クロスオーバー46【まなみ】

宿題一回もやったことないの歌仙にバレてさぁ・・・
リヴァイのくそチビが多分チクったんだと思うんだよね・・・
ほんとすげー怒られてさ・・・マジでねぇわくそ!
しばらく外出禁止とかわけわかんないこと言われたし。むしろ引きこもりだから望むところなんですけど。

 

(あーあ、でも小言言われるのもいやだしなぁ)
(外出禁止って言われてもな・・・)
(学校帰り帰らなきゃいいだけの話で・・・)

 

 

そうしてその日の放課後、アタシは家とは反対方向の公園でボケーっとそれを見上げていた。

 

(あーねむ)
(小学生元気だなぁ)
(暑いのにぐったりしないのかな)
(あの元気はどっから来るんだろう)
(やべーな小学生)

 

楽しそうに公園を走り回る見知らぬ小学生を見つめていた。
うちにも小学生いるけどめっちゃ元気だもんな。
まだまだ超暑い日続いてるのになんかほんとパワーみなぎってるもんな。

 

 

「うわぁぁぁぁん」

 

 

(ん?)

 

元気に走り回る集団の中に ひとり泣いてる女の子を見つけた。

 

 

おいおい、イジメか!?
イジメ、ダメ!絶対!!

 

(マジかよありえねぇな!!)
(ちょっと説教してやるわ!!!)

 

アタシは思わずベンチから立ち上がって泣いてる女の子へと話しかけた。

 

「うえぇぇん」
「どうした!!何泣いてんの!!」
「(ビクッ)え、お姉ちゃん誰・・・?」
「通りすがりの女子高生だよ!どうしたの?何泣いてるの?あいつらにいじめられた?やっつけてきてやろうか?」
「ち、違うよ・・・あのね、カバンにつけてたイワトビちゃん人形の首が取れちゃって・・・」

 

そう、女の子は泣きながら言った。

 

「え?イワトビちゃん?なにそれ」
「これ・・・」
「え、何これ!気持ちわる!!」
「(ガーン!)ふぇっ・・・」
「わ!!泣くな!ごめん!あ、そういえばアレ持ってるかも・・・ちょっと待ってて!」

 

アタシは急いでベンチのMYカバンの元へと走り、カバンをガサゴソ漁った。

 

(お、あったぞ!)
(よかったよかった!!)
(家庭科で使うソーイングセット学校に持って行ったのにロッカーに入れてくるの忘れてたw逆によかったwww)

 

そしてその女の子を読んでベンチに座って イワトビちゃんという気味の悪い人形の首を縫い始めた。

 

「わ、すごい」
「不器用だからあんま上手に出来ないんだけどね・・・こういうの嫌いじゃないんだ~」

 

そう言ってきゅっと糸を結び、最後にチョキンとハサミで切った。

 

「はい!出来たよ!これでもう大丈夫!」
「わぁ!ありがとう!」

 

女の子は嬉しそうに笑った。

 

(ふぅ、よかった・・・)
(おら女の子の笑顔守った・・・)
(超えらい・・・)

 

その後、カバンにあったお菓子を女の子と一緒に食べてたら他の子供たちも集まってきて
しかたねぇからお菓子分けてやって一緒に食べて
それからみんなで鬼ごっこしたりかくれんぼして遊んだ。
あのな、小学生めっちゃ足早くておらはまったく追いつかなかったよ。
こえーな小学生・・・。
全力で遊びまくったから疲れたわ!!

 

気が付くと辺りは 真っ赤な夕焼け色に染まっていた。
ポツリポツリ と小学生が減っていく。
さっきの女の子と、もう一人男の子が残った。

 

「きみたちももう帰るのかい?」
「うん、そろそろ迎えが来るんだよ」
「そうかい、そういえば、何ちゃんって言うの?」
「私は蘭だよ!こっちが漣!」
「あ、似てると思ってた。兄弟か」
「双子だよ!」
「双子ktkr!!!!!待って、はい、握手。アタシも双子。双子仲間イエーーーー」
「え!?お姉ちゃんも双子なの!?」
「うん、でもアタシは女同士の双子だよ。男の子と女の子の双子珍しいねぇ」
「お姉ちゃん、あの丘の学校に通ってるの?」
「うむ・・・あの学校は優秀なものだけが導かれし狭き門・・・」
「? あのね、うちのお兄ちゃんもあそこに通ってるよ!」
「へぇ、世間は狭いもんだね」
「もうすぐ迎えに来てくれるはずなんだけど・・・」
「あ!蘭!兄ちゃん来たよ!おーい、にいちゃーーん!!」

 

そう漣という少年が走って行き
大きな夕日が眩しくて アタシは目を細めた。

 

 

「漣、蘭おまたせ。さ、帰ろうか」

 

 

その声の主を見ようと 夕日をバックに立つ彼を そっと見つめた。

 

 

「兄ちゃん!」
「お兄ちゃん!!聞いて!蘭のイワトビちゃん、あのお姉ちゃんがつけてくれたんだよ!」
「え?」
「ほら、あそこのお姉ちゃんが!」

 

そう蘭ちゃんという少女の声がして

 

 

そしてアタシは

 

 

気づいたのだ。

 

 

(・・・あれ?)

 

 

「・・・え?もしかして、前さん?」

 

 

そう声がして

 

 

 

(え、え、え、え、)

 

 

 

「2組の前さんだよね?えっと、わかるかな、俺、6組の橘って言います!鼻はもう大丈夫?」

 

 

Σ(゚Д゚)

 

 

「だ!!!だだだ!大丈夫!!!!!!」

 

 

や、

 

やべぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!

 

橘くん、キターーーーーーーーー!!!!!!!(゜0゜;)

 

 

(どどどどどどうしよう・・・!)
(いつも緊張しててまともに話したことないんだよ!!!)
(けがは大丈夫か前に聞いてくれた時も鼻に湿布とか貼ってるの恥ずかしくて逃げちゃったし!!)

 

 

ああああああああああ

 

 

 

(超☆ラッキー!!!!!!!!)

 

 

 

マジで今日部活も宿題もすっぽかして公園で小学生と遊んでたかいあったわー!!
自分にイイネ3000万個押したい気分だっ!!
神様、ありがとぉぉぉぉぉ!!!!!

 

「お兄ちゃん、ほら見て!イワトビちゃんの首取れちゃったの塗ってくれたんだよ!」
「あ、本当だ。前さん、ありがとう!」

 

これ、蘭がいつも大事にしてて・・・って橘くん説明始めたけど何にも頭に入ってこないよ
ただただ好きよもうかっこいいわよ

 

(はー・・・)
(いいことすると返ってくるもんだね・・・)
(神様はちゃんと見てくれてるんだね・・・)
(幸せすぎる・・・)

 

突然の橘くんの登場にホワホワしてると

 

「もう遅いから、前さんも、行こ」

 

そう、橘くんに言われた。

 

「あ、そか、もう夕方だもんね、じゃ、帰るわ!」
「あ、まって、そうじゃなくてさ」
「え?」
「・・・送っていくから、いったんうちに来てもらえるかな?」

 

 

( ゚Д゚)

 

 

・・・・・・

 

 

( ゚Д゚)

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

う、うわあああああああああああああああああ
sじおでぇいbfqあwせdrftgyふじこlp

たたたたたたたたたたちばなくんがっ!!!!!!!
送るっていってくrへうhぁんslんgfhsんsl、vcx

 

 

ちーーーーん

 

 

_:(´`」 ∠):_

 

 

「・・・前さん?」

 

 

( ゚д゚)ハッ!

 

 

「わーい、お姉ちゃん!うちに来るの?やったぁ一緒に行こ!」

 

そう少女に手をつながれて なんかもう一個の手も少年が繋いでくれて
ヘロヘロになりながらも二人に引かれて何とか歩いて橘くんのおうちの方にこれたよ・・・
でもなんかもうライフは0で今にも倒れそうなんだが・・・(死にそう)
なのに蘭ちゃんに家の中まで連れていかれるし(死ぬ)
玄関で橘くんのお母さんに出会ってしまうし(死んだ)
まぁまぁ真琴の彼女!?とか言われるし(死んだ)
家に上がって晩御飯食べてってとか言われるし(死んだ)

短時間の間に軽く3回は死んだところで 慌てて橘くんが送ってくれるって外に出してくれた・・・
可愛い蘭ちゃんと漣だかって双子が一生懸命手を振ってくれていた・・・
あああなんかもう・・・ああああああああ

 

 

(た、橘くんと・・・!)
(ふたりきり!!!!!!!!!)
(ど、どうし)
(どうしれば!!!!!!)

 

「前さん、こうしてゆっくり話すの初めてだね」
「う、うん」
「急にごめんね、うちの妹と弟が」」
「う、ううん」
「うちの弟と妹、双子だから前さん達には親近感があってね、前から話してみたいと思ってたんだ」
「う、うん」
「えっと、お姉さんの前さんとはオリエンテーションの時に同じグループだったから話せるようになったんだけどね」
「う、うん」
「妹の前さんともゆっくり話したかったから嬉しいよ」
「う、うん」

 

やべぇアタシさっきからウンしか言ってねぇ
全然しゃべれねぇ
まじでやべぇ
橘くん背高いかっこいい優しいかっこいい死ぬ
私明日死ぬのかな
てかもう死んでんじゃないだろうか

 

 

あー・・・ ここが天国か・・・

 

「えっと・・・前さんはバスケ部だっけ?あ、お姉さんの前さんはバレー部だよね?」

 

・・・・・・・・・・あれ
橘くん・・・
なんだか前さんで混乱してないか?
すごい・・・誠実なんだね橘くん・・・
千石なんて出会った瞬間にまなみちゃーんって言って来たのに・・・
姉とか妹とかややこしくてもちゃんと 前さん って律儀に呼ぶ橘くん・・・

控えめに言って大好きです・・・

 

(でも困ってるから可哀想だわ)
(これ助けるべきだわ!)

 

「あ、あの、橘くん・・・!」
「ん?」
「あのさ、ややこしいからアタシまなみでいいよ!で、姉の方はさおちゃんでいいよ!!」
「え!ほんと?わぁ、ありがとう!えっと、まなみちゃんって呼ばせてもらうね!あ、俺も!橘じゃなくて真琴でいいから!」

 

みんなマコトって呼ぶし!

 

って慌てる橘くん、天使・・・
神様が与えたもう奇跡・・・
橘くんがこの世にいることに大感謝ですわ・・・

 

 

「え、あ、じゃ、ま、まこと・・・くん・・・」
「ん?なぁに、まなみちゃん」

 

 

 

_:(´`」 ∠):_

 

 

 

 

 

 

 

0(:3 )(‘、3_ヽ)_

 

 

 

 

「あ、あれ?まなみちゃん、どうしたの?」

 

ご臨終で動かなくなったアタシの顔をマ、マコトくんが覗き込む・・・
もうやめてくれ
殺したいのか?

 

 

なぁ

 

まなみちゃんとまことくんって

 

カップル(仮)の

 

爆誕の瞬間じゃなかった????

 

 

 

(あー・・・もうだめだこれ・・・)
(ダメだもう・・・)
(ダメだわ・・・)
(ダメなやつこれ・・・)(語彙力)

 

 

 

 

 

「あれ?まなみ?今帰り?」

 

 

!?

 

 

その時、たまたま道で出会ったのは、 堀川だった・・・!!!

 

(なんたる邪魔!!!)
(あれでも堀川一人か!)
(まだよかった!!!)
(てか全然いい!!!)
(清光いなくてよかったぁぁぁ!!!)
(アイツ意味不明に威嚇しはじめるから!!!)
(よかった!堀川でよかった!!)

 

「えっと、きみは・・・」
「あ!えっと、1年6組の橘です!今日は妹と弟がまなみさんにお世話になったので、遅くなってしまってすいません!」

 

家まで送っていたところです、とマコトくん・・・は言った。
てかあれだな、マコトくんって呼びずらいしなんか恥ずかしいな、マコでいいや・・・マコちゃん!!

 

「あぁ、そうなんだ!こちらこそありがとう。まなみ、迷惑かけなかった?」

 

とつぜんアニキヅラする堀川・・・
なんだよえらそうに・・・!アタシたちの邪魔しといて!!プンスコ!

 

「迷惑だなんてそんな・・・!うちの妹も人形を治してもらったって喜んでました!本当に素敵な妹さんですね!」
「ハハ、ありがとう」

 

いや
待て
違う

 

そこは否定しろ、堀川。
アタシ妹じゃねーだろ!

 

 

・・・と、思ったけどじゃあどんな関係だと聞かれたら説明しにくいし逆にこれで助かった!
一緒に暮らしてるけど兄弟じゃないですとか意味わからんもんな!!!
堀川GJ!!さすがや堀川!!!

 

「それじゃあ・・・お兄さんもいらしたことだし俺もう行くね。まなみちゃん、また明日」
「う、うん」
「今日は本当にありがとう、じゃあね」

 

・・・・・

はあぁぁぁぁぁぁぁ

 

 

なんかマコちゃん帰っちゃって淋しいやら悲しいやらホッとしたやら・・・!
めっちゃ緊張しまくったわ!!!あかんわこれ!!変な汗出た!!!

 

「・・・なかなかの好青年だね。僕の事お兄さん、だって」

 

クスクス、と堀川が笑う。
まぁ堀川悪気ないし物腰も柔らかいし、すごい二人きりなの緊張してたから逆によかったかも。
堀川おかったよかった。誰も傷つかない平和な世界だった、よかった。

 

「・・・ほんとかっこよかった・・・・これ帰ってすぐにさおちゃんに報告だわ・・・」
「まなみ好きそうだもんね」
「え、好きそうに見える!?」
「うん、見えるよ」

 

でも、今は彼の事より自分の心配したら?歌仙さん、まなみが帰ってこないってブチ切れてるらしいよ?

 

 

堀川に言われ

 

 

「・・・おうちかえるのやめる」

 

「ハハハ、帰ろうね!(ガシィ)」

 

 

さっきとは違う変な汗が飛び出るおらでした。

 

 

しかしほんと!
いい一日でした!!
ちゃんちゃん♪

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