まぁちゃんの知り合いがたくさんいるお店に無理矢理連れて来られて、
そこに入ると男の人ばかりでめちゃくちゃ緊張した
「さおりちゃん!」
名前を呼ぶあの人がいてくれたことにほっとして、私は彼の隣に座ったのだった
(やばい・・・なんなのこの状況・・・)
今日、私はまぁちゃんと大好きなイケメンの舞台を観に行っていたはずだった
(イケメンたくさん見れて幸せ~)(グッズもたくさん買ったし、)(いう事ないよ~)
イケメンを見れて、ホクホクと幸せだったはずの私の前に広がるこの光景はなんだろう・・・
右を見ても
左を見ても
イケメンばかりなんですけど!!!
(な、なにこれーーー!!)
(鼻血でそうだ~~~!!!)
(やばい・・・!)(直視できない・・・!)
人生初の体験
こんなにイケメンに囲まれることなんてないから夢なんじゃないかと思った
(まさか・・・こんな日が来ようとは・・・)
あまりの眼福に幸せを感じながら、控えめにイケメンたちを見つめていた・・・
「さおりちゃん」
「ん?なに?」
「何飲む?」
「えっと・・・じゃあ梅酒をロックで・・・」
「ロックで平気なん?あんまり酒強くないやろ?」
「う、うん、大丈夫(むしろ酔いたい、こんなイケメンばっかりだとおかしくなる)」
「・・・まぁ酔っても今日は連れて帰れるからええか」
「うん?」
「ほな、頼むで」
「お願いします」
「あとは?肉食う?飯食ってないんやろ?」
「うん」
「ここの料理冷めてもうたから、なんか頼もうか?何がええかな」
「・・・軟骨のから揚げ・・・」
「お、ええな、軟骨な、あとは?」
「ステーキ・・・」
「ステーキあらへんわぁ、ローストビーフならあったで」
「じゃあそれで」
「おん、あと野菜も食べよな、サラダも頼も、シーザーサラダでええ?」
「うん」
「うん、ほな頼むわ」
「うん」
「今日楽しかった?」
「うん、楽しかった」
「よかったなぁ」
「うん」
「・・・なんか、白石さんお母さんみたいっすね」
そう、近くにいたもじゃもじゃの可愛い男の子が言った
なんかよくわからないけど、めちゃくちゃ可愛い
早く酒が来ないと私は動機が激しくて死ぬかもしれない
「なんやそれ、おかんって・・・」
「ふふっ、本当に白石ってば面倒見がいいよね」
「普通やで」
「いやいや、かなり面倒見良いだろ白石は」
「そうかなぁ?」
「で?2人は付き合ってんの?」
そう、赤い髪の男の子が聞いた
(いやーーー!!これまたイケメン!!)
「付き合ってないで」
「え!?今の会話で付き合ってないの!?」
「さっきただのルームシェアって言ってましたもんね・・・(俺なら好きになるな・・・)」
「せやで、付き合ってないけど、仲はええで、なぁ?」
「う、うん(イケメンたちの視線がツライ・・・)(変な汗が止まらない・・・)(でもイケメン見たい・・・)」
「不思議な関係じゃな」
そう言った銀髪の男の子もめちゃくちゃイケメンで
(あー!やばい!)
(ホント、イケメン集団やばい!!)
まぁちゃんのほうを見ると、
すでにこの会に馴染んでいて、向こうでメガネの人を囲んで一気コールを一緒にして盛り上がっていた・・・
(まぁちゃん・・・)(すごいなきみは・・・)
(なぜ馴染める・・・)
私はダメだ
イケメンがたくさんすぎて、どこ見ていいかわからないよ・・・
そんなことを考えていると、
「さおりちゃん」
また白石くんに声をかけられた
「大丈夫なん?」
「え?何が?」
「いや、さおりちゃん女子校言うてたよな」
「うん」
「前に男は苦手って言うてたから・・・」
「う、うん・・・」
先ほどから白石くん以外とは一言も話さない私を心配したのだろう
(また気を使わせちゃったな・・・)
ちなみに、彼には私がイケメンが大好きだということは隠してある
舞台観賞が趣味というのも劇団四季とかそういうのを想像しているようだ(今日も多分劇団四季観に行ってると思ってる)
私の趣味は一般人には理解出来ないと思うし、男性なら尚更理解するのが難しいだろう
一緒に住んでる女がイケメン大好きなオタク女だと思われたらキモがられるのは間違いないので、パソコンオタクくらいしか私の趣味は披露していない
(本当は・・・)
(キタ━━━(゚∀゚)━━━!!って気分だけどね・・・)
(さっき舞台で観てきたイケメンたちよりイケメンって・・・)
(この集団はヤバい・・・)
ところで何の集まりなんだろうか?
イケメンばかりで何の集まり?
(学生の頃の友だちだろうか?)
「えっと・・・みんなどういうお友達なの?」
「みんなテニス部やったんやで」
「ああ!」
「学校は違たけど、一緒に合宿やったり、毎年全国大会で会ったりなぁ」
「うん」
「白石、全国ベスト3の学校の部長だったんだよ」
「え!?」
「何をおっしゃる、幸村クンは準優勝のチームの部長さんやん」
「・・・(すげー)(レベルが違う)」
「あそこにいるメガネをかけてるやつが優勝校の部長だよ」
「懐かしいなぁ、あの頃が一番楽しかったよ」
「そうだね、楽しかったかも」
「おん、せやな」
思い出話に花を咲かせる彼らの横で、
何だかそんな彼らが羨ましかった
(いいなぁ・・・)(みんな青春時代はテニスをやって過ごしてたのか・・・)(超青春じゃん・・・)
(私高校生の頃何してたっけ・・・?)
(えっと・・・アンジェと・・・)(アンジェと・・・)(アンジェと・・・)(たまにFF8と・・・)
(いや、ゲームやってた思い出しかない・・・)(マジ私終わってる・・・)
なんだかキラキラしている人たちに囲まれて、自分に自信がない私は恥ずかしくて俯いてしまった
けど、白石くんがそれを見逃すはずはなくて、
「さおりちゃん、無理せんでええで、きつかったら飯食ったら帰ろうか?」
「う、ううん!大丈夫!私は大丈夫だからそんなに気を使わないでね!」
「気使うてないよ、ホンマに心配しとるんやで」
「え?」
「みんなええ奴やから変なことはせんと思うけど、さおりちゃんのことは俺が守るから大丈夫やからな」
ニコッと笑いながら言ったその一言
(ずるい・・・)
(そんなこと言うなんて、)
彼にとっては軽く言った一言だとしても、
恋愛経験不足の私には心に残る大きな一言
(こうして見回しても、)(イケメンめちゃくちゃ多いけど、)
(・・・やっぱり白石くんが一番かっこいいし・・・)
「・・・うん、ありがと」
「いやいや、ボディガードやからな俺」
「・・・(ボディガードって・・・)」
「おまたせしましたー」と飲み物が運ばれてきて、
イケメンたちと乾杯して、恥ずかしさをごまかすように、お酒に口をつけるのだった