ホールに集まるとクラスごとに座席についてすぐにはじめの挨拶と講習が始まった。
講習では2年、3年になってからの選択授業や進路なんかの話をして
それから勉強の話、最後に軽い試験もした。
試験が終わると、場所を移動して体育館に集まった。ここではプリントを配られて自分の名前が書かれた班に分かれるように支持された。
(何が始まるんだろう?)
紙に書かれた班は、ひとグループ8人づつで違うクラスの人も混ざっていた。
(緊張する…)
「では、それぞれの班で自己紹介してほかの生徒の名前を覚えること。それから簡単なゲームをやります」
そう、学年主任の先生が言った。
(え、このメンバーに自己紹介するの!?)
(自己紹介苦手なのに!!!!)
(緊張しすぎて吐きそう!!)
知らない人ばかりの班で絶句してしまった。
「あ、じゃあ俺から自己紹介するよ。あとは時計回りでいいかな?」
優しそうな男の子が一番に口を開いた。
(おおおおお)
(優しそうだしすごい!)
(この人絶対どこ行っても上手く行きそう)
そう思いながらその人の自己紹介を聞いた。
「1年6組の橘真琴です。えっと、水泳部に所属してます。趣味は弟や妹と遊ぶことかなぁ…。よろしくお願いします!」
(わぁ…穏やかそう…)
(とても感じのいい人だな)
(みんなに好かれそう)
(おまけに弟や妹と遊ぶことが趣味だなんて…)
(素敵な人だな)
(…まぁちゃん、好きそうw)
そして時計回りに次の人が自己紹介を始めた。
あぁ私最後だ!緊張してやばい吐きそう!
「どーもー!1年8組、高尾和成でっす☆トレカ好きなんで興味ある人いたら後で語りましょうwあ、こんな身長だけどバスケ部です!ポイントガードっす!よろしくおねしゃーす!」
(あ、バスケ部なのか)
(なんかこの人も明るくていい人そう!)
(まぁちゃんとノリ合いそうだけど仲いいかなバスケ部…)
(てかまぁちゃん虹村先輩の話しかしないけどちゃんとマネージャーしてんのかな…)
そんなこと考えながら次々と自己紹介する人たちの話を聞いた。
「1年3組、福富寿一。自転車部に入っている。よろしく頼む。」
(やばい!もうすぐ私の番だから考えなくちゃ!!)
(えっと、1年7組の…)
「5組の夜久衛輔!バレー部です!誕生日は8月8日、獅子座です!オナシャス!」
(あ、夜久くんだ)
(全然話したことないけど)
(そんなことよりえっと、)
(趣味とか言えばいいのかな)
「千石清純だよ!8組で、テニス部でーす!えっと、可愛い女の子と同じ班になれてめちゃくちゃラッキー↑」
(…ん?)
(可愛い女の子って私か?)
(いやごめんそれどころじゃない)
(心臓が…)
(趣味はイケメンの舞台見に行くこととか言えないし…)
「2組、荒北靖友。部活は何もやってませェん。よろしくネェ。」
(2組、まぁちゃんと同じだ!)
(つかすごいリーゼント、やばいw)
(あ、もう私次の次だ!)
(やばい!)
(あー、もう名前と部活とかだけ言えばいーか!)
「1組、仁王雅治じゃ。テニス部でペテン師しとる。よろしく…プリッ」
(!!!?)
や、やば、やばいっ
なにこのイケメン!イケメンいたやばいなにこれ!え、テニス部なの、テニス部レベル高いな!!跡部に白石くんにこの仁王くん!!!!!!(←好みの男は1発で名前覚える)
「じゃ、次はきみだよ」
ハッ!!!
やべぇ、仁王くんに見とれて全部飛んだ!!!頭真っ白!!!
「あ、えっと、1年…な、なんくみだっけ、えっと、」
「おーい、7組だろー!落ち着けー(笑)」
夜久くん…!さすが同じバレー部!知ってくれてたんだ!!しゃべったことないけど!!
「あ、7組の、まえさおりです、バレー部のマネージャーしてます、よ、よろしく、おねが…」
「さおりちゃんかー!可愛いお名前☆趣味は???」
Σ(・ω・ノ)ノえっ!
「おー、女子に食いつきすぎwwwいや俺も知っときたいけどwww」
「う、あ、しゅ、しゅみ…」
(イケメンの追っかけとか言えないし…)
(かと言ってパソコンやゲームは暗いような…)
「あ、えっと、妹と、遊ぶことです」
あー、妹って双子の?
有名だよねー、可愛い双子ちゃん!
おれバスケ部同じだけど全然似てないわw
と、みんな食いついてくる。やめれ。私に注目するな、てか仁王くんに見られてる緊張するヤバイ!
(そーいや、まぁちゃんはどこかな)
ワラワラと人がいる体育館を見渡す。
(あ、いた)
(割と近くにいた )
見るとまぁちゃんはものすごーく、絶望的な顔をしていた…
ずーん
(まぁちゃん!!!!!!)
(やばいしょ!!!!!)
(絶望過ぎるしょ!!!!!)
(ウケる!!!!!)
なんだかその姿が面白くなった私は少し冷静になることができた
(いや、この班すごいいい人ばっかりだからなんか大丈夫そう!!)
(仁王くんイケメンだしw)
「みんな自己紹介は終わりましたか?では、ゲームを始めます」
先生がゲーム内容を簡単に説明した。
「1人が頭につけたものになりきります。それは頭につけてる人は何かわかりません。周りの人はその人が質問してきたら何かを教えてください。もちろん直接答えを教えるのはナシですよ!あとヒントは3回までです」
やってるうちにわかってくると思うのでやってみてください
そう先生に言われてゲームを始めることにした。
「ウケるwガキみたいなゲームwwwでも嫌いじゃないwww俺やりたいwww」
そう明るく言ったのはバスケ部の人だ。
名前なんだっけな、バスケ部は覚えたんだけど。
「これ着けて…よし!じゃあ、俺は食べ物ですか!?」
「いや、食べ物じゃないです」
「食べ物ではないな」
「やべぇwwwちょ、これうまくヒント聞かないと3回じゃわかんねwwwえーっと…何色ですか!?」
「何色…多分色は決まってないけど白が多い気がする」
「だね~!白が多いよ!」
(あ、私もなにか言わなきゃ!!)
「した半分ブルーもあるかな…」
そう私が言うと
「した半分ブルー!?おお、いいヒント!サンキュー♪」
お礼を言われてしまった…
この人いい人だな…
「じゃあ最後の質問!俺は…動きますか!?」
「動きます!」
「速いよ!」
「さんきゅ!わかった!新幹線だ!!」
ピンポンピンポーン!とみんなで拍手をした。
リーゼントの人とか仁王くんはちょっと呆れてるけど、なんか結構楽しいぞこのゲーム。
てゆーか、仲よくなれるよね。
「次はさおりちゃんやってよー↑」
(え!いきなり名前呼び!?)
(ビックリした)
「あ、うん、じゃあ…」
頭にカードをつけて…
「えーっと…私は…小さいですか?大きいですか?」
「小さいです!」
「手のひらに乗るくらいかな」
「口に入る大きさだから~…あ!」
「いや、ヒントあげすぎだからwww」
「言っちゃったー」
「千石ーわざとだろwww」
(口に入るってことは食べ物かな…)
「私は…辛いですか?甘いですか?」
「食べ物限定してきたwww」
「えーっと、甘い方かな?」
「甘いってか…すっぱい?」
「すっぱいな」
「いや、甘いか辛いだからwwwみんな女子に優しすぎwww俺もだけどwww」
(てことは、フルーツかスイーツかお菓子か…)
「私は何色ですか?」
「赤です!」
「緑もあります!」
「いや、ヒントあげすぎwww」
赤と緑!
「わかった!!イチゴだ!」
ブーー!さくらんぼでしたーーーwww
(あぁ~…)
(自信満々に言ったのに…)
(恥ずかしい…)
しゅんとしながらその場に座ると、隣の席の仁王くんが
「ププ、おしかったのぉ~」
と、励ますかのように頭ポンポンしてくれた。
(!!!!?!?!!?)
(やべぇ!!!!!!!!!)
(頭ポンポンされた!!!!!!)
(やべぇこれ!!!!外れた私gj!!!!!)
し、死ねる…!!!!
(てか死んだ…)
(幸せ過ぎる…)
(オリエンテーションバンザイ…)
O(:3 )~チーン