まぁちゃんが、泣いて泣いて、落ち込んで
一緒に私も悲しくなって泣いた(自分のことで、浮かれてる場合じゃなかった)
なのに、次の日には「告られたさ」とあっさり、言うもんだから、
「ええええ!!?昨日の今日で何があったの!!??」
と、軽くパニックになったよ私は
「告られたんだわ、うけるしょ」
「えー、うけないよ!!」
「うちきてさ、」
「うち来たの!?」
「うん、で、告られた」
「わー・・・」
「きみも頑張りなよ」
「え、」
「デート、土曜日でしょ」
「う、うん・・・」
まぁちゃんはすっきりした様子で、ご機嫌に誰かとLINEしていた
(きっと研修医だな・・・)
(なんだよ、もう)
(そんな急に、)
でも
よかった
「・・・きみが幸せになってよかったよ」
「何言ってんだ、きみもなるんだよ」
「え?」
「彼氏、出来たら一緒にあそぼw」
「え、まだ付き合うとかそんなの、」
「まだそんなこと言ってるのかいきみは!」
「え、」
「いい加減にしないと怒るからね!!」
「わ、わかったよ・・・」
「デート頑張りなよ!!」
「う、うん」
そして、いよいよその日がやってきたのだった
――――――――――――――
(く、車で来るって言ってたけど・・・)
(どうしよう、ドキドキする)
分かりやすいように、近くの駅まで出てきた私は、
かなり早くついてしまった
(あ~どうしよう、)(緊張してしにそう)
(でも、まぁちゃんと約束したから・・・)
(がんばらなくちゃ・・・)
待ち合わせよりまだ時間があるのに、私の目の前に一台の車が止まった
そして、車から降りてきた彼は、
「おはようございます」
と、私に笑顔を見せてくれた
(やばい)(ちょうかっこいい)
(見惚れる)
前に一緒に遊んだ時は、
ずっと”彼女がいる軽い男”としか思っていなかったから、何とも思わなかったけど、
そんな先入観を捨てると、全く違って見えてくる
(すごい、)(まぁちゃんの言った通りだ)
(恋愛の神様かあの人・・・)
「ほな、乗ってください」
そう言って、扉を開ける彼に促されて、助手席に乗った―――――――
―――――――――――
「・・・すごいね、白石くん車持ってるんだね、私のほうが社会人になってから長いのに車なんて買えないよ・・・」
「学生時代にバイトで金貯めてたんで、」
「すごい・・・(見習わないと)」
「いや、そないなことないですよ、実家遠いんで、車で帰れるほうが便利やし、妹とか姉ちゃんに車買って買い物連れてけって使われて・・・」
「あ、そっか・・・一緒に暮らしてるのってもしかして、」
「妹です」
「そうなんだ・・・」
「姉ちゃんもよくこっち出てきてうち泊まって、あちこち連れて行かれます」
「そっか・・・」
(なんだ・・・)
(一緒に暮らしてたの、妹さんなんだ)
ほんと、私
バカみたい
(人間不信すぎて、ホントだめだな)
(勝手に決めつけるのやめよう・・・)
「ねぇ、白石くん」
「はい?」
「今日は、またこないだみたいに、普通に話してくれる?」
私がそういうと、白石くんは、
「・・・おん」
少し間を置いてそう言った
「私、関西弁好きなんだよね」
「え!?」
「かんじゃにえいと大好きでね」
「ああ・・・」
「よく妹とコンサートいくんだ」
「・・・」
「それでね、」
「・・・」
「・・・あ、ごめん、つまらなかったよね?」
急に黙ってしまった彼に、
私も言葉を止める
(や、やだな私・・・)
(話し過ぎちゃった・・・)
そう思ってたんだけど、
「あ、いや、すまん、なんか嬉しくて・・・」
「え?」
「いや、今日めっちゃ話してくれんねんなーって思って、」
「・・・」
「もっと、」
もっと、たくさんまえさんのこと、聞かせて
そう言う彼に、
「・・・うん!」
私も笑顔で頷いた
――――――――――――――――――
彼が連れて行ってくれたのは横浜
横浜はまぁちゃんとイケメンのイベントとかで行ったことはあるけど、いつもちゃんと観光しないから私には新鮮だった
(まぁちゃんと行くのはほとんどイケメンのイベントばかりだからな・・・)
(遠征しても、ご飯は食べに行っても観光しないで終わること多いし・・・)
たくさん遊んで、美味しいご飯も食べて、
最後に私が「レインボーブリッジを見たい」と言ったワガママも、彼は叶えてくれた
「レインボーブリッジのライトアップ見たの、初めてかもしらん」
「え、そうなの?」
「まえさんは見たことある?」
「うん、いつも空港から横浜に行くとベイブリッジ通ってたから」
「え、いつもって?そんな飛行機乗ることあるん?」
「うん、私実家北海道だから」
「え!?そうなん!?」
「うん、あれ言ってなかったっけ?」
「聞いてへんわ・・・はぁまだまだ知らんことたくさんあるなぁ」
「うん?」
「・・・けど、ええわ、これから知ってけばええことやし、」
「え?」
「・・・俺、これからもまえさんとこうして一緒におりたいって思ってんねん」
「・・・」
「せやから、」
「・・・」
「これからも、気が向いたらでええから、こうして付き合ってほしいなぁて」
「・・・」
「あ、無理に付き合わんくてええで!たまにでええから!」
たまにな、ははは、と彼は笑った
ん、
だ、けど、
(・・・付き合ってって言われると思った)
(・・・のに、言われなかった)
(・・・たまにでいいって、)
(・・・なんか、私)
(すごいガッカリしてる)
「・・・たまに、でいいの?」
「え?」
「私は、たまにじゃいやだよ」
「・・・」
「私は、もっと白石くんと一緒にいたいよ・・・」
あんなに
必死に気持ちを伝えてくれていた彼から逃げていたのは私
(今思えば、最初から、)(彼は頑張っていてくれてたのにね)
だから、今度は
私が頑張る番、
「私、白石くんのこと 好きだよ」
そう、自分の気持ちを伝えた
「・・・・・・、」
「・・・」
ガバッ
(わ!)
少し間を置いて、彼が私を抱きしめる
「・・・あかん、おれ嬉しすぎて死にそう」
「え、困るよ死んだら」
「・・・嫌われとると思ってた・・・あんなことしたから・・・」
「・・・嫌いではなかったよ、最低だとは思ってたけど・・・」
「やっぱり思ってたんや!ホンマ、あれだけ反省と後悔したこと人生でないわ・・・」
「・・・すごい女好きって思ってたし、彼女いると思ってたし、最低って思ってた」
「女好きとちゃうよ!彼女もおらんし、・・・・・・いくら酔ってても、好きな子以外にはあんなこと絶対せぇへんよ」
「うん・・・今はわかってるから、」
「ん、」
「だからね、」
「?」
「・・・もっかい、ちゃんとして」
「え!?何を、」
「・・・ファーストキスだったの、あれ」
「・・・え」
「・・・だから、ここでやりなおし、」
私が言い終わる前に、彼の甘い甘い口づけが降り注いだ
人間不信で、ネガティブで、
他人を全く信じられない私だけど、
(すごい、)
(人を好きになるって、)
(こんなに幸せなことなんだ)
初めてのこの恋が永遠に続きますようにと、彼の真上に見える星に願った
――――――――――
世界は楽しいものだと思っていた。
だけど、
これ以上楽しいことがあるなんて!
HAPPY END