転生したら推しの世界だった話part17■さおり&まなみ

結局、たこ焼きを焼いている間は、ほとんど毒草の話しかしなかった。もうね、一方的に話してた白石くんだけど、私も今世は幼稚園の時から植物図鑑を読んでいただけあって名前を言われるとどんな形のお花とか植物かわかって、適当に相槌うってた。

たまに確認するように「〇〇って知っとる?」って聞いてくるから「知ってるよ、〇〇色のお花だよね」って言うと、すごく嬉しそうに目を輝かせるから、

はぁ~~~~白石くん少年のように目を輝かせて可愛いなぁ~~~

と思った。

小さい頃、白石くんのおうちに行ったとき、たくさんあった車のおもちゃを紹介してくれた時もこんな目だったなとほくほくしたわ。BBA微笑ましくなったわ!

あれだけ機嫌悪かった白石くんがニコニコだったから、もう私もほっとしてね。こんな笑顔を私に見せてくれるの、本当に嬉しかったよ・・・!もう白石くん大好き・・・。

 

 

そうして、今、私たちは華月にいる。

というのも、いよいよ学園祭が終わる・・・そして、学園祭のトリは、華月のテニス部ショー!

四天フェスタでも歌ってたけど、すごいね四天宝寺・・・

トリを任せられるくらい、お笑いの人たちとしては一目置かれてるんだなって思ったよ。

まぁ、主にラブルスだろうけど、面白いの。

白石くんは面白いことやろうとしても、楽しくないからね・・・。

謙也はいじられてるのがウケるし、白石くんだけだよね、つまらないの。

 

たこ焼き屋さんは休憩とか他の部活の出番が終わった後輩くんたちが交換してくれた。

だから、こうしてまぁちゃんと見に来たわけだけど・・・

 

 

「わードキドキする・・・テレビ局の人たちいるかな・・・」

「いるよ、あそこに」

「よかった!私もカメラの充電チェックせねば・・・」

「謙也撮ってちょうだいね」

「うん、もちろんだよ」

「きみ、白石とちゃんと話せてたしょ」

「うん、毒草の話たくさん聞いたわ」

「ほんと、あいつは夢中になるとひどいなwww」

「きみは?謙也と話せた?私白石くんの話聞くのにいっぱいいっぱいできみと謙也見れなかったのショックだ・・・」

「我々のことは気にしなくていいよ」

「そうかい、けんまな最高なのにな」

「いいよ、気にしなくて。ほら、始まるよ」

 

 

 

『皆さんお待たせいたしました!!いよいよ学園祭のトリ!!四天宝寺テニス部のお笑いショーや!!みんな腹がよじれるまで笑ってや!!』

 

 

\わーーー!!/

 

 

「おお、さすがトリだけあってめっちゃ盛り上がるね」

「ね!!あ~~~ドキドキする・・・」

「いや、最初すべるの知ってるからwww」

「あ!!出てきた!!」

 

 

四天フェスタの歌詞通り、まず出てきたのは・・・

 

ヅラをかぶった面々。

 

 

しーーーーん

 

 

それに静まり返る会場・・・

 

 

(滑ってる滑ってる・・・)

 

 

見事に出オチのヅラで滑ってしまったテニス部!!

 

 

「小春ちゃんはヅラでも面白いけど、正直いつもかぶってるから見慣れた感あるし・・・他のやつのヅラ面白くないな・・・」

「白石くんリーゼントだけど全然似合ってない・・・」

「謙也だって、玉ねぎみたいなカツラだけど、似合ってないわ」

「千歳もさらにすごいモジャカツラだけど・・・うーん・・・」

「金ちゃんは金太郎のカツラで可愛い」

「かわいいね!でも面白いかって言うと可愛いって感じが勝ってる」

「銀さん、ロン毛だ」

「意外とロン毛似合うw」

「財前はかぶらないで、なぜかスマホで写真撮ってるw」

「かぶりたくなかったんだねw」

「でもこの会場の空気やべぇwww」

「本当だねwww」

「めっちゃ焦ってるなwww」

「あ、ラブルス、ズコーってやってるwww」

「それすらなんか寒い感じになってるwww」

「すごいねw四天宝寺って笑いに厳しいね!!」

「そりゃ面白くないからね」

「これくらいじゃダメなんだなぁ四天宝寺は・・・」

「あー、銀さん困ってロン毛のまま般若心経いいだしたよ・・・」

「銀さん・・・」

「ますます体育館の温度下がったな」

「やばいね・・・テニス部みんな焦ってる・・・」

「でも声かけられない雰囲気だからみんな焦ってる」

「あ、財前消えた」

「え、財前くんいなくなったね」

「まさか・・・」

「来るか・・・」

「来るか・・・」

 

 

 

私たち二人がざわざわしていると・・・

 

 

 

じゃーーーん!!!

 

 

 

めちゃくちゃ大きい音が聞こえたと思ったら、財前くんがまた出てきてエアギターを始めた!

さすが財前くん!!

やけくそのエアギターだね!!

ギュイイイインってもう聞こえてきそうなくらいのリアルさ!

 

財前くんが放送委員に頼んだのか、選曲が完璧で!

 

 

 

\わーーー!!/

 

 

 

体育館は再び盛り上がりを見せた。

他の部員たちもそれに最初は驚いた顔をしていたものの、財前くんを見て、カツラを脱いで、みんなでエアバンド。

謙也もどこからか、イスを持ってきてそこに座ってエアドラム。

白石くんはなぜかマイクを持ってきて、エアボーカル。

千歳はエアタンバリン、ユウジはエアベース?、小春ちゃんはエアキーボードしながらクネクネ踊ってる。

金ちゃんはとにかく飛び跳ねて楽しそうだし、銀さんは木魚・・・?木魚が見えるな・・・。

そして、小石川くんは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっべぇwwww小石川リコーダーだあれwww」

「リコーダーが見えるねwww」

「やべぇwww小石川の評価めっちゃ上がるwww」

「待って待って、一番面白いwww」

「小石川やべぇwww」

 

 

私たちの中では小石川くんに夢中だったけどwww四天宝寺の人たちは

 

 

 

\わーーー!!/

 

 

 

楽しそうに盛り上がってた。

 

(よかったね・・・)(みんなよかった・・・)(すごく楽しそうだし・・・)(輝いてる・・・)

 

こんなに楽しそうな会場を見ると、四天宝寺テニス部がどれだけ愛されてるかわかる。

イケメンだからとかだけじゃなく、面白いとか、キャラクターとかもみんなに好かれてるんだなって思って。

 

(感慨深いな・・・)(BBA、こんな青春な感じ見ると泣けてきちゃう・・・)

(みんな楽しそうだし・・・)

 

涙が出そうになりながら、白石くんを見る。

 

(あれ?)

 

すると、白石くんがこちらを見ている感じがして。

 

 

 

 

ニコッ

 

 

 

 

私に微笑んだ気がした・・・

 

 

 

(うそ・・・でしょ)(かっこいい・・・)

 

 

 

私の気のせいかもしれない。というか、多分気のせいだ。きっと私の近くに知り合いでもいるんだろう。

 

だけど。

 

ステージの上の白石くんは、本当にアイドルみたいで、キラキラ輝いていて。

本当にかっこよかった。

 

 

 

(あ、だめだ・・・)(やっぱり涙出る)

 

 

 

そう思って、涙が頬に伝わった時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グスッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ま、まぁちゃん・・・!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣を見ると、まぁちゃんが鼻水を垂らしながら泣いていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、きみ号泣でしょ!」

「いや、だってズビッ、だって、み、みんな、すごいかっこいいしズビッ

「う、うん、それはわかる・・・

「け、謙也・・・謙也を好きになってもよかったってズビッ、すごい、感じるしズビッ

「わかる・・・

「あと、この、青春って感じが、最高だし・・・ズビッ

「わかる・・・

「この感じ、BBAにはつらい・・・ズビッ

「わかりみしかない・・・

 

 

 

まぁちゃんとこの気持ちを共有して、この楽しい状況を噛み締めるのであった。

(あー!もう四天宝寺最高だな!!!)

 

 

 

 


 

 

 

 

四天宝寺テニス部には、正直泣かされたわ。

もう、大号泣だわ。最高だったわ。

目腫れてないか心配・・・

 

ぐずぐずしながら二人で外に出る。

四天宝寺の学祭が終わって、あとは閉会式みたいなことと、片付けを生徒だけでやるんだって。

我々部外者だから、外に出てきた。

この後、どうするか悩んでるんだよね。なんかテニス部トリだったから、終わったら学祭の終了の放送とかかかって、謙也とは会えなかったんだ・・・。

特にこの後会おうとか約束してなかったし、さおちゃんとどうしようかって悩んでた。だからとりあえず門のところで待ってるんだけど、ストーカーみたいだから、帰ろうかと思ってる。

 

 

「はぁ・・・BBAめっちゃ満喫できたわ・・・」

「ね・・・すごい体験だったね・・・」

「これさ、マジで氷帝の学祭はちょっと世間から外れてて違うなって感じするけどさ、四天宝寺の学祭めっちゃ楽しかった・・・」

「うん、楽しかった・・・笑いに特化はしてるけど、これぞ学祭って感じした・・・」

「ね・・・しかも我々前世女子高だったしさ、共学の学祭ってこんな感じなんだなって思ったら楽しかったよね・・・」

「めっちゃ楽しかった・・・」

「最高すぎた・・・」

「最高だった・・・」

「・・・はぁ・・・謙也に会いたいな・・・」

「会いたいけど、ずっと門のところでずっと待ってるわけにはいかないし・・・」

「だね・・・怪しいもんね・・・」

「うん・・・おとなしく帰るか・・・また大阪に来ればいいし・・・」

「そうだね、いつでも来れるしね」

「うん、プライベートジェット使えば1時間くらいだしね」

「じゃあ、また来るってことにしていこうか」

「うん、そうだね」

 

 

プライベートジェットの帰りの出発時間は20時くらい。飛行機の中にバスルームあるし、さおちゃんとゆっくりお風呂入って、あと帰って寝るだけにしようって言ってたんだ。(ちなみに家に滑走路があるから、着いたらすぐ家。家の中でも少し移動があるけど、お風呂入って歯磨いてあと寝るだけだから、全然22時前にベッド入れる)

榊グループの経営してるホテルが駅前にあるから、とりあえずそこで少し休憩してからご飯食べに行って帰ろうって話してた。

四天宝寺から駅に向かうため、二人でバスを待っていた。

バス停わりと近いから助かるんだよね。

 

 

 

二人で今日の萌えた瞬間を話しながらバスを待っていたその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まって!」

 

 

 

 

 

 

「あれ?なんか聞こえなかった?」

「聞こえたかもしれない」

「なんだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、振り向こうとした時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってって!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(え、)(謙也・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕を掴まれ、後ろを見るとそこには、息を切らせてやってきた謙也の姿が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、どうした!?」

「いや、あの、もう帰るん!?」

「え・・・いや、飛行機は夜だから、夜ご飯食べてからって言ってたんだけど・・・」

「ほな、まだ時間ある!?」

「う、うん・・・あるけど・・・」

「ほな、打ち上げ来ぃへん!?」

「え!打ち上げって、部活のみんなでやるの・・・?」

「おん、みんなで打ち上げすんねんけど、手伝ってくれたし、一緒にどないやろ!?」

「え、いいの!?」

「もちろんやで」

「え、いきたーい!!ね、さおちゃん行こうよ!!!」

 

 

 

そうして、さおちゃんを見ると、謙也のあとにやってきたのか、白石とさおちゃんが話していた。

(白石来てたんかい・・・!)

 

 

 

「さおちゃん、」

「いくて」

「は?なんでお前が答えるんだよ白石」

「行くやろ、な?」

「う、うん・・・まぁちゃんが行くなら・・・」

「まぁ特に用事もないし、行こ!」

「うん・・・じゃあ、いく」

「ほ、ほな、すぐに片付け終わらせてくるから待ってて!」

 

 

 

謙也がそういって、白石も学校の中で戻って行って。

まさか打ち上げに呼んでもらえると思ってなかったから、ものすごい嬉しくて。

 

(わーい!嬉しい!!)(どこ行くんだろ!?)

 

謙也が走ってきてくれたことも嬉しくて、これからのことを考えると楽しみで仕方なくて、早く片付けなんて終わればいいのにって思った。

 

 

 

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