「ってなことがあってさ」
「そうかい、人気者だねきみ」
「人気者なんだわ」
「きみ、研修医の人には興味ないの?」
「さほど」
「イケメン?」
「イケメンはイケメンだね、でもすげーモテるよ」
「あーそうなんだ」
「きみこそ、会社の年下の後輩君どうした?」
「いやーダメダメ、イケメン怖い・・・」
「こわいよね、イケメンが好きなくせにね」
「イケメンは観賞用だわ~」
「わかるわ、男はやっぱり中身と金」
「真面目に働く人ならいいよ・・・」
「イケメンは観賞用だね」
「そうだね。そう言えば新しい舞台のチケットとらないと~」
「好きだね~キャストによっては行く」
「OK」
そんな話をまぁちゃんとしていた
やっぱりイケメンは怖い
何考えてるかわからなくて怖い
―――――――――――――――――――
「じゃあ、2週間の研修お疲れ様でした!」
かんぱーい!
新歓があれば、送迎会もあるってもの
いや、こんな短期間でやらなくていいから・・・
来週も新歓あるじゃないの・・・
2週間の研修で、白石くんへのイメージは変わろうとしていたんだ
(あくまでも)
(仕事の面ではね!)
女関係は全然信用してないけど、
でも、2週間だけだけど、一緒にいてわかった
白石くんはものすごく真面目だ
そして、努力家
広報には来ないと言っていたけど、それでも真面目にいつも真剣に話を聞く姿は、高評価だった
私は教育したのは初めてだったけど、他の友だちの話では眠そうで全く話を聞いていなかったり、研修中に無駄話が多かったり、そんな新入社員もいたみたい
(だけど、)
(本当に、真面目に話を聞いていたな・・・白石くんは)
(仕事に対しては真面目なんだな・・・)
(そういえば、よくドラマとか漫画でも、仕事が出来る頭がいい人のほうが女癖悪かったりするからな!)
(そうだそうだ、頭いい人は怖い!)
(私バカだから怖いわ!!)
彼の真面目さは、本当に好感が持てたけど、あとは最悪やっぱり苦手
(なのに・・・)
再び隣にされる私・・・
(ホント、広報バカばっかりだ・・・)
(イケメンなら誰でもいいと思うなよ・・・)
「まえさん、ほんまに2週間ありがとうございました」
「いえいえ、たいして何も役に立つことなんて教えられずすみません・・・」
「え、そんなことないですよ!?写真の加工方法とかめっちゃ勉強になりました、ホンマにすごいですねぇ!」
「いやー私なんて大したことないよ、ほんとパソコンしかやってこなかったから」
「そうなんですか?」
「うん、パソコンが好きで、ホームページ制作とかやりたいなぁって思ってこの会社に入ったんだ」
「そうやったんですか・・・」
「はは、もう5年目だから、同期はほとんど結婚してやめちゃったんだけどね」
「5年・・・めっちゃ先輩や」
「このままだと行き遅れそうだよ」
「大丈夫やないですか?」
「え?」
「まえさんめっちゃモテますやん」
「またその話!?ホントモテたことないから私!!」
「モテますよ、めっちゃ言うてますよみんな」
「みんなって、」
「ホンマにみんな」
「・・・ホントやめて、みんなからかってるだけだよ」
「からかってませんて、」
「だって、ホントモテないんだよ!男の人とデートしたことないし!」
「ほな、してみます?」
「え?」
「してみませんか、デート」
(えーっと・・・)
(この人、何言ってるんだろ・・・)
(え、彼女いるのに何言ってるのこの人・・・)
「え、いや、それはちょっと」
「ほな、」
「?」
「こないだのひざ掛けのお礼っちゅーことで」
あきまへん?
そう私の顔を覗いて来る、白石くん
(え・・・)(ちょっとちょっと・・・)
(この人、それが目的で私にひざ掛け買ってきたの!!?)
(・・・なにそれ・・・)
(ホント、この人)
最低
(けど、)
(義理堅い私の性格だから)
(そんなこと言われたら断れない・・・)
「・・・わかりました」
「え、ホンマに?」
「(ホンマにって・・・)(自分で言いだしたくせに・・・)・・・うん、ほんと」
「よっしゃ、めっちゃ嬉しい!」
「(はいはい、それみんなに言ってるんでしょ)」
「あ、出かけてるだけとか言わんでくださいね!」
「・・・」
「デートですからね、デート!!!」
「・・・わかったよ」
「ほな、来週の土曜日とかどうです?」
「・・・ちょっとまって、」
(そういえば、来週の土曜日はまぁちゃんもキャンプ行くっていってたっけ)
(なら暇つぶしにちゅうどいいかな・・・)
「うん、じゃあ来週の土曜日で」
「よし、ほな連絡先交換しましょう!」
「・・・じゃあ、LINEでいいかな」
「ええですよ、ほなふるふるしましょう!」
周りではそれぞれみんな盛り上がっていて、私たちのことを気にする人たちはいなかった
私たちはこっそり連絡先を交換した
だけど
私の気持ちは晴れない
(あーあ、行きたくないな)
(適当に早く帰ろう)
こうして、私は憂鬱な約束をしてしまったのだった