「おはよ」
(!?)
そういう彼女の胸元は・・・
見事にはだけていた
一緒に暮らしてから1ヶ月------
彼女の普段の恰好は俺には刺激的やった・・・
「あー眠い・・・仕事行きたくない~」
「・・・」
「謙也、今日遅いの?」←3バカが謙也呼びなので謙也呼びになった
「・・・」
「ちょっと!謙也!」
「え!?あ!今日な、今日は、そんな遅くないで!7時前には帰れるんとちゃうかな!?」
「あ、そう、アタシのが早いね」
「・・・」
「どうした?」
「!? あ、いや!!!」
「なに?」
「・・・あー・・・その、な、」
「早く言ってよ、早く支度して行かなくちゃいけないから」
「い、いや、なんでもあらへん・・・」
「あ、そう、じゃあ着替えてもう行くわ」
お、おれのヘタレ!!!!!
(なして言えへんねん・・・)
(一言、男の前ではちゃんとした格好せなあかんでって・・・)
(いや、見惚れてまう俺にも原因が・・・)
彼女と暮らすのは、思ったよりも快適で、思ったよりも楽しくて、
氷帝組も遊びに来ることが多いものの、2人きりの時も会話が途切れなくて、
”相性”がええんやと思う
俺と彼女は
(あー!!やからって、あんなはだけた格好・・・)
(医者やからって見慣れとらんからな!!)
(仕事は仕事!プライベートはプライベートやで!!)
あんな恰好で平気でウロウロされて、
氷帝の3人と全く変わらない態度に、
全く意識されとらんのやなと感じていた
(そりゃ、まぁ、ただのルームシェアやからな・・・)
(同棲とはちゃうし、)
(わかっとるで、)
(わかっとるけど、)
(なんか)
(ちょっと悲しい・・・)
「じゃあ、あとよろしく」
彼女がそう言って家を出ようとしていた
俺は、すかさず玄関へ急いだ
「ちょお、待って!」
「え、何?あれ、なんか忘れ物した?」
「いや、そうやないけど」
「何?」
「今日飯食いにいかへん?」
「お金ない」
「ほな、俺出すわ」
「え!?マジで!?」
「ええで、飯作ってもらうこと多いしな、食いたいもん考えといてや」
「やった!!」
「ほな、どこで待ち合わせする?」
「恵比寿」
「わかった、ほな仕事終わったら恵比須に向かうわ」
「うん、じゃあ多分アタシのが早いから適当に待ってるわ」
「おん、わかった」
「じゃ」
「おう、気ぃつけてな」
家にいると、誰かしら遊びに来るし、
たまには東京堪能してもええなと思って彼女を誘う
やっぱり、彼女はノリがいい
今夜の約束を楽しみに、
俺も仕事に行く準備をするのだった
―――――――――――
(思ったより、早くあがれたな)
現在時刻は6時半
初めて降り立った恵比寿の駅は、駅メロはエビスビールのテーマだった
(おもろいな山手線)
そうして、彼女が待っていると言う駅の中の広場に急いだ
(えーっと・・・)
(どこやろ?)
(まなみ、まなみ・・・)
あ、
!!!!??
そこには、
(え!?)(な、なんで!?)
男に肩を組まれている彼女の姿が・・・!
(えええ!!?)(今日俺と待ち合わせしてたんとちゃうの!?)
(誰!?)(誰やねんその男!!!)
恐る恐る、彼女に近づく
(い、いや、けど・・・)
(俺別に彼氏とちゃうし・・・)
(男がおっても別にええけどさ・・・)
(いや、)
(やっぱ良くないな・・・)
(彼氏おんのに一緒に暮らしとるとか、)
(そんなんあかんよな・・・)
そんなことをグルグル考えながら近づく俺
彼女の近くに来た時
「あ!!」
そう言って、彼女が急いで立って、俺の傍に駆け寄ってきた
そして、
ギュッ
「もぉ、遅かったよー」
そう言って、俺の腕に、自分の腕を絡みつけた
え?
え?
えええええ!!???
対する俺は、突然のことで固まってしもうて、
(え、え、え、)
(何!?)
(何が起きてるん!?)
(っつーか、当たってますけど・・・)
(え、ええんやろか・・・)
そうして、彼女と一緒にいた男の一言で、
やっと状況が把握できた
「なんだ、男と待ち合わせかよ」
「え?」
「だから、そう言ってんじゃん、謙也いこ!」
グイッと俺の腕を引いて歩く彼女
(ナ、ナンパかぁ~~~~)
(めっちゃびびった~~~~)
ほっと胸をなでおろす
(っちゅーか・・・)
(いつまでこうしとんのやろ・・・)
それまで無言で俺を引っ張っていた彼女は、
駅を出て、外の信号のところで、パッと腕を離した
そして、
「遅い」
ビシッ
俺にチョップをした・・・
(なんで!?)
「いたっ!」
「もーアンタが遅いから、変な男に声かけられたでしょ!」
「す、すまん!え、っちゅーか予定より早く着いたけど!?」
「待つの嫌いなんだ!!」
「お、おう・・・すまん・・・(気持ちはわかる・・・)」
「ったく、有り余る私の魅力に男たちがよってきて大変だったよ」
「男たちって・・・1人やったやんか」
「ばーか、3人目だよ」
「え!?」
「今のやつはなれなれしく肩組んできたからチンコ蹴ってやろうと思ったわ!」
「お、おお、俺はあいつの遺伝子を守ったんやな・・・」
「いいよ守らなくて!末代まで呪ってやるわ!」
「おそろしいな!」
「ホント、謙也がもっと早く来たらこんなことにはならなかったよ!」
「・・・すまん」
「今日はもう一次会だけじゃダメだわこれは」
「お、おう」
「これはもう二次会も謙也のおごりだな!」
「・・・ええで」
「お!」
「ほな、朝まではしごの旅やろうや!」
「笑コラwww」
「よっしゃー、今日は飲んだるでーーー!!」
「急にどうしたwww」
(これでも、)
(反省してんねん)
彼女が知らない男に肩を抱かれていたのか
正直、ものすごく嫌だった
(ナンパとか、よおするなぁ!)
(っちゅーか、こいつモテたんか・・・)
(せやなぁ・・・かわええしな・・・こいつ)
心なしか、いつもよりもウキウキした表情で俺の隣を歩く彼女をチラッと横目で見る
うん、
やっぱりナンパされる理由がわかるわ・・・
今日は、とことん飲んでやる、
そう思って、彼女と恵比寿の街へ消えた