「じゃあ・・・私仕事行ってくるね」
「うん・・・」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ、いってらっしゃい」
「うん、なんかあったら連絡してね」
昨日、帰ってきたさおちゃんの顔を見たらまた泣いてしまった
さおちゃんに話を聞いてもらって、全部吐きだした
その後は一晩中ゲームをして2人で遊んだ
(さおちゃん仕事なのに付き合せちゃったな…)
(途中で寝なきゃいいけど…)
あの後、忍足から何度も電話があった
LINEも来てた
でもそれも見たくない私は携帯の電源を切ってしまった
(今更見るの怖いよ・・・)
夜もあまり寝ていないアタシは、一度睡眠をとろうと、布団の中に入った
――――――――――――――――――
ハッと目が覚めたのは、夕方だった
もう外は薄暗くなっていた
(昼間のが寝れるな・・・)
もそもそと重い体を起こす
けれど、先ほどよりは頭がすっきりとしていることに気付く
(あーやっぱり寝るの大事)
(・・・そんで私ってば)
(寝たら忘れるタイプだった)
それでもまだ心臓が痛いけど、心配したさおちゃんから連絡が来ているかもしれないと思って、携帯の電源を入れた
案の定、チカチカと着信を知らせるライトがチカチカしていた
(さおちゃん・・・と、)
(・・・忍足のやつ、また電話してきたんだ・・・)
あとは・・・
メッセージ欄を見ていると、友達からのメッセージに気付く
私は何の気なしに、そのメッセージを開いた
そこには
『忍足先生からまなみの家聞かれたんだけど、なんかあった?
忍足先生、あまりにも必死だったから教えちゃった』
というメッセージが・・・
(はっ!?)
(何言ってんの!?)
(バカじゃないの!?)
(何で勝手に教えてるの!?)
ふつー教える前にきくでしょ!!
個人情報!!
友人の行動に怒りを覚えている時、
ぴんぽーーーーん
インターホンが鳴った・・・
(え・・・)
(まさか・・・)
(まさかね・・・?)
インターホンの画面を覗き込む
そこには、忍足の姿が
(う、嘘でしょ!!!??)
(やだ、困る!!)
(居留守使おう!!)
このまま何事もなく帰ってください!!
そう願っていた
ら、
インターホンの画面が真っ黒になって、忍足の姿は画面から消えた
(あ、)
(画面真っ暗になった!)
様子を見たくて、慌てて「モニター」のボタンを押す
すると、
(アレ?)
そこに、忍足の姿はなかった
(あ、諦めたのかな・・・)
(よかった・・・)
と、思ったら・・・
ピンポーン
今度は玄関のチャイムが鳴った
(え!?)
物音を立てずにそーっと玄関まで行く
そして、ドアの覗き穴からソッと確認すると
(!?)
(いた!!!)
(こいつ、いた!!!)
驚いて言葉が出ない・・・
何という事だ・・・
何という行動力・・・
アタシが行動できないでいると、
また再び「ピンポーン」とチャイムが鳴った
(何なの!?)
(アタシと三浦をくっつけようとしてるくせに一体何のようなの!?)
(しつこい!!)
なんだか、ムカムカ腹が立ってきた
(何なのコイツ、)
(人の気もしらないで!!)
イライラして、一発殴ってやりたい気になって、
だけどやっぱりまだ会うのは怖くて、
自分の中でも葛藤している時だった
「・・・いるなら聞いてほしい」
ドア越しに忍足が話しかけてきた
(え、)
いつもとは違うその静かなトーンに
アタシは思わず耳を傾けた