月9(2-7)16【さおり】

 

 

 

まぁちゃんが 寝てしまった。

 

 

(・・・え、あの人メールしろって自分で言ったくせに無責任すぎるしょ)

(大体白石くんと2人で食事とか、おごってもらうとかよくできるなそんなこと)

(まぁいいけどさ・・・)

 

 

とりあえず 財前くんからのメールを見つめる

 

 

(なんで避けるんすか、って)

(避けてるわけじゃないんだけど、)

(やっぱ怒ってるのかな・・・)

(確かにあれくらいで避けるとかちょっと失礼だったかな・・・)

 

 

そもそも、お酒を飲んでいたんだから酔っぱらっていたのかもしれない。

さらに言ってしまえば 酔っぱらっていたから覚えてないのかもしれない。

そう思うと、 そりゃいきなり避けられたら嫌だよなぁ と気づいた。

 

 

「そっか、財前くん、多分覚えてないんだ!」

 

 

避けるのは失礼だったなー、てゆうか避けたつもりはないけど

恥ずかしくて顔を見たら逃げてたのは事実だし・・・

 

 

ってコトで、

 

 

「避けてたわけじゃないんだ、ごめんね!明日から普通にします(>人<)」

 

 

絵文字まで入れて送ってみた。これで許してくれるだろうか。

 

 

(私もちょっと 大人げなかったかな)

 

 

「あれ、」

 

 

ピカピカ とすぐにメールが来た。

 

 

(早!)

 

 

(メール返してくるの早いしょ)

 

 

「了解」

 

 

財前くんからの、そのたった一言のメールが

なんだか可愛くて ニヤニヤ してしまった。(そして保護までしてしまった)

 

 

そして携帯を触りながらニヤニヤしてたものだから

 

 

 

プルッ

 

 

 

一瞬、電話が鳴って

 

 

そのまま 通話ボタンを 押してしまっていた。

 

 

 

 

 

(あれ!?)

(あれっ!?)

(通話中になってるけど!!)

(え、誰か見てなかった!!)

(財前くんかな?)

(まぁちゃんかな、部屋からよくかけてくるから)

 

 

 

 

 

「もしもし?」

 

 

何の気なしに電話に出ると

 

 

『あ、さおりちゃん?』

 

 

「・・・・」

 

 

 

 

エェェ━━━━━━Σ(±∀±;)━━━━━━ !!!!

 

 

 

し、白石くんじゃないのこの声ーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

 

 

(どどどどどど、どうしよ!!)

(ま、まさか電話かかってくるとはっ!!!!)

(どーしたらいいのよまぁちゃん!!!!!)

(まぁちゃん助けて!!!!!)

 

 

 

 

 

 

オロ((o(;□;`)o))オロ

 

 

 

 

 

『さおりちゃん?』

「は、はいっ!?」

『あー、今平気やった?』

「は、はい」

『メールありがとうな』

「いえっ」

『いつ行く?』

「えっ!?」

『飯食いに』

「えっ!!?ふ、ふたりで!?」

『あかんかった?』

「い、いえ!いいえ、全然!」

 

 

いいんですけど、どーしたらいいのよこの状況!!!!

 

 

(なんでそんなに簡単に誘えるの?)

(やっぱし慣れてるのかな)

(こーゆうの慣れてるのかな?)

 

 

 

『ほな、いつが空いとる?』

「え、っと」

『俺は今の時期は割と早よ帰れんねん、月末月初は遅なるけど』

「え、えっと」

『基本的に土日は休みやから、休みでもえぇし』

「え、あの、」

『・・・の前に』

「え?」

『さおりちゃんて彼氏おんの?』

「えぇ!?」

 

 

 

おったら誘えんから と、白石くんは電話の向こうで笑っていた。

 

 

(白石くん・・・)

 

 

いい人だな、と思った

優しいな、って

そんなこと気にしてくれるんだから やっぱり遊んでる人じゃないのかなって。

 

 

(・・・信じよう)

 

 

自分と、白石くんを。

 

 

「・・・いませんよ」

『え?』

「彼氏、いませんから」

『そか、なら誘ってもOKやな』

「土曜日なら、」

『ん。今週?』

「ハイ」

『ならせっかくやし、遠出しよか?』

 

 

車で迎えに行くわ と白石くんは(気のせいじゃなければ嬉しそうに)言った。

 

 

(どうしよう・・・)

(土曜日、一緒に出掛ける、って)

(これって、デート?)

(急展開だ・・・)

 

 

 

電話を切ったのに、その余韻で頭の中に白石くんの声が響いていて

その日は 全然眠れなかった。

 

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