（はわわ・・・これは新作のビデオカメラ・・・）
（可愛い・・・）
今日はこれから習い事（日舞）があるのだけど
先生から急きょ時間の変更があって少し暇になってしまったので
大好きな家電屋で時間を潰しているところ！
（あ～やっぱデジカメいいな）
（ちょっとこのブレンダーすごいいいな・・・）
（そういえばもうすぐ歌仙の誕生日だからあげたいな・・・）
（うーん、ちょっと高いから学生のみんなでワリカンで買えないかな・・・）
そんなことを考えながらあと1時間半もある時間を潰す
というか全然楽しくて1時間半で足りるのかな、はぁ家電最高👍
「あ、このＭＰ３プレーヤーかわい・・・」
スッ
（ビクッ😨）
突然大きな手が同じ商品に伸びたものだから驚いて手を引っ込めた
「あ、すいませ、」
謝ろうとして
「お、すんまっせん」
重なりそうな大きな手に 一瞬で、男の人だ！って気づいて 顔も見ずにその場を去ろうとした・・・
「・・・なーんか見たことあるちゃ思うたら 跡部の幼馴染やなか？」
（え？）
ふと、顔を上げた。
（・・・・・・・・）
ん・・・？
いや・・・・・・・
見たこと ないな？
知らない人だな
え、一体誰？
跡部って言ってたから・・・跡部の友達・・・？
「えっと・・・」
「あぁ、俺んこと知らんが」
「え、あの」
「まぁわからんくても当然ちゃ！俺はテニス部の・・・去年３年で、」
「あ、テニス部の・・・去年３年ってことは、私会ってますよね、すいません」
「いや、男は多いきに覚えてなくて当然たい！女子は少ないから全員覚えとったばい」
確か双子の、生徒会のほうの・・・何度か見かけたことあっとよ
そうその人は ニッと笑顔を見せた。
（・・・え？）
イケメンじゃね？？？？？？
「名前は鈴木！鈴木惷ばい！」
「あ、まえさおりです・・・（名前聞いても全然わからんや・・・）（でもイケメン）」
「今日は双子のもう一人おらんとね？」
「あ、今日は私だけで・・・ちょっと時間つぶしです」
「家電屋で？」
「？ はい」
「女子ば服屋とか雑貨屋とか見るもんやなか？」
「あぁ！いえ私は家電が好きなので服とか見るよりもこっちのほうが楽しいんです」
「ほんなこつね！？ほんならこんＭＰ３プレーヤーどぎゃんね？」
「ソニーのこの桜色のですか？これ可愛いですよね！６４ＧＢだしハイレゾ対応でこの値段はお手ごろだと思います！」
「おおお！たいぎゃ詳しかね！ほんなこつこっちは？」
「え、これはここがメリットなんですけどここがデメリットかと・・・」
「んー・・・俺はこぎゃんほうがよか思うたい！」
「あぁ、なるほど、ここの容量が多い方が・・・」
突然嵐のように現れた先輩は 家電の話を当たり前にしてくるものだから
驚く暇もなく私の心に、スッと入り込み
まるでずっと前から友達だったかのように コミュ力の低い私も緊張せずに会話が出来た。
そして気が付けばあっという間に１時間半。
「あ、私もう行かないと！！」
「お？約束あったがか！それはすまんの！」
「あ、いえ、習い事があって・・・すぐ近くなので！」
「習い事？なんばしよっと？」
「日舞を習ってて・・・」
「おくゆかしかね！ほんなこつ送ってくばい！」
「いえ！すぐ近くなので・・・」
「よかよか！おかげで可愛いの買うたばい！」
「あ、さっきの桜色の可愛かったですよね。プレゼントですか？」
「ん？自分用たい！」
「え・・・カワイイ・・・:( ;˙꒳˙;):」
「かわ！？・・・ばってん桜色好きな男はどぎゃんね？」
「いいと思います！ピンク好きな男性はおしゃれ上級者な感じします！」
「あー・・・・・・・・ライン教えてくれんね？」
「え？」
「や、今日、ほんなこつおもしろか時間やったばい！家電好きな子なんて初めて会うたと・・・よかったらまた家電見んね！？」
え・・・？
えっと・・・・
・・・・・・・・・・・・・・？
( ﾟдﾟ)ﾊｯ!
（そうか・・・！！）
（こ、これは・・・）
（まさか・・・・！！！！）
家電芸人仲間の申し出では・・・・・！？（※芸人ではない）
うそ・・・嬉しい・・・😫
こんな私に家電友達が出来るなんて・・・！！！
昔から無口とか怖いとか言われて全然友達なんて出来ないのに・・・
まぁちゃんや幼馴染がいるからいつもなんとかその繋がりで友達が出来る私に
私だけの友達が！！？！？
家電好きの！！！！！
気の合う友達が・・・！！！！！！
「も、もちろんです！！！またぜひ家電屋さんで遊びましょう！！！！」
私も今日すごく楽しかったです！ って言うと 彼はホッとしたほうに笑った
（あぁやぱりかっこいい・・・）
そして私たちは笑顔でスマホをふるふるしたのだ・・・（嬉しい！）
「じゃあ、えっと、鈴木先輩・・・」
「惷でよか！」
「あ、じゃあ惷先輩、送ってくれてありがとうございました！」
「よかよか～！えーっと、さおり！また連絡すったい！」
「はい！！（さおりだってｗ）（わーい、親しくなった感じ！）また！」
（ふふ♪やった）
（お友達できた！）
（先輩だけど！）
（男性だけど！）
（すっごい気軽に話せた！）
（全然緊張しなかった！）
（楽しかった！！！！）
それが彼の雰囲気なのか性格なのか話術なのかはわからないけど
私にはとても相性がよかったということだ！！
（・・・それにかっこいいしね）
その日から惷先輩とのラインは毎日続き それは私の日々の楽しみになるのだった。
