さおちゃんがね、せっかくの土曜日に会社の人とBBQ行くらしいよ。
なんで連れて行ってくれないんだ・・・!!
くそ・・・くそぅ!!今度の土曜日はさおちゃんとカラオケでも行ってノリノリで新しく覚えたアニソン披露しようと思ったのに・・・!!
と、思っていじけていたらセフレの男から
なんと
ディズニーランドに誘われたのだ・・・!!
しかも「チケットもろたから行かへん?」だって!!ぷぷぷどうせ自分で買ったんだろ。
まぁいつもやつの家か飲みとかばっかで昼間に遊んだことないからいいけどね。暇だしね。こないださおちゃん勝手に白石と行ったのいまだに根に持ってたしね。ディズニー行きたかったから死ぬほど嬉しい・・・!!
だからさおちゃんに人見知りだから行くのやめるごめんねって断っておいたよ。さおちゃん淋しいだろうな・・・。
そして今あたしはノリノリで待ち合わせ場所に到着したのだ・・・!!
「・・・めっちゃ張り切ってるやん!!」
すでに耳を装備、ポップコーンの入れ物もしっかり首にかけたあたしへの第一声がそれだった。
うむ、あたしは今日張り切ってるのである。
「やる気満々・・・!!」
「いや、待ち合わせ6時とか言うから何事かと思うたらこんな張り切ってくれてるなんて!嬉しいわ!!」
「いくぞ・・・!いざ出陣・・・!!」
「やばい(笑)めっちゃ張り切っとる(笑)」
男は嬉しそうにあたしの後に続いた。
「あんた足早いの?」
門が開くまでの時間に計画を立てる。ぬかりはない。
「おう、足には自信あるで」
「ならあたしこっち並ぶから先にこっち行ってファストパスとってきてくんない?」
「任せとき!!」
「あたし走らないから、あたし歩いてくから」
「わかった」
「これ乗った後はこっちで並んで・・・あーでもファストパスの時間があるから・・・」
「乗りたいのはどれ?」
「あのね、これとこれとこれと、あとこれだけは外せない・・・」
「よっしゃ!ほな俺が絶対なんとかしたるわ!」
「なんとかって?」
「大丈夫、なんとかするから」
やつは二カッと笑って、門がそろそろ開く時間になって
入園したら私のチケットを持ってファストパスを取りに行った。
なんか足早そうだから大丈夫そうだな。
さてあたしはゆっくりとモンスターズインクへ向かうか・・・
とてくてく目的地へ向かうと
「お、もう先中入ってるかと思うたで!!」
!!!
やつが、すでに・・・いた!!!
「え、なんで!ここ並ぶのあたしだから!ファストパス取ってきてよ!!!」
「ん?いやもう取ってきたで?」
「え・・・」
「ほな一緒に並ぼか!」
・・・・・
どうやらこの男、めちゃくちゃ足が速いらしい。
こいつは・・・使える・・・!!(にやり)
「次はあのファストパスね」
「OK!」
「こっち並んでるからチュロス買ってきて」
「おう!」
「ターキーレッグ食べたい!」
「任せろ!」
「あのアトラクションも乗りたい!」
「よっしゃ!」
(・・・なんて・・・便利な男・・・)
じーん
1日中走らせまくってたからあんま一緒にいなかったけどwww
でもなんかやたらこいつは楽しそうだからいいのかな、と。
てかこいつ何気にパシリ体質だなw
とっても明るいパシリw
安心してください!買ってきますよ!www
「はぁ・・・俺むっちゃ楽しい」
「よかったな」
「大丈夫?楽しめてる?」
「おかげさまで目的は全て果たせた、コンプリート」
「あ、ほんま、よかったわ」
「うむ、よし、では買いに行くか」
「へ?なにを?」
「がんばったきみにご褒美ね」
「え?」
あたしはそいつを引き連れて 服を売ってるショップにやってきた
「うーん、これなんてどう?」
「え、これって?」
「Tシャツ」
「いや見たらわかるけど」
「あたしこっちにするよ」
「へ?へ?」
「・・・おそろい、着ないの?」
「!!!」
き、着させてください!!!
やつは店内に響く声でそう叫んだ。
うるせーw恥ずかしいしwww
で、耳も買って
じゃーーーん!お揃いコーデなのだ!!
「うわ・・・むっちゃ嬉しい・・・(じーん)」
「ねー、可愛い、似合う似合う」
「お、おう」
「んじゃ、次 どこいこー、か、」
ぐい
手を 無理やり 引っ張られて
(え?)
「ちょ、どーした、急に、」
「もいっこ、ご褒美、くれへん?」
「え?」
「手、つないで、あるいて ほしいねん」
「え、ちょ、でも、みんな、見てるし」
「えーねん!」
「でも、手、つなぐとか、」
「えーねん!!」
「で、でも・・・」
「ええねん!!!」
「・・・耳、赤いよ?」
「!! え、ええねん、って!もう!」
あたしの手を引き前を歩く彼の耳が真っ赤で
まるで手からその色が伝線したみたいで
(・・・こいつさ、ほーんと)
(・・・やばいよね)
多分あたしの耳も真っ赤になったけど 彼がちょうど前を向いてるのが救いだと思って
今日頑張ったやつへのご褒美ね?今日は特別だよ!
あたしはおとなしく やつと手をつないでその日を過ごした。
「・・・めっちゃ楽しかった」
それからミッキーと写真撮って、ショー見ながらご飯食べて、パレード見て、マッピング見て・・・
満喫した。燃え尽きた・・・。
「・・・よかったわ、楽しんでもらえて」
「あんたは?楽しかったの?」
「せやから言うたやんか!俺はもう今朝出会った瞬間から楽しくてしゃーないねん!!」
「そうか、そりゃよかった」
「あぁ」
嬉しそうに彼が笑うから
なんとなく、気恥ずかしくなって そっぽ向いた。
こいつの笑顔を見ると なんだか胸がくすぐったくなるのだ。
「さ、帰ろうか。もう閉園だ」
「あーーー・・・・帰りたないなぁ!今日泊まっていかへん?まだ離れたない・・・」
「何を申す・・・帰るに決まってるだろw」
「・・・せやなぁ」
「あー、ほんと楽しかったわ、マッピング綺麗だったね」
「・・・おん」
「夜のランドも好きだな、綺麗だよね」
「・・・」
「メリーゴーランドがさ、夜にキラキラ光ってて、ドラマみたい」
「・・・」
「もー、聞いてるの?」
いきなり黙ったやつを見上げた
ふと
チュ
彼の 唇が、重なった。
(・・・・・)
「・・・はっ!すまん!あの、その、お前があまりにも、キレイやから・・・つい・・・」
「・・・」
(・・・なんだよ)
「・・・おかしいよ、こんなの」
「あ、そう、やな、おかしいよな・・・」
「おかしいよ、なんで、こんなとこでキスしたの?」
「なんで、て」
「・・・だって、まるで恋人同士みたいじゃん・・・」
あたしたちは違うんだから・・・浮かれないでよ・・・
そう言うと
彼は
(あ、)
すごく悲しそうな顔をして 笑った。
「・・・せやんな、すまん」
帰ろか
彼がゲートへ歩き出す
あたしはそのあとを追うけど
もうその日、手をつなぐことはなかった。