異世界にトリップしたと思ったら乙女ゲーの悪役令嬢役でした(6)サオリ

あの日、優しくてキラキラとした彼にドキドキが止まらなくて。
思わず走り去って逃げてしまった。

 

 

 

相手は恐らく小・中学生…

 

 

 

 

そして私は 22歳、大人の女なのに。

 

 

 

 

いや、見た目だけなら私も12歳なんだけど。
中身が大人だからね…

 

 

今まで感じたことないトキメキに襲われて、これもう完全にショタコンでしょ…
ショタ…
いや…
けんしんくんを愛おしく思う気持ちとはまた違うトキメキだった…
だってドキドキしたもん…
22歳のくせに…
キモくない私…?
ショタは恋愛対象外なのに!!!!キモくない!?!?これ犯罪者だよ!!!ヤバくない!!?!?いくら22年間恋したことないからってちょっと優しくされただけでショタに恋するとかありえなくない!?!?!?

 

しかも相手は多分モブ!!!
だって、このゲームの攻略対象を思い出して帰ってすぐにノートに書いたのを読み直したけど!!!!!

 

 

 

★主要攻略対象キャラ

・ライアン(王子) → アトベ
・オリバー・ウィリアム(秀才) → ユキムラ
・カルロス(教師)
・ダリル(チャラ男)

★隠し攻略対象キャラ

・アルバート・ウィリアム(隠しキャラ1) → ケンシンくん
・隠しキャラ2 → ???

 

 

 

これを!!!!
見て!!!!!!!!!!
思った!!!!!!!!!!

 

攻略対象はなぜか

 

 

今のところ全員知り合いなんだ!!!!!!!

 

 

だから見知らぬ彼は!!!!!
どんなにイケメンでも!!!!!!
攻略対象じゃないんだわ!!!!!!

 

 

恋愛ゲームって顔面偏差値高いもんな…

 

 

 

(・・・・・え、でも、ちょっと待って…?)
(モブってことは)
(主人公と結ばれない・・・ってことだよね???)

 

(・・・・・・あ~)
(そう思ったら名前くらい聞いておけばよかったァァ)
(逆にモブでよかったのに・・・)

 

 

これが22年間恋愛したことないオタク女のリアルな行動だよ!!!!!!!
きっと推しにあったらまず逃げる!!!!!!
だからいつまでも彼氏出来ないんだわ!!!!このまま2次元だけを愛して死んでいくからいいんだ私は!!!!

 

 

 

(はぁ・・・)
(・・・もう一度会えたらいいな・・・)
(って、相手は子供なのに!!!)
(私も見た目子供だけど中身大人だからな!!!)
(許されねーぞ22歳が12歳好きとか!!!!)
(犯罪やぞ!!!!)

 

 

 

・・・・・・でも

もう一目会いたい・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして私はモンモンとしながら
気がつけば、学園入学の日がやってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!!( ゚д゚)ハッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

バカだな私!!!!
子供に恋して葛藤してる場合じゃないしょ!!!!!
このまま学園入って主人公の結ばれる相手によっては死ぬんじゃん!!!!!!
大バカでしょ!!!!!
あ~~~
王子ルートだったら何が起きても死ぬから対策考えないといかんのに~~~
モンモンとして数日を過ごしてしまった~~~~
アホすぎる~~~~

 

とりあえず、王子は納得のアトベだったからな・・・
既にめちゃくちゃ嫌われてたから何とかしてご機嫌とって処刑は免れなくては・・・
あとユキムラルートや確定ではないけどおそらくケンシンくんルートだったらまだ生き残る可能性あるけど主人公がケンシンくんと結ばれるの腑に落ちんからやっぱりなんかしらの対策をねらなければな・・・

 

 

「サオリ、また難しそうな顔をして・・・大丈夫かい?緊張してる?」
「あ、ユキムラ・・・」
「今日から学園での生活が始まるね。全寮制だし、不安なこともあるかもしれないけど困ったことがあったら俺のところにおいでよ?」

 

 

(ユキムラ・・・)

(私の事嫌いなのに優しいな・・・)
(すごくいい人だわ・・・)

 

 

「ありがとうユキムラ・・・(処刑されることとか色々)不安だけど、がんばるね」
「あぁ、同じ学年だしなんでも俺を頼ってくれよ」
「うん・・・こんな私なのにユキムラは優しいね・・・私もがんばるよ」

 

 

 

そうだ

頑張らねば死んでしまうんだ。

 

 

 

 

(せっかくケンシンくんと会えたのに・・・)
(まだ罪滅ぼしも何もしてないのに・・・)
(それに・・・あの男の子とももう一度会いたいのに・・・)

 

 

 

ここで死ぬ訳にはいかないんだ

 

 

 

(・・・私なんて死んだ方がいいと思ってたけど)
(やっぱり生きなきゃ)
(生きて罪を償おう・・・)

 

 

 

私、がんばる!!!!

 

 

 

「じゃあ、行こうか」
「うん!」

 

 

 

私はユキムラのあとについて、学園の門をくぐった。

 

 

 

「イザベラ様よ」
「まぁこわい・・・」
「御機嫌を損ねないようにしなくては・・・」

 

ヒソヒソ

 

 

 

 

 

聞こえてますよ~~~~~~!?!?!?

 

 

残念ながらユキムラと教室が離れてしまったから自分の教室で決められた席に座った私は先程からヒソヒソ噂をされてとてもしょんぼりしている・・・

(´・ω・`)ショボン

 

いや、自業自得だから仕方ないんだけどな・・・
これもイザベラの行いのせい・・・
悪ガキめ💢💢💢
ほんと世界中に謝罪しろよ💢💢💢
反省しろバカ!!!!

 

 

「イザベラ様ごきげんよう。先日の社交界でお召しになってたドレス、とても素敵でしたわね」
「イザベラ様と同じクラスになれるなんて光栄です」
「学園生活も楽しくなりそうですわ」

 

 

(・・・)

 

 

イザベラのことを遠巻きに見て噂してる人達もいれば
こうしてイザベラのご機嫌取りを必死にする取り巻き達も学園ではいるのだ。

 

 

 

イザベラはこの取り巻きたちと協力して主人公をいじめまくってたんだよね・・・
はぁ~~やだやだ!!
この人たちも主人公に意地悪してたもん!!
地位と権力を持つイザベラにヘコヘコしてさ!!感じ悪いわ!!
この人たちといるくらいなら私ボッチのが気楽だわ・・・( ˙-˙ )スン

 

 

 

「・・・すいません、私ちょっとお花を摘みに・・・」

 

 

 

そう言って席を立った。

 

 

 

 

「はぁ・・・」

 

 

 

 

 

トイレにいても廊下を歩いててもみんなの噂の的になってしまう・・・・・・
やだ・・・・・・
でもこいつかなりの有名人だからな・・・
仕方ない気もするけど・・・
めっちゃイヤだァ~~~😢
性格悪いって先入観は消えぬのかァァ

 

 

 

 

「・・・しんどいなぁ」

 

 

 

自業自得だけどさぁ・・・
正直、私自身のせいではないというか、いや私のせいなんだけど22歳のマエサオリのせいではないじゃん???
それを思うと、かなり堪えるんだよね、周りの人の態度・・・

 

 

 

せっかく屋敷の人たちはみんな私を怖がらずに接してくれるようになったのに
学園ではまた1からやり直しだもんなぁ・・・

 

噂されたり怖がられるのも
ご機嫌取りされたりするのも

 

ほんとにしんどい・・・

 

そう思うとイザベラって心から話せる友達いないから可哀想だよね・・・
まぁ私も友達は大していないけど、私にはまぁちゃんがいたから。
なんでも話せるまぁちゃんが居たからね・・・

 

 

 

まぁちゃん・・・
元気にしてるかな・・・
きみがいないと毎日がつまらないよ・・・
淋しいよ・・・
会いたい・・・(´இ_இ`)

 

 

 

 

 

 

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

 

(ん?)

 

トイレから教室に戻ると、教室の前はたくさんの人で溢れていた・・・

 

(なんだろう?)

 

ヒョイっと中を覗けば

 

(!!?)

 

 

 

 

 

「きゃああああ❤❤王子様ァ❤❤❤❤」
「王子様がこちらを見ましたわ!!!!」
「イヤァァン!!!王子様素敵すぎますぅ❤❤❤❤」

 

 

 

 

!?

 

 

 

 

ア・・・アトベじゃん・・・!!!!!

 

 

 

_| ̄|○ ガクッ

 

 

 

 

 

 

現実の跡部ならまぁいいけど、このアトベ、どう転んでも殺されるから怖いんだよなぁ( ; ᯅ ; `)
ご機嫌取りしなくちゃ・・・
嫌われない程度に・・・
あぁでも・・・嫌われてるし・・・うかつに話しかけても嫌がられそうだから黙ってよ・・・そうしよ・・・
慣れてから殺されぬように少しづつ近付こう・・・

 

 

 

「あ、イザベラ様よ!」
「第一王女候補のイザベラ様がいらっしゃったわ!!」

 

 

 

ギクゥ!!!!!

 

 

 

や、やめれ~~~~!!!!!!
おらに注目するのはもうやめてくれ~~~~~!!!!!!
ほっといてくれや~~~・゜・(ノД`)・゜・

 

 

 

「・・・同じクラスだったのかイザベラ」

 

 

 

!?Σ(OωO )

 

 

 

 

アトベの方から話しかけてきた・・・!!!
それもめちゃくちゃ眉間にシワを寄せて・・・!!!!
嫌ならもう話しかけないでくれよ~~~。゚゚(´□`。)°゚。

 

 

 

「ご、御機嫌よう」

 

 

私はペコリと頭を下げた。
そしてそそくさと自分の席へと戻った。

 

 

(あ~~こわ・・・)
(もうここは心を閉ざすしかない・・・)
(もう誰もおらに構わないでくれ・・・)
(心を閉ざせばなんでも出来る・・・)

 

 

 

 

( ˙-˙ )スン

 

 

 

 

 

「・・・てめぇ、何考えてやがる」

 

 

その時だ。
何が起きたのかサッパリ理解できないが、アトベがズンズンと苛立った様子で私の席までやってきたのだ。

 

一瞬ぽかんとしてしまった。
マジでわけがわからなかった。
だって当たり障りのない挨拶したよな?なんか変なこと言ったか???御機嫌ようって地雷だったのか???????

 

 

「あ、あの・・・(オロオロ)」

 

 

うろたえる私に構わず、私の目の前に立ったアトベは
ガシッ!!
と、思い切り私の腕を掴み

 

 

「ちょっとこっちへ来い!!!!」

 

 

と私を引っ張り、教室を後にした。

 

 

 

ギャラリーからキャー!やはり第一王女!とか喧嘩かしら?と声が聞こえた。

私はもう頭の中パニックで、とにかく彼に連れられるまま大人しく後を付いて行っくしかなかったのだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変なこと企んでんじゃねぇだろうな!?」

 

なんだかやたら綺麗な誰もいない応接間に私を連れ込み、二人きりになった彼はそう叫んだ。

 

 

(え?????)

 

 

訳が分からずにポカーンとした。

 

 

 

 

いや、ちょっと待ってくれ

私、挨拶しただけだよな???

 

なんだこれ
なんでキレられてんの????
マジでよくわからない・・・

 

 

「企む・・・とは・・・?」
「はっ!テメーのことだ!!なんか企んでんだろ!!じゃないとその態度には納得出来ねぇ!!」
「え、態度???私なにか無礼なことを・・・?ご挨拶しただけだと思うのですが・・・」
「だから!!!それがおかしいっつってんだろうが!!!こないだの社交界の時からだ!!今まで散々うるさく人にまとわりつきやがって、第一王妃候補だってだけで毎日呼んでもいねぇのに会いに来るわ、頼んでねぇのに贈り物してくるわ・・・なのにしばらく姿も見せねぇし音沙汰もねぇ・・・社交界で久々に姿を見せたと思ったら今までと態度を変えてサッサと帰ってくわ・・・絶対なにか企んでんだろ!!!」

 

 

大人しくしとけばバレねぇなんて思うんじゃねえぞ!!!

 

 

 

と、アトベは怒鳴った。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

つまり?

 

寂しかった、のか?????

 

今までうざいくらい押されてたのに急に引かれたから???

 

いや、ない

 

ないな。

 

 

 

この王子はイザベラの悪事全部知ってるし、心からイザベラのこと憎んでたはずだ。
だからどのルートでもイザベラは殺されたんだ。

 

 

 

だから本気で私の態度が急に変わったから警戒してるんだろうな。

 

 

 

まぁ・・・そりゃそう思うよな、相手はイザベラだもん。
悪魔の化身、イザベラだもんな。

 

 

 

(だからって女の子にこんな怒鳴ったりする!?)

 

 

 

「・・・今までの無礼の数々、お詫び申し上げます」
「だから!!気色わりぃからその態度やめろって言ってんだろ!!」
「王子様、お言葉ですが・・・わたくしイザベラ・サオリ・ヴァロッサは生まれ変わったのです」
「アーン?何を戯言を言ってやがる!生まれ変わっただ?テメーは胸くそ悪くなる最低な人殺し女だ、人を虫けらのように殺しやがって・・・犯罪者と変わんねぇ!!変われるわけねぇだろうが極悪非道のクソ猫が!!」

 

 

 

 

(カッチーン)
(は?)
(今なんつった???)
(クソ猫???)
(王子様がそんなんでいいの!?!?)
(向こうの跡部も口は悪いけどこんな風に女子を罵る人じゃなかったよ!?)
(もっとさりげない優しさを持つ素敵な男なんだぞ跡部は!!)
(大体本物の王子様なら乙女の夢の王子様像壊さないでくれる!?!?)
(王子様ってキラキラ優しくてカッコよくて素敵なんだから・・・!!!!)
(このクソガキアトベ、偉そうだし俺様だし口悪いし全然王子様っぽくないじゃん💢💢💢)
(向こうの跡部にはかなり振り回されたけど50000倍マシだわ!!ってか比べ物にならないわ!!!跡部優しかったもん!!!!)
(そりゃイザベラは悪いやつだけどそこまで言うことないじゃんチビアトベ!!!)
(クソはどっちだ💢💢💢)
(ムカつく~~~💢💢💢)

 

 

 

 

 

「じゃあ今すぐ私の事処刑すればいいじゃん💢💢💢」
「!? なんだその口の利き方は!!」
「そっちこそなんなの💢💢💢ひどいことばっかり言ってさ!!!王子様ならもっと王子様らしくしなよ💢💢💢」
「ハァ!?何言ってやがんだ💢お望み通り処刑してやるぜ!!」
「そうしてよ💢💢💢私だって自分がひどいことしてきたのわかってるし、それで自分を責めて寝れなかったり泣いたりしてるんだから💢あんなに天使のケンシンくんをいじめてたなんて自分が許せないんだから!!!もうこんなかな生きてるのがツラいならいっそ殺してよ💢💢💢」
「お前が?ツラい?」
「ツラいよ!!当たり前じゃん!!!気付いたら自分のワガママでたくさんの人を殺してさ、その人にもその人の家族たちにも酷いことしたし、気付いたら罪の意識で押しつぶされそうだよ!!だけどツラいとか私言ってられないじゃん!!ほんとにツライのは家族を亡くした人達なんだからさ!!だから今は罪滅ぼしにもならないけど処刑してしまった人全員の家族や親戚に豊かな生活を保証したり、1人でも多くの命を救おうと病院や孤児院に寄付したり、ボランティアしたり、私なりに努力してるんじゃん!!それでもやった過去は消えなくて夢に見て目が覚めるし、思い出して胸が苦しくなるし、ご飯食べれないし、吐いちゃうし、涙止まらないし、何度も死のうと思ったし、ほんとにいつまでも頭から離れなくて苦しいんだから!!」
「・・・お前・・・・・・」
「だから、そんなこと言うならもう王子様の手でいっそ楽にしてよ💢💢💢私なんて生きてる価値もない底辺女なんだから!!!!」

 

 

 

 

(*゚ロ゚)ハッ!!

 

 

 

うわ

 

 

 

 

(・・・・やっっっっべぇ~!!!!!)
(何言っちゃってんの私!!!!)
(パニックになりすぎて自ら死亡フラグ立ててどうすんの!?!)
(これもう死んだわ)

 

 

 

 

。゚(゚´Д`゚)゚。ヒィーーー

 

 

 

 

「・・・わかった」

 

 

 

 

Σ(゜ロ゜;)

 

 

 

 

「!!(わ、わかられてしまった)」
「イザベラ、てめぇのお望み通りてめぇのことは俺様が処刑してやる」
「:(´◦ㅂ◦`):(死亡フラグ確定)」
「・・・ただし、今すぐじゃねぇ。今てめぇが苦しんでんなら死んでったヤツらやその遺族の分も苦しみを抱えて生きやがれ」
「え・・・?」
「で、今のてめぇの言葉が本当か、俺様はいつもてめぇのこと見張ってるからな」
「え・・・(ユキムラだけじゃなくアトベまで見張りが増えた)」
「・・・てめぇが少しでもおかしな行動をしてるのがわかったら、その時はご希望通り俺様自らてめぇの命を絶ってやる」
「え(状況悪化)」
「・・・覚悟しとけよ」

 

 

 

 

ニヤリ、と跡部は不敵な笑みを浮かべながら言った。

 

 

 

 

ヒーーーーーー(((((!!O⌓O;)))))

 

 

 

 

 

や、ヤバすぎる・・・(ゴクリ)

 

 

🙁 ;´꒳`;):ヨロッ

 

 

自ら死亡フラグを立ててしまった私は
ヨロヨロと扉を開けて教室に戻った。

 

 

 

あとに残された跡部がニヤリと口元を抑えながら、面白い女になったじゃねーの と呟いたのは知らぬまま
めちゃくちゃ落ち込みながらその日は入学式を終えたのだった・・・。

 

 

 

 

あぁ・・・
私のおバカ・・・゜・(ノД`)・゜・

 

 

 

 

「こちらが貴女のお部屋になります」

 

 

 

その日、入学式や説明会を終え、一人づつ寮へと案内された。
ここではどんた立場の生徒も金や地位や権力を持っていようとも1人の生徒として扱われる。
特別扱いはなし。
私も今までの自宅の広すぎる自室からこじんまりとした小さな寮の部屋へと通されたのだった。

 

 

 

(は~・・・散々だったな)

 

 

いや、ここで主人公に出会って彼女を虐めて、ほとんどの攻略対象に殺される運命にあるんだけど。

 

 

それにしては初日から最悪だった。疲れた。
ベットにバタンと横になった。

 

 

 

 

(しかも取り巻きさんたち嫌で逃げてたらもう寄ってこなくなったし)
(他の人からも怖がられてるし)
(ほんと最悪だな)
(ご機嫌取りしてくる取り巻きたちといるくらいならぼっち上等とか思ってたけど)
(こりゃしんどい6年間になりそうだ)

 

 

 

 

学園生活は6年間。
みっちりと親元を離れてみんな平等に学生として様々なことを学んでいく。
その後の進路によって人生は大きく変わるけれど、せっかくなら楽しい学園生活を送りたかった・・・

 

 

まぁ・・・
私みたいなクソ女にはぼっちがお似合いだよな・・・
悪いことさんざんしてきたもんな・・・
これも運命・・・

 

 

ふと、そういえばゲーム内容が気になってノートを開いた。

 

 

(・・・そうだ、次の攻略対象は・・・)

 

 

「教師」

 

 

その文字を見て、考えを巡らせる。

 

 

うちの担任は熟した女性だった。
攻略対象となる先生は若い男性教師・・・確か20代半ばくらいの・・・

 

 

 

てことは、1年生の担任の20代半ばの男性教師を探せば攻略対象とその教室にいるヒロインも分かるのでは・・・?
攻略対象は今までみんな知り合いだったからきっとすぐ分かるはず・・・

 

 

 

(・・・なんて)

 

 

 

「はぁ・・・なんかもう・・・どーでもいいや・・・」

 

 

 

私は枕に頭を埋めた。

 

 

 

「死亡フラグ確定したからもう今更フラグ回避目指してもな・・・」

 

 

 

私だって色々悩んだけどやっぱり死にたくないし、生きて罪滅ぼししたいと思ったから死亡フラグ回避のために計画立ててさ・・・

 

 

 

主人公と仲良くなりたいなって、
王子様とも少し和解できたらいいなって、
攻略対象達とも上手くやりたいし、
みんなに嫌われて恨まれてたから、みんなに好かれるように頑張りたいな、って、
お友達も、出来たらいいなっ、て、

 

 

 

思ってたのに。

 

 

 

私が思っていたよりも運命のレールからは私は全く外れてなくて
どんなに周りの人に優しくしても、罪滅ぼしをしても意味なんてなくて
ただただ私はきっと死ぬために歩いているんだな・・・

 

 

 

 

(そう、私は乙女ゲーの悪役令嬢)
(それも極悪のね)

 

 

 

 

その人生は変わることはないんだ

 

そう思ったら 涙が出た。

 

 

 

ポロッ

 

 

 

(・・・意味、なかったんだな)
(私、もう周りを傷つけないように頑張ったんだけどな)
(ケンシンくんやユキムラがたくさん話してくれるようになったから、勘違いしてた)
(誰も私を 許してなんていないんだ)
(きっとずっと嫌われたままで)
(私がもう悪いことしないように仲いいフリをしてくれただけなんだろうな)

 

 

 

ツラいな

 

 

 

ポロポロ

 

 

 

(まぁちゃん)
(会いたいな)
(最後に会いたかった)
(この状況、まぁちゃんなら楽しむだろうな)
(私はダメだ)
(毎日不安でたまらないよ)
(明日からもう他の人に会うのが怖い・・・)
(でも、行かないと・・・)
(殺された人たちはもっと怖い思いをしたんだから)

 

 

 

 

私も死へ向かって苦しみを味わいながら進んでいこう

 

 

 

 

(・・・私が幸せになるなんて、絶対ダメだもんね)

 

 

 

 

私は 悪役令嬢なんだから。

 

 

 

 

その日私はたくさん泣いた。
泣いて泣いて泣き疲れて
そして、そのまま気がついたら眠っていた。

死への恐怖を抱えたまま。

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