転生したら推しの世界だった話part11■さおり

あれからほどなくして、翌日が決勝戦ということもあって解散になった。(青学は先に帰っていたのでみんなと打ち解けた時はいなかったんだよ)

私はというと・・・

 

 

 

♪┏(・o・)┛♪┗( ・o・)┓♪┏( )┛♪┗(・o・ )┓♪┏(・o・)┛♪

♪┏(・o・)┛♪┗( ・o・)┓♪┏( )┛♪┗(・o・ )┓♪┏(・o・)┛♪

 

 

 

めっちゃ踊った。

心の中でめっちゃ踊った。

 

 

 

白石くん、逆ナンとか嫌いだから、連絡先をこっちから聞くなんてしたら嫌われるかと思ったけど、過去に会ったことがあるというだけであれほどまでに警戒心を解いてくれるのか、あっさりLINEをゲットできた。

あの時・・・子供の時に会いに行ったことも、必要なことだったのかもしれないと思うと、神に感謝した。まじで。

「白石蔵ノ介」と書かれたLINEの名前と、横のカブリエルのアイコンを見て、むふふと心の中で笑う。

まじで蔵ノ介が尊い。フルネームなのも、真面目な白石くんらしくて最高に好きだ。そしてカブリエルに少しやきもちを焼くけど、カブリエルの存在すら、今の私には尊く感じる。白石蔵ノ介を形成しているものの一部にカブリエルがいるならそれすらも愛しく思えてくるものだ。

そうして、私は心の中で踊っていたのだ。

 

 

 

しかし、心の中で踊ったというのには理由があったのだった。

 

 

 

なぜなら・・・

 

 

 

 

 

「番号・・・聞かれなかった・・・」

 

 

 

 

 

そう・・・

まぁちゃんが連絡先交換に失敗したのだった・・・

 

 

 

 

というのも・・・

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

Σ(さおちゃんが白石と連絡先を交換している!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

じーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「あらん、ほらほら、謙也くん、めっちゃ見とるわよ?」

「え、」

「ねぇちゃんどないしたんー!?」

「ほら、謙也くん、スマホだして、ス・マ・ホ

「え、え、」

「はよ、せぇや!小春がスマホ出せ言うとるやろ!!」

「ヤクザかお前は!!ちょお、待ってや、」

「もう、女の子から言わせたらあかんやろ!まなみん、蔵りん見てたんやから、意味わかるやろ!」

「部長めっちゃ連絡先交換しとるやないっすか」

「白石やるばい」

「次は謙也くんの番よ!!ほら、早く~!!」

ジー

「ちょお、まって、まって、ほんまに待って!!」

「真っ赤やん」

「真っ赤やな」

「おおおおおお女の子に番号聞くとか、そそそんなん、」

「初めてなのはわかっとるわ、はよせえよ」

「謙也きばらんね!」

「ああああ、あのなぁ・・・!ちょ、ま」

 

 

 

 

 

 

「おい、いくぞ」

 

 

 

 

 

「!?」

「え、あ、ちょ、ま!!」

「明日も早いんだから解散だ!いいな!」

 

 

 

 

そう言って、まぁちゃんの腕をつかんで店の外に出てしまったのだった・・・

 

 

 

 


 

 

 

 

「アタシは 跡部を 一生 許さない」

「だろうね」

「なんで!?あと少しだったのに!!!なんで邪魔したのあいつ!!!

「まぁ・・・跡部まぁちゃんのこと好きですし」

「だから!!!!好かれるようなことしてないっつーの

 

 

 

小さい頃から、何度か会っていた幼馴染は、当然のようにまぁちゃんを好きになっていた・・・。

うん・・・知ってたよ・・・

跡部、気の強い女の子好きだもんね・・・

小さい頃からケンカばっかりしてたけど、その言い合いが楽しかったんだろうね・・・

周りの大人はちやほやしてくるから、言い合いできるの新鮮だったんでしょ・・・

そんなの、私、20.5巻の「好みのタイプ・勝気な人」で知ってた。

勝気といえば、栗アンの勝気ちゃんか、まぁちゃんしか想像できないくらい勝気だ。

あの勝気な人って絶対まぁちゃんのことだ・・・

 

だから、あの時、まぁちゃんが四天宝寺の席にいたのがそうとう気に入らなかったんだと思う。

本当にもう・・・

 

こうして、まぁちゃんは激おこだった。

そして、泣いて泣いてひどかったんだ。

 

 

 

だから、私も白石くんに最初にLINE教えてもらった時に「よろしくね」的な挨拶はしたけど、それから進んでLINEすることもできないし、まぁちゃんの手前遠慮しちゃうから、今日謙也に会ったら私から言ってみようかなって思ってる・・・。

これでまぁちゃんの機嫌も直ればいいけど・・・。

 

 

 

ということで、次の日は決勝である。

青学VS立海。

 

 

はぁ・・・知ってた・・・?

仁王くんってめちゃんこかっこいいんだよ・・・?

しかもすごいんだよ・・・?

白石くんになっちゃうんだから・・・。

ほんと、私ね・・・イリュージョン見てびっくらこいたわ・・・。

どっからどう見ても白石くんなんだから・・・。

声まで白石くんで、白石くんが九州弁っぽい言葉しゃべってたの聞いて、また泣いた。

白石くんの声で「プリッ」とか「お前は勝たさんぜよ」とか言ってるから、泣いた。

テニミュでめっちゃ見た。アニメもめっちゃ見た。

それが目の前で!!!!

泣かないはずがないね・・・?

白石くんの試合そこまで泣かなかったのに、仁王くんの試合でなぜか号泣した。

白石くんは観覧席にいるの見えてるのになぜか泣いた。

仁王くんも最高にかっこよかった。

 

 

もちろん、ブンちゃんの戦いもかっこよかったし、幸村がケガから復帰したのにリョマに負けちゃうところも見てないた。

まぁBBAだから全体的に泣いてたね。

スポーツする男のたち見て泣いちゃったよね。

 

 

 

テニスって楽しいじゃん!!!!

 

 

 

決勝戦も終わり、みんな帰りの支度をしていた時、私はまぁちゃんを引っ張って、四天宝寺のところに来ていた。

もう、だって、これを待ってたんですよ!!

試合終わるの待ってたんですよ!!!

まぁちゃん安心してくれ!!!お姉ちゃんがなんとかしてあげるからね!!!

 

 

 

 

「し、白石くん」

「お、さおりちゃん」

 

 

白石くんに勇気を出して話しかけたら、笑顔で名前を呼んで、こっちに来てくれた。

まじかよ、尊い・・・本当にSUKI・・・また見とれてしまうし、感動して泣きそうになってしまう・・・大きなテニスバッグを持っている白石くんを見るだけで萌えすぎて叫びそうだ・・・

白石くんと一緒に、四天宝寺の人たちがゾロゾロと近寄ってきた。

ゾロゾロ来ると、ちょっと怖いな。

というか、私昨日近くで見てないけど、この人たち本当にイケメン集団だな!?全員かっこいいな!?

怖いというか、心臓飛び出しそうだから、こっち来ないでほしい・・・。

 

 

若干後ずさり、白石くんと会話する。

 

 

「昨日は、ありがとう・・・お礼言おうと思って、」

「え、いやいや、俺特に何もしてへんよ」

「話しかけてくれたから・・・嬉しかったんだ」

「あ、そうなんや・・・」

 

 

私と、白石くんがそんな会話をしていると、

 

 

「ほら、謙也くん!!」

「謙也!!!」

「謙也いくばい」

無言でカメラ用意

「お、押すなや!!」

 

 

なぜか、四天宝寺のみんなに押されて、謙也が前へ出てきた。

 

 

「えっと・・・」

「ああ、こいつ昨日まなみちゃんの連絡先聞けへんかったこと落ち込んどって、みんなに今日聞けって言われとってな」

「!?」

「言うなや白石!!」

 

 

そういう謙也は真っ赤で。

白石くんは、そんな謙也をニヤニヤとした顔で見た。

 

 

よかったね・・・まぁちゃん・・・

 

 

と思う前に、

 

 

白石くんのニヤニヤした顔、見たことないから超貴重!!!かっこよすぎる!!!!かっこよすぎるしょ!!!!動画に撮りたい!!!!!

 

 

と思ってしまった。すまんまぁちゃん。

私の横にいたまぁちゃんの背中をぐっと押して謙也の前に出す。

今度こそ、よかったね・・・まぁちゃん・・・

 

 

「!」

「ああああ、あの・・・」

「・・・」

「よ、よかったらでええんやけど・・・」

「・・・」

「れ、連絡先、おしえて、もらえませんか!!」

「!?」

 

 

 

まぁちゃん・・・本当によかったね・・・

え・・・ってかまぁちゃん、すごいいい感じじゃない・・・?謙也が真っ赤になって連絡先聞いてくるとか、もうまぁちゃんに好意ある感じ・・・?いいなって思ってるよねこれ絶対。

ねぇ、まぁちゃんのこと可愛いなって思ってるよね絶対!!!

まぁちゃんもう勝ち組じゃない!!!??

 

 

 

私がそう思っている間に、まぁちゃんはというと、

 

 

 

 

 

 

 

 

泣いていた。

 

 

 

 

 

 

わかる。

 

 

 

 

 

泣かないはずなくない????ずっと、前世から好きだった人に連絡先聞かれてんだよ????しかも真っ赤になった顔で聞かれてんだよ????向こうから言ってきてくれたんだよ????

こんなの泣くしかなくない????

 

まぁ・・・私は白石くんちょっと天然というか、ぼーっとしてるところがあるから自分で聞いてよかったと思ってるよ・・・。

そして、昨日の私たちの連絡先の交換が、今日につながったと思えば、私が白石くんに連絡先を聞いたことは間違いじゃなかったって思える・・・。

 

 

 

 

突然泣き出したまぁちゃんに、謙也だけでなく、四天宝寺の面々も焦っているようだった。

そんな中、まぁちゃんは無言でスマホを取り出し、LINEの画面を開いていた。

謙也が「え?ええの?」と聞いたら、涙を流しながら頷いて、2人はめでたく、LINEの交換に成功したのだった・・・。

 

 

よかったね・・・私も胸がいっぱいだよ・・・!

 

 

帰りのバスの中でLINEの名前をキラキラした目で見ているまぁちゃんを見て心底嬉しくなった。

ほんと、わかる。私、昨日白石くんのLINEの画面開いて寝た。何もないのにそれだけを見つめて寝た。スクショも撮りまくった。それくらい嬉しいの超わかる。

 

 

あの後、連絡先を交換した後、新幹線の時間が・・・ってオサムちゃんが言ったので、ほどなく解散となった。

我々の姿を見つけた氷帝のみんなが、すでに連絡先を交換したあとだと気づいたのも後の祭り。跡部が大きく舌打ちしていたっけ。

 

 

そんなこんなで、全国大会も終わりましたが、無事に未来につなげられるようで、安心しています!やったぁ!

 

 

 

 


 

 

 

「ということで、まぁちゃん、とりあえず新テニが始まる前に、四天宝寺の学祭に行こう」

「絶対行く」

 

 

私の提案に、まぁちゃんは二つ返事でOKした。

そう、私たちが知っているテニプリが終わり、10月くらいからU18が舞台である新テニが始まるのだ。

でも、その前にある四天宝寺の学園祭にいけんじゃね?と私は気づいてしまったんだ・・・

 

 

「四天フェスタを生で感じたい」

「財前のエアギター見たい・・・」

「そこから続く全員でのエアバンド・・・」

「興奮する、死ぬかも」

「私も」

「謙也のたこ焼き超高速早食い・・・」

「白石くんのミス女装・・・」

「ユウジのモノマネバトル優勝・・・」

「見たい・・・」

「見たすぎて死ぬ」

 

 

なんとか四天宝寺の校長・・・ムアンギにお願いして榊グループのビデオカメラ設置させてもらえないだろうかと考える・・・ダメかな・・・プロのカメラマンに無料で撮影してもらうって言ったらダメかな!?

 

 

そんなことを考えながら、四天宝寺の学園祭に行きたいということを白石くんに伝えるべきか悩む。

あれから、恥ずかしいし、特に用事もないから連絡してなくてね・・・。

向こうもないもんね・・・。そんな用事ないのに連絡してこないよ・・・。大阪と東京じゃ離れてるし・・・。

まぁあれから1カ月も経ってないんだけどさ。時間が経てば経つほど連絡しづらくなるから、ここらで連絡しておきたいなぁとは思ってる。

まぁちゃんは連絡するのだろうか。

スマホをポチポチいじるまぁちゃんに聞いてみた。

 

 

「ねぇ、まぁちゃん四天宝寺の学園祭行くこと、謙也に言う?」

「え?もう言ったよ」

「え!?」

 

 

なんで!?どうして!?

という気持ちが大きくなる。なんでどうして!?

 

 

「え!?謙也とLINEしてるの!?」

「いつもしてるよ」

「いつも!?」

「スクショ撮ったり、履歴残すの超大変」

「そういうの聞いてるんじゃないよ!!気持ちはわかるけど!!!私も全てを残そうと頑張るけども!!!」

「スクショ撮ったらさおちゃんが作ってくれたクラウドに自動でアップされるから楽でありがたい」

「そういうことじゃなくて!!!」

「ん?」

「いつからLINEしてたの・・・?」

 

 

聞けば、交換した初日からLINEしていたと言うのだ・・・

 

 

「え・・・そうなんだ・・・」

「でも内容がないというか、2人で変なスタンプ送ったりするくらいで」

「そうなんだ」

「だから、学祭のこととかも話さないから思いつかなかったし」

「ああ・・・」

「初日に変なスタンプ送ったら謙也ノリいいからそれから二人で変なスタンプ送ったりしてる」

「そうなんだ・・・」

「会話するときもあるけどね、学校のこととかは忍足(メガネ)に聞いてるみたいでいろいろ聞かれることもあるけど」

 

 

そういうまぁちゃんはとても楽しそうだ・・・

謙也は返信が早いから、早速「案内する!」「楽しみにしてる!」っていう内容が来たみたいで、まぁちゃんスクショ撮って喜んでた。

 

 

そりゃそうだよな!!

 

謙也もう最初から、なんか赤くなってましたもんね!!!!

そしてあれだろ!?LINEしてたらまぁちゃんノリ良すぎて楽しんだろ!!??わかったわ!!!もう理解したわ!!!

好感度高かったもん最初から!!!そりゃ連絡するわな謙也も!!!

 

 

と、同時に落ち込んでくる。

 

 

結局、私は白石くんには「昔会ったことがある女の子」程度の認識しかないということ。

そりゃそうだわ、白石くんを目の前にすると、どうしても泣いちゃって話せなかったし、お互いのことまだ知らないし、そんなに簡単に惚れるような男ではないからね彼は・・・。

だから、用がないのにLINEなんてしてくるはずがなくて、LINEの画面で私の名前なんて目に届かないような一番下に行ってしまったんだろうっていうのもわかってるよ・・・。

わかってるけど・・・わかってるけど・・・

 

 

ちょっと悲しくなって、意固地になって、ますます自分からの連絡なんてできるわけないと思ったとき。

 

 

LINE♪

 

 

とメッセージが来た音が鳴った。

持ったままのスマホに目を向けると、そこに表示されているのは「白石蔵ノ介」の通知の文字。

 

 

えええ!!!???と混乱して、スクショをとる前に開いてしまった。

 

 

メッセージを開くと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

う、うそ・・・

 

 

 

 

・゚・(つД`)・゚・

 

 

 

 

 

 

 

まじかぁあああ!!!!白石くんからLINE来た!!!!!!!

まぁちゃんと謙也に感謝!!!!!!

LINE来たよ!!!!!!

 

 

LINEが来ただけでと思うかもしれないが、推しからのLINEなんてこうなる!!!!

 

 

泣きながらスクショを撮って、返信する。

簡潔に。だけど、冷たくならないように。

 

行くという私の返事に、白石くんも「会えるの楽しみにしてる」「うちの部活の出し物見てってや」と言ってくれて、またそれをスクショした。

LINEの履歴も保存し、PCのLINEでもスクショし、大騒ぎの中、四天宝寺の学園祭に思いを馳せるのであった・・・。

 

 

 

 

(四天フェスタ楽しみ!!!)

 

 

 

 

+13