クロスオーバー51【さおり】

「前ー!こっちペンキ足りないんだけど!」
「あ、はーい!」

 

今は学園祭の準備真っただ中!
うちのクラスの出し物はお化け屋敷。
今一生懸命みんなで内装を作ってるところ。
部活ある人もたくさんいるし、私ががんばらないとね!
まぁ私も生徒会あってすごく忙しいんだけどね・・・・・
でも学園祭も生徒会が中心になるけど学園祭実行委員会があるし大丈夫!!

 

ヒメコ「なぁ、さおり!段ボール足りひんのやけどまだ在庫ある?」
さお「あぁ!段ボールね、今田所くんが取りに行ってくれてるんだ、自転車で行った方が早いから行ってくるって・・・」
ヒメコ「あ、ほんまや!窓の外におるわ!おーい!」

 

ヒメコと一緒に窓から手を振ると田所くんがこっちに気付いて笑ってくれた。
田所くん、すごい優しいんだよねー。
まぁちゃんもくまさんくまさんって懐いてるしね!

 

 

田所「がはは!段ボール持って来たぞ!ついでにうちに寄ってパンももらってきた!ほら、差し入れだ!」

 

田所くんのその言葉に教室が ワァ! と明るくなった。
田所くんちのパン、すっごい美味しいんだよね~(⌒∇⌒)

 

まー「おーい、さおちーん、今日一緒に帰れるー?」

 

その時、ベストなタイミングでまぁちゃんが現れた!
匂いに釣られてきたんだろうか・・・タイミングばっちりだな・・・

 

田所「おう!お前も食え!」
まー「わ!!くまさんちのパンだ!!!やったあ!世界一美味しいからな、くまさんちのパン!!」
田所「ガハハハハ!嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか!もう一個持ってけ!!」
まー「やったぁ!!!!!めっちゃ嬉しい!!!!」

 

モグモグ

 

まぁちゃんはパンを頬張りながら私のところまでやってきた。

 

まー「はむはむ・・・うまっマジでうまいな・・・」
ヒメコ「よ!まなみ、タイミングばっちりやんか~!」
まー「ほんと偶然だったけどマジで超ラッキーもぐもぐ・・・で、さおちゃん今日一緒に帰れる?」
さお「今日ね、準備終わったら部活行かなきゃいけないんだー」
まー「マジかぁ。バレー部熱いからなー部活の時間長すぎるんだよなー・・・わかった、待ってる!!!」
さお「まぁちゃんも部活出て来たら?」
まー「うん、そうする。久々に行くわ、虹村パイセン、激おこだからモグモグ」
さお「きみいつも誰かに怒られてるね」
まー「おうモグモグ」
亮「なんだ、まなみ来てたのかよ」
まー「亮じゃんモグモグ」
亮「さおり、ほら、用具室で借りて来たぞー」
さお「ありがとう!」
白石「なんや、みんな美味そうなもん食うとるなぁ」
田所「お前らの分もあるぞ!食え!」

 

亮が おーやったー と言いながら田所くんのもとに向かう。
白石くんが私の方をチラっと見たけど、私は目を逸らしてしまった。

 

 

(あぁ、またやってしまった・・・)

 

 

言いたいことがある。
ちゃんと向き合って話をしようと思っている。

 

でも、いざ そうしなければ と思うと
私には勇気が出ないのだ。

 

 

 

まー「・・・・・おい、白石」

 

(!)

 

そんな白石くんに、まぁちゃんが急に声をかけた。
ヒュっとするよ!
冷や汗出るわ!
どうしたの、まぁちゃん!!
やめてよ・・・!?変なことしないでよ・・・!?

 

さお「ま、まぁちゃん、何を・・・」

 

 

まー「名探偵なんだろ、おまえ!」
白石「え!」
まー「真実は!!!!!」
白石「い、いつもひとつ!!!」
まー ( ´∀`)bグッ!

 

 

そしてまぁちゃんは白石のところに走って行き

耳元で何かをコソコソ話して、肩をポンポンと叩いた。

 

白石くんの顔は見れなかったけど、そのあと立ちすくんでいたから 何か良くないことでもいったんじゃないかとヒヤヒヤした。

 

 

黄瀬「まなみっちー!ちょっとぉ、コソコソ何話してるんすかー!!」
まー「お、黄瀬。今日は部活出るぞ!よろこべ!」
黄瀬「え!めっちゃ嬉しいっす!」

 

まぁちゃんはすぐに黄瀬君と話をして、 くまさんぱんさんきゅー!って叫びながら教室から出て行ってしまった。
そしてまた はいひょっこりはん! とか言いながら教室から顔を出して(今流行ってるお笑い芸人のネタらしいよ)
「さおちゃん!したら帰りバレー部の体育館の前で待ってるから!!!」と言って今度こそ走って行った。

 

(・・・・なんだろう)
(白石くんに、なんて言ったんだろう・・・)
(やだな)
(変なこと言ってないかな)
(やだな)

 

胸の中がモヤモヤして
なんだかその場にいたたまれず
私はこっそり白石くんに近づいて 彼にそっと話しかけた。

 

(・・・そういえば)
(こうして彼に話しかけるのは)
(すごく 久しぶりかもしれない)

 

さお「・・・白石くん」
白石「わ、前さん、」
さお「あの、さっきまぁちゃん、なんて言ったの?」
白石「え、あー・・・」

 

彼の表情が浮かないから
何かよくないことを言ったんじゃないかと 咄嗟に思った。
どうしよう、変なこと言ってたらどうしよう・・・

 

白石「・・・大丈夫やで」
さお「え?」

 

顔をあげたら 白石くんと目が合った。
なんだかビックリしてすぐに逸らしてしまったけど
久しぶりにしっかりと見た彼は やっぱりかっこいいと思った。

 

白石「ええ妹さんやな」
さお「え?」
白石「前さんのこと、心配しとったわ」

 

俺もしっかりせなあかんなぁ、と彼は言って
白石ーと呼ばれて行ってしまった。

 

(・・・なんて言ったんだろう)

 

なんだか胸がモヤモヤしたまま
それでもそのあと彼と話す機会がなかったから
帰りにまぁちゃんに聞いてみようと思って 準備が終わった後部活に向かうのだった。

 

(・・・でも結局まぁちゃんとバレー部のみんなと帰りに寄り道したりして)
(全然話聞けなかった)

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