乗り物乗ったし、買い物したし、美味しいものたくさん食べたし、彼に任せておいたらかなりスムーズに回れたと思う。
ディズニー日帰りでこんなに満喫出来るのは今までなかったかも。
私の意志も尊重しつつの計画的に回れてるのがほんとすごいわ。やっぱ慣れてる。
キラキラと光るパレード見ながら
行くまではあんなに憂鬱だったのに
来てしまえば不思議とそんなに嫌じゃなかったな、と思った。
それよりも、むしろ
(楽しかった、のかも、しれない)
そんな風に思った。
「さおりちゃん」
「なに?」
「今日何時までに帰りたいとかある?」
「え、なんで?大丈夫だけど、」
「いや、このあとプロジェクションマッピングの席取ってんけど、」
「え、席取れたの?すごい!いつの間に」
「いやさっきさおりちゃんトイレ行っとる隙に…ほな、プロジェクションマッピング見に行こか」
彼について、シンデレラ城の真正面の席に座った。
ほんとスムーズ。慣れてるわ。
「プロジェクションマッピング見たかったんだよね」
「そーなんや!よかった!」
「ほんと白石さん慣れてますよね」
「慣れてへんって!」
「楽しみだな〜」
「…せやな」
プロジェクションマッピングがはじまって
すごく美しいそれに私は釘付けになった。
わぁ、とか、すごーい、とか歓声があがって、私も一緒に拍手した。
「…これ終わったら楽しかった1日も終わってまうなぁ」
「え?白石さん、楽しかったんですか?」
「え!!?楽しかったで!?さおりちゃん、楽しくなかったんか!?」
「いや、私は楽しかったけど…結構色々気を使ってくれてたし疲れたんじゃないかな、って」
「いや!全然!めちゃくちゃ楽しかったで!」
「あ、そうですか」
「そうです!ほんまに今日は良かったって思うてます!」
「わかりましたよ」
「一貫して塩対応やなぁ」
「そんなことないですけど」
「はぁ〜まだまだ頑張らなあかんか、俺…」
「別にそんなことは…あ、白石さん、ほら、綺麗ですよ」
パァァとお城に映る色とりどりの光を見て
笑ってそんなふうに 言ったら
「……さおりちゃん」
「はい?」
「今日ずっと、俺に慣れてるとか言うてたけどさ」
「あ、はい」
「ほんまに、めっちゃ緊張しとったし、女の子とディズニー来るんも初めてで何度も何度も調べたし、かっこ悪いとこ見せたらあかんって必死やったし、」
「……」
「全然、俺、慣れてへんで?」
「……」
「それでも、優しくしたことで 慣れてるって思われとるなら」
マッピングの光が反射して
白石さんの顔が 色とりどりに染まって
「…そんなん、さおりちゃんにだけやで」
目を細めて笑う彼が
(………)
やっぱり 史上最高にかっこよく見えたのは
マッピングのせいか
夜のせいか
ディズニーのせいか
(…わたし、だけ だなんて)
(その言葉すら、言い慣れてるの?)
(それとも、)
ミッキーの魔法で 私までおかしくなってしまったのか
きっと赤くなってる耳が
マッピングの光でカラフルに染まっていることをありがたいと思った。