月9(2-6)15【まなみ】

 

 

 

「前さん、ちょっといい?」

 

 

 

来たよ怖いよヒステリー女の集団・・・

 

 

 

「白石さんとどーゆう関係?」

 

 

 

昼休みが終わって自分の席に戻ったら

女子社員に囲まれて呼び出された。おーこわ。だから女は嫌いだよ。

 

 

(だから嫌だったんだよ白石と会社で話すの・・・)

(こんな予感はしてたけどさ・・・)

 

 

「どーゆうって特に無関係ですが・・・」

「ウソつかないでよ!お昼に白石さんと手握ってたの見たんだから!」

 

 

(こえー!後ついて来てたのかこいつら!)

(大体そんな素敵な人じゃないですよと言いたい)

(みんなが思ってるほど王子様じゃないですよ)

(なんか見た目と反して意外と普通の変な男ですよ)

(そうだ、あいつなんか変だよな)

(さおちゃんあいつのどこがいいんだろ心配になってきた)

 

 

「ちょっと聞いてるの!?」

「はぁ・・・」

「白石さんと付き合ってるの!?」

「は!?ありえない!!」

「何よありえないって!」

「それだけはない!絶対ない、マジでない・・・!!」

 

 

(考えただけで恐ろしいよ!!)

 

 

「じゃあなんでよく一緒にいるのよ!白石さんが来社したとき絶対あんたと話してるじゃない!」

「そ、それは・・・」

「それは?」

「あの・・・、知り合いの知り合いなんですよ白石は」

「は?とか言って白石さんのこと好きなんじゃないの?」

「好き!?いやいやそれはないでしょ!」

「そんなこと言って、狙ってるんでしょ、白石さんのこと!」

「ありえない、絶対ありえないです、だ、だって!!」

「だって何よ!」

「だ、だって!!アタシが好きなのは 白石の 友達で・・・!!」

 

 

(おおおウソついちまった!!!)

 

 

「え、そーなの?」

「そ、そうです、だからいつも相談に乗ってくれてて・・・」

「へーそうなんだぁ!白石さんのお友達ってやっぱりかっこいいの?」

 

 

アタシが白石に興味ないとわかった途端に態度が急変する女たち。

こわい。女って怖い。大体何がよくて白石を好きなんだか。

いや私もそもそもなぜお友達を好きとかウソついてしまったのか。

 

 

 

 

 

”携帯、使うか?”

”お前なぁ、黙っとけば可愛ええのに”

 

 

 

 

 

!!!?

 

 

 

な、なんなんだ 今の回想・・・っ!!!!!!

 

 

 

(なんで!?)

(なんであいつの顔が浮かぶわけ!?)

(ありえない!!ありえなすぎる!!!)

(超キモイ!蹴り飛ばしたいわほんと!)

 

 

 

「か、かっこいいですよ!身長194センチもあるし!熊本弁がまた男らしくてっ!」

 

 

 

えー!いいなぁ!前さん、さっきはごめんねー、今度白石さん紹介してよ、合コンしよー!

なんてクソビッチどもは言いやがった。死んでくれ。

その場を上手く逃げ出して、仕事に戻り、定時と共に家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 

夜8時。さおちゃんのご帰宅だ。

 

 

「おかえり遅かったね」

「うん、疲れちゃった」

「飯作っといたよ。そして君に朗報だ」

「ありがとう。なに?」

「なんと!」

「何さ」

「白石のやつ」

「え、な、なに!?白石くんがどうしたの!?」

 

 

 

(わかりやすいなこの人)

(白石の名前出ただけで動揺しすぎだろ)

(そんなに好きなのか・・・)

(ちょっと淋しい・・・)

 

 

 

「なんと白石、彼女いないそーです!」

「え、本当に!?」

「直接本人から聞いたから間違いない!」

「本人、から?会ったの?」

「そうそう、また今日会社に来たから一緒にランチしてさ」

「一緒に、ランチ・・・」

「そんで昼飯おごってもらったよ」

「そうなんだ・・・」

「うん」

 

 

さおちゃんは そっか と言ってそのまま部屋に行ってしまった。

 

 

(あれ?)

(なんか急に元気ないぞあの人)

(朗報なのに!嬉しくないのかな?)

 

 

「あ、あと さおりちゃん元気にしとる?って気にしてたよ!?」

「マジで!?」

 

 

(あ、出てきた)

 

 

さおちゃんはいつもの家着に着替えて

 

 

ちょと詳しく教えて!! と食いついてきた。(やっぱ好きなんじゃん!)

 

 

「なんか元気にしとるー?ってソワソワしてたよ」

「あ、そういえばメール返してないや」

「なんでさ!!!」

「え、そんなビックリすることかい?」

「ビックリするわい!」

「いや、何て返していいか悩んでたらそのまま忘れてた」

「忘れてたって君・・・好きなんだろ・・・なんで忘れるんだい・・・」

「え・・・なんかメールとか電話とかめんどくさくて・・・」

「わかるよ!わかるけどさものすごく!そうゆう干物女的なとこから直していこうよ!!」

「う、うん・・・」

「脱!干物女だよ!」

「君はカビだけどな」

「・・・」

「ごめん冗談だよ」

「うんいーよ」

 

 

それから メールしなよ! と言う私に流され

さおちゃんは必死にメールの文章を考え始めた。

 

 

「なんて書こうかな」

「そもそも何て来たのさ」

「いや、無事に家ついた?今日楽しかったわ、また近々飯でも食いにいこーや!とかそんなん」

「え、それめっちゃ誘ってるしょ!」

「え、誘われてたのかい!」

「そうだよ、それでメール来なかったら白石じゃなくてもソワソワするわ!」

「そうかい・・・」

「うん・・・」

「じゃあ・・・今更だけどまた今度行きましょうとか送るか・・・」

「君は可愛くないメールうつなぁ、もっとさぁ可愛い文章で送りなよ」

「たとえば?」

「メール遅くなってごめんなさい!すごく嬉しかったです。こないだは本当に楽しかったです、ぜひまた一緒にご飯食べに行きましょう!とかね」

「そうか・・・」

「嬉しかったとか、本当に!みたいなのは男はグッとくるよ!」

「君、さすがだね。なんでそこまでわかってるのに彼氏いないのか不思議だ」

「私はモテないのではなく作らないだけなのだ」

「千歳と付き合わないの?」

「なんで千歳?あっ!千歳と言えば今日白石ファンに囲まれたさ!!」

「何それ!?白石くんなんでファンとかいるの!?」

「わからんけどうちの会社いるのさー、めっちゃ怖くて、なぜか千歳を好きなようなことを言ってしまったよ」

「君もよくわからないことをするね」

「そうだね」

 

 

 

白石くんやっぱりモテるんだね・・・

 

とまた落ち込んでしまったさおちゃんを励ましつつ、一緒にメールの文章を考えた。

 

相手はただの白石なのに、恋をしているさおちゃんの隣にいると

私までメールが返ってくる時間ドキドキしてしまうのはなぜだろう!

これが恋マジックなのか、恋ってスゲェな!

 

 

 

「あ、メール来た!」

「え、早!」

「えっと・・・あ、違う」

「え?」

「白石くんじゃないわ」

「誰さ」

「・・・財前くん」

「あぁ、あのPか!え、何て?」

「なんで避けるんすかって・・・」

「え、君避けてるのかい!財前のこと!」

「だだだって、なんか恥ずかしくて顔見れなくて」

「えぇ?それ恋じゃないかい!」

「恋とかじゃないよ!ただ抱きしめられたこと思い出してドキドキするのさ!!」

 

 

 

え、

ちょっと待てよ

 

 

 

「だからそれって恋じゃないの?」

「ち、ちがうよっ!!そうゆうんじゃなくて!!!」

 

 

 

また顔を赤くして怒るさおちゃんを見て

 

 

(あれ、おかしいなぁ、ツンデレ年下やっぱツボだったのかなぁ?じゃあ白石はどーなる?)

 

 

色々考えていたら 結局よくわからなくなってしまって、寝ることにした。

 

 

 

「寝るわ」

「え、早いね」

「複雑だ、恋って。ちょっとじっくり考えて寝るよ」

「えー、白石くんからメールきたらどうしたらいいのさ!」

「ちゃんとメール返しなよ!あと財前にも!!」

「えーーー!!どうしたらいいのさ、困るしょ!」

「いーしょ、楽しいしょ、モテモテでしょ君」

「モテるのは君だろー!!」

 

 

 

そんなさおちゃんに おやすみー と無情にも私は寝室に行って寝てしまった。

結局恋って複雑だ。

好きになる人って最初からなんか違うと思ってたけど

財前みたいに抱きしめることによって急に意識しちゃう恋もあるんだろうか

 

 

 

(ってことは)

(ふざけて言った私のあの一言からも 何か生まれるんだろうか)

 

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 

(いやナイ、ありえない、生まれても困るし、まずナイ、本当にあいつだけはない)

 

 

難しいこと考えてないで寝てしまおう、と

部屋の電気を消した。

 

 

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