也…どうか、どうか、無事でいてね…)
最後に見たのがあなたの悲しい顔だったのが心残りだけど
(最後は笑顔見たかったし)
もしあたしがここに来ているのを知っていて
敢えて戻れずにいるのなら
(悲しいけど)
あたしがここに来ていることが 逆に問題なのでは?
最近はそう考えるようになった。
だから、あたし
もう やめるね。
今までごめんね、謙也。
ほんと、いろんなこと、ごめんなさい。
1ヶ月、経ちました。
(……これを、最後に、)
最後の手紙を 郵便受けから家の中に落として
(………サヨナラ)
あたしは彼の家を 後にした。