月9(3-6)24【謙也】

 

 

 

はい、心配することは何もなく朝になりましたけども!

 

 

 

 

 

(いや俺は寝不足やで?眠れんかったで?)

(なのにコイツと来たらぐーすかイビキかいて寝よって)

(不思議や、コイツにここまで意識されてないかっこいいはずの俺が不思議!)

 

 

 

 

「起きた」

「あ、おはよーさん」

「おはよ」

「ご飯出来てるで?」

「マジでか」

「食うやろ」

「うんお腹すいた」

「じゃあ、顔洗ってき」

「ん」

 

 

 

 

え、なにこのカップルっぽい会話・・・!!

なんかドキドキするんですけどっ!

 

 

 

 

「おいさっさと飯」

 

 

 

 

・・・・・。

 

 

 

(・・・前言撤回!可愛くなっ)

(お前は倦怠期の旦那かっちゅー話や!)

(やっぱ昨日可愛いとか思うたのは俺の目の錯覚や!)

 

 

 

 

みかん女は俺が用意してやった飯を口に入れて うまい と呟いた。

そりゃそうや、俺が作った飯は美味いに決まってる。

 

 

 

 

(しかしなんやねんこの餌付け感・・・)

(ほんまに小動物拾った気分)

 

 

 

 

「あ、こぼしたで」

「うん」

「あー、ちょ、またこぼした!」

「うるさいな」

「汚いなぁお前はもう!」

 

 

 

 

 

なんでこんなにご飯をこぼせるのか不思議なくらいボロボロと飯をこぼすみかん女。

不思議や・・・

不思議なやつや、ホンマにこいつは

 

 

 

 

 

「ほら、拭きなや」

「自分で拭くからいい」

「あーあ、もうええから貸してみー」

 

 

 

 

 

そうして俺はフキンを伸ばす

もう俺の中で子猫みたいな存在やから 何も考えずに。

けど こいつが抵抗するもんやから

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

ドサ っと、 押し倒してしまった。

 

 

 

(う、わ、)

 

 

 

真下に見える、みかん女の顔。

 

 

 

ドキッ

 

 

 

 

(あかん)

 

 

 

 

なんか、のどが 熱い

 

 

 

 

(あかん、この体勢)

 

 

 

 

目の前のこいつに 釘付けになる

 

 

 

 

(・・・笑って、くれへんかな)

 

 

 

 

自然と 体が近づいて

 

 

 

 

 

 

いく ん や け ど

 

 

 

 

 

「さっさとどけろよ、ぶつぞ!!」

 

 

 

 

 

と、思い切り 蹴りが飛んできた(最低やな・・・!!)

 

 

 

 

 

「グッ、もう蹴ってるやんけ!」

「あんたが悪いんじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

(・・・って)

 

 

 

 

プリプリ怒ってるこいつの顔が なんか赤いから、つられて赤くなって言葉を探した。

 

 

 

 

 

(えー、照れてるだけなん?)

(わからん・・・この女の考えてることが、わからん)

(でもそんな顔されたら)

(・・・意識、してまうよ)

 

 

 

 

 

胸がドクドクと動く

部屋の中は静まり返っていて

ご飯を食べる時のカチカチという食器の音や

外の雑音だけが部屋に響いた。

 

 

 

 

 

(あ、あかん俺 こうゆう空気 たえられへん!!!)

 

 

 

 

 

「あー、なぁ、みかん女」

「みかん女って言わないでよ、みかんは嫌いだって言ったでしょ」

「みかん嫌いって、日本人やないで!日本人ならオコタでみかんやろ!」

「みかん嫌い」

「じゃありんごは?」

「嫌い」

「ブドウ」

「嫌い」

「桃」

「嫌い」

「イチゴ」

「嫌い」

「なんやねん嫌い嫌いてお前はもー!ほなら一体何が好きやねん、梨は!?」

「・・・好き」

 

 

 

 

ドクンッ

 

 

 

 

(あかん・・・なんか、おかしいおれ)

(ちゃうで、今の)

(梨、好きや言うたんやで?)

(そうそう、別に俺のこと 好きて言うたわけとちゃうで?)

(ちゃう、けど)

 

 

 

 

わかっとる、けど

 

 

 

 

(おかしい、俺)

 

 

 

 

 

 

「何その顔 変な顔」

 

 

 

 

 

 

プっと彼女が噴出して 笑った

 

 

 

 

(!!!)

(わ、笑った!)

(・・・くそ、あかんやっぱ俺おかしい)

(笑顔、むっちゃ、可愛く見える)

 

 

 

 

 

おかしい

ホンマにどないしたんやろ

心臓、飛び出そうや

 

 

 

 

 

 

「へ、変な顔!?しとったか!?」

「うん、超変な顔、キモイ!」

「キモイって言うな!」

「いや、キモイよあんたは」

「キモイて言うなって!!」

「フフ」

「(かわいい!)なんやねん、みかんおん・・・」

「なにさ!」

「いや、みかん女やなかったらなんて呼んでいいかわからへん」

「まなみでいーよ」

「けど昨日呼び捨てしたら怒ったやんけ」

「泊めてくれたことと、朝ごはんのお礼」

「あ、そ・・・(一応感謝してんねんな)」

「そうだっ!!あんた白石に電話してよ!!」

「あー!それ俺も思うてた、昨日何があったんか聞かな!」

「そぉだよ!!あいつ、さおちゃん傷つけてたらぶん殴ってやるわ!」

「あぁ、それノったで!」

 

 

 

 

 

俺は白石に電話をかけた。

 

 

 

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