木10 ~VOL.11~

『今度、よかったら遊びに行きませんか?』

 

白石さんからラインが届いた。
それを見て 固まる私。

 

(…ほんとに来た)

 

正直、会ってももう話しかけられないだろうな、と思っていたんだ。
だから今日あんなに普通に話しかけられたのがビックリして

 

 

そしてなんだか

 

ホッとした。

 

(あんなにきついこと言ったのに)

 

 

 

 

あの日、彼に好きな人がいると言った日
私は最後まで彼に冷たい態度を取った。

 

でもそれは私の心にモヤモヤを残して。

 

彼の悲しい顔が頭から離れず
人を傷つけることがどんなに恐ろしいことか知った。

 

(だから)
(今日話しかけられたのは、正直)
(嬉しかったのかもしれない)

 

誰だって、人に嫌われるのは  嫌だもんね。

 

(さて、)
(それはそれとして)

 

らいんの返事なんて返そう?

 

(この既読マークって厄介だよね(;´・ω・))
(既読つけたらもう無視とか出来ないもんね)
(あー、メアドにすれば良かったな、教えるの)

 

まぁちゃんに相談したいけどまぁちゃん最近帰り遅いしな…
てゆーかまぁちゃんに言ったところで行く必要ないって言われるのが目に見えてるしな…

 

どおしよう

 

(…困った)
(あそびに…)
(友達となら遊びに行くのは普通だよねぇ…)
(でも…正直もう関わりたくないし…)

 

 

体についたキスマークが生々しくて
何度も消そうとこすったけど消えなくて。
あの日のこと思い出すと、苦しくなる。
後悔しかしていない。
心がつらくて、逃げ出したい。

 

(私には、やっちゃったけどまぁいーや!なんて考え方、出来ない)

 

あの日が消えればいいのに、と
毎日何度も考えるのに。

 

しばらく、画面をじっと見て動けずにいた。

 

(どうしよう)

 

ピコン

 

新しいメッセージが届いて
ハッと画面に目を落とした。

 

 

(!?)

 

21501

 

なにこのスタンプ…

戸惑っていると次々と届くそのスタンプに

 

21503

21504

 

(いやいやいや…)

 

もしかしたら、彼も相当悩んで連絡したんじゃないか、なんて
考えてるのが馬鹿らしくなってしまった。

 

 

(………友達なら、行くよね)
(遊びに行くくらいなら、いーのかな…)

 

 

色々な思いは交差するけど
結局私は基本的に誘われたら断らないのだ。

 

『いいですよ』

 

そっけなく送ったそんな一言にも
彼はとても嬉しそうに返事を送ってきた。

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