クロスオーバー44【白石】

自分が好きな女の子できるとか思うてへんかったけど。
中学の時はそーいうの苦手やったし、姉貴と妹に挟まれてとにかく女は怖いって印象・・・
学校の女子も目の色変えて第二ボタン取りに来るしな・・・すぐ女同士の戦い勃発するしな・・・めっちゃ怖かったんや・・・

 

せやから高校生になって隣の席になった女の子にすぐに惹かれるとは思うてなかったし(最初はおもろい子やな、って印象だけやったけど)
これが恋なんやなって自覚するにもそう時間はかからへんかった。
せやってその子だけが気になったり、目で追ってたり、話せたら嬉しかったり、笑顔見たいとか、力になりたいとか、守ってやりたいとか・・・
そんなんが当たり前のように自分の中の感情として沸いてきた時に 恋なんやってストンと答えが落ちてきた。

 

 

ほんで。

もう少し、確実に。

好きになってもらえるまではじっくりいかなあかんって思うとったけど。

 

 

夏休み、サマーキャンプにて ほぼ勢いのまま告白した俺に
彼女は いいよ と言うてくれたんや!

 

 

その日は嬉しくて嬉しくて寝れへんかったけど
そういや連絡先聞いてへん!!って思うて 次の日ずっと探しとったけどどこにも姿が見えんくて
夏休みが終わるまでの数日、部活に行っても全然会われへんし
ただただ連絡取りたいなぁ、失敗したなぁ、元気やろうか ってそんなことばかり考えとった。

 

 

 

ようやく始業式。

 

朝練が終わった俺は すぐさま教室へ向かった!!

 

 

ソワソワ ソワソワ ソワソワ

 

(前さん、まだかな)

 

ソワソワ ソワソワ ソワソワ

 

(いつもはもう来とるんやけどな)
(今日は遅いな)

 

ソワソワ ソワソワ ソワソワ

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

鐘が鳴った。
と、同時に、前さんは担任の武ちゃんと一緒に話しながら教室に入って来た。

 

 

(おぉ・・・!)
(たったの数日会ってへんだけやのに)
(めっちゃ懐かしく感じる・・・!)
(してめっちゃ輝いて見える・・・)
(俺の彼女・・・)
(俺の彼女なんやで・・・)
(すごいやろ・・・俺の彼女なんやで・・・)

 

 

1学期のクラスメイトから2学期は彼氏・彼女へステップアップや!!
付き合うたってだけやのに、俺の彼女って思うとほんま神々しく見えるで!!
いや、付き合う前から前さんは神々しかったけどな・・・!

 

(・・・早く話したい)
(呼び方とか変えたいし)
(二人で遊びたいし)

 

 

いろんなことが頭の中を巡り
そして隣の席へ向かってくる彼女をじっと見つめる。

 

「・・・おはようさん」

そう小さい声であいさつすると

「お、おはよう」

と、ぎこちなく彼女は挨拶してくれた。

(・・・)
(大丈夫、想定内やで)

真面目な彼女のことやから、きっとこの会わへん数日で色々なことを考えすぎて一人で緊張して気まずくなるってことは想定しとったんや!

 

(だからこそ、日にち空けたなかったんやけどな・・・)
(しゃーないな・・・浮かれすぎて連絡先交換せんかった俺が悪い)
(ちゅーかもっと前に連絡先交換してへんかった俺が悪い・・・)

 

大丈夫、大丈夫、大丈夫・・・(言い聞かせ)

「なぁ、前さん、あんな、連絡先・・・」

そう小さい声でコソッと言うた時

 

 

「では2学期も始まって心機一転!席替えをしまーす!」

 

 

そう、武ちゃんがにこやかに言うた。

 

 

(!!?)

 

 

せ、席替えやて・・・!?

 

(せっかく前さんと隣の席やったのに!!)

 

けどこればっかりはどうしようもない。
俺は呆然としながら席替えのくじを引くのやった・・・。

 

 

 

 

「ま、前さん!席どこやった!?」

 

くじを引き終えた俺はガタガタと慌てて前さんに近づいた。

 

「え?えっと・・・4番だから、廊下側の席かな」
「え!!俺窓側や・・・(めっちゃ遠い・・・)」
「窓側、いいね、まだ暑いからきっと風が気持ちいと思うよ」

 

じゃあ私移動するね
そう彼女はガタガタと荷物を持って移動して行った。

 

 

(・・・・・)

 

(・・・これは・・・・・・)

 

(思った以上に・・・よそよそしい・・・)

 

 

 

全く目も合わせてくれへん

笑顔も見せてくれへん

 

そんな彼女に愕然とする。

 

 

(・・・いやいやいや)
(いきなり告ったん俺やしな!)
(最初はこんなもんや!)
(じょじょに慣れてけばええんや・・・)
(大丈夫大丈夫)
(とりあえず今日中に連絡先聞かな・・・)

 

 

「お、さおり隣かよ」
「あ、亮!!よかった、亮が隣だったら安心だね!」
「さおりー!うちも!後ろやで!」
「ヒメコ!!やったやった!楽しくなるね!」
「前!ここだったのか!」
「あ!澤村君!!前の席だ!」
「ははは、よろしくな!」

 

 

 

( ゚Д゚)!?

 

澤村君、前の席とか・・・!!
うそやろ・・・!?
いつの間にか彼女の周りは強力な布陣が完成しとった・・・

ちーーーーん

 

😞

 

と、とりあえず連絡先を聞くチャンスを伺いながら・・・

 

 

ソワソワ

ソワソワ

ソワソワ

 

 

(・・・あ、あかーーーーーーーん!!!!)

 

 

ソワソワと1日中彼女と話す機会をうかがってたんやけど
休み時間のたびにすぐに教室でてってまうし(廊下側やからめっちゃいなくなるの早いで!)
帰りもすぐに部活行ってまうし
ちなみに部活終わってすぐにバレー部の部室向かったけどもう彼女はおらんかった・・・

 

 

(めっちゃ避けられてる・・・)
(何一つステップアップしとらん・・・)
(むしろ全てにおいてダウンしとる・・・)
(あー・・・)

 

 

いきなり付き合うて、てのは
ハードル高すぎたんやろか・・・

 

 

(とりあえず)
(明日また、チャレンジしてみよ)

 

 

こんなことでへこたれてたまるかいな!

 

 

そう思いながら俺は 明日二人で話す機会を作るために
作戦をねるのやった。

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