037***さおり/まなみ

 

(んー・・・)(あー・・・なんか体だるいな・・・)

(寝すぎたな・・・)

 

15時に白石くんの探索を手伝う約束をしていたから、15時になる前に目覚めて簡単に支度をする。

管理小屋の外に出ると、白石くんが待っていてくれた。

 

「あれ、白石くん待っててくれたの?」

「いや、通りかかったから少しな」

 

私が、じゃあいこ~と言って歩き出す。

白石くんの隣にいるのもかなり慣れてきた。

 

「入ってくれればよかったのに、外暑いでしょ」

「大丈夫やで、それよりまえさん大丈夫?」

「え?何が?」

「いや、なんか疲れた顔してるから・・・」

「え、本当?ちょっとお昼寝しすぎてだるい感じはするけど、大丈夫だよ」

「ホンマ?無理せんでな」

「うん、私インドアだから、アウトドアがちょっと慣れてないんだ。でも、これでも部活入ってからかなり体力ついたんだよ~!」

「そうなんや!アウトドアも確かに疲れるからなぁ。慣れてない場所っちゅーのもあるしな」

「そうだね。とりあえず、コテージあってよかったよ。私ちょっとテントで寝る自信ない・・・」

「え?そうなん?テント楽しない?」

「うーん、虫がなぁ」

「はは、まえさん虫嫌いやもんな」

「うん・・・苦手・・・」

「確かにここ山やし、テントやったら虫がたくさん入り込んでくるやろな」

「わ~こわい・・・そんなことにならないでよかった・・・」

 

 

白石くんとそんな話をしながら、探索に向かう。

やっぱり白石くんと話してると、全然話途切れないし楽しいや。

 

いろいろな話をしながらやってきたのは、けっこう開けた広場だった。

 

 

「わぁ・・・こんなところあったんだね」

「ほんまやな・・・ん?あっちに木があるなぁ」

「本当だ」

「あれ、マンゴーやない?」

「え!?あ、本当だ!!」

 

 

まぁちゃんが謙也くんととって来てくれたマンゴーの木は、元々あまり数が多くなかった上、金ちゃんが大量に食べてしまったせいで、あれからマンゴーを食べられなくて悲しかったんだ。

マンゴー甘いし、美味しいし、暑いから食べやすくて嬉しい♥

ずっと食べたかったんだよね~!

 

 

「わぁ、マンゴー食べたい!」

「え、ほんま?ほな後で持って帰ろな!よかったなぁ、マンゴー見つかって!」

「うん!嬉しい!」

「おー、ほなこの辺探索して、帰る時に持って帰ろ」

「うん、わかった!」

「じゃ、俺あっちのほう探索するから、まえさんこの辺もう少し探索してな」

「はーい」

 

 

こうして白石くんと別れて、探索する。

と言っても、あまり探索するところないんだよね、私のほう・・・。

うーん、虫出て来たらやだなぁ・・・。

 

なんか、マンゴーの木の近くにいると、甘いニオイで良いニオイだな・・・。

そういえば、けっこう30分くらい歩いたけど、何も飲んでないから喉渇いたな・・・。

 

あ、私が疲れたということは、白石くんも疲れたってことだよね・・・。

あんなに頑張ってくれてるし、休憩が必要だよね・・・?

というか、休憩しないとダメだわ!

白石くん倒れちゃうかもしれないし・・・

マンゴー1個だけとろうかな・・・

水分補給にもなるし、いいよね。

 

よし、マンゴーを1つとろう!

 

 

そう思って、木に手を伸ばす。

けれど、背の小さな私では全く届かない・・・。

 

これはあれだ。

木に登るしかないってやつだ・・・。

 

 

(えー・・・どうしよう・・・)

(でも軍手もつけてるからいけるかなー・・・)

(けっこうキレイな木だし、いけないこともないな・・・)

(見た感じ虫もいないし・・・)

 

 

そう思って、恐る恐る木に登るために、上のほうにある枝に手をかける。

それから、足をかけて・・・

 

木登りなんかしたことないけど、マンゴー欲しさに登って行く。

 

 

(白石くん、マンゴーとってたらビックリするかな?)

(甘いもの食べて休憩してほしいな・・・)

 

 

なんとか少し高い枝に手が届き、あとは実をとるだけ。

 

あと少し。

あと少しで届きそうで、必死に手をのばして。

 

 

(届いた!!)

 

 

マンゴーが手に届いて、あとは降りるだけ・・・

 

そう思った時。

 

 

クラッ

 

 

「あ、」

 

 

なんだか一瞬めまいがしたと思ったら、

グラリと天地が入れ替わる。

やばい、木から落ちる。

 

そう考える時にはすでに遅くて、手の中のマンゴーを潰さないようにだけ守るように抱えた。

 

 

(地面にぶつかる!!)

 

 

怖くて、目を瞑っていた私は、

 

 

ドサッ

 

 

「まえさん!!大丈夫!?」

 

 

暖かい逞しい腕に受け止められ、そのままの勢いのまま、彼ごと倒れてしまった。

地面に倒れた私を心配する声は止むことはなく、本気で心配してくれているのだと思った。

そして、それと同時に、彼の優しさに胸が高鳴った。

 

 

「怪我ない!?痛いとこない!?」

「し、白石くん、ごめんね!!重いよね!!すぐどけるから!!」

「そんなことより怪我は!?」

「えっと・・・大丈夫、白石くんが支えてくれたから・・・」

「はぁ・・・よかった・・・・・・めっちゃビビったで!!見たら木登りしとるし・・・危なっかしいバランスやし!!あんな登り方やったらそら落ちるわ!!」

「ご、ごめんね」

「何で木に登ってるん!?マンゴーはあとでええって言うたやんか!!」

「ご、ごめんさい・・・」

「はぁ・・・マンゴーそんなに食べたかったん?」

「あ・・・ううん。白石くんにと思って・・・」

「え、・・・俺?」

「うん・・・疲れてるだろうし、水分補給も兼ねて、休憩してほしくて・・・」

 

 

でも、結局迷惑かけちゃったね・・・ごめんね

 

 

白石くんに迷惑や心配をかけたことに胸が痛くなってきて、そう言ったあとに目に涙が浮かんできた。

白石くんにこんなに怒られることってないから、多分けっこう本気で怒ってるんだなって思ったし、これだけ怒るってことは心配かけてしまったんだろう。

 

 

「・・・」

 

 

すると白石くんは、私を抱き留めていた手を背中に回し、

私を力強く抱きしめてきた。

 

 

「・・・俺のためやからって、そんな危険なことせんで・・・」

「うん・・・ごめんね・・・」

「まえさんに何かあったら・・・俺、ホンマに生きていけへん・・・」

「・・・」

「1人にした俺も悪かったな・・・もう絶対俺の側から離れんといてな・・・」

「うん・・・ごめんね・・・」

「ほな罰として、もう少しこのままな?」

「え・・・あ、うん・・・でも重いでしょ?」

「重いはずないわ」

「え、重いはずだけど・・・」

「まえさん、」

「なに?」

「・・・おおきにな」

「・・・私も、助けてくれてありがとう」

 

 

こうして、しばらく白石くんの腕の中にいたあと、

2人でマンゴーを食べて休憩して、最後にみんなの分もとって帰りました。

 

 

(白石くんがあんなことするから・・・)(なんだかドキドキしちゃったよ・・・)

 

 

 

 

 

 

※マンゴーとろうとして落ちて抱き締められるの実話です!

 

 


 

 

 

 

「さおちん!よお!」

「あれ?きみ、来たの?あのあと何してたの?」

「素敵なランチを食べていた・・・🤤」

「え?何言ってるんだきみは」

 

 

4時過ぎに比嘉の人にキャンプ場まで送ってもらって、それから一回管理小屋に戻ってシャワーを浴びた。

水着のままだったからね・・・!

比嘉の人たちアタシの水着姿で誘惑しちゃったな・・・魅力的な自分が怖い・・・

 

そうしてなんだかんだで5時半頃にお腹すいたなぁと思って外に出た。

海側に行こうかなって思ったんだけど、比嘉のご飯食べたら大味の海側に行く気になれず・・・。

とりあえず山側のご飯何かな~って見に行ったら、橘って人が「今日は山菜の炊き込みご飯だ」って言うから、うひょー🤤ってなった。

そうそう、こういうのだよ~~~こういうのを望んでいたのだよ!!🤤🤤🤤

 

と、いうことで炊事場の後ろのテーブルでご飯を待ちつつ、さおちゃんを待った。

そしたら、さおちゃんやってきたのは良いけど、また白石と一緒だった。

ちっ😡

ほんと白石なんなの!?

そんなにアタシとさおちゃんの仲を邪魔して楽しいのかよ!!ムカつくな!!

白石絶対許さないからな!!!!!

 

 

「まぁちゃん、マンゴーあったんだよ!白石くんとたくさんとってきたから食べよう!!」

「うむ、許す🤤」

「なにが?」

「マンゴー美味いからな」

「お、マンゴーがたくさんだな。これだけあるなら、ゼリーにしても良さそうだ」

「うひょー🤤」

「あれ?ゼラチンあったっけ?」

「食糧庫にあったぞ、ゼラチンは日持ちするからな」

「あ、本当?そしたらゼリーもいいね!」

「とりあえず今日はこのまま食べる🤤」

「うん、食べよう」

 

 

ご飯食べて、さおちゃんとマンゴー食べ始めて。

美味しいねって話してる時に、ミーティング始まって。

アタシもさおちゃんも気にせずもぐもぐマンゴー食べてたよ。

 

そしたら、今日探索してた人達から「〇〇見つけた」って報告してた。

そんで、

 

「温泉をみつけたで」

 

って、メガネ(忍足)が言ったから、アタシもさおちゃんも思わずマンゴーを食べる手を止めた。

 

温泉・・・?

マジかよ・・・

 

アタシとさおちゃんは顔を見合わせる。

 

 

「温泉行きたい!!」

「うん!!行きたい!!」

 

 

キラキラキラキラ

 

 

アタシ達の輝いた瞳を見て、男たちは、

 

 

「「「「よし、いくか」」」」

 

 

と快く温泉に行く決意をしてくれたのだった…

 

ラッキー!!!!

 

 

 

 

けっこう山奥だけど大丈夫?と言われた。

虫嫌いだけど、まぁ長袖着て帰れば大丈夫だろう。

 

この島に来てから、管理小屋のシャワーしかなかったからお風呂入りたいと思ってたし嬉しい!

お風呂の準備が終わったアタシとさおちゃんは、みんなと一緒に温泉に向かうのだった。

 

 

 

「ふー!いいお湯~温泉さいこ~!」

「ちょうど岩で2つに分かれて良かったね!混浴だったらどうしようかと思ったよ」

「混浴でも入ったよ」

「さすがだねきみ」

「うん」

 

 

さおちゃん今日もたくさん動いて疲れちゃっただろうから、温泉に来れて良かったわ!

そう思って2人でのんびり温泉に入っていると、隣から騒がしい声が聞こえた・・・。

 

あ、この声四天宝寺だわ。あいつらどこ行ってもうるさいな。

 

 

「あぁ、えぇ湯やな」

「これは、よか湯やねー。疲れた体にきくばい」

「これが山奥の秘湯っちゅー話やな」

「遠山金太郎、いっくでー!」

「ちょお、金ちゃんやめや!言う事きかへんと、毒手を湯舟に入れて、毒湯にするで!」

「毒湯!?い、いやや!ワイ、飛び込むのやめる!白石はずっと左手あげときや!」

「わかったわかった。左手ぇあげてれば、ええんやな」

「左手あげて風呂入るなんて白石も大変やな」

「あぁ、いつもは外すんやけどな。いつ助けがくるかもわからへんし、包帯は無駄にはできんわ。こう見えて、包帯のメンテナンスも大変やし、お金もかかるんやで……それに金ちゃんもおるしなぁ……」

「そうなんか。意外に大変なんやな。風呂でも包帯つけてるイメージあったわ」

「どんなイメージもってるちゅーねん。あぁ、アカン。手がしびれてきたわ……」

「ずっと左手あげてるからばい」

「なぁ~、ケンヤ。どっちが長く潜れるか競争せぇへん?」

「えっ?俺はもうあがるわ」

「いくらなんでも早すぎや!」

「カラスの行水はイカンばい。もう少しだけ入るとよか」

「しゃーないわ、あと10秒だけやで」

「短すぎばい……」

「じゃあ、白石~。どっちが長く潜れるか競争せぇへん?」

「俺もパスや。せっかくの温泉や。それに左手が湯に浸かってまうで。千歳に頼んでみぃ」

「遠慮しとくばい」

「ふんぎぃ~っ、じゃあケンヤ!どっちが速く泳げるか勝負や!」

「速く……やと。えぇ度胸や!勝負したろやないか!」

「ケンヤ、やめときや。この温泉じゃ……」

「白石、絶対に譲れへん勝負もあるんや。金ちゃん、温泉でどっちが速く泳げるか勝負や!」

「よっしゃ、いっくでー!」

「ったく、温泉は静かにはいるもんたい」

 

 

グワァァァァァン

 

 

「……やめとき、いうたやろ。こんな温泉で泳ぎ勝負なんかしたら、岩に頭打つに決まってるやないか。ケンヤ……金ちゃん?……アカン、2人とものびとるわ」

「仕方なかね。溺れんよう温泉から出してやるばい」

「千歳……そのまま出したら湯冷めしてまうで」

「そうね。タオルだけはかけとくばい。ふー、やっと静かになったばい。白石、こんでゆっくりと温泉を堪能するがよか」

「あー、ほんまやな。ゆっくりさせてもらうわ。んー、絶頂!」

「イタタタ……頭にでっかいたんこぶができてもうたわ」

「頭がガンガンするわ……」

「無茶するからや、ほんま」

「ケンヤ!勝負はおあずけやで!」

「おぅ、いつでも受けたるわ!」

「やれやれ、こりんやつらたい」

 

 

「うける、けんやバカだな、すこし落ち着け」

「え!?何!?え!?めっちゃ声はっきり聞こえる!!」

「お、まえさん、まだ入ってるん?」

「うん、まだ入ってるよ~」

「と、隣におるんか・・・ゴクリ」

「おう、隣にいるぞ。声めっちゃ聞こえるなwww」

「普通に会話できちゃうね」

「え~ほならわい、ねえちゃんたちと入りたい!!」

「「それは絶対にあかん」」

「え~白石と謙也のケチ~!!」

「うけるwww」

「え、わ、私、金ちゃんとなら一緒に入ってもいいかも・・・///」

「あかんやろ!!まえさん、もう少し危機感持って!!」

「あ、はい・・・」

「じゃあアタシがそっちいこうかー!?」

「えぇ!?」

「ま、まぁちゃん・・・!」

「だって、四天だけじゃないでしょ?他にもいるしょー?れんじいるー?」

「ああ、いるぞ」

「ひゃーやったーれんじーすぐいくよー♥」

「ああああああああかん!!!!」

「まぁちゃん、ダメだよ!!おっぱい見えちゃうよ!!」

「まえさん・・・おっぱいって・・・」

「おめー胸ねーだろwww」

「貧乳やからこっち来れるんやない?」

「ころす」

「わぁぁぁ!!まぁちゃん本当にダメだってばぁぁぁぁ!!!!」

 

 

タタタタタ・・・

 

 

「みんな~~~~~お待たせ~~~~~

「誰も待ってへんやろ」

「お前ら!!小春の裸に!!!興奮したら!!!殺す!!!!」

「なーに騒いでやがるんだ、うるせーな」

「なになに!?なんかおっぱいって聞こえたけどなにー!?」

「いや、まなみがこっち来るとか言うからよー」

「なーんだまなみか。まなみの貧乳見るくらいなら、樺地の胸筋見てるほうがセクシーだC~」

「樺地に負けた・・・だと?・・・ジロー、お前今そっちいくからな!!樺地と比べてみろや!!!

「ちょ、ちょっとみんな!!まぁちゃん煽っちゃだめ~~~

「マジで来なくていいっすわ、これ以上騒がしくなったら構わん」

「あ~~~ん真田きゅん・・・いいカ・ラ・ダ

「浮気か!!!!死なすど!!!!」

「う、うむ・・・」

「源一郎が戸惑っているなど珍しいな」

「ちょ!!謙也!!」

「え?」

「お前・・・なに鼻血だしとんねん・・・」

「え!?」

「え・・・お前アタシの裸想像して興奮したのかよ・・・ひくわ・・・鼻血のお風呂入りたくないからこっちにいる・・・( ˙-˙ )」

「よかった・・・まぁちゃんおとなしくなった・・・」

「はよ出ろ謙也!!

「ちゃ、ちゃちゃちゃ、ちゃうねん!!興奮とかやないかなら!!」

「お前普段カラスの行水やからな・・・そらこんなに長いこと入ってたらのぼせるわ・・・」

 

 

ジローとガクトとメガネはお風呂の後でシメたぞ👹

そして、久々に体も温まり、少し体も楽になって、管理小屋に戻ると安眠できたのだった。

 

(また明日も温泉行きたいな~楽しみ!)

 

 

 

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