ソワソワ
「滝川クリス優だ、野球部に入ろうと思っている、よろしく」
ソワソワ
「澤村大地です。バレーが好きで強豪のこの学校に入りました。よろしくお願いします」
ソワソワ
「田所迅だ!実家はパン屋をやっている!よろしくな!ガハハ」
ソワソワ
「七瀬遙。よろしく。」
ソワソワ
「青春学園から来た菊丸英二だよーん♪みんなよろしく!ブイブイピース♪」
ソワソワ
「黄瀬涼太ッス!読モしてます!カラオケ大好きなんで気軽に誘ってくださいッス!」
ソワソワ
入学式が終わり、
(跡部が新入生代表だったよ!)(相変わらずの跡部様だったよ!)
各クラスに戻り、自己紹介中…。
き、緊張して他の人の顔が全く見れないし名前も頭に入ってこない…!
どうしよう…!!
(はぁ、もうすぐ私の番だ)
(どうしよう)
(緊張する)
(吐きそう)
ソワソワ
「大丈夫?」
その時
隣の席の人が小さな声で声をかけてくれた
「あっ、だ、大丈夫です」
その人の顔は見れずに俯いたままそう答えた
「ほんま?全然大丈夫そうやないんやけど…」
「大丈夫、です」
「顔真っ青やで?」
「平気です」
「いやいや、平気そうに見えへんがな」
「平気です」
不思議と
心配されればされるほど心が落ち着いていくのがわかった。
「うそや、平気そうに見えへんけど」
この人がしつこいからかな
「いや、平気です」
「ほんま?大丈夫?」
いやしかし、しつこいなぁ、と思いながら、はぁ、とかえぇとかそんな言葉を呟きながら机をボンヤリ見つめていた
そして、彼の
「大丈夫?」の声が「出番やで」に代わって
(は?)
(出番?)
(でばん?)
(…あっ!!!)
慌てて立ち上がって
「まえさおりです!!よろしくお願いしますっ!!」
と、言ってストンと着席した。
(あ、言えた)
あれだけガチガチに緊張していたのに
意外とアッサリ言うことが出来たのは、隣の席の彼のおかげか。
(まぁ結果オーライだなぁ)
周りを見渡す余裕が出来た私は、少し前に座る亮の方を見た。
グッと親指を立てて私を見た亮を見て、(あ、よかった!)と、ようやくホッとすることが出来た。
そこでようやく気遣ってくれた隣の人にお礼を言わねばと、顔を向けた。
さっきまでは緊張のせいで少しイライラしてしつこいだなんて思っていたけど、冷静に考えたら心配してくれたんだから感謝しなくちゃ。
「あの、ありが、」
彼を見て
「ん?」
お礼を、
「……」
おれ、い
をっ
!!!!!!!!!!!!!
「顔色よぅなったやん、よかった」
な
なにこのイケメン…………っ!!!!!!
「緊張してただけやったんかな?体調悪いわけやなくてよかった」
にっと笑って 私を見たイケメンは
「お、次俺や」
そう言ってスッと立ち上がった
「俺は白石蔵ノ介!!高校生探偵や!」
しーーーーーん
(え…?)
「…あ、あれ?ウケるとおもたのになぁ。あ、えーと、よろしくお願いします!」
そう言って彼はストンと座った。
彼のことを知っているのか、頬にばんそこみたいの貼った男の子が 白石すべってるにゃー笑 って言って、クラスから笑いが起きた。
亮も 白石自己紹介は真面目にやれよ、と笑っていた。
(あ、亮も知り合いなのか)
(てことはテニス部かな?)
(中学校のときから全国の合宿とか行ってたもんな、亮)
そんなふうに思いながら
(………てゆーか)
この しらいしくん って彼
探偵なんだ……(ごくり)
(やばい…)
(イケメンで高校生探偵とか…)
(コナンくん?コナンくんなの?)
(やばい、すごすぎる)
(てか顔ヤバイ)
(顔ヤバイモロタイプ)
隣の席のしらいしくんが小さな声で
「あかん、すべってもーたわ」
ハハハと頭をかきながらまた小さな声で話しかけてきたので
「あっあの、しらいしくん、さっきはありがとね、」
心配してくれて、と小さく返せば
彼は一瞬目を丸くして ニコリと笑った
(!!!!!!)
や、やばいマジで…!!!!
初日から呼吸困難に陥りそう…!!!
な、くらい、顔がジャストヒット!
ほんと、イケメンだ…
ほんとこれイケメンで、なんか心配してくれて、そして名探偵とかやばいすごい隣の席のしらいしくんやばい
「あ、あのさ、あとさ、しらいしくん」
「ん?なに?」
優しい笑顔にまた倒れそうになりながら
私はまた小さな声でささやくのだ。
「しらいしくんって、名探偵なの…?」
彼は目を丸くした後
「ブフォッ」
クラス中がこちらを振り返るくらい思い切り噴き出して、机に突っ伏して声も出ないくらい笑った。
(????)
なんだかよくわからないけど、あとから亮に「どーせまたお前がとんちんかんなこと真顔で言ったんだろうなと思ったよ」と言われたけど
私は至って真面目だ。
名探偵なのかはともかく、イケメン高校生探偵のしらいしくんとお隣の席になれて、これからの高校生活がとても楽しみです!!