異世界にトリップしたと思ったら乙女ゲーの悪役令嬢役でした(7)サオリ

(朝・・・)

 

 

目覚まし時計がなって目が覚めた。
昨日あんなに泣いたからか頭が痛くて、学校なんて行きたくもないけど
行かざるを得ない、そんな性分の自分にもウンザリとした。

 

 

「おはようございます、イザベラ様」
「まぁ御機嫌ようイザベラ様」

 

 

いろんな意味で有名人なので朝からたくさんの生徒に声をかけられる。
目も腫れてるし、ほんとひどい顔してるんだろう。
みんなそそくさと私から離れ、昨日王子と何かあったのではとヒソヒソ噂話をしている。
もうほっといてくれ・・・嫌われ者の私の事なんて・・・。
教室について席に座った。
でも腫れた目が恥ずかしくてすぐに机に突っ伏した。

 

 

 

 

 

 

「サオリ、おはよう」

 

ユキムラの声がした。

 

(・・・ユキムラにも嫌われたままなんだよね、きっと)
(私の事見張ってるだけだもんね)

 

「・・・どうしたんだい?体調でも悪い?」
「・・・ううん、そんなことない」
「元気ないみたいだけど・・・誰かに何か言われた?」
「ううん」
「じゃあ、顔を上げて」
「・・・やだ」
「きみの可愛い顔を見せてよ」
「お世辞なんて言わないで」
「お世辞じゃないよ、本心さ」
「・・・ちょっと頭が痛いだけ」
「なら、保健室に行こう。俺も一緒について行くよ」
「イヤ」
「どうして?」

 

 

「おい」

 

 

今度は頭の上からアトベの声が聞こえた。
顔をあげなくても睨みつけるような視線を感じたから、昨日のこと相当怒ってるんだなと思った。

 

「お前、なにしてんだ。なぜ朝から机に突っ伏してやがる。俺様の婚約者ならシャンとしろ」
「・・・王子、彼女は繊細なんだ、悪いけどそっとしておいてくれないかな?」
「アーン?確か貴様はこいつの従兄弟だったな・・・繊細?誰がだ?この女がか?」
「彼女の様子を見たらわかるだろ。今は俺が側にいるから王子は離れてくれ」
「フン。こいつは俺の婚約者だ。てめぇには関係ない。おい、お前、昨日の威勢はどうした!」
「やめてくれ、これ以上サオリを傷つけるなら俺が許さない」
「許さないだ?お前が俺様を許さなくてどうするって言うんだ?」

 

 

 

「やめて!!!」

 

 

バンッ!!

 

 

机を強く叩いて
私は思い切り顔を上げた。

 

 

「もうやめて!私のせいで2人が喧嘩することはない!私が悪いから私が出ていくから!!」

 

 

そう言って私は教室を飛び出した。
人生初のエスケープだ。
真面目な私は現世での22年間、学校も仕事も1度も休んだことは無いのに。

 

 

 

でもそれくらい、今はギリギリの状況だった。

 

人生に、こんなにも絶望したことはなかった。

 

 

(今すぐ死んじゃいたいくらい)
(生きてるのが本当にツラいよ・・・)

 

 

 

気がついたら私は裏庭に出ていた。

大きな木の下で声を殺して泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?」

 

 

 

 

背中から
声が聞こえた。

 

 

私は泣いてるのを見られたくなくて
背を向けて顔を隠したまま、じっと黙っていた。

 

 

「女の子は笑顔が一番だよ」

 

 

そういうその声も、女の子のものなのに。

 

 

「泣かないで」
「な、泣いてなんか」
「嘘だ」
「ほんとに・・・ちょっと花粉症なだけ」
「あ~春だもんね」
「うん」
「あ、毛虫!頭の上!!」
「えっ!?!やだっ!!!」

 

取って!!

 

 

と、思わず私はくるりと その声の主の方を向いた。
目はギュッと固く結んでいたけど

 

 

「・・・フフ、嘘だよ」
「え・・・?」

 

 

その笑い方が
そのいたずらっ子のような言い方が
その楽しそうな声が

 

 

聞き覚え 、あったから

 

 

「・・・でも、きみも泣いてないって嘘ついたから、オアイコだからね」

 

 

そっと目を開けて

 

 

私はまた

 

 

涙を流した

 

 

「・・・ま、まぁ、ちゃん、」

 

 

 

あれほどつらかったのに
あれほど、今すぐ死んじゃいたいって思ったのに
つらくてかなしくてさみしかったのに

 

 

 

「あ、わかった、ホームシックでしょ!わかるぅ~~~」

 

 

 

呑気に笑うその声が懐かしくて
嬉しくて
ホッとして

 

 

心が暖かくなってしまった。

 

 

 

(まぁちゃんだ)
(やっと会えた)
(まぁちゃんがいた!)

 

 

私はワンワン声を上げて泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

「お茶買ってきたよォ~」

 

 

てててとまぁちゃんが走って隣に座った。

 

 

「よっこいしょ!あーあ、もう毛虫なんていないってば、ごめんよ嘘ついて」
「・・・違うよ、そんなことで泣いたんじゃないよ」
「そうかぁ、アタシのせいじゃなかったか、良かった・・・いや良くないな、どうしたのさ」
「嬉し涙だよ」
「なんの?」
「きみに会えたから」
「え!キザなセリフを言う子だね!!それ男ならイチコロだと思うわ!!」
「いや本気で言ってるんだけど・・・」
「ウケるね、きみ」
「まぁちゃん、良かった・・・会えてほんとによかった」
「まぁちゃん?だれそれ」
「え・・・?」

 

 

 

ヒュッと
息が止まりそうな気がした

 

 

「覚えて・・・ないの?」
「なにを?」
「私のこと・・・」
「え?うーん・・・そういや・・・よく見たらきみアタシに似てるね」
「そりゃそうだよ、私たち双子だし」
「え!?何を言ってるの!?アタシ兄弟いないわ!!兄弟どころか家族もいないわ!!孤児だわ!!」
「え・・・?」
「確かに似てるけど、怖いこと言うなよビビるから~!大体まぁちゃんって何さ!?アタシのことなのもしかして!」
「そうだよ!?あなたはまぁちゃんでしょ!?まなみでしょ!?私だよ!さおりだよ!?」
「・・・なんで」
「え?」
「・・・なんで私の本名知ってるの?それ、孤児院の仲間と私を捨てた親しか知らないはずなのに・・・」
「え・・・?」
「あんた、何者?」
「や、だから私は双子の姉で、」
「・・・嘘だよ、私は孤児なんだよ?捨てられてたところを教会の神父様に拾われてそのまま孤児院で育ったの!家族はいないんだよ!?そんな嘘つかないで!!」
「まぁちゃん・・・」

 

 

 

彼女も、ユキムラやケンシンくんみたいにまぁちゃんに似た別人なのかもしれない

 

 

そう頭をよぎった。

 

 

 

(別人、かも、しれない)
(・・・けど)
(けど)

 

 

 

 

「・・・ごめん・・・私、ずっと、会いたくて・・・怒らせるつもりはなくて・・・」
「・・・そんな悲しい顔するなよ」
「だって、まぁちゃんに嫌われちゃったら私・・・」
「嫌いとかそんなんじゃないよ・・・怒ってごめん、孤児院のみんなしか名前知らないのに知ってるからびっくりしてさ・・・」
「ごめんね・・・」
「いや、いいんだよ!急に来て名前知ってるし見覚えあるとか言うし顔も似てるし、ビックリしただけだからさ」

 

 

なんだかそういうまぁちゃんは、悲しそうに見えた。

 

(まぁちゃん・・・)

 

 

もし別人だとしても、話し方や表情を見てたらすごく落ち着いてしまう。
やっぱり彼女は本物のまぁちゃんなのではないか・・・
いや、そうあって欲しい・・・
そう思ってしまった。

 

 

「・・・ねぇ、みんなからはなんて呼ばれてるの?」
「一応学校の人はティーザーって呼ぶよ。孤児院のみんなはマナミって呼ぶけど」
「ティー・・・?」
「ティーザー・マナミ・アヴァン それが私の本名だよ、あんま本名言わないけどね孤児だから、きみは特別ね」

 

 

え?

 

アヴァ・・・?

 

 

 

「まって、アヴァン・・・?うそでしょ?」
「いや捨てられたときに首につけてたペンダントに名前彫ってあったらしいよ、ほんとかどうかはわからないけどね」

 

 

 

 

 

 

( ゚Д゚)

 

 

 

 

 

 

いやそれ確実にまぁちゃんと私双子じゃねーか!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

(・・・いやいやいや)
(まぁちゃんだけ捨てられてたって・・・そんなわけ・・・)
(あ~)
(でもあの母親ならやりかねない・・・)
(なんか2人育てるの大変だからひとり捨てそう・・・)

 

 

 

でもイザベラって実は双子でしたって設定あったっけ・・・?

 

 

 

「あのね・・・実は私も苗字アヴァンって言うんだ・・・」
「え」
「だから私たち双子なんだよ(真顔)」
「え、待って、ウケるwww」
「顔も似てるし・・・苗字も同じで・・・あなたは孤児院で育ってつらかったと思うけど・・・別々の人生送って来たけど・・・私たち、本当に双子なんだよ。信じてもらえる?」
「あー、まぁ真実はわかんないけど・・・でもアタシね、」
「うん」
「孤児院で育って全然つらくなかったよ。むしろすごい楽しかったよ、孤児院のみんなは家族だし、毎日楽しくて、悩むことと言ったらご飯が質素ってことくらいで・・・」
「え、そうなの・・・?」
「うん、それよりもさ、アヴァンってあの公爵の、でしょ?」
「え!知ってたの!?」
「うん、そりゃアヴァンってこの辺じゃ公爵しかいないしね・・・」
「知ってたなら、なんで・・・!」
「だから、こそだよね」
「え?」
「名前がわかってるからこそ、アタシは孤児院で育てられたんだよ」
「・・・」
「孤児は名前がないんだよ。大体が神父様が名付け親になるんだ。苗字はナシでほんとに名前しかみんな持ってないんだ。でもアタシは最初からミドルネームを含む名前があった。捨てられた時に首から下げてたネックレスに名前が書いてあったから」
「そんな・・・」
「だから周りの大人はみんなわかったよ、きっと公爵家の捨て子だと思っただろうけどあえて返さなかった・・・その理由、わかるよね?」
「・・・うん」

 

 

 

 

 

 

当然だ。
評判最悪だからね、我が家の母も。父も。私も。
ただ、先祖が昔の王様の兄弟で枝分かれして公爵の座を橙受け継いでるだけで。
めちゃくちゃ威張りちらして、みんなに嫌われてるのはわかってる。

 

 

 

 

だから、ほんと

 

まぁちゃんの言う通り。

 

まぁちゃんはあの家で育たなくて良かったんだと思うよ。

 

 

 

 

 

「・・・でも、きみは公爵家の娘なのに良い奴だね、大変だったろ生きるの」
「いや(転生して記憶が途中からだから)そうでもないよ」
「そうなの?なんかイザベラってきみの姉ちゃん?とんでもないやつらしいじゃん!あと母親」
「あ・・・イザベラは私なんだけど・・・」
「え、絶対ウソ」
「嘘じゃないよ」
「ウケるwww嘘つかなくていいよ」
「嘘じゃないよ、ほら、学生証」
「・・・ほんまや」
「うん・・・やばいやつって噂流れてるよね、やっぱり・・・」
「めちゃくちゃ流れてるけど・・・」

 

 

 

でもきみ、全然悪いやつじゃないねぇ

 

 

 

とまぁちゃんは首をかしげた。

 

 

 

まぁそりゃ・・・今は中身は別人だし・・・
まぁちゃんと楽しくオタクしてきた22歳だしな・・・

 

 

 

「・・・信じられないかもしれないけど、生まれ変わったんだ、私」
「そうなの?うちの孤児院からも何人かきみのところの屋敷に奉公に行ったけどね、イザベラのワガママのせいで処刑されたりしてさ、めっちゃムカついたから会ったら飛び蹴りしようと思ってたんだけどきみめっちゃ良い奴だから飛び蹴り出来ないね」
「え!そうなの!?いや、それならしてよ飛び蹴り!!私なんて飛び蹴りされて当然だわ!!」
「でもきみ噂と全然違うし、なんか、きみがやったわけじゃないと思うからいいわ」
「え?」
「きみじゃないんでしょ、ほんとのイザベラ・・・」
「いや、私が本物のイザベラだけど・・・」
「でも中身違うでしょ?」
「え!?なんでわかったの!?てかまぁちゃんも記憶蘇ったの!?」
「記憶・・・?はて🤔よくわからんけど、噂のイザベラと同じだとしてもきみではないと思ったよ、だってなんかアタシきみのこと好きだし」
「ま、まぁちゃん・・・!!!!😭😭😭」
「なんかきみ、懐かしい感じするし!」
「え!?やっぱり思い出してるの!?」
「なにを?なんも思い出してないけどさ」
「そっか・・・」
「でも、ほんとにきみと双子だったらいいなーって思っちゃったよ。双子なの信じたいわ、すごい話しやすいしなきみ🤔本来アタシは人見知りなのに普通に話せたわ!なんか絶対的信頼感あるよな」
「まぁちゃん・・・あ、ティーザーちゃんだっけ」
「・・・まぁちゃんでいーよ」
「え!」
「好きに呼んでいーよ!」

 

 

 

(・・・やっぱりこの子、まぁちゃんだ)

 

 

 

勘が鋭いのも
私には優しいところも
正義感が強いところとかも
どこをとってもまぁちゃんだ

 

 

 

 

「・・・会えて嬉しいよ、私はミドルネーム、サオリだよ。イザベラってあまりいいイメージないから、さおちゃんってよんでくれたらすごく嬉しい」
「うむ。さおちゃん。シクヨロ!」

 

 

 

こうして私のこの学園で出来た唯一の友達は
まぁちゃんだったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・っていうか、待って・・・

 

 

あの後まぁちゃんと普通にお話して、授業サボって、先生に叱られて、初の反省文を書いて、そんなこんなでドタバタと一日が終わったから寮に帰ってハァめっちゃ落ち込んでたけど今結構回復したわやっぱりまぁちゃんがいると違うな~ってほのぼのして風呂はいってお布団にもぐってもう眠ろうとしたとこだけど

 

 

 

 

 

 

待って

 

 

今更だけど情報量多すぎて処理しきれない、無理

 

 

孤児院で育った・・・?

 

 

え?

 

 

そういやお話してる中で、

 

 

 

 

「孤児院で育った子は基本的には学園には入れないけど、どんな分野でもいいから試験で優秀な成績を取った人は特待生として無料で入れるし、スポンサーがついてお金出してくれたらその子も特別に入れる。アタシは可愛いからどっかのあしながおじさんが学園に入れてくれたんだ!勉強嫌いだし孤児院楽しかったから悩んだけどご飯美味しいって聞いたから来た!当たりだった!!」

 

 

ってまぁちゃん興奮しながらそのあとずっと食堂のご飯の話してたんだ。
だから相変わらず自分のこと可愛いとか言うんだなーとか、相変わらず食い意地張ってるなーってほのぼのと話聞いてたから気付かなかったけど

 

 

今気付いた。

 

 

このゲームの主人公・・・

 

孤児院で育って庶民の感覚を持つ普通の女の子が続々とセレブ男子達を落としまくってく天使のようなヒロイン・・・

 

 

これ

 

 

まぁちゃんだ・・・!!!!!

 

 

まぁちゃんヒロイン役だったんだ!!!!

 

 

 

 

私が悪役令嬢で、まぁちゃんがヒロイン・・・?

 

 

え、ヤバい・・・
めっちゃ有り得る・・・

 

 

てことは、まぁちゃんも現世の記憶を取り戻すことあるかもしれないってこと・・・?
私も途中から・・・
確か頭ぶつけた時から記憶戻ったから・・・
まぁちゃんも頭ぶつけたらそうなるのかな・・・?
え、どうなのかな・・・

 

 

しかし、まさかまぁちゃんが主人公だと思わないし主人公って金アンみたいな天使のような女の子なのにまぁちゃん全然天使じゃないな・・・むしろ小悪魔だよな・・・?
ヤバすぎるまぁちゃん・・・
でもあの人なぜか主人公っぽいからわかるわ
私なんてすごく普通のモブっぽいのになんで悪役になったんだろ・・・
でももしまぁちゃんがイザベラの方だったらほんとにかなりヤバそう・・・
処刑とかはしないと思うけどワガママの限りを尽くしそうだしめっちゃ食べそう
ずっと食べてそう
ヤバそう

 

 

だから私が悪役で良かったんだわ
これで良かった
まぁちゃんが命の危険にさらされるなんて絶対やだし
攻略対象たちと恋に落ちるとか・・・いや、けんしんくんは羨ましいけど!!!!!!
他の人無理だもん😭

 

 

(ここからまぁちゃんを巡って恋のバトルが始まっていくんだよね・・・)
(ユキムラもケンシンくんもアトベも・・・)
(・・・いやだっ!ケンシンくんだけは・・・ユキムラかケンシンくんとまぁちゃん結ばれたら私は国外追放ルートで生き残れる可能性あるけど・・・!ケンシンくんだけは渡したくない無理・・・!!)
(アトベとまぁちゃん結ばれたら私死ぬしな・・・)
(あ、でもまぁちゃんのこと虐めてないし・・・むしろ仲良くなったし・・・)
(とりあえずまぁちゃんは大切にしよう・・・)

 

 

あと、我々が双子だとして、というかまぁ双子なんだろうけどなぜまぁちゃんだけが捨てられたのか・・・
本当にまぁちゃんとは双子なのか・・・
ちょっとその辺も調べる必要があるな・・・

 

 

でもとりあえず眠い。
まぁちゃんに出会えてホッとしたから、すごいよく寝れそうだ。思えば記憶が戻ってからの私はなぜここにいるのかとか、罪悪感とかでパニック状態であまり寝れてなかったもんな・・・
今日はよく・・・寝れそうだ・・・

( ˘ω˘ )スヤァ…

 

そしてその日は朝まで10時間爆睡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

次の日

 

 

「あっ!さおちゃん!おはよ!」

 

 

教室にドタバタとまぁちゃんが走ってきた

 

 

「あ、まぁちゃんおはよ!」
「良かった、クラス聞くの忘れたから探したよ~!ねぇ、今日学食一緒に食べよ!食堂のチーズケーキマジで美味いんだわ」
「チーズケーキ好きだね!もちろん、一緒に食べよ!」

 

 

(あぁ・・・まぁちゃんがいるっていいな・・・)
(ぼっちだと思ってたから余計に・・・幸せ過ぎて震える・・・)

 

 

 

「サオリ、おはよう」

 

‪その時、ユキムラの声が聞こえて顔を上げた。

 

「あ・・・ユキムラ、おはよう!」
「昨日、元気ないみたいだったから心配してたけど・・・友達が出来たんだね。元気そうで良かった」

 

ユキムラは心底ホッとしたのか、嬉しそうに笑った。

 

 

「心配してくれてありがとう。あと昨日はごめんね💦」
「いや、構わないよ、サオリが元気でいてくれるなら・・・えっと、きみは・・・」

 

そしてユキムラは視線をまぁちゃんに移してハッとした

 

「・・・きみ、その顔」
「あ、しょ、紹介するね!まぁちゃんだよ!あ、いや、ティーザーだよ!」
「オッスオラティーザーちゃん、仲良くしてくんろ」
「・・ ・あ、あぁ、よろしくね」
「ふむ」

 

まぁちゃんは じゃあまた昼休みに来るからー! と元気に去っていった。
あ、そういえば何組か聞くの忘れた。
昼休みに聞けばいいか。

 

「サオリ、あの子・・・雰囲気や多少の違いはあるけど、きみとそっくり・・・だよね?」
「あ、うん・・・そうだった忘れてた」
「え、忘れてたって?」
「ちょっとその事で後で話があるの」
「・・・わかった、じゃあ放課後図書室で」
「うん」

 

ユキムラが教室を後にして
チャイムが鳴って席に着いた。

 

(よく考えたらまぁちゃんのあしながおじさんも気になるな)
(あ、あとまぁちゃんの担任と・・・)
(てか今さり気なくまぁちゃんとユキムラ出会ってなかった!?!?)
(わぁ・・・!恋に落ちるフラグ立つかな!?)
(様子を見よう・・・)

 

 

そんなこんなで午前中の授業が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

 

チャイムが鳴って昼休み。

 

 

急にアトベに話しかけられた。
こっちのアトベは怖いからとても苦手だ・・・

 

 

「なにか?」
「なにかじゃねぇ、てめぇ、昼飯どこで食うんだ」
「え・・・食堂で・・・」
「どこの食堂だと聞いてるんだ!!」

 

 

この学園は広いので食堂だけでも8個ある。
今日はどこの食堂だろう、まぁちゃんに聞いてなかったな・・・

 

 

「えっと(オロ)」
「・・・まぁ場所はどこでもいい」
「(オロオロ)」
「婚約者の俺様がお前と昼飯を食ってやる!」
「え!?」
「お前のこと見張らなきゃならねぇしな!」
「えぇ・・・」
「フッ、この俺様と飯が食えるんだ、有難く思え」
「え、いやあの・・・」

 

「さおちゃぁーーーん!」

 

 

 

 

(。・о・。)!

 

 

 

「まぁちゃん!!」

 

 

救世主のおでましだ!!

 

 

 

「アーン?てめぇは・・・」
「なんだお前?さおちゃんになんか用か?」
「え、まぁちゃん、一応この人王子様だから・・・」
「えwww王子がこんなガラ悪いわけないwww」
「てめぇ・・・」
「まぁちゃんやめなよ(こっちのアトベ怖いから)」
「あ、そうだ、王子なら庶民のお菓子知らないだろ!」
「あ?」
「じゃーん!1度食べたら病みつきになるポテチ~!!」
「なんだこれは・・・イモの菓子か?まずそうだな・・・」
「いや、めっちゃ美味い」
「ほんとか・・・?どれ、味見してやる」
「うむ。よかろう、食べさせてやる」
「(この2人すごいな、両方上からだ・・・)」

 

 

アトベがまぁちゃんのポテチをもらってひと口食べた

 

 

パクリ

 

 

「・・・なんだこれは」
「ふふふ」
「ただポテトを薄く切って揚げてるだけなのに・・・こんなに美味い・・・だと?」
「ふふ、王子と言うのは本当みたいだね、ポテチを知らないのは王族の人間だけだろ」
「え、どんな理屈?」
「よし、この菓子はここの食堂のパティシエに作らせることにする」
「うむ、それがいい」
「早速伝えねーとな」

 

 

 

そうしてアトベはどっかに行った。

 

 

 

待って、私、これと全く同じやり取り現世で見た。
めちゃくちゃデジャヴ。
中一の跡部とまぁちゃんの会話と全く同じだったわ。
なかなか貴重な体験だ・・・

 

 

 

「よし、さおちゃん、邪魔者は消えた」
「邪魔者ってきみ」
「邪魔だろ?きみを困らせてたんだから、許さんよ」
「困ってたのわかったの?」
「わかるよ、きみのことならなんでも分かるよ」
「昨日会ったばかりなのに!!」
「でも双子だからな」
「え、信じてくれたんだ?」
「うむ、違ったとしてももう双子として生きようぜ」
「違ったとしてもwww謎の提案しないでwww」
「いいんだ・・・そんなことより、さっきのアホ王子のせいで遅くなったわ!学食売り切れちゃうしめっちゃ混むから早く行こ!」
「あ、うん」
「今日はC食堂ね!」
「わかったよ」

 

 

 

 

こうして私とまぁちゃんは一緒にC食堂に向かったのだった。

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