「おつかれさまです!」
待ち合わせに行くと、彼が笑顔で迎えてくれた
あーあ、憂鬱な一日の始まりだ
「今日はホンマにありがとうございます」
「・・・いえ、」
「ほな行きましょうか」
プランを立てたのは彼
(お礼のはずなのにね)(全部やりますって言ってくれた)
おとなしく彼について2人で歩く
電車を乗り継いで、やってきたのは
「植物園・・・」
「あーあんまり好きやないかもしれへんけど・・・」
家でもパソコンやっとるって言っとったから、たまには緑見るのもええかなって思って・・・
そう、彼は言った
(・・・・・・一応いろいろ考えてくれたのかな・・・)
(いや、でも)(彼女への罪悪感ハンパない私・・・)
(どうしよう・・・探偵雇われてたら・・・)
(2人でいるところ写真撮られたらアウトだよ・・・)
そんなことを考えていたら、
「あの、まえさん」と話しかけられた
「あ、ごめんなさい、なに?」
「あー・・・やっぱり植物園とかあかんかったですか?」
「え?」
「いや、行きたがる女子はおらんって言われたんやけど、でも俺の好きな場所やから一緒に来たくて・・・」
「(彼女に言われたのかな?)あ、ううん、植物園は好きだよ?」
「え!ホンマですか!?」
「うん、植物園たまに一人で来るから」
「え!?」
「やっぱり、緑の中にいると癒されるよね」
「ああ、わかります、ホンマ緑はええですよね・・・」
「うん、緑はいいよね」
「あの、めっちゃ引くかもしらんけど、俺毒草好きで・・・」
「え、なんで引くの?」
「え?」
「私は食虫植物が好きだよ、早く中入ろう?」
私がそういうと、白石くんはにこーっと笑って「はい!」と頷いた
(あー、今の可愛い)
(でも、騙されちゃだめ)
――――――――――――――――――――
一通り遊んで、それから夜
最後に一緒にご飯を食べに行きたいという彼のリクエストで、一緒にご飯を食べることになった
行ったのは、オシャレな洋食屋さん
私はパスタが大好きだし、美味しくて、「あーお腹いっぱいになったし、疲れたし、今日はぐっすり寝れそう」と思っていると、
彼が「飲みに行こう」と言い出した
「え、でも」
「ちゃんと送って行くんで」
「でも・・・」
「もう少し、一緒に話してたいんです」
「・・・」
「お願いします!あと少しだけでいいんです!」
俺、出しますから!という彼に押され・・・
仕方がないから最後に一軒だけと、一緒に居酒屋に行くことになった
(はぁ・・・)
(もう疲れたよ・・・)
(一日一緒で・・・)
(彼女への罪悪感すごいし・・・)
(カメラがどこかで狙ってないかひやひやしたよ)
けど、
一緒にいてわかった
話してて、すごく楽しかったこと
彼の話し方も、楽しませようとしてくれているところも、
(女の子慣れしてるからかもしれないけど、)
(でも、楽しかったな・・・)
(こりゃ女の子にモテるわけだ)
そう思いながら、居酒屋に入り、2人で乾杯する
彼は、一気にビールを飲みほした
「一気飲みして大丈夫!?」
「いや、なんか今日一日中めっちゃ緊張してて、喉かわいてて、」
「え!?緊張してるの!?なんで!?(あ、彼女にばれると困るから!?)」
「え、なんでて・・・そりゃぁ・・・」
まえさんと二人きりやからに決まっとるやないですか
と彼は少し恥ずかしそうに言った
(え?)
(あ、)
(これが女の子を落とす方法なのか・・・!)
(さすがです・・・!!)
(私も好きな人できたら使ってみよう・・・)
(○○さんと一緒だから緊張しちゃって・・・)
(うん、いける)
そんなことを考えていたら、いきなり白石くんから話しかけられた
「あのー・・・女性にこんなこと聞くのは失礼だと思うんですけど・・・」
「え?何?」
「まえさんって、おいくつなんですか?」
「え?」
「俺の2コ上かな思うてるんですけど・・・」
「あーそうだね」
「やっぱり!ほな、27歳ですか??」
え、
なぜそうなる
「え、違うけど・・・」
「え!?すみません!!!」
「私、24歳だよ」
「え!!?!??」
「そんな驚かなくてもいいしょ!」
「え、やって、俺より年下やから・・・」
「え!?白石くんって何歳なの!?(あ、まさか浪人してたとか!?)」
「俺、25歳になりました」
「え、何月生まれなの?」
「4月です」
と、いうことは・・・
「同い年だ・・・」
「嘘やん!」
「私早生まれだから・・・」
「やって、入社5年目って・・・」
「私短大卒業してるんだよ」
「あー!なるほど!」
「白石くん、大学卒業して23歳だと思ってたよ」
「あー俺薬学部なんで6年制やったんで」
「ああ!研究者なんだ、白石くんは!」
「はい・・・その予定です」
「なるほど・・・」
(なんだ・・・同い年だったのか・・・)
(年下萌えとか思っていたのにな・・・)
(年下という肩書がなくなった今、もう彼には何も残ってないよ・・・)
(ただの女好きじゃん・・・)
「なんやー、そっかー」
「うん、まさか27歳に思われていたとは・・・」
「いや!!すみません!!めっちゃ落ち着いてるから!!」
「うん、それはよく言われる、高校生の頃からずっと言われてた」
「ホンマにすみません!!」
「ううん、いいよ、慣れてるよ・・・」
「いやー、あの、ほんならすみませんついでにもう一つ・・・」
「え?」
「あの、今だけでええから、普通に話してええですか?」
「・・・敬語なしってこと?」
「はい・・・」
(まぁそれは・・・)
(先輩だけど、)
(同い年なわけだから・・・)
(まぁいまだけなら)
「うん、いいよ」
「おーおおきに!」
いやー、めっちゃ嬉しいわ!同い年やったなんて!!
そういう言って喜ぶ彼を見て、
(タメ語で話すとますますチャラいな)
そんなことを考えていたのだった・・・