「前さん」
「あ、」
「今日もこっち来てんけど・・・ランチどお?」
「・・・わかりました」
あれからどんな顔してんのやろ、思うてたけど
相変わらずこん子はおもろいと再確認した。
「マジでナイ!ありえないから、ほんとありえない!!」
「プ、まさか痴漢痴漢て罵ってた謙也を”素敵な人”と思うてたとは(笑)」
「ちょ・・・だから違うっつってんだろぉが!!!!」
会社で俺を避けるようなよそよそしい態度のまなみちゃんは
2人きりになると急変し、こないだの話題にうつった(なんで会社やと冷たいんやろ)
「大体お前ら関西人だろうが!なんで誰もつっこまないんだよ!さおちゃんいないとダメだな!ツッコミはさおちゃんじゃないとダメ、絶対!」
「いやあのボケはあまりに高度すぎて俺らもマジに取ってもうたわ(え、あん子ツッコミとかするん!?)(意外やわ!)」
「そりゃアタシのボケは高度だけども!関西人のお前らにも伝わらないと思うけど!!」
「すまんかったな、謙也には俺から言うとくわ!!」
「そうしてよ、みんなにちゃんと言っといてよ」
「言うとくわ、ビシっと!男やったら自分から告らんかいってな!」
「は!?伝わってないし!そもそもお前が理解してねーし!!」
「冗談やて(笑)」
「ちょっと!アタシ基本ボケなんだからつっこませないでよムカツク!!」
「(爆笑)」
「・・・せめて声出して笑えよ、キモいなお前」
ごめんごめん て言うと お前昼飯おごれよ とたかってきよった。
はいはいわかってますよ。(おもろいなホンマ)
あの日、まなみちゃんが走り去った後
しばらく呆然とする謙也にみんなで追いかけろと言うたんやけど
すでに姿が見えなくて アイツ逃げ足早い なんてあの謙也がつぶやいた。
(まぁ、あの全力疾走で結局全員大爆笑やったけども)
帰りにさおりちゃんにメールしたけど
なんでだか返事は来なかった。
それが妙に気になって なんだかずっとソワソワしとった。
「あー、まぁみんなには軍神のボケのことはちゃんと伝えとくわ」
「任せた」
「それより、さおりちゃんて、元気?」
「は?さおちゃん?元気だけど・・・何?」
「いや、元気ならええねん」
「何それ」
「ちゅうか、今更やけど、二人は彼氏とかおるん!?」
「は!?」
「いや、よぉ考えたら仲良くなってんのはええけど彼氏とかおったら申し訳ないやん!」
「え、なにそのまともな考え。意外!」
「え、なにその俺はまともやないて言い方!」
「え、白石まともだったの?」
「え、俺常識はあると思うけど」
「てゆーか見た目と違って普通なんだね、白石は」
「なんやそれ!普通て傷つくわぁ!」
「褒め言葉だ」
「個性ないみたいやんかー」
「まだ君の個性を掴みきれてない」
「色々あるで?まず男前なとこやろ」
「キモい!超ナルシスト!」
「今のボケやろ、つっこんでや!」
「だからアタシはツッコミじゃねぇっつってんだろ」
(あ、あかん・・・)
(まなみちゃんとおると実になる話が一個もでけへん・・・)
「せやから、かれっ」
「つーか白石、あんたは彼女いんの?」
「は?俺?」
「そう、男前な白石なんでしょ、彼女のひとりやふたり・・・」
「おらんて!ひとりもふたりもいーひん!」
「マジか」
「マジや」
「・・・」
「おーい?どないしたん、固まってもうて」
しばらく固まったまなみちゃんの脳内では何か考えが瞬時に巡っていたのであろう
突然パァァァと顔を明るくし
俺の手を取って
「これからも(さおちゃんを)よろしくっ!!!!!」
と、目をキラキラさせて言うた。
(え、何なんイキナリ!)
(変な子変な子思うてたけど)
(やっぱおかしな子やな!)
「おう、よろしくな!」
「ちなみに何年くらいいないのさ」
「何年やろ?3年近く?」
「そんなに!?お前ヤバイな、ホモかと思うわその顔で彼女いないとか」
「ホモて!そーゆうキャラはユウジだけで十分や!」
「え、ユウジってキャラなの?本物でしょ?」
「あー、まぁユウジは本物やけど、多分」
結局その後も実りのない話ばかりしてもーて
あ、もう時間だからお金払っといて! なんてまなみちゃんが走って行ってしまうものやから
彼氏おるんか 聞けんかった。
(また今夜辺りメールしてみようかな)