本当に彼は”ただのチャラい男”なんだろうか
ぼーっとテレビをみてそんなことを考えていた
そこに、まぁちゃんが帰ってきた
「いやー今日もクレーム対応頑張ったわ!」
「おーえらいよきみ」
「きみは遙時今日はやらないのかい?」
「うーん」
「何で?いつもゲームしてるのに」
「うーん」
「どうした?なんかぼーっとしてない?」
「いやー、何でもないよ」
「そうかい?」
「うん」
まぁちゃんはそんなことを言いながら、「明日懇親会だから、さっさと風呂入って寝るわ!」と行ってしまった。
(ぼーっとしてたかな?)
(まぁどうせショタの生足のことでも考えてるって思ってるんだろ)
(まぁ、あながち間違いではないけどさ)
(年下のこと考えてるのは間違いないからね・・・)
(私もさっさと寝よう)
そうして私は布団にはいった
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月曜日―――――――――
朝、仕事を始めようとすると、「すみません!!」という声が聞こえた
同じ広報の後輩の声だった
どうしたのかと、フロアにいる人間みんな振り向く
上司がその後輩の前で困ったように腕組みをしていた
(どうしたんだろ?)(何かあったのかな?)
すると、営業の人たちもやって来て、ますますフロアがざわついた
みんな静かに、聞き耳を立てる
「困ったことをしてくれた・・・」
「あの企業は必死に俺たちが営業したんだぞ!?」
「も、申し訳ありません!!」
「まさか、会う約束を忘れていたなんて・・・」
「インターグループとの広告を一緒に行うための打ち合わせをすっぽかしたなんて・・・!」
「向こうはカンカンに怒ってるんだぞ!!」
(え?)(インターグループ?)
大手食品会社であるインターグループと、製薬会社のうちの会社で今度一緒に行うプロジェクトがある
そのために必死にこっちからアプローチして頑張っていたのに・・・
(って、いうか、)(それ、私も関係あるよね?)
だって、私もプロジェクトの一員だもん
「本当にすみませんでした!!」
後輩が謝っている
その声を聞いて、私は思わずそこへ向かってしまった
「とりあえず、先方に謝りにいかないと・・・」
「えっと、営業から係長と・・・」
「広報からは・・・」
「私が行きます」
みんな驚いた顔をしてこちらを見た
私もびっくりした
自分で何言ってるんだろうと思ったけど、言わずには言われなかった
だって、この広報のプラン、私が立てたんだもん
「私も先方へ行かせてください、私も何度もお会いしているので・・・」
「まえさんが行ってくれると心強い!」
「じゃあ、今すぐ支度してもらえるかい?」
「はい、わかりました」
私はそうして、いったんデスクに戻る
(あ、そうだ)
「白石くん、ごめん、今日は他の人の下で勉強してください」
「あ、はいわかりました」
「えっと、これもって、あれもって・・・」
「あの・・・」
支度をしている私の元へ、後輩がやってきた
「まえさんにも迷惑かけてすみませんでした!!!」
そう言って、頭を下げた
「大丈夫だから、まかせとけ!」
(ガッツリ上から怒られると思うから)(私からは何も言わない)
(大丈夫、自分のミスじゃなければ)
(私は無敵!!!)
そう言って、後輩の方をポンポンと叩いて上司たちと一緒に外へ出た
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「はぁ、疲れた・・・」
なんとか相手方の怒りもおさめ、戻ってきたらすでにお昼を回っていた
(せっかくだから、ご飯食べようかな・・・)
(どこで食べよう・・・)
会社の近くで食事をとろうかと、ウロウロしていると、
(あれ?)
(あれって・・・)
白石くんの姿を発見した
(どうしたんだろ?)(もうすぐ昼休み終わる時間なのに・・・)
私が遠目から彼を見ていると、
(!?)
向こうから、女の子が現れた
(あ、きっと彼女だ・・・!)
白石くんは、財布からお金を出すと、彼女に渡していた・・・
お金を受け取った彼女は、すぐに手を振って去っていった・・・
(え・・・)
(白石くんって・・・)
(貢ぐ系・・・?)
なんだか、見てはいけないものを見てしまったような気がしたのと、
(やっぱり)(あんなに可愛い彼女いたんじゃん)
(最悪だよ・・・)
やっぱり彼の印象は”最悪”だと、自分の中で決めつけた