今日は彼女と二人きりのお出かけや!!!!!!
いやほんまに偶然やけど白石とさおりちゃんが一緒にアイテム探しに行ってくれたおかげで
俺はまなみちゃんとのんびり海デートや!!!よっしゃ!!!
とか、のんきに言うてる場合やないで・・・
「船乗りたくない」
「酔うからヤダ」
「船は無理」
絶賛駄々こねられ中やで!
「いやいやいや、船乗らんと水タイプのモンスター捕まえられへんやろ?」
「なんで?船乗らなくてもよくない?とらおとかの背中に乗せてもらって空飛んでいけばよくない?」
「いやええで!?ええけど飛んでたら水の中もぐれへんのちゃうか!?」
「え!?潜るの!?」
「潜らな・・・水のモンスターGETでけへんやろ・・・?」
「え・・・アタシ泳げないから無理・・・」
「え・・・ほな何しに来てん・・・」
「・・・とりあえずシーフード料理のお店多いから食べてかない?」
「・・・・まぁ・・・ええけど・・・」
いやデートやん
それただのデートやん・・・!!!
(いやいや!!喜んでる場合とちゃう!!!)
(海辺の街でオシャレなシーフード料理食べながらただ帰るて・・・)
(そんなん、時間を無駄にしたらあかん!!)
(それでなくとも早うゲームクリアして元の世界に戻って貰わなあかんのに!)
楽しいデートは現実世界でお願いしゃっす!!!!!!
(・・・せやからちゃんと)
(目、覚ましてな)
「やっぱ良くないわ!ちょお俺水系モンスターの情報聞いてくるわ!」
「えーーーーシーフード食べたいーーー」
「ほな全部終わったら食ってこ!ほなおれ聞いてくるで!」
「シーフード食べて帰ろうよーーーー」
「ええからここで待っとって!!ここおってな!!!」
ぶーたれるまなみちゃんを気にしながら俺は走って聞きこみ調査しに行った。
この辺は港町として栄えてて観光客も多いらしいんやけど、たまに出るモンスターには頭を悩ませとるらしい。
特にイカの巨大モンスター。
浅瀬から届く範囲の人間をさらったり、店とかも壊していくからみんな困っとるみたいやった。
(これ、味方に出来たらめっちゃ強いんちゃうか?)
(けど水の中のモンスター・・・どうやっつけたら・・・)
そんなことを悩みつつ、先程まなみちゃんにおってな!って言うた場所に戻ったけど・・・・・・
おらん!!!!!
まぁおらんと思っとったけどな!!!!!
見事に予想通りおらんかったわ!!!!
(まーーーったく!)
(ちょっと目離すとすぐおらんくなるな!)
(まぁ人のこと言えへんけど!)
キョロキョロと見回しながら彼女を探すと
さほど遠くない茂みの中で何かをしている彼女を見つけた。
「あー、おったー!めっちゃ探したで!」
何しとんねん?と覗くと
まなみちゃんは1匹のモンスターと一緒におった。
「・・・ん?フレンズ?」
「いや、野生の子」
モンスターは走って逃げていき、その後ろ姿を見ながらまなみちゃんは言った。
「・・・人間たちがあの子いじめたから」
「え?」
「怪我してたから治してあげてた」
「あ、そうか・・・」
モンスターおったらそら攻撃するよな・・・と、頭に浮かんだがそれを言葉にするのはやめた。
きっとまなみちゃんからしたらモンスターは犬や猫のような存在なんやと思う。
「食べ物あげたんか?」
「うん。おにぎり作ってきたから食べさせた」
モンスターには薬草や回復薬も効くけど、人間ほどの効果はない。
一番効くのはまなみちゃんが作った食べ物やった。
まなみちゃんが作る食べ物は人間の体力も気力もステータス異常も全部治してまうけど、モンスターにもはちゃめちゃに効く。
おにぎり食べただけで全回復する。
「優しいやん」
「当たり前だろ」
「自分で言うんかい」
「・・・あの子、もう人間に攻撃されなきゃいいな」
後ろ姿が見えなくなるまで
ずっと彼女はモンスターの姿を見つめとった。
(綺麗やな)
その姿が美しくて
俺は目が離せんかった。
「・・・ちょっと、見すぎ」
「あ、す、すまん!!」
「んで?なんか情報得たの?」
「あ、あぁ。どうも巨大イカのモンスターがおるらしくて人を連れ去ったり大変らしいわ」
「へぇ・・・」
「漁師のおっちゃんらもモンスターの魔力のせいで魚が逃げてまうから困ってるらしいわ!やっつけてくれるんなら船出すしスキューバダイビングのセットも貸してくれるて言うてたで」
「ふぅーん」
(・・・ふぅーんって・・・・・・)
彼女はスクッと立ち上がった。
(モンスター捕まえに行かへんのかな・・・)
「やっぱ帰る?体制整えてからでも・・・」
「行く」
「ん?シーフード料理店?」
「ちがぁう!」
「・・・モンスター捕まえに?」
「うん」
アタシもっともっと強くならなきゃ
彼女は何かを決意したように呟いた。
(お!)
(やる気出した!)
「ほんまに!?良かったぁ・・・はよゲームクリアして戻りたいもんな・・・!」
「いや、違うよ」
「え?」
「アタシ、魔王倒してさ」
「おぉ?」
「そんで魔王を仲間にする!」
「は!?魔王を仲間に!?出来るんか!?」
「わからんけど。出来なくても説得する!そんでこれ以上モンスターが傷つかないように平和な世の中を作る!」
モンスターたちが傷つくの可哀想だもん・・・
そう言った彼女がなんとも儚げで
なんとも健気で
俺は・・・
俺は・・・!!!!!
(こーゆーとこやねん!)
(こーゆーとこが好きやねん!!)
現実世界でも何度か見かけたことがあった。
商店街で小さな子供たちと遊ぶ彼女の姿。
犬や猫に餌をやる姿。
お年寄りの荷物持ってる姿。
きっと商店街が大好きで、商店街に住むみんなのことも大好きで、ほんで言葉には出さへんけどめっちゃみんなを大切に思うてて。
可愛い、そう最初は思うて目が離せんくて、そういう一面を知って更に惹かれて。
あぁ、好きやな・・・と、素直に思うた。
「お、俺も!俺も手伝うで!」
「うむ。もちろんきみには私の右腕となってもらわんとな」
「任せとき!」
「魔王を従えるのは並大抵の事じゃ出来んけどな・・・魔王を配下に置いたら私は無敵・・・!世界征服じゃ!!」
「え・・・?待って?それやばないか?魔王の上ってやばいやろ?世界征服したらあかんやろ?」
「え?でもさ、ドラクエとかも勇者が魔王倒したら魔王より強いんだから世界最強になるじゃん」
「確かに」
「まぁ魔王レベルだと仲間には出来ないと思うけど、倒したらアタシが世界最強ってことになるよね」
「まぁ・・・倒せばな?」
「世界最強になったら害をなすモンスター以外は傷つけるの禁止と全世界におふれを出すよ!」
「あー、なるほど」
「人を食べるモンスターはダメだけどそれ以外はポケモンみたいに共存して欲しいんだよね」
「共存!ええな、それ!」
「でしょ!だからがんばって仲間も増やすしレベ上げもするぞー!!」
「よっしゃ!がんばろ!ほな俺船とダイビング一式借りてくるわ!!」
(ポケモンみたいに共存!)
(めっちゃええやんそれ!)
(絶対そんな世界作らなあかんわ!)
俺は張り切って船と船長さんとダイビング道具一式を借りてまなみちゃんと海へと旅立った!!
イカでもタコでも何でも来いっちゅー話や!!!
~30分後~
「オエェェェ」
「だ、大丈夫か?水飲むか?」
「こないで・・・!水置いてどっか消えて!!!」
「いや・・・ここまで船酔い酷いとは思わんくて・・・どないしよう・・・」
「いいから!ほっとい・・・オエェェェ」
「水飲みや!?あとなんか酔い止めみたいなんないか探してくるわ!」
「酔い止め・・・そうだ作ればいい・・・私は料理人・・・なんでも出来・・・オエェェェ」
「立ち上がれもせんのに料理なんて出来へんやろ!!水ここ置いとくで!待っててな!!」
(あー、やっぱ無理やり乗せた俺が悪いよなぁ・・・)
(せやからあんなに嫌がっとったんか・・・)
(可哀想なことしたわ・・・)
(気持ち悪すぎて海に潜る準備もでけへんやろうし・・・)
(ここは俺一人で行って弱めの水モンスター連れて上がってくるか・・・)
(うーん・・・とりあえず船から下ろした方がええよなぁ・・・空飛べるフレンズ呼び出して背中に乗せてもろたほうがええかもな・・・)
(モンスター出したら船長さん驚くかもしれんしギリギリまで出さないとか言うてたけど・・・)
(そんな悠長なこと言うてられへんで)
俺は船長に薬の場所を探して、甲板から階段を降りていくつかある部屋の中に入った。
(船長あるなら倉庫て言うてたけど・・・どこやろ)
早う持ち帰って飲ませてやらんとあんなに船酔い酷いなんて可哀想や・・・
そう思いながら部屋を探してた時。
ガゴンッ
急に船が大きく揺れた
(!?)
(なんや!?)
(船がこんな大きく揺れるって何かにぶつかったんとちゃうか!?)
(やばいやろ!!)
そう思った次の瞬間
部屋についてる水中を眺められる窓が何かによって塞がれた
(え・・・?)
急に暗くなった船内に慌てて廊下に飛び出した。
「な、なんや!?」
ガゴガゴガゴ
船がゆさゆさと揺れる
「・・・ウソやろ・・・」
廊下の水中窓から見えたのは
大きな大きな 吸盤 やった。
(イカのモンスター!!!??)
(や、待って・・・!?予想より遥かにでかい・・・!)
(この船の何倍のデカさやねん・・・!!)
ガシガシと船はゆらされ続け歩くのも困難な中
(あっ!まなみちゃん!!!!)
(甲板におる・・・!!)
(危ない!!!!)
俺は急いで甲板に向かう階段をかけ登った。
「まなみちゃ・・・!!!!!!」
甲板に出て
目に入ったのは。
規格外の大きさのイカやった・・・
(こんな・・・)
(こんなデカいなんて・・・)
イカは船に絡みつき、今にも沈めようとしとった
(やばいて!!!)
(まなみちゃん・・・まなみちゃんどこや!?)
見渡すと、手すりに必死に捕まる彼女・・・
けど激しく揺れる船の酔いなのか、あまりにもモンスターかデカすぎての恐怖からか、彼女の顔は真っ青やった。
「まなみちゃん!!!!!今行くから!!!!絶対離さんとってな!!!!」
揺れて足元がおぼつかない中、なんとか必死にまなみちゃんへと近づこうとする・・・
と
【ギシャアアア!!!!】
モンスターが奇声を上げて足を1本高くあげたかと思ったら
まなみちゃんの体を掴んで彼女を宙へと浮かべた
「まなみちゃん!!!!!!」
やばい
やばい
彼女ゲームの中で死んだら現実にも死んでまうねん
ここでもしやられたら
もう二度と 目を覚まさへんねん
あかん
それだけはあかん!!!!!
「まなみちゃん!!!!」
無我夢中やった。
もうここからはほんまに必死でほぼ記憶にもないくらい。
ただ俺はものすごい速さで弓を打ち、イカの足の力を緩めてまなみちゃんが船の上に落ちて よかった! と思ったんや・・・
そして
それから
気がつけば俺は別の足に捕まって
水の中に引きずり込まれとった
水中で息が出来ず
苦しいともがいて
そして
記憶は途絶えた。
「謙也・・・っ!!」
すんごい船酔い気持ち悪かったけど
謙也がイカに海中に引きずり込まれた事で一瞬で酔いが覚めた。
これはやばい
(謙也が危ない・・・!!!)
これはゲームの世界だってわかってる
アタシ達と違って謙也なら死んでもまた生き返れることも知ってる
でも
でも・・・!!!!!
(だからといって謙也が苦しまないわけじゃない!!)
(早く・・・なんとかしないと!!)
アタシはすぐにさおちゃんからもらったエージェントを取り出した。
「agent!!誰でもいいから仲間を出して!」
誰が必要だとか考えてる暇なんてない
ヒュン
音を立てて数匹フレンズたちが現れた。
「お願い、みんな、力を貸して!謙也が海に連れていかれたの!助けに行きたいの!謙也が死んじゃう!!助けて!!」
そう叫ぶと
ポワ
魔術師が空気の玉をアタシの周りに作ったのだ
(これで・・・行ける!)
アタシは海に飛び込んだ。
(海の中でも息ができる!これなら・・・!)
ゆっくりと海底に向かうイカのモンスターが見えて、アタシは急いでイカに近付いた。
「謙也を!!!返せ!!!!!」
出刃包丁を振り下ろすと簡単に足が切れた。
アタシ料理人だから武器は包丁だよ!
部位ごとに点線に別れて見えるからめちゃくちゃ捌くの上手いからね!!
生き物怖くて捌いたことないけど!
あと料理人の特性で急所も見えるからね!!コイツは手が邪魔でよく見えないけど・・・
でももうそんなこと言ってらんない!!こいつだけは許さねぇ!お刺身にしてやる!!!!
イカはギィィ!!と声を出して、みるみる間に切り落とした足は回復していった。
(!?)
(回復速度が早い!)
やっつけるのはともかく、謙也を掴んでる足を切断してとりあえず謙也だけでも助けようと思ったんだけど・・・
「ぐにゃぐにゃしてわからん!!!!」
なんせイカの足は10本だから長い足が海中で動いてるとよく見えないのだ・・・
(どうしよう!)
(謙也が!!!)
その時だった
風の刃がイカの足を一気に三本切り落とした
(!!)
(この攻撃は!!)
フレンズたちも空気の玉の中に入り、アタシの後を追いかけて来てくれた。
「みんな!!!!」
謙也が危ないの!って言うと おさるが指をさして教えてくれた。
見るとイカの足に捕まったままの謙也は
顔だけ空気のまくが張られていた。
「ありがとう・・・でも水たくさん飲んでると思うし水中に入って長かったから・・・急いで助けなきゃ!!」
そう言うと みんながイカに一斉攻撃した。
ブワッ
イカが墨を吐いた。
「わ!ちょ・・・真っ暗で何も見えない・・・!!」
目の前が真っ暗な闇になって
上下左右も何もわからない
ただ暗闇に浮いているようで 怖くて
(・・・どうしよう!!)
(こんなことしてる場合じゃないのに!!)
(謙也が・・・)
(謙也助けたいのに!!!!)
その時
【クラーケンの墨は奴の魔力が含まれているのでしばらく消えません・・・私が消しましょう】
声が聞こえた。
(・・・これ)
(モンスターの声だ)
話が出来るなら知能が高い証拠。
私に話しかけてるんだとしたら敵ではない・・・と思う。
しばらく様子を見てたら 暗闇がスーッと晴れてきた。
「・・・え?」
そこにいたのは
【クラーケンの巣はこちらです ご案内します】
私に話しかけてた モンスターは
「人魚!!?」
綺麗な人魚だったのだ・・・!!!!
「助けてくれてありがとう!協力してくれるなら・・・時間がないの、案内してくれる!?」
【えぇ、こちらです】
私は泳げないし空気の球に包まれてるだけだから複数の人魚たちもやってきて空気の球を押してもらった。
すごいじゃんこの玉!
割れないじゃん!!!
フレンズたちももちろん一緒についてきたよ。
【ここがクラーケンの巣です】
「クラーケンっていうのかあのイカ」
【やっかいなモンスターです・・・特にこのクラーケンはメスでして・・・】
「モンスターも性別あるんだやっぱ」
【見てください・・・】
クラーケンの巣は大きな船だったんだけど
そこからにょろにょろはみ出るイカを見て 早く謙也を助けなきゃって気持ちであんまりちゃんと見てなかったんだけど
よく見ると船の壊れた壁の隙間から 白い丸いものが・・・
「・・・え?あれガイコツ?」
【そうです・・・まだ肉がついて腐敗途中のもあります】
「げぇぇ!!!!ちょっと頭から骨見えてるじゃん!こわ!!!まだ骨だけのが見れるわ!!肉腐ってんのヤバイ!!!こわすぎ!!」
【あのイカの趣味なのです・・・あのイカはメスで、人間や我々人魚族のオスを絞め殺して壁に飾ります】
「悪趣味!!」
【早くお連れ様も助けないと絞め殺されます】
「絞め殺される前にもしかしたらもう窒息死してるかもしれない・・・!!!急がないと!!謙也に何かしたら許さない!!!!!」
なんか考えてたらすごい腹立ってきた・・・!!!!!
男壁に飾るって何なの!?あたおかでしょ!!!!!
イケメンは確かに観賞用だし謙也もイケメンだけど!!!!!!
謙也は!!!!
笑った顔が一番 かっこいいんだから・・・!!!!!
(ぶっ殺す!!!!!!)
あまりの怒りに腹が立ちすぎて 船に隠れてるイカに向かった
周りには私のフレンズたち。
イカが逃げないように取り囲んでくれてるから 心強い。
【クラーケンをお倒しください!!墨は私の吸収貝で吸い取ります!!奴の弱点は・・・】
「わかってる!!!見えてる!!!!!」
ムカつきすぎて どうしようもなかった
「アタシの謙也を返せ!!!!!!」
クマゴローが船に木の根を張ってイカの動きを抑える
墨を吐いても人魚さんのアイテムで全部吸い取れる
ウルフの氷で足の一部を動かなくさせて
とらおが海底の砂を操り
びょん吉とおさるはイカの動いてる足をおびき寄せ
そしてアタシがその隙間から 船の中に入り込み
「お前の弱点は 隠してるこの足・・・ここに本当の心臓があるの バレバレなんだよ!バーカ!!!」
大きな手羽包丁でブッさした
【ギャアアアアアアアア】
イカは大きな奇声を上げて 動かなくなり
アタシはすぐに謙也に駆け寄った
「謙也・・・!!謙也!!!!!」
(え、どうしよう・・・!)
息してない・・・・!!!!
「どうしよう謙也が!!!!!」
魔導士が私と謙也を同じ空気の球に入れてくれて
すぐ謙也の鼻に手をかざす
「・・・ダメだ、どうしよう!!!」
パニックのアタシにフレンズたちが心配そうにクゥンと泣いた
【息を吹き返せば まだ間に合うかもしれません!!人間は水を飲みすぎると息が止まります・・・!水を肺から出せばもしかしたら・・・】
水を出す・・・
「やってみる!!!!!!!!!!
アタシは思いっきり 息を吸い込んで
「謙也!!!起きて!!!!」
そうして謙也の鼻をふさいで 思いっきり口から息を入れた
何度も何度も繰り返して、胃の辺りももぐっぐっと押して
(謙也)
(目を覚まして!!)
そして
「・・・ゲホッ!!ゴホッ!!」
水を吐きながら 謙也は息を吹き返した。
アタシは嬉しくて 思わず謙也に抱き着いた。
「謙也!謙也・・・!よかった・・・!」
「ゲホッ・・・ま、まなみ・・・?」
「わ~ん😭心配しただろうがバカ~😭」
「まなみ・・・無事やったんか、よかったぁ・・・夢とちゃうよな・・・」
「夢じゃないよ!もう!なんであんな無茶なことするの!!」
「・・・せやってお前、ゲーム内で死んだらもう生き帰られへんやん・・・どんな無茶しても絶対助けるわ・・・」
「だからって!もー!バカ!2度とこんなことしないで!!ゲームでも、絶対、もう・・・謙也死んじゃうかと思って・・・アタシ・・・」
「ハハ・・・助けてくれておおきに」
実はむっちゃ苦しいし怖かったんや、と謙也は笑った
(もう・・・!当たり前だよ!!)
(ゲームだとしてもここはリアルな世界だから怪我しても痛いんだから)
(溺死なんて地獄だよ・・・)
「・・・ゲームだから死んでもいいなんて二度と思わないで」
「・・・おう」
【お、お取り込み中のところすいません】
!?
ヒェ😨
めっちゃ見られてた・・・!!!!!!
めちゃくちゃ人魚たちとフレンズたちに見られてた・・・!!!!
地獄!!!!!!!!!
慌てて謙也から離れて(っつっても同じ空気の玉に入ってるから距離めっちゃ近いけど)
人魚たちに な、な、なんなの!? と逆ギレみたいに言ってしまった・・・
【も、申し訳ありません!クラーケンが・・・クラーケンがまだ動いているのです!!!】
そう震えながら人魚が言った。
その言葉を聞き、クラーケンに顔を向けた。ニョロリ、と足のひとつが動いた。
(マジかよ)
(生きてたの?)
(もう・・・それでなくとも水の中でいつもと勝手が違ってやりにくいっつーのに!!)
謙也だってまだ体調が戻ったわけじゃないし・・・早く回復アイテム食べさせないと・・・
一旦引くか?いや、でも人魚たち怯えてるし、まだ今なら留めさせるかもしれんし今のうちに・・・
グルグルと頭の中でそんなことが駆け巡っていた私の手に
ポン
と謙也が手を重ねた。
(え!?!?)
(な、な、な・・・!!!!!)
「・・・心配せんでもきっと大丈夫やで」
ほれ、と謙也が言うから
クラーケンの頭を見ると
くぅぅぅぅぅん🥺
!!!!
仲間にして欲しいやつじゃん・・・!!!!!!!
強い水モンスター欲しかったから承諾!
でもめっちゃおこだよ!
この子はイケメンが好きで抱きしめてコレクションにしてたけど死んじゃうしなんで骨になるのかわかんなかったとか・・・
モンスターだからいいけどこれ人間が言うとただのサイコパスやぞ。
反省させて人魚たちにも事情説明して謝らせた。
そして改めて人魚たちに感謝されたのであった。
【クラーケンを倒していただきありがとうございます】
「あぁ、いいのいいの。仲間にもできたし・・・人間だけじゃなくて人魚も同じ海に住んでても襲われてたりしたの?」
【はい・・・男性の人魚はコレクションにされてしまいました・・・私の愛した人間の王子も・・・】
「マジか!全く悪いやつだ!!人魚と人間の恋とか最高に尊いだろうが!!!何してんだイカ子!!!!(イカ子反省中)」
【ですから・・・貴女様の愛する人は助かってよかったです】
「え?愛する人?誰が?」
【え・・・私のって叫んでいらっしゃったので・・・】
「え・・・それってまさか俺のこ」
「違う」
「けど」
「違う!!!!!!」
【口づけもされて愛の力で蘇っていたではないですか!】
「それ人工呼吸!!!!!」
「マジか・・・そこまでしてくれとったとは・・・」
「チガウ!!!!!」
「俺、ゲームやけどめっちゃ苦しくて、ほんまに死ぬかと思うてたから・・・見捨てずに一生懸命助けてもらえてよかった・・・ほんまにおおきに」
「別に一生懸命助けたわけじゃないって!」
「めっちゃ嬉しかったわ・・・ごめんな、俺が助けなあかんと思うてたのに逆にそんなに必死に助けてもろて・・・」
「だから必死に助けたわけじゃないって!!荷物持ちがいなくなるから仕方なく・・・!」
あんたなんてアタシの雑用係なんだから!!!!!
そう言ったところで デレデレした謙也の耳には届いていないようだった・・・
なんだこいつもういいほっとこ・・・
「そんなことより、クラーケンも仲間にできたしもう戻るよ」
【お待ちください。お礼をさせてください】
「お礼?そんなものは別に・・・」
【いえ、助けてくれた人間へ必ず渡すようにと我が種族で伝承されて来た宝があります・・・これを受け取ってください】
「え!?宝なんて受け取れないよ!助けたつもりもないし!謙也のアホが捕まって仕方なく倒しただけだし!!仲間にできてラッキーなのアタシだし!」
【しかしこのままでは我々人魚族は滅びていました・・・感謝しております】
「うーん、まぁくれるっつーならもらうかな・・・ありがと!!」
【それから私も貴女様の仲間にしてください】
「へ?」
【私はこの海の人魚族の王です。上級水魔法が使えますし陸でも戦えます・・・お願いします】
「いや・・・それはもう仲間になってくれるのはありがたいけど・・・女王いなくなったらやばくない?」
【大丈夫です・・・次の世代へ引き継ぎますので】
「そうか・・・どうしよっかな?」
「ええんちゃう?来たい言うてるんやし」
「お前・・・美人だからってヘラヘラしてんじゃねぇぞ・・・」
「いや!?そんなつもりないで!!?」
「綺麗な人魚姫見てデレデレして・・・マジ男って最低だな!!」
「ほんまにそんなつもりないって!!戦力強化されるなって思うただけやん!!」
【あの、お取込み中申し訳ないのですが、私は・・・オスです】
「へ?」
【可愛い恰好が好きなだけです(ニコ)】
まさかのジェンダーレスだった人魚の王と契約して
とりあえず先に地上に戻ってることにした。
人間の王子に恋してたって言ってたからてっきり女の子かと思ったよ・・・まぁ人間にも色々あるから人魚だって色々あるよな・・・・
人魚の王の名前どうしようかなー・・・
とりあえず彼?はクラーケンに殺された人魚と人間の死骸を全部埋葬してくれて、王の仕事の引継ぎを終えたらきてくれるらしい・・・助かる。
無事に全部終わったしフレンズたちが水の中いやみたいだから先に地上に返しといた。
アタシと謙也も地上に向かおうとした・・・時、イカ子が住処にしてた沈没船から何かを持ってきてアタシに渡した。
「ん?くれんの?」
「海の中ってやっぱお宝多いんやな!人魚も沈没船もロマンあるわ・・・!」
「イカ子くれたけどどうしよう」
「もろとけばええやん!こういうミッションクリアした後のアイテム報酬って大きいで!」
「とりあえずもらっとこっかな!ありがとなイカ子!ストレージの中、湖みたいのしかないけどイカ子住めるかな・・・」
「うーん、一旦人魚の王様と相談したらどうやろ」
「だね!じゃあイカ子も王様来るときに一緒に来るということで!それまで自由に海で過ごしてて。もう絶対に悪さしたら駄目だよ!!人魚とか人間襲ったら許さんからな!」
イカ子によく言い聞かせてアタシと謙也は地上に向かった。
(しかしあれだな・・・)
(同じ泡の中に入ったままだった)
(魔導士くん!!!!!せめて空気の球分けてから行ってくれよ!!!!)※もう地上に戻ってる
(なんか・・・距離近くて・・・)
(こんな狭いところで同じ空気吸ってると思うと緊張するわ・・・)
「海の中やのに暗くないの不思議やなー。さすがに下の方は暗く見えるけど」
「どこまで行っても見えるところがゲームっぽいよね」
「まぁそうやな・・・水の中で息は出来なくなるけど水圧とかも関係なさそうやったし」
「さすがゲームって感じ・・・謙也のこと助けなくてもよかったよねこれ」
「え!?いや、けど結果モンスターやっつけれたしよかったやろ!?」
「結果はよかったけど・・・あんな苦労して必死になることもなかったなって」
「・・・やっぱ必死になってくれてたやんか」
「・・・いやなってないけど」
「なんでそないに天邪鬼なんや~!!俺のこと助けてくれようとしたんやろ!?キスまでして!!」
「人工呼吸だよ!?いやまぁでもゲームの中だかららね?そのくらいなんてことないわ!」
「・・・絶対、戻ろうな」
「何?」
「絶対に!!現実の世界に戻ろうや!!ほんで俺・・・今日のお礼するから!!」
「そんな気合入れんでも・・・」
「・・・ちゃんと、向こうの世界戻ったら伝えたいことあんねん」
「・・・」
「聞いてほしいねん・・・せやから絶対に戻ろ・・・俺も頑張るから・・・」
「う、うん・・・」
「・・・」
な、なんか 甘酸っぱい~~~~!!!!!!!
なんじゃこの雰囲気~~~~!!!!!!!
逃げ出したいのに空気の球一緒だから逃げられな~~~い!!!!!!
しんどい~~~!!!!!!!!!
「・・・・・・・」
「ん?どうした?謙也」
「・・・なんか聞こえへん?」
「何が?早く戻らないとみんな待ってるわ」
「・・・なんやろあれ」
「何?」
「あれ、向こうからなんか来てへんか?」
「ん?魚かな・・・泳いでるね」
「まさかモンスター!?」
「え!?マジで!?待ってくれ仲間たちがみんな地上だ!!!!」
「ちょ・・・なんや・・・・近づいてくるけど・・・なんやあれ・・・」
どんどん近づいてくる魚・・・
魚・・・
魚・・・だよね?
ねぇ、待って・・・
めちゃくちゃ大きい・・・・・・・
近づいてくるその生き物は近づけば近づくほどどんどん大きくなって
その大きさは シロナガスクジラの何倍もありそうな・・・
あ、そうだこれは・・・
「海王類だ・・・」
「え!?」
「ワンピースに出てくる海王類だよこれ・・・・!!!!!」
「あああああかん、これぶつかっても確実に死ぬし食われたらもう終わりや・・・!!逃げな・・・!!」
「待ってアタシ泳げないからゆっくりしか進めない!!」
「急げ!!近づいてきたで!!アイツの動きで海流が動く!!」
「やだ!!!何これ!!!動けない・・・!こわい・・・!!大きすぎる!!!!むり!!!!!」
「落ち着け!!!はよ逃げ、」
「むりだよ駄目だ」
大きすぎて逃げられない
そう言おうとした瞬間
気付いたら真後ろまで来ていたものすごく大きな生物に
アタシと謙也は飲み込まれたのだった。