ep.021

「お疲れ様です」

「・・・お疲れ様です」

 

 

 

あれから、社内で会うと、必ず挨拶をされるようになった

 

 

 

 

 

 

彼らが入社してから3ヶ月

座学はとっくに終わり、今では各自いろいろな部署に2週間毎に研修として所属して、社内の全ての仕事を理解してもらっている

 

(おかげで2週間毎に歓迎会だよ・・・)

(仮の部署だからいちいち歓迎会しなくてもいいのに・・・)

(それでもまぁ、これがあるおかげでいろいろな部署の人とも仲良くなれるんだけどね)

 

「じゃあ、今週の研修のグループはD班の皆さんです」

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

私の所属する広報にももちろん、いつも通り研修のグループがきたから挨拶を・・・と思っていたんだけど・・・

 

 

 

(あれ、)

 

 

 

その中の一人に・・・

 

 

 

(あ・・・きた・・・)

 

 

 

白石くんがいたのだった・・・

 

 

 

(わー・・・)

(まぁ別に何かあったというわけじゃないけど・・・)

(チャラい人は苦手なんだよなぁ・・・)

 

 

 

 

完全に彼に対する苦手意識が芽生えてしまっていた私は、少し気後れした

 

 

 

 

「じゃあ、研修はそれぞれ教育係となる人たちの下で学んでもらいます、2週間という短い期間ですが、この後広報に所属する人もいると思いますし、会社の大切な部署の1つなので、ぜひいろいろと学んで行ってください」

 

 

 

 

「「「はい!」」」

 

 

 

 

(まぁ・・・)

(私教育係じゃないし、別にいっか・・・)

 

 

 

 

 

 

そう思っていたのも束の間、

上司から声をかけられた

 

 

 

 

 

 

「まえさん」

「はい」

「あのさ、佐藤さんなんだけど、」

「はい」

「子どもが熱出しちゃってしばらくこれそうにないんだ」

「え、あ、はい」

「それで、佐藤さんの代わりに一人見てくれない?」

「え、あー・・・でも私の仕事ってちょっと特殊だから・・・」

「大丈夫大丈夫、きみならいつも通りやってくれてていいから」

「はぁ・・・」

「広報には来ない子だし、適当に雰囲気見せてあげればいいからさ!」

「はい・・・」

「で、まえさん白石くんのことお気に入りだよね?」

 

 

 

 

(え!?)

 

 

 

 

そう思って、上司を見るとニヤニヤ

そして、周りの人たちを見てもニヤニヤ

 

 

 

 

 

(や、)

(やられた!!!!)

 

 

 

 

 

 

そう、私がイケメン好きなのは周知の事実

イケメンの舞台に行き、イケメンのファンクラブに入り、イケメンの握手会に行っていることはオープンにしていたため・・・

 

 

 

 

 

「じゃ、白石くんの担当はまえさんで」

 

 

 

 

と言って、

 

現れたのは 白石くん

 

 

 

 

(さ、最悪・・・)

 

 

 

 

「よろしくお願いします!」

 

 

 

そんな私の気持ちは露知らず、ニコニコしている白石くん

 

 

 

(はぁ・・・)

(係長バカじゃないの!?)

(むしろ仕事が手につかないとかそういう可能性は考えなかったわけ!?)

(こんなイケメンと2週間もいたら、おかしくなるとか考えなかったわけ!?)

 

 

そういくらチャラチャラしているとはいえ

 

 

(その顔が隣にあるだけで緊張するっつーの!!)

(また可愛いとか言われた日には・・・)

(からかわれてるのわかってても、可愛いとか言われた日には・・・!)

(ニヤニヤしちゃうんだからーーーーーーー!!!!!)

 

 

 

とりあえず、自分の仕事をしていればいいと言われた私は・・・

 

 

(冷静に、)(冷静に、)

 

 

 

 

 

「えっと・・・では今からサイトの更新します・・・」

「はい、勉強させてもらいます!」

 

 

 

 

(あ、これだめだ)(しんだ)

 

 

 

 

これからの2週間が憂鬱になった

 

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