私は家事が出来なかった
(ほんと、女として終わってるよ・・・)
ずっと実家暮らしでエミコに頼り切ってた私は、最初は洗濯機のまわし方もわからなかったほど(お恥ずかしい話です・・・)
白石くんは独り暮らしをしていたようだし、かなり几帳面な性格なようなので、
家事のことはいろいろと彼に教えてもらっていた
それはもう、同居人の迷惑にならないように、私はもう必死で頑張ったんだ
頑張って、自分なりには一生懸命やっていたつもりなんだけど、
彼からダメ出しされる回数は最初と全く変わらず・・・
毎日どうしたら言われずに済むのかを考える日々だった・・・
(どうしよう・・・)(お母さんよりうるさいかも・・・)
(お母さんはもう諦めていろいろやってくれてたもん・・・)
(白石くんやばいよ・・・初めて聞くことばっかりなんだもん・・・)
基本的に、白石くんと私の生活は全く合わない
白石くんはかなり忙しいようで数日会社に泊まり込みの日も多い
私は私で、土日は仕事だから、白石くんとはほとんど顔を合わせることはなかったんだけど、
たまに夜仕事が終わってから22時頃帰宅すると、白石くんが居間でテレビを見ていて、夕飯のあまりを食べさせてくれたりしていたのだった
(そして、そのたびにいろいろ言われて・・・)
(もうだめ私・・・)
(終わってる・・・)
すっかり自信をなくしていた私だったけど、
白石くんが数日仕事から帰ってこない平日のお休みの時、今までのストレスがたまっていた私は、ついに爆発
白石くんがいないことをいいことに、ポテチやカップラーメンを買いだめして、しばらく食べていたのであった・・・
(はぁ・・・ポテチ食べて、ゴロゴロしながらテレビ見て・・・)
(これこそ至福の時・・・)
(白石くん帰ってくるのいつって言ってたっけ?)(しばらく忙しいって言ってたし、まだ帰ってこないよね・・・)
だけど、彼は思ったよりも早く帰ってきて、至らない私の行動にダメ出しをしたものだから、
溜まっていたストレスのせいで涙が止まらなくなってしまった
(やっぱり、私なんてダメ人間だ・・・)
(ダメだ、彼といると自分の不甲斐なさがよくわかる・・・)
(私は最低最悪なやつだ・・・)
そして、自己嫌悪と共に、
感じる後悔
(ってか、ルームシェアってこんなに口出しするもんじゃないよね!?)
(私、そりゃダメ人間かもしれないけどさ!)
(そもそもルームシェアってお互い干渉しないものなんじゃないの!?)
(これじゃあ、一人で暮らしてたほうが楽だよ!!)
(もう、白石くんと一緒になんて住めない!!)
そう思っていたけど、白石くんに説得され、
そして、今後は白石くんが気づいたらやってくれると約束してくれた
(だらしない私でもいいって)
(それでも一緒に住んでくれるって)
正直、これから一緒にやっていけないかもって思っていたけど、
あれから、彼と住めたことはありがたいことかもしれないと気づいた私がいた
(だって、)
(私本当にだらしがないから)
(勉強になるんだよいろいろ)
(白石くんと住んでるから、キレイにしようって思うし、)
(私1人なら多分ゴミ屋敷になってると思う・・・)
こうして快適な衣食住が送れるのも、白石くんのおかげかもしれないって気づいた
(そう考えたら、白石くんのおかげだから私も頑張らないといけないかな・・・)
(家事やるのは当たり前のことだし・・・)
(うん、そうだ、)
(こんなにいろいろ教えてもらって、感謝しないといけないかもしれない!)
本当にだらしがなくて、恥ずかしいくらいの女だけど、
いつか結婚する日のために・・・
(今を花嫁修業と思おう!)(頑張ろう!)
そう、心に決めたのだった
――――――――
「・・・っていうことがあってね、」
『うぜー、同居人うぜー』
「そうなんだよ、うざいんだわ、きみのとこはどう?」
『うちけっこう普通に家事やってくれて助かってる』
「え、いいなーうちもやってくれるけど、口うるさいのさ」
『口うるさいのやだなwww』
「やなんだよ・・・いいなぁきみのルームシェアの相手めっちゃ優しそうだね」
『うん、優しいよ、アイスとか買ってきてくれるし』
「え!?すごいね!!」
『食べていいって買っといてくれるよ』
「えー・・・超優しい・・・」
『きみのとこだって、夕飯作ってくれたりするんでしょ』
「うーん、でも基本的に生活スタイルが全く違うよ、ほとんど会わない」
『いいしょ、うちなんてね、』
「うん」
『よく3バカが来るから・・・なんかうるさくなっちゃったよ・・・』
「きみ落ち込んでるなwww」
『だって・・・1人の時間が欲しいよ・・・きみが羨ましい・・・』
「うけるwww」
『まぁこっちは休みけっこう合うから休みの日は家事したり、一緒に飲んだり楽しく過ごしてるわ』
「楽しそうだね!いいなぁ・・・うちそんな関係じゃないからなー・・・」
『ダメ出しばっかりなんでしょ』
「うん・・・ダメ出ししかされないからさー・・・」
『頑張りなよきみ』
「うん、頑張るって決めたんだわ、だから大丈夫だよ」
『えらいよ』
「花嫁修業だと思って頑張るんだ」
『花嫁修業www』
「だって母さん全然教えてくれなかったからね」
『そうだね』
「まぁでも、同居人すごい家事できるから、あれは結婚できないと思うわ」
『うけるwwwマジでかwww』
「いや、えみこ以上だからさー、えみこ以上に家事できる男とか結婚する必要ないじゃん?」
『ないwww』
「しかも、ナルシストっぽいんだよねー・・・部屋に大きな鏡あったし・・・」
『え・・・きもい・・・』
「うけるwきみの好きなタイプではないわ」
『ってか、写真いつ送ってくれるのさ』
「あー、忘れてた」
『早く送って』
「いやホント全然会わないからさー」
『けっこう仲良くなってるみたいだし、一緒にとりましょーって撮ってみたら?』
「あ・・・うん・・・できたらね・・・」
『じゃあ、またな』
「うん・・・じゃ・・・」
そんな会話をまぁちゃんとし、電話を切った
(写真か・・・)
(イケメンの写真・・・)
(・・・無理だな)
(あんまり会わないもんなー)
まぁちゃんと約束した写真が、撮れる日が本当に来るのか謎だった