ディズニーランドへ一緒に行ったあの日
彼女はプロジェクションマッピング見てから喋らんくなった。
(眠いんかな?)
(俺、なんかしたかな?)
色々思ったけど、帰り道で楽しかったと言ってくれたからめっちゃテンション上がった。
それからしばらく会社で会うときは重そうな荷物持ってたら代わりに持ったり、頼まれてもないのに食堂の場所取りしたり
あと夜にご飯も誘って一緒に色々食べに行っとる。(肉食女子やから肉系多いで!)
その日も
休みの日やのに、誘ったら会うてくれる言うから 俺は博物館へ彼女を誘った。
「やばい、恐竜展…嬉しすぎて震える…:(´◦ω◦ ` ):」
「そこまで!」
「ここの恐竜展なんてよく見つけてきたね?恐竜展チェックしてるのに、全然知らなかった!てゆーかなんで恐竜展に私を誘ったの?」
「え、せやかて…さおりちゃん恐竜好きやろ!?さっきも震えるて言うてたし…」
「いや好きだけど、そんな話したことなかったのになんでバレたのかなぁって」
「いや、前にUSJのジュラシックパーク行ってみたいとか…あと熱心に恐竜のストラップ見てたから好きなんかな、って…」
「…よく見てるね」
「それは自信あるわ!」
ほなどこから周る?って聞くと、
彼女は興奮気味に(いや表情はいつもと変わらず無表情やけど俺には違いがわかる!)
まずはあっち!!と歩き出した。
はいめちゃくちゃかわええ。今日来て大正解。
「あ、タラルルス:(´◦ω◦ ` ):」
「かわええ名前やな」
「可愛いのは名前だけじゃないの!見た目もすごい可愛くてね、しっぽにバスケットがついててね」
「ふむふむ」
「背中にもトゲトゲいっぱいあって!これで草食だからすごいよね、草どんなの食べてたんだろ!」
「あーどんなやろなぁ?えっとこの子の生息時期は…」
「白亜紀後期だよ!」
「白亜紀後期ならシダ植物とか、あとこの頃にはスギやイチジクなんかもできてるはずやしそんなん食うてたんかなぁ…」
「え、白石さんめちゃくちゃ詳しい…」
「いや俺めっちゃ植物好きやねん…1番好きなんは毒草やけどな!植物園とか好きでよぅ行くで!」
「あ、そうなんですか、そーゆーの好きそうに見えませんね」
「え!何好きそう!?」
「いや、普通に…クラブとか行ってそうですけど」
「クラブ!?1回だけ付き合いで行ったけど人多いし今風の人ばっかで怖くてもう行きたない…」
「今風の人って…白石さんも今風の人じゃないですか」
「え!?そう見える!?いやほんま怖かってん、俺怖すぎて泣きそうになったで…男はやたらいかついのばっかやし…女子は遊んでそうな子ばっかやし…ほんま苦手」
「泣きそうって…」
「いやほんまに!耐えれんくて途中で帰ったわ…」
「へー…意外ですね」
「意外って!さおりちゃんの中の俺のイメージ最低やな!」
「まぁ…あんなことあれば…」
「…ほんまそこはごもっともですわ」
そんなことを話しつつ
それでも彼女はなんだかとても嬉しそうで
今日は恐竜展来てほんまグッジョブやったなぁ、俺!と心からうれしくなった。
「あ!プテロダクティルス:(´◦ω◦ ` ):」
「え、なになに」
「自発飛行が出来てたと言われる空飛ぶ恐竜だよ!」
「へー、かっこええなぁ」
「でしょ!?かっこいいよね!」
「ほんまやなー」
(あぁ、かわえぇ)
「プテロダクティルスは海の近くに住んでいたかから魚食べてた説が濃厚だよ」
「うんうん」
(ほんまに好きなんやなぁ)
「あとね、頭の割には体が小さくて羽がすごく大きくて、」
「うんうん」
(楽しそうでよかったわ…)
「……でね、」
「うんうん」
(幸せやなぁ…)
「………」
(あれ?)
急に黙ってしまった彼女を見つめた。
それまで恐竜に夢中やった彼女の目が俺を捕らえて、ドキッとしてしもうた。
「ん?どないしたん?」
「白石さん、全然聞いてない」
「いやめっちゃ聞いてたで?」
「うそ」
「ウソちゃうよ!なんで?どしたん?急に」
「……見過ぎです」
「へ?」
「白石さん、私のこと見過ぎですってば!!」
「あ、あ〜…すまん、邪魔やったよな」
「邪魔とか、じゃなく…そんなにニコニコ嬉しそうにされたら…調子狂うってゆーか…」
「え?調子はいつでも狂ってくれてええんやで?」
「なにそれ!!大体白石さん、私と友達だって言うくせに全然友達っぽくしてくれないし!!」
「そりゃそうや!好きな子扱いしとるからな!」
「…」
「前も言うたけど、さおりちゃんは特別なんや。こんなに人を好きになったことないから初めてでどう表現したらええかわからんけど…とにかく大切で…確かに酔ってあんなことしてもうたけど、俺はあくまでもあの時点では彼女やと思うてしたわけで、決して遊びってわけやなく、本気できみのことをやなぁ…」
「も、もーいいです!やめてください!!」
彼女はスタスタと先に行ってしまった。
(あぁまた怒らせてもうたかな)
そう思うたんやけど
振り向いて
「白石さん、早く!次の恐竜、説明ちゃんと聞いててくださいね!」
そういう彼女の顔が 無表情やけど
やっぱり俺にはわかるんや。
(…照れとる)
こりゃたまらん、と、にやける口元が見つかったらまた怒られてまうから
俺もポーカーフェイスを決めて、彼女の元へと歩み寄るのやった。