はぁ・・・今日も白石くんの歌声は最高だぜ・・・
そう思いながらイヤホンでスマホに入っている曲をリピートする。
実は
先日のカラオケの歌声を録音してました!
でも聞いてほしい。わざとではない。
不可抗力だ。
というのも、ほら、我々大富豪の娘なので、何かあったときの証拠のため、超高性能のボイスレコーダーを持たされているのだ。
このボイスレコーダー、12時間は連続録音が可能なので、四天宝寺の学園祭に行った時の音声をすべて録音していたのだった。いや、ボイスレコーダーを持つのは本当に我々にとっては日課のようなもので、家の執事さんたちが「これをお持ちください」と毎日充電して録音ボタンを押してあるものを持たせてくれるんだわ。それくらいマジで我々にしたら当たり前の持ち物。
そんな状況なので、不可抗力で録音されていたのだ・・・!
もちろんそのデータは緊急時にしか使わないので家に帰って何もなければ誰も聞かずに保管される。
今回は、そのデータを全てコピーしてもらっていたのだった・・・。(ちなみにまぁちゃんは謙也の告白の言葉がばっちり録音されていたので大歓喜だった)
まぁ無断で録音して、スマホに入れて聞きまくってるのは犯罪なんですけどね!!ストーカーだよこれはもう!わかってるけどやめられない・・・!
だって、今世白石くんのCDがないんだもん・・・!!
私前世ではマジで1日一回は白石くんの声聞かないとだめで、車の中ではずっと白石蔵ノ介のCDアルバムを永遠と流していた女なのに・・・!
今世は白石くんのCDがないんだ・・・
だから、とにかく白石くんの歌声を聞きたかったんよぉ・・・
こないだのカラオケ、本当にやばかったわ・・・白石くんの歌声聞いた瞬間に涙でそうだったんだよね実は・・・
あーこの声だ・・・と思ったら涙でそうだったけど、金ちゃんをかまうことでなんとか涙は抑えたよ・・・せっかくの楽しい席なのに泣いてられないからね・・・
とにかく、白石くんの美声を聞けて私は本当に感謝しているのでした
「さおちゃん、また聞いてるのかい」
「うん、白石くん歌うますぎ」
「うけるなきみ」
「白石蔵ノ介のアルバムの曲が聞けないのは悲しいけど、普通の歌でも最高だなって思ってる・・・」
「よかったなきみ、それより」
「うん」
「太郎ちゃん来たよ」
「!?」
そう、今日は太郎ちゃんに大事なお願いがあったので、我々のおうちに来てもらっていたのだった!
私とまぁちゃんはさっそく太郎ちゃんのところに向かう。
「太郎ちゃん!」
そう言って、まぁちゃんが太郎ちゃんに抱き着く。これはおねだりの時の常とう手段なのである。
「む・・・どうしたまなみ」ギュッ
「太郎ちゃん、まなみのお願い聞いて~」
「うむ、何か欲しいものでもあるのか?なんでも買ってやろう」
「あ、あのね、太郎ちゃん、私たちね」
「U-17代表の合宿に行きたい」
「・・・なに?」
「お願い太郎ちゃん」
私も太郎ちゃんの腕にしがみつく。大体、これで太郎ちゃんは落ちるのである。
今回も太郎ちゃんチョロいし簡単だろうって思っていたんだけど・・・
「ダメだ」
!!?
まさかのNGをいただいてしまったのであった・・・!!
(いや、なんとなく私はそうじゃないかと思っていたんだけど・・・)
まぁちゃんは心底驚いた顔で、太郎ちゃんに五月雨式に質問を投げかける。
(まぁちゃんは行けるものだと思ってた)
「なんで!?なんでダメなの!?うちらマネージャーだよ!?なんで!?」
「・・・ダメに決まってるだろう」
「だからなんで!?テニス部のやつらU-17の合宿行くっていってたよ!?」
「それは招待されたから当然だ」
「アタシだってマネージャーだからいく!!」
「絶対にダメだ」
「・・・太郎ちゃん、無理を言ってるのはわかってるんだけど、どうしてもだめなのかな・・・」
「ダメだ」
「なんでさ!!太郎ちゃんのケチ!!!」
「!? ・・・なんといわれようとだめだ・・・!」
「・・・やっぱり、選手じゃないと無理?太郎ちゃん、U-17の監督に知り合いいないの?」
「知り合いはいる・・・が、それとこれとは別だ」
「せめて理由を言ってよ!!理由言ってくんなきゃ納得しない!!」
「・・・行かせられるわけがないだろう・・・」
「え?太郎ちゃん?」
「狼の巣窟に大切なお前たちを行かせられるわけがないだろう!!!」
!?
そうだった・・・
この人・・・姪っ子(私たち)LOVEだった・・・
(そりゃぁ、男の子しかいない合宿なんかに行かせるわけないよね・・・)
「なんじゃそりゃ!?そんなこと心配してるの!?」
「そんなこととはなんだ!!重大な問題だろう!」
「大丈夫だって!あいつらになんかされるはずないじゃん」
「もちろん、うちのテニス部は信頼している。だが、合宿所には他校の生徒がいる」
「いるね」
「お前たちの可愛さに手を出してくるやつらもいるかもしれないだろう!?」
「そりゃ私たち世界一かわいいからありえなくもないけどさー」
「お前たちは天使だからな(真顔)」
「で、でも、合宿所にはたくさんカメラもあるし、何かあればすぐわかるし・・・」
「甘いな」
「え」
「合宿所には中学生だけじゃない、高校生がたくさんいるんだ」
「・・・いるね」
「毎年合宿所に呼ばれている高校生もいるんだ、死角などいくらでも知っているだろう」
「考えすぎだって!!」
「とにかくダメだ、いくらお前たちの頼みでもこれだけは聞けない」
そして、太郎ちゃんは私とまぁちゃんとふりほどいて行ってしまった・・・(振りほどくときは苦渋な表情してた)
「ちっ、太郎ちゃんめ」
「・・・仕方ないよ、うちらのこと心配なんだから」
「だって、U-17合宿行きたいじゃん!!せっかく転生したんだから!!」
「まぁ・・・行きたいけど」
「こうなりゃ、勝手に行くしかないな🤔」
「うーん、でもなぁ・・・勝手に行ってもあの様子じゃ強制送還されそう・・・」
「でも1年生トリオは残ってお手伝いしてたじゃん!!」
「うん、してたけどやっぱり男と女じゃ違うかもね」
「そんなぁ!!」
「でも合宿所の中のカフェとかって女の人働いてるみたいだし、全く女の人いないわけじゃないから、施設的には絶対に女性もOKのはず」
「うんうん」
「太郎ちゃん、パイプ太いし、絶対U-17のコーチ陣の中に知り合いいるからOKとれればいけるとおもうんだよなぁ~」
「うんうん」
「そもそも、堀尾たちがあそこで手伝うのもよくわからない展開だし、そのあとのW杯もみんなで海外まで応援に行っちゃうくらいだから正直授業の問題も大丈夫だと思うよ」
「うんうん」
「あとは、太郎ちゃんにOKをもらうことだけだけど・・・それが一番難しいよねあの感じだと」
「太郎ちゃんめ~~~~」
うーんとまぁちゃんと考える。
どうすれば太郎ちゃんを説得していくことができるのか・・・
(割とあの合宿ゆるいからお手伝いっていえば行ける気はしてる)(ほら、そこは主人公補正がかかるんじゃないかと思って・・・)(あ、テニプリの主人公はリョマだった・・・)(でも、生まれ変わって主人公枠に収まってるの、多分まぁちゃんだからいける!!)
「・・・うん、まぁちゃん主人公だからいける!」
「いや、何言ってんの、きみこそ常にヒロインでしょw」
「私はモブ中のモブだよ!!」
「でた」
「よし、じゃあここはあの人たちにお願いしてみよう・・・」
「ん?」
そして、私とまぁちゃんは計画を立てたのだった。
『U-17の合宿に招待されたで!』
謙也からきたメッセージを見てると顔がにやけちゃう。
(知ってるぞ!)(だから、今行こうと必死だw)
晴れて付き合うことになってから、謙也とは毎日連絡をとってる。
まぁ、付き合う前から連絡はしてたけど、前よりも連絡を取る機会が多くなった。
前はスタンプとか写真を少し送る程度だったけど、今は違う。普通に「何してる?」とか「こんなことがあった」とか。写真も増えたし、電話することも増えた。
(幸せだなぁ・・・)
謙也が、ちゃんとお付き合いをしようとしてくれることがうれしい。幸せ。
(はぁ・・・中学生のお付き合いかわいい・・・)(謙也かわいい・・・)(健全・・・)(最高・・・)
遠距離だけどね。
でも、本当にLINEの頻度が多いから、今のところはこの距離を楽しもうって思ってる。
(将来的にはね・・・)(ずっと一緒にいたいし・・・)(まぁ大阪いつでもいけるしな!)
だけど、距離がどうとか関係なく、
U-17の合宿にはいきたい。
めちゃんこ行きたい。普通に参加したい。あの空間に行きたい。
(謙也にも会えるし)(あの空間にいたい)(高校生にも会いたい・・・)
だから、U-17合宿に行くために、今こそさおちゃんと計画を実行するのだ!!
「さおりとまなみが行かないから俺行かないC~~~~~~」
「・・・いくら包んだんや」
「ポッキー1年分」
「ジロー!監督を困らせるな」
「・・・」
「やるねー」
「ほら、ジロもこう言ってるよ!!せっかくの機会に断ったら、氷帝の名が廃るし、次回から招待してもらえないかもしれないから、私とさおちゃんが行くのを許したらいいよ!!」
「お前ら招待されてないだろう」
「私が調べたところによると、お手伝いとかが必要な場合はOKみたいだよ。だって、合宿に普段使ってる日用品とか趣向品も持ち込めるんだから、マネージャーが必要だと感じたらOKみたい」
「・・・めっちゃ念入りやん」
「お前らだけ優遇するわけにはいかねーだろ!マネージャーだってたくさんいるんだ」
「でも、私多分超役に立つよ?」
「私も球出しばっちりだし」←体育の才能もらってるから
「私、なんなら新しいデータのプログラムとか入れれるし、絶対役に立つと思うんだけどな・・・」
「そうだそうだ!氷帝だけじゃなく、U-17の全員にとってプラスになるから、むしろ氷帝の評判も良くなるし言うことないと思います!」
「さおりとまなみが行かないから俺行かないC~~~~~~」
「ジロ・・・それしか言わねーな・・・」
「ぜってぇ練習させられてるなこれ・・・」
「え~!おれまなみさんとさおりさんが来てくれたら心強いです
」
「おっと、ここにきて新勢力・・・」
「俺別に来なくていいけど」
「にぎやかにはなるけどな」
「逆になんでこんなに行きたいのか・・・」
「・・・」
「榊監督、お願いします!」
「おねがいしゃーっす!」
「監督、お願いします!」
「さおりとまなみが行かないから俺行かないC~~~~~~」
「壊れたラジオみたいに繰り返すな・・・」
「・・・ダメだ」
「なんでさ!!」
「当たり前だろう、いい加減にしろよ。この話はこれで終わりだ」
「なんでさ・・・!なんで・・・・・・・・う・・・ううっ・・・うわ~~~~ん!!!」
「泣き落としかよ」
「わわわ、まなみさん、泣き止んでください💦」
「わ~~~ん!!ちゃんと役にやってくるってば~~~お手伝いもするし、頑張るってば~~~!!うわ~~~ん!!」
「まぁちゃん・・・(泣くほど行きたい気持ちはわかりすぎる・・・まぁちゃん頑張れ)」
「泣いてもだめだ!U-17の合宿に中学生を呼ぶなんて前例がないんだぞ!?この機は次にも繋げていかないとだめなんだ!!お前たちを連れて行くなんてできるわけねーだろ!ですよね、監督」
「・・・っう・・・」
「効いてる効いてる、昔からまぁちゃんの涙には弱いんだよ監督」
「え・・・」
「さおりとまなみが行かないから俺行かないC~~~~~~」
「もうそれいいので静かにしててください」
「うわぁぁぁん!!もう太郎ちゃんなんか大嫌いだ!!!一生口きいてあげないから!!!」
ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
「・・・太郎ちゃんだと・・・?」
「・・・ぷっ・・・」
「が、がくと、笑うなって」
「家では太郎ちゃんって呼んでるんだよ・・・(監督としての威厳を保つために内緒にしてたけど仕方ない)」
「・・・くっ、わ、わかった・・・」
!!?
「皆で守ってくれるのならば・・・いってよし」
「や、やったーーーーー!!!!やったーーーー!!合宿いけるーーーー!!!」
「やったぁ!」
「お前たち、二人を頼んだぞ」
「え・・・」
「www」
「もちろん守りますよ!!やりましたね!!まなみさん、さおりさん!!」
「あと毎日連絡すること」
「「はーい!」」
「さおりとまなみが・・・行かないから・・・俺行かない・・・C・・・ムニャムニャ」
「ねとるやん」
結局、最終的にはアタシの泣き落としによって、太郎ちゃんは落ちたのだった!
(やったね!!!)
にあとから「謙也とのこと内緒にしとってやったんやから感謝してほしいわ」と言われたけど、その通りなので(彼氏に会いたいとかバレたら絶対行かせてもらえなかった)あとで私秘蔵の友達の美足コレクションを送ってやろう。(簡単に友達を売る)
こうして、合宿行きが決定し、ワクワクした毎日を過ごすのだった。
(謙也には内緒にしてよーっと!眼鏡にも口止めしたぞ!)