転生したら推しの世界だった話part9■まなみ&さおり

今アタシは、なぜかダビくんの隣に座っている。それはもう緊張して借りてきた猫のように大人しいアタシ。

一体何がどうしてこうなってしまったのか説明しよう。

 

まず、焼肉の王子様がスタートする。

最初は謙也がいることに感動していた私だったけど、よくよく広い目で見ると、ここにはダビくんもえーしろーもいるのだったと気づき、

 

うひょー(^p^)

 

となったわけだ。

正直、全国大会とかいろいろ見てたけども、やはりダビくんはかっこいいなと思っていた。

今まで謙也のことばっかりであまりとりあげてなかったけど、普通に不動峰とか山吹とかもいたしさ、なんかこっちが知ってるから、ついつい声かけたくなっちゃうよね。でも、我々まだ氷帝メンバーしか知らんから声かけなかったけど。

ダビくんは本当にね・・・ダビデ像だよね・・・芸術的な美しさ・・・思わず「ふつくしい・・・」ってつぶやいてしまったもんね。ダビくん最高。

 

で、今いろいろ観察していたから気づいたんだけど、この人たち肉とかどんどん運ぶからお店の人が忙しそうでさ。

アタシ思わずお店の人のお手伝い始めちゃったんだよ。だって、お店の人肉持ってきてくれるけど、どこの卓かわからないから困っててさ。肉と一緒に飲み物もガンガン頼んでるし。

店員さん大変だよ!!!

アルバイトもしたことない中学生だからわからないと思うけどさ、本当に接客業って大変なんだぞ!!お店の人大変だろうが!!と思って、手伝った。

幸い、学校名とかわかるし、「●●番卓の注文」って書いてるから、せっせと肉と飲み物を運んでみた。

ちなみに、こういうお手伝いさおちゃんがしそうだけど、さおちゃんは氷帝専門の肉お代わり係になっていたので、それはそれで忙しそうだったんだわ。樺地すごい食べてたし。あと慈郎のお世話したり、跡部にいろいろ言われて動いたり。

でも、アタシ氷帝以外の学校だからね!?超忙しかったから!!!なんなら四天宝寺のそばにいけるとのんきに思ってたけど、やつら肉焼くのに夢中で、多分あんまり気づいてなかったと思うわ、アタシが働いてたこと!!!

それはそれでムカつくけど、そっと注文した肉を置いて消えてたからなアタシは。忍者のように。

 

それで焼肉の王子様がなんとなく終わって、はぁ疲れたってさおちゃんと休憩して。

そのあとどんちゃん騒ぎ始まって、各校で交流しててさ。

アタシ、トイレ行きたくなったからトイレいったら、席に戻る途中に声かけられたんだよね。

 

 

 

サエに。

 

 

 

「さっきは肉とか飲み物を運んでくれてありがとう」

 

 

 

そう、サエは言った。

さすがだよなぁぁぁ~~~サエってさ、千石ほどじゃないけど、けっこう周り見てんだよね。天然だと思ってたけど、ちゃんと見てたし、物腰柔らかいし、優しいからこうして声をかけてくれたんだ。

ちょっと感動したよね。中学生ってこういうことできない子も多いけどさ、ちゃんとお礼言えてサエは素晴らしい( ゚∀゚ノノ゙パチパチパチ

 

で、そこで隣にいたけんたろうが「お、女の子・・・!か、かわいい・・・!」となったわけだ。

 

 

「よ、よかったら!お話ししませんか!?」

 

 

と、隣のけんたろうにナンパされたwwwけんたろうこういうの慣れてないのに頑張った感あってすごいかわいかったwww

したら、なぜかバネと盛り上がってる白石も、

 

 

「せやな、ここ座ればええよ!ほんまにいろいろ運んでくれておおきにな!」

「ん?何がありがとうなんだ?まぁいいや、ここ座れよ!」←やはり肉を運んであげたことは気づいてない

 

 

こう言い出してな。(白石関係ないけどな六角に)

 

 

それでけんたろうの隣座ったら、だ、だ、だ、ダビくんが隣だった・・・!(ノ∀\*)キャ

 

 

で、現在に至る。

さおちゃん向こうで一人でジュース飲んでるけど、こっちくればいいのにと思って、さおちゃんの方向いてジェスチャーしたけど、さおちゃん首を横に振って来なかった。

 

来いよ💢💢💢

 

チャンスは今だろうが!!!白石いるからせっかく呼んであげたのに!!!💢💢💢

 

 

・・・でも、まぁ気持ちはわかるけどさ。四天卓にアタシもまだいけない。

正直、四天卓がすごすぎてそこに入れない。

アタシが何もしらない中学生だったら、「あんたたち面白いね!」って入っていけたと思う。

けど、今のアタシはそうじゃないから!!!謙也のこと好きすぎるBBAが中身だから!!!!

多分吐いちゃうと思う。謙也のそば行くと、吐くね間違いなく。

そして、ユウジと財前と千歳のコンボでKOだ。

だからまずは、六角で練習だわって思ったけど、緊張しちゃってやっぱり喋れんわ😂😂😂ダビくんめちゃんこかっこいいです😂😂😂

六角の子たちが、いろいろ話しかけてくれてるけど、「はぁ・・・」「うん・・・」「そうだね・・・」で適当な相内を打っている。正直、全然頭に入ってこない。

どうすんだこれ・・・って思ってたら、ジロがさおちゃんのお膝でお昼寝タイム・・・あいつ、さおちゃんのショタ好きに野生の勘でいち早く気づいてよく甘えてる。そして、さおちゃんもそれを受け入れるからな。内心「DCくそ可愛い(´ρ`)ジロちゃんくそ可愛い(´ρ`)」って思ってると思うから、めちゃんこ甘やかして跡部に怒られてる。さすがショタ好きBBAなだけあって彼らを受け止める広い心がすごい。

ジロがいつも通りさおちゃんのお膝を借りに行ったら(さおちゃんたまにしかしてないっていうけど、けっこうな頻度で膝枕してる)、さすがに他校の子たちは騒ぐわな。多感な時期だし、女子の膝枕なんかざわざわするに決まってるwww氷帝のみんなは慣れてるけど。

 

案の定、騒ぎになって、跡部が我々のことを紹介しちゃったもんだから、さぁ大変。

 

白石がさ、その名前を聞いたときに、ピクッてなったの、アタシ見逃さなかった。

さおちゃんを見て、思い出したというより、確信が持てたっていう感じだった。

 

そして、いきなり立って、さおちゃんに近づいて・・・

 

 

あ、これさおちゃん死ぬやつですね。

 

 

 


 

 

 

白石くんが、私の名前を呼んでくれたことで、もう死にそうだった。ってか、死んでも良いと思った。

白石くん(CV細谷佳正)込みで全てを愛している私にとって、名前を呼ばれたことは奇跡。

私の夢はいつか生の細谷にあって、できれば名前を呼んでもらいたいということだったんだけど、生まれ変わったらあっさり叶ってしまった。それも本物の白石くんに名前を呼んでもらえた。

子供の頃も「さおりちゃん」って呼んでくれたけど、あの頃(CV細谷佳正)ではなかった。可愛い少年の声だった。だから、(CV細谷佳正)では今回初めて呼ばれたけど、息が止まりそうだった。

 

そして、何よりも、

 

 

(覚えていてくれたんだ・・・)

 

 

あんな、「子供時代」を見たいなんて、私のワガママですよ。ほんと、なんならこの世界に来て本来大きくなった時の白石くんと会うべきだというなら、フライングですよ。

フライングをして、1度だけ会いに行ってしまった私なのに覚えていてくれたんですよ。

 

 

こんなの泣かないはずない

 

 

嬉しすぎるし、白石くんが目の前にいることがもうパニックである。パニックすぎてやばい。

何も答えられない。

 

私の目からはポロポロと涙がこぼれて止まらない。ジロちゃんが「つめたっ!」って言って私の膝から起きたけど、なんかもう本当に反応できない。

ただ、目の前の白石くんは私が泣き出して、「え!?」って焦っているから、頑張って喉の奥から声を絞り出そうとする。

 

 

「お、おぼえてる・・・」

 

 

かなり泣き声になって声が震えていたけれど、なんとか声が出た。

でも、ほんと、あれズルだからね。ごめんね白石くん、意図的に会いに行って・・・。

それでも覚えててくれて、めちゃくちゃうれしいんだ、やばい、本当にすき。目の前のこの人が好き。大好き。愛してる。

 

 

涙が止まらなくていよいよ下を向いて泣き出した私に白石くんは焦って声をかける。

 

 

「え!?どないしたん!?え!?」

「・・・(号泣)」

「すまん!!俺なんかした!?」

「・・・(号泣)」

「ご、ごめんな、なんかしたなら謝るから、」

 

 

泣きやんで

 

 

そう、困ったように白石くんは言った。

 

 

(い、いかん!!!)

(DCが女の子に泣かれたら困ってしまうのは、前世で学んだはずなのに!!!)

(あああ!!白石くんが困っている!!!)

(違うんだ!私は白石くんを困らせたいわけじゃないんだ!!!)

 

 

白石くんを困らせたくない私は、再び口を開く。

 

 

「ご、ごめんなさい、違うの」

 

「ちゃうって、なにが・・・」

 

「ごめんなさい、嬉しくて・・・」

 

「え」

 

「白石くんに、会えて・・・嬉しかったの・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しーーーーーーーーん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(えっ!!!!!??)

(あ!!!!!!!!!!)

 

 

 

 

 

しーんと静まり返った中、白石くんが赤くなったのを見て我に返った。

ちょっと、今なんという発言した私????DCにこんな・・・こんなこと!!いっちゃダメだろ!!!「会えて嬉しい」とか!!!!言っちゃダメだろ!!!!

ギギギギギギと顔を動かしてまぁちゃんを見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ、いっちまったな・・・」っていう顔してる!!!

ちょっと!!!そんな顔してないで助けてよ!!!!

 

でも、確かに、DCが人前でそんなこと言われたら恥ずか死できますよね!!!本当にごめんなさい!!!!

 

だけど、本心なんです!!!

 

2X年分の想いが詰まってるんです!!!

 

あなたに会いたくて会いたくて仕方がなかったんです!!!!!

 

 

くそっ!!!

もう告ったみたいな感じだから、もう恥ずかしいことは何もない!!!!!

白石くんに嫌われるよりはマシだから普通に話してしまおう!!!!(錯乱)

 

 

 

 

「ご、ごめんなさい!!!変なこと言っちゃった・・・!」

「あ、いや、こ、こっちこそ、すまん!!!」

「お姉さんとゆかりちゃんはお元気ですか!?」

「あ、ああ、元気やで!!うるさいくらいや!!ははは」

「え~?二人はいつ会ったの~?」

 

 

私の隣にいたジロちゃんが話しかけてきてくれた!!だよね!!多分この場にいる全員思ってたよね!!むしろ質問してくれてありがとうジロちゃん!!!

 

 

「小さい頃に会ったことがあって・・・大阪で迷子になってたの助けてもらったの」

「せやねん!それから、毎年年賀状もらっててな、」

「え!?あげてないよ!?」

「あ、いや、ご両親から毎年届くねん、うちの両親とやり取りしとるみたいで・・・」

 

 

毎年2人の写真付きやから、2人を見たとき似とるなぁと思っとったけど、確信がなくて声かけれへんかった。すまん。

 

 

そう白石くんが言った・・・

 

 

(あ・・・)(え・・・?)

(年賀状とか、私きいてない・・・)

 

 

我が家、榊グループ。

正直、毎年何千というレベルで年賀状が届く。会社のものも入れたら何万かもしれない。

だから、年賀状の管理は全部秘書さんがしてた。

前世のように親の分と自分の分を仕分けするとかそういうの出来るレベルの量じゃないから、知らなかった・・・。

 

うちの親、やり取りしてたのかよ!!!

 

まぁちゃんの方を見ると、さすがにまぁちゃんも初耳らしくて固まってた。まぁ白石くんの家とやりとりするってことは、もちろん謙也の家もですもんね?

 

 

「知らなかった・・・」

「小さい頃に撮った写真もいただいてな、お礼もたくさんもらったのに・・・」

「あ、そうだったんだ・・・」

 

「なーんだ、そういうことか。本人たちより親同士が知り合いって感じかなぁ?」

「うわっ、びびったー。さおり泣き出すから」

「きっと、感動の再会だったんですよ✨」

「いいこというじゃねーか、長太郎!」

 

 

なんか違う。

なんか違うけど、静まり返ってたはずのその場がまたざわざわし始めたから、一安心。

私たちに注目しなくていいよ・・・それぞれ好きなふうに過ごして!!!っていう気分。

 

 

白石くんをチラッと見たら、白石くんもそんな周りの雰囲気に気づいたのか、フッと少し笑ってこちらをみた。

 

 

わ、

 

 

笑った顔も、めちゃくちゃかっこいいんですけど・・・!!!!!

 

 

 

今度は私のほうが真っ赤になったであろう顔を隠しながら、天を仰いだのだった。

 

 

 

 


 

 

 

ちょっとまって、初耳すぎる。

うちの親、年賀状のやりとりしてたの???そんなの一言も言ってなかったよ???

 

 

チラッと謙也のほうを見る。

 

 

 

 

 

 

 

ソワソワソワソワソワソワソワソワソワ

 

 

 

 

 

 

 

あ、これ確実に年賀状のやり取りしてますね。

 

 

ソワソワするな!!!

 

 

大方、なんとなく謙也も気づいていたけど、確信が持てなくて、名前とか年賀状の話で確信が持てたんだろうと簡単に想像できた。

でも、「俺も俺も!」なんて言えない雰囲気で言いたいけど言えないからどうしようって思ってるところなんだろうなー・・・(遠い目)

 

 

 

途中まで、さおちゃんと白石の雰囲気がちょっといい感じに見えて「え!?さおちゃん良かったじゃん!!」って思ってたのになー・・・

ソワソワしちゃったからなぁー・・・

でも話しかけてこれないんだよなー・・・

謙也ヘタレだからなー・・・

 

 

あーもう、ちくしょう!

 

 

アタシだって、謙也とお話したいよ!!!さおちゃんずるい!!!!

 

 

 

そうして、ザワザワした雰囲気の中、アタシも立ち上がって四天宝寺のテーブルに向かう。

小上がりの畳の端に腰かけて、謙也のことをジッと見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

(*/0\*)かっこいい

 

 

 

 

 

 

 

 

まって、ちょっとまって。

今、アタシ、話しかけるぞ!!!って決めたはず。

なのにやっぱり近くに来ると全然だめ!!!!謙也かっこよすぎ!!!

息とまりそう。心臓口からでそう。

あ、やっぱりだめだ。

見つめ合うと素直におしゃべりできない!!!

 

ってか、まじでやばい、これ死ぬ。

吐いて死ぬわ。ぶっちゃけさっきから全然焼肉食べれてないんだどさ。何も食べなくても何かが出て死ぬね。体の中の何かが出尽くして死ぬ。

 

 

あー、やばい。

目の前に謙也とかやばい。

 

まじでやばい。

かっこいい。

 

 

しぬ。

 

 

 

 

一瞬でそんなことを考えていたら、アタシが近くに来たことで、謙也も意を決したのか、

 

 

 

 

「ひ、ひさしぶり・・・」

 

 

 

 

と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

。゚( ゚இωஇ゚)゚。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

びえーーーーーーーん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚えてる?」とかではなく、アタシが隣に来たことを察してくれた上、アタシのこと、覚えてた!!!!!!

 

さおちゃんみたいに写真とか撮ってないのに!!!!

 

年賀状見ててくれたのかな!?!!??

 

覚えてくれてたという事実に感動しかない!!!!!!!

 

 

 

 

謙也、アタシずっとずっと前世から謙也が好きだよ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

口元を多い、今度は泣き崩れたアタシに、再びその場が凍りつくのであった・・・

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

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