オリエンテーションが終了したのは午後3時。
夕飯が6時からなので、それまでの3時間は自由行動らしい。
「あー、もう、最悪だったわ…あーゆーゲームやめてほしい…」
「そう?楽しかったしょ」
「どこがさー…犬の人いたから、ワンって鳴くんじゃねって適当に言ったらリヴァイが飛んできてゲンコツされたよ、恥ずかしい」
「それは恥ずかしいね」
「マジでさ…バスケ部のお気に入りのむっくんいたのにさ…むっくんの前でゲンコツだよ。絶対馬鹿だと思われたよ」
「う、うん…(多分前から思ってると思うけど)」
「もーやだ、帰りたい、ほんとつらい…」
「怒られたくらいで落ち込むなよ」
「違うよ、怒られた関係ないよ!普通に来たくなかったの!!」
「でもきみ張り切ってリュックにオヤツ詰めてたしょたくさん」
「違うよ!張り切ったんじゃないよ!合宿中も引きこもろうと思ってお菓子たくさん用意したんだよ!」
「あ、そうなんだ…そんなに嫌なんだ…」
「やだよ…」
「キミ人見知りが過ぎるよ…ちゃんと班の人と仲良くなったのかい?」
「いや、むっくん以外しゃべってないよ…」
「え…そうか…私は楽しいけどな…仁王くんにナデナデされたし…」
「誰仁王」
「テニス部の人」
「何そいつ馴れ馴れしい」
「いや!仁王くんはイケメン!だからいーの!」
「あ、そう」
そうまぁちゃんと話していたら、ヒメコとディアンヌが外に行こうと誘ってくれた。
「外、目の前湖やで!見に行こ!」
「ボートもあるみたいだよ!ぼくボートのりたい!」
「あ、うん、今行くよ」
ヨイショ、と腰をあげた私に
「あたし、行かない」
と、言ったのはまぁちゃん。
「行こうよ、ディアンヌたちとボートのろうよ」
「いや、知らない男子たちが話しかけてくるの目に見えてるからやだよ」
「そんなことないしょ」
「あるよ、あいつら女子と仲良くなりたいオーラ出すぎだわ、バカだわ思春期男子」
「まぁ…うちの学校女子少ないし仕方ないよ…」
「やだよ」
「まなみも行こうやー」
「やだよ」
「え~ぼくまなみとボート乗りたいよ~」
「可愛いなおい…でもやだよ」
「ごめんね、ヒメコ、ディアンヌ…こーなるとまぁちゃん動かないからさ、もう行こう」
「えー」
私はまぁちゃんを1人残してディアンヌたちと外に出た。
「やっぱり夕方少し冷えるね」
「湖やし、余計寒く感じるわ」
「ねー、でも寒い時はボートこいじゃおー!」
「おー!みんなで競争やな!」
「え…(絶対この2人に勝てる気しない)(特にディアンヌ)」
その時、遠くからディアンヌを呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、ディアンヌー!」
手を振る男の子はまだ小学生くらいだった。
かわいい。
「あ、キング♡」
(!?)
(えっ!?)
(この小さい子が!?)
(噂のキング!?)
(ディアンヌの彼氏の!?)
(うそでしょ!?)
(確かにまぁちゃん、チビって言ってたけどさ!!)
(いや、キングって言うからてっきり跡部みたいなの想像していたよ…)
(そうか…)
(ディアンヌ…ショタだったのか…)※きみと一緒にしてはいけません
「部屋からディアンヌが外に行くの見えて追いかけてきちゃったよ♡」
「ありがとう!あ、そうだ、今からボート乗るんだけどキングも一緒に乗る?」
「え、乗りたい!」
「じゃあ乗ろうよ♡」
「うん♡」
(わぁ~)
(可愛いふたり!)
(キング超優しい!)
(めっちゃラブラブだ!)
(憧れちゃう)
「いいかなぁ?」
ディアンヌが私とヒメコに聞いてきた
「もちろん!もちろんいいに決まってるよ!」
「そーやで!ふたりは絶対一緒に乗るべきやわ!」
ほな向こうふたりならうちら一緒に乗ろかー?と、ヒメコに言われて
うん、と頷こうとした その時。
「よーう、ヒメコー」
と、また!おじゃま虫のボッスンが登場した!
ボッスン邪魔!
あと、なんかメガネかけた人もいる。なんか見た目まぁちゃんのタイプだw
《たまたまヒメコの姿が見えてな。べ、別に暇だからついてきたわけじゃないんだからねっ!》
!!!?!?!?
なにこのひと!機械だ!!!(そしてツンデレだ!)
「なんであんたら来んねん、アホは来んでええねん、しっしっ」
「は!?てめー!それはないだろそれは!」
《そうだぞ、せっかくボッスンがヒメコに会いたくて来たのに》
「は!?スイッチおめー馬鹿じゃないの!?馬鹿じゃないの!?」
《馬鹿って行ったほうが馬鹿なんですー》
「あーもー、わかったわかった!わかったからケンカすなやもー!遊んだるから!」
「な、べ、別にっ遊んでほしいわけじゃないんだからね!」
《ボッスンのツンデレキタ━(゚∀゚)━!》
(やばいこの人たちなんなんだ)
(会話についていけないwww)
「悪いなぁ、こいつらうるさいから仲間にいれたって!悪いヤツらやないねん!」
「うん、いーよ別に」
「大人数のが楽しいよねー♡」
「ねー♡」
《ねー♡》
「お前はええねん!食いつくな!」
《リア充爆発しろ》
「うっさいねん!そーゆーこと言うなら向こう行けや!」
《すいませんでしたー!》
「なぁ、早くボート乗ろうぜ!(ウズウズ)」
「ちょい待ち!まずあれや、うちら3人で乗ってもしゃーないからあたしがさおりとボート乗るから、」
《いやいやいやいや》
「え、なんで?なんでヒメコがこいつと乗るわけ?俺で良くね?」
「は?何言うてるん!さおりをあんたらみたいなアホと2人きりにできるか!!」
「えー…」
《自分を棚にあげるなー》
「うるさいて!大体あんたら力ないやん、男のくせに!勝負すんねんで!?ひっこんどきや!」
「俺達が力ないんじゃなくてお前が力ありすぎるんですーこのゴリラ女ー」
《そーだそーだ》
「…あんたら今なんて言うた?」
「あ、やっべ」
《これはマジのパターンだな》
「ええ度胸しとるやんけ…!」
「ぎゃああああ」
なぜかヒメコとボッスンとメガネのロボさんが喧嘩を始めたのでそれを見ていた。
横ではディアンヌとキングがイチャラブしている。
ちーん…
私は一体…
(まぁちゃんと部屋でゴロゴロすればよかったかな…)
と、そこへ
「ん?まえ、何してるんだこんなとこで」
同じバレー部の牛島くんが通りかかった。
「あれ、牛島くん!いやボートに乗ろうとしていて…牛島くんは?」
「俺は走っていた」
「え、なんで?」
「自由時間だから走っていた」
「あ、そうなんだ!」
(すごい…!)
(牛島くん、めっちゃストイック…!!)
そりゃバレー強いわけだわ、と思いながら
「ボートか…。うむ、腕を鍛えるのにいいかもしれん。一緒に乗るか?」
「うん、乗る!」
牛島くんに誘われ、彼の漕ぐボートへと乗るのだった。
(慌ててキング&ディアンヌペアとスケット団3人組が来たけど、牛島くんの筋肉に見とれ、もう勝負とかどーでもいい私であった…)
じー(‹●›_‹●›)●REC