クロスオーバー73【さおり/まなみ】

 

 

 

 

 

(そっか、今日誕生日かぁ)

日付が代わってから、朝になってもおめでとうといろんな人からLINEが届いた。
ありがたいね、お誕生日を祝ってもらえるなんて。

 

朝居間に行くとみんなにおめでとうと声をかけてもらえて それだけでも充分嬉しかったのに。

 

「今日は絶対に部活終わったらすぐに帰ってきてくださいね!!」
「坂ノ下商店で寄り道したらいけませんよ!」
「・・・待ってる」

 

 

って天使たちが言うからぁぁぁぁぁぁぁ
誕生日パーリーしてくれるの気づいてたけどぉぉぉぉぉぉ
可愛過ぎるからぁぁぁぁぁぁぁ
言わなかったぁぁぁぁぁぁ😭😭😭😭😭

 

あーーーーもうこれだけで幸せなんですけどぉぉぉぉ😭😭😭

 

まぁちゃんは歌仙たちに6時になったら真っ直ぐ帰ってくるようにとか、誰か迎えに行った方がいいんじゃないかとか色々心配されていた。
大丈夫大丈夫って言ってたけど心配だな・・・
多分裏に手を回してルカとかコウくんとかまぁちゃんWest Beachとかに拉致るよう言うんだろうな・・・
私部活あるし・・・うーん・・・

 

とりあえずみんなに部活終わったらすぐ帰ってくるように念押しされて学校に向かった。

 

 

 

「よぅ」
「おは~」
「おはよ!」
「誕プレよこせ」
「またそれかよ!!」
「ぜってーやんねーし!!」
「夜中にメールありがとね」
「んなの毎年のことだろ」
「誕プレよこせ」
「お前それしか言えねぇのかよ!!ぜってーやんねぇっての!!」

 

 

 

ぎゃーぎゃーと騒ぎながら、私と亮とがっくんは朝練に向かった。
そういやいつも遅刻組でコウくんのバイクで来ようとするまぁちゃんが最近真面目に朝早いな・・・
最近ずっと朝練組の私たちと一緒だもんな・・・
これもその好きな人に笑顔で挨拶するためなんだろうか・・・
そう思うとまぁちゃんめっちゃ健気だね・・・・・・・
相手が誰か知らんけど健気なまぁちゃんのことあんまりとか言うなんてとっちめてやりたい・・・・

 

 

 

バレー部の体育館に行ってもみんなにおめでとうおめでとう言われるし
こうして今日は朝からたくさんの人にお祝いしてもらえてなんだかいい1日だ。お誕生日、悪くないね!!

 

 

 

澤村「放課後は坂ノ下一緒に行けるのか?」
スガ「俺ピザまんおごってやんよ!」
クロ「じゃあ俺はアイス♡」
及川「こんな寒いのにアイス?おれはケーキ買ってあげる♡」
岩泉「坂ノ下にケーキないだろ」

 

朝練が終わって澤村くんたちとそんな話をしながら教室に向かった。

 

 

さお「あ、ごめん・・・部活終わったらすぐに帰ってくるように言われてるんだ・・・」

 

 

みんなはだよなぁ~とか言いながら でもまぁ放課後楽しみにしててよ! とか言ってそれぞれ教室に入って行った。

 

 

澤村「この歳になると家族が祝ってくれるのもなんだか気恥ずかしくなるよな」
さお「そうかな?男の子はそうなのかもね!私は嬉しいよ😄」

 

 

そう話しながら教室に入って
澤村君とまた後でって お互い席について。

 

 

座った時。

 

 

 

 

 

 

「前さん」

 

 

 

 

声をかけられて、心がザワザワってした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あ、し、白石くん、おはよ・・・」
「おはようさん!前さん、今日お誕生日やんな?」
「え!!お、覚えててくれたの?」
「もちろんや!誕生日おめでとさん!!」

 

 

彼はニッコリと微笑んで 飴ちゃんやるわ~ とコロコロした飴をいくつか私の机の上に置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

【逃げてる】

 

 

 

 

 

 

 

 

そう気づいてから

 

白石くんを見て 胸が痛むのは、罪悪感でもなんでもなく

 

”恋”なのだと知った。

 

 

 

彼とうまく付き合えなかったのは
自分に自信がなかったから。
自分が子供過ぎたから。

 

だから怖くて。

 

どう接していいかわからなくて
上手く話せなくて
嫌われちゃうんじゃないかと思って
キラキラで真っ直ぐな彼に 負い目を感じて

 

逃げた。

 

 

逃げ出した

 

けど

 

逃げても同じだった。

 

 

 

彼を見て 胸が苦しいのも 上手く話せないのも一緒。

 

つまりは簡単

 

 

私は  彼が好きなのだ。

 

 

わけもわからず付き合ったけど。
優しくて素敵な彼に恋をしていた。
なおさら初めての恋に戸惑って、いてもたってもいられず逃げ出したけど。

 

 

やっぱりこうして声をかけてもらえて、
お誕生日を覚えていてもらえて、

 

 

嬉しいんだ。

 

胸がザワザワとするほどに。

 

 

 

 

 

 

 

(まぁちゃん、頑張るって言ってたな)
(キラキラしてて、可愛かった)
(私も・・・)
(私も素直に、)

 

 

まだ上手く話せないけど。
緊張して、自分からは何も言えないけど。

 

彼を傷つけたのは私だし
もしかしたらもう 新しい彼女がいるかもしれないけど(バレンタイン超モテてたし)(思い出したら凹む)

 

私なりに 一歩前進。
そろそろ 変わるときが来たんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あのね、白石くん」
「ん?」

 

ほな! と立ち去ろうとしていた彼を引き留めた。
振り向いた彼はやっぱり今日もかっこよかった。

 

 

「あ、ありがとう!覚えててくれたのも、祝ってくれたのも、とっても嬉しい!」

 

ちゃんと 笑えただろうか
笑顔、引きつってないだろうか
私は今どんな顔、してるだろうか

 

 

そんなの 自分じゃわかるよしもなく。

 

でもすごくびっくりしたあと 白石くんは笑ったから  (わ!かっこいい!)
少しでも嬉しい気持ちが彼に伝わったかな、って そう思った。

 

 

そしてその会話をたまたま近くに居た黄瀬くんが聞いていて、教室中に広まって田所君とかヒノエくんとかクリスくんとか、みんななんかしらのプレゼントくれたから驚いたよ!
亮がそれ見てめっちゃ笑ってた。机の上プレゼントだらけになってしまったし、なんとか袋を手に入れてそれはしまえたけど今度は放課後バレー部が練習少し早く切り上げて私のお誕生日会してくれて😭プレゼント、1年・2年・3年ってそれぞれ学年ごとにもらってしまった😭持ちきれないくらいいただいて😭もう私幸せすぎて死にそうだった😭
荷物持ちきれないから帰りは亮とかがっくんが持つの手伝ってくれたんだけど、やっぱり幼馴染からもプレゼントもらって😭

最高にハッピーな1日になりました♡♡♡♡♡

 

 

 

 

 


 

 

お前にはやんねーとか言いつつみんなプレゼントくれるの知ってる。
うちの幼馴染ツンデレだからな!ハハ!!

しかし今日の一番の目標はそこではないのだ。

 

今日の おらの 目標は!!!!!!!

 

 

忍足謙也に おめでとう 言ってもらうことなのだ~~~~~~!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

はー・・・
絶対無理・・・(絶望)

 

だってやっと挨拶自然にできるようになってきたのに・・・
アタシお誕生日だからおめでとう言って!!とか・・・
以前のアタシなら言ってたかもしれんけどさ・・・
またそんなん言って図々しい女と思われたら終わりじゃん・・・
言えねぇよ・・・
言えないけどとりあえず挨拶だけはしよう・・・(日課)

 

そんなこんなを悶々と考えてたら・・・

 

 

「まなみじゃん、何してんだよ」

 

 

うわーーーーーーー
チビのガクトだーーーーー!!!!!!

 

 

「おはようさん」

 

 

 

そして一緒に忍足謙也いたぁぁぁ!!!!!!!

先に挨拶されちまったぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

 

 

「お、おはよ!!」

 

 

挨拶は した。

 

 

 

 

でも、おめでとう・・・言ってほしい・・・
いや、でも無理・・・
やっぱ無理・・・言えない・・・・

 

 

 

「何してんだよ、さっさと教室戻れよなー」

 

 

うるさいチビガクトがそんなこと言う。
うるせ!ばか!チビ!向こう行け!!
と、言いたいけど 忍足謙也が見てるから言わない!!

 

 

それでも いつもは挨拶したら走って教室に帰るアタシがまだいるのが珍しいのか
忍足謙也は教室に入らずに じっと アタシを見ている。

 

 

(うわぁぁぁ超見られてるよぉぉぉぉ)

 

(無理ーーーーー!!!!!!!!!)

 

 

 

「変な奴ー」

そう言って岳人は教室に入って行った。
よし!邪魔者は去った!!

 

 

と、思ったら つられて一緒に忍足謙也も教室に入ろうとしている。

 

 

「う、あ、」

 

 

ちょっと待ってと言おうとしたのに不審者みたいな声が出てしまった。
なんだおらは・・・カオナシかよ・・・

 

 

「?」
「あ、あ・・・」

 

やっぱりカオナシじゃねーか!!!!!

 

すごい困ってる忍足謙也・・・!!!!!
ど、どうし・・・
でも言えない・・・!!!
アタシ今日誕生日なのダブルピース!!!!
とか言えない・・・!!!言えない・・・・・・・・・!!!

 

 

 

(・・・諦めるか・・・・・・)

 

 

 

「ごめん、なんでもない・・・」

 

 

 

 

諦めてションボリと教室に帰ろうとした

 

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

 

東峰「あ、まなみちゃん、今日お誕生日だね。おめでとう!」

 

 

 

 

朝練から戻って来た
バレー部の
ヒゲちょこ・・・・!!!!!!

 

 

 

 

(おああああああああああ)
(救世主・・・・!!!!!)
(神様~~~~~~!!!!!!)

 

 

 

 

名前は覚えてないけどおらもバレー部お手伝いしたり遊びに行ったりしてるからな!!
ヒゲちょこめっちゃいいやつ!!!!!!

 

 

「あ、え?そうなん?今日誕生日なん?」

 

 

コクコクコク

 

忍足謙也の言葉に全力で頷く

 

 

 

「そうやったんか!それはおめでとうな!」

 

 

おめでとう

 

おめでとう

おめでとう

 

おめでとう・・・(エコー)

 

 

 

おめでとういただきましたーーーーーー!!!!!!!!!!!👏

 

「うん・・・ウン!!!!!ありがとう!!!!!✨」

 

 

 

 

アタシは嬉しさのあまり そのあとまた走って教室に戻った。

 

 

 

 

やった!

やった!!!

やったぞーーーー!!!!!

 

 

忍足謙也に  おめでとう!!  言ってもらえた!!!!!!!

Foooooooooo!!!!!!!!!!!!!!!!

最高にHAPPYだ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、って、」

 

 

 

 

 

ガシッ

 

 

 

 

浮かれて教室の前で踊っていたら 思い切り腕を掴まれた。

 

 

 

 

 

 

(え?)

 

 

 

 

 

 

見ると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忍足謙也が・・・!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、戻るの早いねん」
「う、あ、あ・・・」←カオナシ
「これ・・・大したもんやないけど、誕生日やから・・・」

 

 

ん と彼が手を出すから
その下に 手を広げた。

 

 

コロン

 

 

 

 

(え?)

 

 

 

そしてアタシの手のひらには
フルーツの形の・・・

 

 

「消しゴム・・・?」
「あ、俺消しゴム集めるの好きで・・・よかったらやけど」

 

 

そう、少し照れくさそうに 忍足謙也は言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブワッ

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

どうしよう・・・

おめでとうって言ってもらえた上に・・・
プレゼントまで・・もらえるとか・・・
もう・・・
死んでもいい・・・

 

 

「な、なして泣くねん、消しゴム嫌やったか?(オロオロ)」
「ううん・・・違うの、嬉しいの・・・」

 

 

ありがとう・・・一生大切にするね・・・

 

 

そう泣く私に 彼はオロオロしながらも おぅ・・・ と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

キーーンコーーーンカーーーンコーーーーン

 

 

 

 

 

 

<●> <●> じ~

 

 

 

 

 

!!?

 

 

「リ、リヴァイ・・・」

「てめぇら・・・」

 

チャイム鳴ったし怒られるかなと思ったけど

 

「・・・青春だな」

 

リヴァイのチビは謎に感動しているようだった・・・

 

「お前・・・女泣かせる奴はクソだが・・・うれし涙は・・・アリだ」
「あ、あざっす・・・」
「もうチャイム鳴ったし戻れ」
「は、はい・・・」

 

 

忍足謙也は去って行った・・・
そして私はリヴァイと教室に入ったら え、何泣いてんだ?怒られたのか? あいつって泣くのか? 怒られて泣くのか? と教室がざわざわした。

 

 

いつもならムカつく

今日のおらは 超 ご 機 嫌 💖

 

(へへ)

 

 

忍足謙也にもらった消しゴムを握りしめて ニヤニヤが止まらないのであった。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「で、ウエストビーチに拉致られてたんだね、やっぱり」
「うむ」
「でもやっぱり幼馴染たちからプレゼントもらえてよかったね」
「・・・プレゼント・・・プレゼントね・・・もらえた・・・へへへ」
「誕生日パーティーも最高だったね・・・小学生たち可愛すぎて死ぬかと思った」
「あぁ、今日好物ばっかで美味しかった!歌仙、コストコでフォアグラ買っててくれた・・・」
「よかったね!!!今日はなんかもう一生分のプレゼントもらっちゃったんだけど・・・」
「プレゼント・・・へへへ・・・」
「家族と幼馴染とバレー部とクラスのみんなも・・・こないだははなみっちゃんと洋平くんにももらったし・・・・私は本当に幸せ者だよ」
「ミートゥー!!!!!!マコちゃんも昼休みにわざわざ持ってきてくれたよ」
「あ、マコちゃん私にもくれたよ・・・優しすぎる・・・」
「マコちゃん天使だから・・・」
「今日めっちゃいい夢見れそう・・・(白石くんにもお祝いしてもらえたし)」
「おらも・・・(忍足謙也がプレゼントくれたし・・・)」

 

 

 

 

じゃあオヤスミ

そう言って幸せいっぱいのまま 素敵な誕生日を終えた。

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