「え・・・あのタワーに住むの・・・?」
『うん・・・』
なにそれ!超羨ましい!!
そう言った私に、さおちゃんは、
『そうじゃないしょ!!男の人と暮らすんだよ!?』
と言った
いや、そんなことよりタワーに住めるの羨ましいけど!
「だって、あの前家から見えるタワーでしょ?」
『うん・・・そのタワーだよ・・・』
「え、めっちゃいいしょ、そんなとこに3万で住めるの羨ましいんだけど」
『よくないしょ!!男の人と住むんだよ!?』
「いや、アタシもそうだからw」
『嫌って言えなかった自分が憎い・・・』
「きみ女の人募集してたんでしょ?なんで男がきたの?」
『それが・・・家に帰って調べたら・・・同性のみ募集ってとこにチェックし忘れてて・・・』
「あーあでた、きみのうっかりミス」
『そうなんだよ~~~どうしよ~~~』
電話越しのさおちゃんはきっと半泣きなんだろう
アタシはポテチを食べながらのんきに話を聞いていた
「だって、イケメンなんでしょ?よかったじゃん」
『そうなの!!イケメンなの!!』
「きみがイケメンっていうなら間違いないなwww」
『そうなの!!むしろ、人生の中で会った人の中で一番イケメンなの!!下手したら舞台俳優よりもイケメンなの!!』
「え、うっそ、それきみ運良すぎ」
『いや、怖いよ!!どうしたらいいの!?』
「だって、相手真面目そうなんでしょ」
『うん・・・手は出さないって言ってたし、鍵のある部屋は私が使っていいんだって』
「じゃあ良かったしょ」
『よくないよ・・・』
「むしろ彼女になっちゃえばいいじゃん、イケメンと付き合えてラッキーじゃん」
『え!?あ、そういえば彼女いるか聞いてなかった!』
「別にいてもいいじゃん」
『いや、だって!彼女いる人と一緒に住めないじゃん!』
「住めるけど、彼女いるのにきみに手だしたらサイテーすぎるわ」
『・・・いや、手出してこられたら私ほんとどうしていいやら・・・』
「そんなことがあったらすぐ札幌行ってそいつ死刑にするから言って」
『・・・そんなことが起こらないことを祈るよ・・・』
「そうだね・・・」
『きみのほうは?相手どんな人?』
「知らん」
『友達から聞いてないの?』
「聞いてないよ」
『え、心配じゃないの?どうするの、変な人だったら』
「いや、でもホント関わらないようにするし」
『えー』
「ただの同居だからさ、とにかく家賃払ってくれればいいだけだしこっちは」
『そうだけどさ・・・』
「話し相手なら3バカがいるし、家では別に話さなくていいから部屋に閉じこもってるよ」
『・・・そういうもん?』
「そういうもんだよ、きみも気にしなきゃいいよ」
『うん・・・』
「けっこう男女のルームシェアってそんなもんだよ」
『そうか・・・』
「とりあえず来月から住むんだわ」
『あ、私も転勤でこっちに来るからって来月から』
「そうか」
『なんか転勤前にいろいろ打ち合わせとか挨拶に来たみたいで、スーツ姿がかっこよくてさ・・・』
「イケメンで羨ましいくらいだわwwwでもきみの好みならおら興味ないわきっとwww」
『うん、絶対興味ないと思うわ』
「じゃあ、一緒に暮らし始めたら写メ送ってね」
『いや、そこまで仲良くならないと思うけど・・・』
「こっそり盗撮しな」
『わかった、じゃあきみもね』
「いや、うちはね、キンコメの今野だから」
『え!?そうなの!?』
「今野想像してるからいいのさ」
『むしろ今野面白いからいいしょ』
「うん、いいのさ」
『じゃあ今野とのツーショット頼むわ』
「OK」
『じゃあ、お風呂入って寝るわ』
「うん、じゃあな」
(まぁホント別にどうでもいいし・・・)(家賃だけはちゃんと払ってくれれば・・・)
そんなことを考えながら、あっという間に時間は経ち、
気付けば引っ越しの当日となっていた・・・
――――――――――
「おーい、まなみー開けろー」
インターホンが鳴ったので、玄関へ向かう
「亮どうした?」
「いや、そろそろ来る頃だから、俺も引っ越し手伝ってやろうと思って」
「優しいな!その優しさ私にも出して!」
「お前にはねーわ」
「なんでさ!」
「今ガクトが連れて来るからよ」
「うん、わかったよ・・・じゃあ私は・・・」
「お前も引っ越し手伝うのか?」
「私は部屋でゲームしてるから、終わったら呼んで!」
ビシッ
「いたっ!」
「お前なー、今日から一緒に暮らすんだろ!」
「暮らすって・・・ルームシェアだよ!」
「だからってそんなんでいいと思ってんのか!」
「いいだろ!自分のことは自分ですればいいんだから!!」
「何言ってんだよ!少しは仲良くなる努力をしろ!」
「はぁ!?そんなのいらないから!」
「バカかお前は!」
真面目亮に怒られた
っつーか、こいつルームシェアを同棲かなんかと間違ってんじゃないか
(これだから実家暮らしはwww)(ホント、お金の危機感ねーのなこいつwww)
(お金のために暮らすし、別にお互い干渉しなければいいだけなのにwww)
「何騒いでんの~?」
亮とそんな言い合いをしていたら、ジロが現れた!
「ジロー!助けてー!亮がバカだ!!」
「は!?テメェ何ってんだ!」
「宍戸はずっとバカだよ~」
「その通りだ」
「ジロ~~~!!」
「そういえば、アイツ来たよ」
(!)
(とうとう来たか!)(今野!)
「マジか」
「今ガクト連れて来るわ」
「うん、じゃあアタシは部屋に籠ってるから、」
「相変わらずやなぁ、お前は」
部屋に戻ろうとしたアタシの前に・・・
(え・・・)
(嘘でしょ・・・)
(何でコイツが・・・!)
「よぉ、子豚ちゃん、相変わらず足ぶっといなぁ」
メガネを光らせた キモタリ が現れた
ガ━━(;゚Д゚)━( ゚Д)━( ゚)━( )━(゚; )━(Д゚; )━(゚Д゚;)━━ン!!!!!
「え、う、嘘・・・ま、まさか・・・ルームシェアの相手って、コイツなの・・・?」
「すげー動揺してるC~!!マジマジうける~(笑)」
「あほ、お前となんか暮らしてたまるか」
「よ、よかった・・・!こっちこそお前となんか暮らしてたまるか!!」
「相変わらず仲悪いなお前ら」
「いや、初対面が最悪だったからね」
「俺のが最悪やわ、メガネ割られたんやで」
「お前がセクハラしてきたから悪いんだろうが!」
「まぁまぁ、落ち着けまなみ」
「落ち着いてられるか!なんでこいつが・・・!」
「お、みんな部屋にはいんねーで何してんだよ」
そう言って、ガクトがやってきた
(ガクト!)
そうして、その後ろには・・・
「まなみ、こいつがお前のルームシェアの相手」
「あ、どうも、はじめまして!」
忍足謙也言います!!
そう言った、その男の名前を
アタシは
聞き逃さなかった・・・
「え・・・?おし、たり・・・?」
「イトコなんだよ!」
「え?い、いとこ・・・?」
「そう、ユーシのイトコ」
な、
なんですと!!!!????
(アタシが大嫌いな忍足のイトコとか!!!)
(なんで先に言わない・・・!!!)
(こいつら知ってて言わなかったな!!!)
最悪だ・・・
クソメガネと血縁関係のある男と住むことになるなんて・・・
「・・・じゃ、アタシはこれで」
「いやいや、ちょっと待てよお前!」
「だって!!いとことか!!そしたらこのクソメガネが家に遊びに来たらアタシどうすればいいの!!」
「遊びに来るわ、東京来る時は泊まりに来たるわ」
「ほらぁ!いやだぁ!」
「どんだけ仲悪いんだよお前らは」
「お前らうけるなwww」
「いやだあぁぁぁ!!」
そこへ、
「すみませーん、忍足様の荷物はここでいいんでしょうか?」
「あ、ここっす!」
「じゃあ、運ばせてもらいますね!」
引っ越し業者が来てしまった・・・
(ああああ・・・!)
(後戻りはできない・・・)
ドアや家具を傷つけないよう、保護シートを取り付け始めた業者
もう、今更後戻りはできないところまで来ていた・・・
(仕方ない・・・)
(メガネは出禁にしよう・・・)
アタシがそう考えていると、
「あの、これ、良かったら食うてください」
そう言って、菓子折りを渡された
(!!!??)
さっきはあまりのパニックで全然意識してなかったけど、
ニコッと笑ったその人は・・・
(・・・さおちゃん)
(今野じゃなかったわ・・・)
(これは・・・きみのイケメンに負けないレベル・・・)
けっこうなイケメンだったことだけが救いだと心の中で思っていた