春になって、新しく変わったのは学校だけではなかった。
家に帰るとドタバタとみんなすごく忙しそうに掃除していた。
「ただいま」
「あ、帰ったかい?おかえり」
「おー、すごいね、ゴミの山」
「いらないものは捨てないとね、なんせ今回は一気に増えるからねぇ・・・」
「おーい!!これこっちでいいのか?」
「今行くよ!」
「歌仙、家具の移動のことで相談があるんだが・・・」
「あぁ、どれだい?」
本当に忙しそうだな・・・
そう思いながら部屋に向かう。
「よかった、おらたちの部屋は関係なくって」
「まぁ、そうだけど・・・関係なくはないよね」
手伝わないとね、そう言ったら まぁちゃんが本気か???って言った。
え?手伝うよね、普通?
「当たり前じゃん、せめて料理くらいはしないと」
「えらいなぁきみは」
「きみもやりなよ、さすがに10人はさ・・・」
「まぁなー・・・御馳走たんまり作らないとなぁ」
そう。
今日は、新人さんたちが10人やってくる日なのだ。
春だしね!まぁちゃん曰く新入社員だそうだ。
同郷の仲間が来るとか浮かれてる人たちもたくさんいてね。
我が家は基本的に希望がない場合は一人一部屋与えられているけどさすがに最近人が増えすぎでね・・・
今日のために物置にしてた部屋とか、趣味のために2部屋使ってた人とかに開けてもらって無理やり部屋を作った・・・
お父さんとお母さんが人数これ以上増えるなら増築するけどひとまず今年はこのままで頼むって言ってたし
みんな荷物整理に追われているんだ・・・
いつも台所担当の歌仙や光忠も掃除で忙しいから今日は出前をたくさん頼む予定だけど人数が人数なだけにね・・・
手が空いてて料理作ってくれてる小豆さんたちと一緒にお料理のお手伝いすることにしたよ!!
まぁちゃんはパーリーの準備するって言ってたから小さい子たちと一緒にそっちをお願いしたよ!
もちろん大変ではあるけど、やっぱり新しい人たちが来てくれるのはソワソワワクワク嬉しいものだと思った。
そして、お迎え担当のむっちゃんがみんなを引き連れて帰ってきた。
「帰ったぜよー」
一同「「「「おかえりなさい&ようこそ我が家へ!!」」」」
パン!パン!パーン!!
と、クラッカーが鳴り響く。
そして、相変わらずの被り物装着での我が家の歓迎に
新人さんたちは目を丸くして驚いたのだった。
「10人は増えすぎだね」
「でもまぁ楽しくなるんじゃない?」
「なんかでも楽しくなさそうな顔してる人ばっかだね」
「まぁ・・・真面目そうな人が多そうだね今回は」
早速パーリーが始まったのだがドタバタで忙しくてなんかもうみんなすでに疲れている・・・
そんな中での自己紹介。
家族になったからには仲良くしたい・・・ところ。
「じゃあ俺から行くぜ!郷義弘が作刀、名物を扱う豊前江。歌って踊れるって言ってるヤツがいるらしいんだけど……まあ、なんにせよ、走りじゃ誰にも負けるつもりはねーから」
ドキッ(え!足速いの・・・?)
「リーダー!!!!お久しぶりです!!!!!」
「お、篭手切!元気だったか?」
「はい!!」
「僕もいるよ~」
「わ、わぁ~!!嬉しい!!鼻血が出そう!」
「知り合い?」
「はい!こちらは・・・」
「郷義弘(ごうのよしひろ)が作刀、名物を扱う、桑名江。戦に勝つ為には土と向き合うこと。農業は森羅万象全てと向き合える学問なんだよ」
「農家の人か~」
「そうですね!農家もされてました!私たちはみんな家が近所で・・・特にリーダーにはお世話になりました!」
「ははっ。待たせたな。お前が先に行くっつーから心配してたんだ。これからは一緒にがんばろうちゃ!!」
「はあぁぁあ方言男子(゚∀゚)キタコレ!!」
「嬉しそうw」
「ここは広い畑があるって聞いたけど・・・」
「あ、はい!土地も広くて家族の人数も多いですし畑をやってます!」
「みんな面白がって畑の手伝いしてくれてるんだけど、結構広範囲でやってるから手が回らなくてね」
「大丈夫。任せて」
「え・・・頼もしい・・・なにこれ・・・江一族って言ったっけ?た、たまんねぇな・・・メカクレ男子に方言男子に眼鏡男子・・・」
「(わかる)」
「やったぁ!これでまた歌って踊れるアイドル目指せますね!!」
・
(!!?)
「お前のやりたいことだろ?おう、付き合うぜ」
・
(!!?)
「歌って踊る為には、健全な肉体、健全な食。故に健全な土と……」
・
(!!?)
え、まって???
歌って踊るの??????
アイドルなの??????????
「う、うわぁ~うわぁ~ すきぃぃぃ」
「わかる・・・」
江たんたち尊くてもうまぁちゃんとジタバタしていた・・・
なんかタイプは違うんだけどみんな違ってみんないい・・・
と、ドキドキしていたら
「はいさい! おれは北谷菜切だよ。もとは料理包丁って説もあって、こんな名前なのさー」
ひっ・・・・・!!!!!!!
かわっ・・・・・・!!!!!!!
(これ完全さおちゃん浮かれポンチのやつじゃん・・・)
口を覆った私をじぃーっとまぁちゃんが見ている。
いやわかるよ。
わかるけど、ごめん、もうどうしようもない。
「はいさい!久しぶりだなぁ、千代金丸。大きくなってぇ」
「おー、久しぶりだなぁ。お土産に色々持たされてきたぞぉ」
「おぉそうかそうか、お前が来ると聞いて、畑に琉球野菜を植えていいか許可もらったところさぁ~」
「ゴーヤ好きだからぜひ!!千代ちゃんと同郷かぁ~嬉しいなぁ~なんくるないさ~」
「おれは家族が多くてさぁ、家事ばっかやってたから家事が好きなんだぁ。家事なら任せてくれよー」
家事組大歓喜
私もまぁちゃんも大歓喜
平和な世界・・・(ほのぼの)
「祢々切丸。我の名だ。山は良いぞ」
「カッカッカ!その通り!!山はいいぞぉ!」
「キン肉マンきた。新たなキン肉マン」
「すごい体のおおきな人だね・・・」
「バッファローマンかもしれない。そんな気がする」
「どんな気だろう」
「厚い胸が好きか」
「すきです」
「即答w」
「彼は天皇家のご子息だよ」
「なんか偉い人なんでしょ、親から連絡あったわ」
「ね。天皇は神になるからなんちゃらかんちゃらってね」
「この世で唯一の審神者であろう。主らのほうが位は上じゃ。主らに仕えることができて我は嬉しく思うぞ」
「め、めっそうもございません・・・祢々切丸様のお力添えいただいたけることほど心強いことは・・・」
「ねねちゃん、って温泉好きなんでしょ?うち温泉あるよ」
「!?ねねちゃん!?」
「そうか、それは日々の楽しみができたな」
「ねねちゃん、筋肉触らせて」
「!!?ちょっと!!」
「ははは、いいぞ。腕につかまるか?」
「ちょっとまぁちゃん・・・!!」
「よいのだ、主よ。我らは今日から家族だろう。我のことを兄のように慕うがいい」
「で、でも・・・」
「我も今日から名前で呼ぼう、さおりよ。これから頼むぞ」
ポッ
「ふふ、さおちゃん赤くなった」
「色気がすごい・・・(ドキドキ)」
「わたくしは、白山吉光。吉光のきたえた、つるぎを扱っております。このつるぎは嫁入り道具であり、冥福を祈るものでもあります。どうかよろしくおねがいします」
「きつね!!」
「また動物が増えた」
「白い狐かわいい・・・」
「久しぶりだね、吉光」
「一期一振」
「あ、粟田口一族の親戚だっけ」
「そうだよー!面白いんだよ、吉光くん!」
「一緒に虫さんの観察しましょう!!」
「了解した」
「困ったことがあったらなんでも言うんだよ」
「今日から俺たちと同じ部屋だよ!」
「それは楽しく過ごせそうだ」
「それはよかった!!!!」
「それは本当によかった」
白山くん、海外暮らしが長くてちょっとしゃべりかたロボットみたいなんだけど
粟田口のみんなのいると表情が柔らかくなってるから安心したよ!!
楽しく暮らしてもらえるのが一番だからね!!!
あと狐好きって言ってたから話が合いそうだし嬉しい・・・!
「そろそろ僕たちの番かな。晴れて僕もここの仲間ってわけだね。僕は南海太郎朝尊。長いなら朝尊、とでも呼びたまえ」
「南海先生と肥後のと昔話しながら来たがよ」
「こっちはむっちゃんの知り合いか」
「先生・・・?」
「あぁ、学者をしていてね。故郷では頼まれて学生たちに勉強も教えていたんだ」
「南海先生は昔から頭がよくてのぉ、まぁ難しくてちくっともわからんけんども!わははは!」
「ふん、学者先生の言うことが俺たちにわかるかよ」
「イケメン!!!」
(確かに)
「肥後の、おんしも自己紹介したらどうじゃ!」
「・・・」
「これからは家族ちゃ、仲良うせんといかん言うたじゃろか!!」
「・・・」
「忠広」
「・・・おい、じろじろ見てんじゃねぇ。……肥前忠広。で、誰を斬ればいいんだ?」
「イケメン!!!」
「(それしか言わないな)敵を斬るのは私たちにはできませんから・・・お任せします。宜しくお願い致します」
「あぁ、我々の目的は同じだからね。こちらこそ、お世話になるよ」
「イケメン・・・」
「うるせぇな、なんだこのちいせぇのは」
「なんだと?主に向かってなんて口の利き方だ!!」
「とか言って、一番まなみのこと叱ってるの自分なのにねぇ」
「まぁ、幼い頃から共に生活をしているし、主と言うよりも家族の意識のが我々は強くあるからなぁ・・・」
「楽しく暮らそうぜよ!!」
「イケメン・・・」
「しつこいなおまえ・・・」
まぁちゃんがじーっと肥後さんを見つめる中
私はなんだかソワソワとしている次の人の方を向いた。
えっとなんだっけな、水・・・水なんとかさん・・・えっと
「えっと、お名前・・・」
「(ビク!)僕か!?あ!わ、私は水心子正秀。太平の世の刀だからと侮ってもらっては困る」
「僕は源清麿。江戸三作と称された名工のひとり、源清麿が打った刀を扱ってるよ。よろしくね」
(あ、なんかかわいい!)
「お二人はお知り合いなんですね!」
「知り合いというか・・・」
「僕たちは親友だよ!一緒に水心子を応援しよう!!」
「え!めっちゃします・・・!」
「な!?しなくていい!あ、じゃなくて。必要ない」
「応援する」
「するよね?」
「するよ」
「やめてくれ・・・!」
「ははは」
「どえすとどえむかな・・・?」
「お二人は政府にお勤めされてたんですよね?」
「あぁ」
「元公務員か。まぁお国からお金もらってると言えばうちらもみんなそうだけど」
「僕たちもだけど、彼もそうだよ」
「え?」
「ふん、どいつもこいつも。俺こそが長義が打った、山姥切を扱う山姥切長義だ。きみたちの実力が高く評価された結果こうして配属されたわけだが、……どうかしたかな? そんなにまじまじと見て」
「いえ!綺麗な髪だなと思って・・・」
「ふふん、当然だろう。俺が本家の山姥切だからな」
「じゃ、まんばと親戚?」
「親戚?ふん、偽物くんと一緒にしないでくれ。家筋が違うんだよ、俺は本家。そして長船派だね。あいつは一族の中でも落ちこぼれさ、全然違うんだよ」
「・・・」
「お前も来たのか・・・」
「・・・なんだ、猫殺しくんか。はぁ、刀を扱う一族に生まれたがここにはきみらみたいな格の低い者しかいないのかな?」
「・・・うるせぇ、相変わらずだなお前のその性格」
「猫殺しになにを言われても・・・偽物と猫殺し。はぁ、大したことないな、ここは」
「は?」
は?
なんてさ
まぁちゃんが言ったと思うだろ?
誰もがそう思ったと思う。
でも、その言葉を口に出したのは
私だったのだ。
「え、今偽物って言いました?偽物ってどういうことですか?由緒ある家柄の山姥切一族に偽物とかそんなことありますか?
山姥切国広さんは堀川さんちのご親族でもありますけどそれも全て否定すると????国広も山姥切も由緒正しい刀使いの一族。
それを偽物だと否定するようなこと、この私が許しません。実際山姥切さんは私たちも幼いころから大変お世話になってますし、
敵を倒すのに本当にお力を貸して頂いてます。こんな素晴らしい方が偽物なわけないですし、申し訳ないですが我が家の
山姥切といえば彼ですから。みんなもそうだと思います。我が家で「山姥切」は彼。むしろ偽物はあなたの方だと思いますよ。
それから南泉さんのこと猫殺しって馬鹿にしてますけど私からしたら本当にいるかどうかもわからないもの、
しかもいたとしてもおばあさんですよね?それを斬っていばってるあなたの方がどうかと思うんですけど???
そんなこと高校生の小娘に言われないとわからないんですか?大したことないと言ってましたけど、うちにはすごい人しかいません。
山姥切国広さんも南泉一文字さんも由緒正しい刀使いの子孫です。私はまだ力が足りぬ修行中の小娘ですから馬鹿にされて構いません。でもこの場にいる私の家族を馬鹿にすることは許しません。これ以上人を見下すならうちには必要ありませんのでお引き取り願いますか?政府の方には私の方から連絡しておきます」
そう淡々と伝えた私に、周りが絶句した。
いや、むしろ 私を幼いころから育ててくれた家族たちは
泣いた。
「さおり・・・いや、主・・・!ご立派になられて・・・」
「さおり・・・いつまでも子供だと思っていたのにこんなに・・・」
「もうきみのこと半人前とは思ってはいけないね・・・」
「立派な主になったことだ・・・ジジイは嬉しく思うぞ」
「最近は指示も的確に出せるようになっているし・・・」
「そうだね・・・いつまでも子供扱いできないね」
「立派に・・・なって・・・」
「・・・仲間のために怒れる素晴らしい女性に成長しましたね、嬉しく思います」
「あぁ!主というよりも一人の人間として誇らしいぜ俺は!!」
「はっはっは!さっすがわしらの主ぜよ!!」
口々にみんなに褒められ ハッとした。
「・・・・ま、まぁちゃん・・・もしや私やっちまった・・・?」
「いや、すごいスッキリしたから マジGJ」
ああ・・・
まぁちゃんがこういうってことは やっちまったんだな、と思って
彼の方を恐る恐る見たんだけど
(どうしよう)
(やばい)
(めっちゃ怒ってるんじゃ・・・)
ぐすっ
山姥切長義は 泣いていた。
「べ、別に俺は、見下しているつもりでは・・・」
その後、長義くんはまぁちゃんにばーかばーか自意識過剰野郎~と更に追い込まれ
泣いているところをそれはさすがにひどいだろうと優しいみんなに慰められていた。
むしろみんな、きみのおかげでさおりの成長が見れたよありがとうって感謝していた。
まぁちゃんはこの件ですっかり長義を嫌いになってしまって、
和解はできそうにない・・・。
私も苦手意識が消えないけど
和解するのはもう少し後のお話・・・・。
こうして新メンバーが増えた我が家。
いっそう騒がしくなりそうです!!