月9(1-4)4【まなみ】

 

昨日の最悪なお互いの1日をさおちゃんとしゃべって

散々愚痴りあったけど、目が覚めちゃえば結局全部忘れて いつもと同じ朝が来る。

 

 

 

「まぁ、昨日みたいな日はなかなかないからね!」

「そーだね」

「イケメンと話せただけで君はいーじゃないか!私なんてケツ触られたぜ!減るもんじゃないからいいけど!」

「いいのかい、さすがだね君は」

「うん、今日金曜日だからご飯食べに行こうよ」

「そーだね」

 

 

 

そして私は今日も仕方がなく会社に向かうのだ。

 

 

 

「おはよー・・・」

 

 

 

出勤して早々。

 

 

 

 

キャアァァァァ

 

 

 

 

黄色い声が

 

(この女子社員の声は・・・)

 

見ると、会議デスクのスペースに やっぱりあの人

 

(白石なんとか・・・)

 

製薬会社だかなんだか知らないけどたまにやってくる取引先の 白石 という男。

 

そりゃ、イケメンだけれども。

そりゃあイケメンだけどもさ!

 

(なんか気に食わないんだよね、性格も悪くなさそうだけど、ピリピリくる・・・)

 

王子様属性を好きになれないアタシの性分なのか。

 

「あ、前ちゃん、悪いけどお茶出してくれない?」

「え、アタシが?」

「だって前ちゃん今日お茶当番でしょ!頼んだよ」

 

社員に言われちゃうと出さざるを得ない。なぜならアタシは派遣社員だから。

 

「お茶当番って・・・そう言われればそうだけどさ」

 

ブツブツ言いながら、白石の元へお茶を運ぶ。

 

「失礼いたします、お茶お持ちいたしました」

 

ニッコリと笑った笑顔は、引きつっちゃいないだろうか(まぁ引きつっててもいーけどさ!)

 

「!!」

 

(え?)

 

その瞬間、白石が ものすごく驚いた顔でアタシを見た

 

(は?何コイツ)

 

「・・・何か?」

「いや、君、きの・・・」

 

何かを言いかけて おはようございます白石さん! と入ってきた上司に彼の言葉はさえぎられた。

よくわからないけど、アタシの顔にハナクソでもついてたか

 

 

(トイレ行ってチェックしなきゃ)

 

 

女子社員たちに「白石さんにお茶出しするなんてずるいー!」とか言われつつ

その日は仕事を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、じゃーおつかれー」

 

さおちゃんと待ち合わせして、ご飯を食べにやってきた。

アルコールの飲めないさおちゃんの代わりに酒を飲むのは私の役目である。金曜日だし!

 

「なんとか今週も終わったねー」

「金曜日って最高だよね」

「明日何しようかな」

「私ブックオフに行くよ、ウヒョーだから」

「君はそれはウヒョーだね!じゃあ私は家でアニメ見てるよ・・・」

「またかい!引きこもりすぎるしょ」

「そうだよ。あ、明日コスプレ衣装見に行ってくるかな」

「いーねそれ!じゃあ一緒に中野行こうよ」

「それがいーね、中野ブロードウェイなら全部そろってるからね」

「おっけー、じゃあ明日は中野だ」

 

 

そんな話をしながら、トイレに席を立った。

お酒飲むとトイレが近くなっていかんね。

 

 

(・・・ん?)

 

 

トイレから戻るとき、見知った顔が見えた。

 

 

(・・・げ、白石!!)

 

 

幸い向こうは気づいてない様子だからそそくさと席に戻った。

 

 

(あー、紛れもなく白石だ)

(男同士で飲んでんのかアイツ)

(金曜日の夜とか合コンしまくってそうだけどな)

 

 

 

「まぁちゃん何見てるの?」

「いや、取引先の人がいるから」

「へー、どの人?」

「だめ!!振り向いちゃだめ!!」

「え、なんで?」

「なんか苦手なんだよね・・・見つかりたくないからさ」

「そうなんだ」

「一緒に飲んでる男も頭わるそーだな・・・金髪って」

「へぇ、どれどれ」

「だから見なくてもいいって!!」

「いーしょ」

「ダメ!悪い人じゃないのはわかってるけどなんかホントに、合わないってゆーか・・・」

「わかったよ、じゃあいいよ」

「しかし、ホント、頭わるそーな男・・・」

「えー気になるしょー」

「二人ともチャラそー」

「なんだ、チャラそうならいいや・・・チャラい人嫌いだ」

「うん、さおちゃんは見ない方がいいよ」

 

 

 

(まぁ、白石は真面目な人って聞いてはいるけどさ)

(なんか見た目がチャラそうなんだよねー・・・)

(あとあの友人絶対フリーターだ、超頭悪そう)

 

 

 

しばらく食って飲んで話した後

白石が先に店を出たのを確認してから 店を出た。

 

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