025***さおり

 

「お…ん…!さ…ちゃん…!さおちゃん!!」

 

「ん…」

 

 

 

目が覚めると、

 

 

 

ザザーーーッ

 

 

 

希望通りの海でした…

 

 

 

「え!?やだ!?何ここ!?」

「運よく助かったみたいだぞ!よかったなきみ!」

「えぇ・・・よくないよ・・・遭難したってことでしょ!?え、みんなは!?」

「おう、いるぜ」

「さおり大丈夫?」

「うん・・・よかった・・・とりあえずみんな大丈夫なのかな?」

「大丈夫じゃねーわ!起きたら跡部と青学の手塚のドアップあって死にそうだったわ!」

「え・・・」

「お前がよだれ垂らして寝てたから見てただけじゃねーか」

「あと、衣類も乱れていたようだったから直していた」

「え!?あ!!私たち昨日のドレスのままだ・・・!」

「そうなんだよ、きみなんか浜辺に打ち上げられたマーメードみたいにキレイに倒れてたけどさ、アタシ太ももまでスカートめくれてたらしいよ!!」

「え・・・きみ・・・」

「それでよだれ垂らして寝てのん気なもんだぜ」

「海の波の音のヒーリング効果でゆっくり寝れたんだよ!!!」

「と、とりあえず、みんないるんだよね・・・?」

「いや・・・先生方がいない・・・」

「え!?」

「伴じいもいないんだよなぁ」

「榊監督もいません」

「おじい大丈夫かなぁ・・・」

「えええ~大人の人いないの!?私たちだけ!?」

「とりあえず、この小さな島には何もない。今みんなで向こうの大きな島に行こうと言っていたところだ」

「え、すぐそこの大きい島!?」

「ああ、あそこなら誰かいるかもしれないし、元々合宿場は向こうの島の予定だったからな」

「おーい、ボートの用意できたぜ」

「じゃ、さおり行こうか」

「うん・・・」

 

 

 

こうして私たちは、隣の大きな島に移った――――――

 

 

 


 

 

 

「やばい、まって、やばい、こんな森の中このかっこうで歩くのやばい」

「本当だね・・・」

 

とりあえず、島の真ん中にコテージを見つけたってジャッカルが言ってたから、みんなでそこを目指すことにした

 

・・・んだけど、

 

私たちは昨日のドレスのかっこうのままだったし・・・靴もヒール履いてて・・・

正直つらい・・・

 

 

「おい、樺地」

「ウス」

「きゃっ!」

 

 

と思ってたら、いきなり氷帝の樺地くんが私をお姫様抱っこしてくれた・・・

いやいやいやいや、いくら力持ちと言っても、申し訳ないよ!

お、降ろして!!

 

 

「いいから大人しくしとけ!そんな恰好じゃ歩けねーだろ!何かあった時、逃げれるのか?足手まといなだけだろ!」

 

 

そう、跡部くんに怒られたから、おとなしくしてた。

樺地くん・・・2年生なのにごめんね・・・

ついでに、紳士な柳生が私にそっとジャージを貸してくれたよ・・・

さすが紳士だね・・・

 

 

そしてまぁちゃんは、

 

 

「いけー!亮いけー!!」

「重いんだよてめーは!降りろよ!」

「俺も俺も!」

「おいジロー!お前まで乗ったら重っ・・・」

「ちょっと!ジロ!!アタシつぶれる!!ジロ!!」

「俺も乗るかな」

「ガクトまで来たら、アタシが死ぬだろうが!!」

その前に宍戸が潰れるやろな・・・」

 

 

なんか、幼馴染のみんなと超楽しそう・・・何あれ・・・

ってか、なんでこんな状況なのにまぁちゃんはのん気なんだろう・・・

謎だな・・・

 

 

そうこうしているうちに、無事にコテージまで着いたのであった・・・

 

 

 


 

 

 

「はぁ、ついたついた」

「宍戸死んどるやん」

「ふんっ、鍛え方が足りねーな」

「コテージの中ってどんな感じなのかな?」

 

 

「…った…ば…」

 

 

「え…?」

「あれ?なんか声聞こえない?」

「え!?もしかしておじいか!?」

「中に入って確認してみよう!!」

「え・・・怖いよ、変な人だったらどうするの・・・」

「でも、どっちにしても、ここのコテージ明け渡してもらわないとアタシが困るから、このコテージを占拠しに行こうぜ」

 

 

なぜかまぁちゃんは声がするほうに行く気満々で・・・

謎である。

 

とりあえず、危ないからとみんなに止められて、まぁちゃんと私たちはみんなの後ろからこっそり様子を見ていた。

 

 

・・・んだけど・・・

 

 

「コーシーマーエー!?お前がコシマエか!?」

 

 

なにやら賑やかな声が聞こえた・・・

 

 

「なんだ、四天宝寺か」

 

 

跡部くんのその声に、コテージの中から出てくる人たちを見ていたら・・・

 

 

「お、真田クン、増々老けたんとちゃう?」

 

 

白石くんが出てきた。

 

 

(え・・・!?)(なんで・・・!?)

 

 

「侑士・・・」

「なんや、謙也か」

 

「久しぶりたいね、桔平」

「ああ、元気だったか千歳」

 

「コーシーマーエー!!勝負や勝負!!」

「・・・うるさい」

 

 

そこには本当に四天宝寺のメンバーがいたのだった。

 

 

「し、白石くん!?」

「え!?ま、前さん!?・・・え、その恰好なに?え、っちゅーか、何でここに!?」

「あ、これは、その・・・あの、お風呂入ってないし、髪の毛もベタベタだからあんまり見ないでほしいなぁ・・・」

「あ、いや、一瞬誰かわからんかったわ・・・久しぶりやな・・・1年ぶりか?」

「うん・・・白石くんすごい背伸びたね!びっくりしちゃった!」

「ああ・・・今180cm近くあるで」

「そんなに!?初めて会ったときは160cm台だったのに!」

「前さん・・・めっちゃちっさ!金ちゃんくらいしかないやん!」

「し、白石くんが大きくなりすぎただけだよ!!」

 

 

 

 

「なんや!白石、このねーちゃんと知り合いなん!?」

 

 

 

ハッ!!!!

 

 

 

可愛い赤い髪の男の子に話しかけられて我に返った。

あ、いや、なんか恥ずかしいな。

みんなこっちを見ていた。

 

わわわ、もう、こんな時まぁちゃんが話しかけてきそうなのに!

まぁちゃん来ないからずっと話しちゃったよ!!

 

 

 

・・・と思っていたら、まぁちゃんは、なぜだか六角の人たちの後ろに隠れてコソコソしていた。

 

・・・なんで?

 

 

 

「お前ら、後発のはずだったよな?なんで俺たちより早いんだ」

「ああ、それなんやけどなぁ~・・・」

 

 

白石くんたちが言うには、

 

この合宿に参加しようと思って船に乗ろうと思ったら、金ちゃんという可愛い1年生が冷たいものを飲みすぎてお腹を壊してトイレに籠る⇒仕方がないので相談したら、跡部くんが小型船を用意してくれるというので、後発で出発⇒いきなり船が泊まってしまって、それに業を煮やした金ちゃんが海に飛び込んでこの島まで泳いでくる(すごい!)⇒他のみんなは小型ボートで必死に金ちゃんの後を追ってきた

 

というわけらしい。

え!金ちゃんすごい!!

 

 

「金ちゃん野生児やねん・・・」

 

 

白石くんが遠い目をしていた・・・

うん・・・部長としていろいろと苦労してるんだね・・・

 

 

 

ガサガサガサ

 

 

 

「あら~んイケメンたちがたくさんおるやないの~

「浮気か!!死なすど!!」

「・・・はぁ・・・」

「賑やかやなぁ」

 

 

あ、あれ!?

小春ちゃんだ!!

練習試合で仲良くなった小春ちゃんだ!

 

 

「小春ちゃんも来てたの!?」

「あら、さおりちゃん、お久しぶりね!」

「よかったぁ・・・なんか小春ちゃんいると心強い・・・」

「ふふふ頼りにされてるわね~」

「小春は俺んやぞ!!近づくなや!!」

「あ、うん・・・ごめんね?」

「こら、ユウくん!そんな言い方あかんで!」

「小春~」

「ユウジ悪気ないねん、すまんな。財前、なんかあったか?」

「・・・いや、この島何にもないっすわ」

「そうか・・・」

「なんだ、探索してたのか」

「せやで、先に軽くこの島見させてもろうたけど、何もあらへんなぁ」

「誰かいなかったか!?人は!?おじいがいないんだ!」

「いや、誰もおらへんかったで」

「せやねぇ・・・人の気配はせぇへんかったわね」

「・・・そっか・・・」

「先生方が船に乗ったのは確認したんだが・・・」

「とりあえず、これからどうするか話し合う、四天宝寺も合流しろ」

「ああ、わかったで」

 

 

 

こうして、四天宝寺も合流して、合宿のメンバー全員でこれからのことを話しあう事になった。

 

(白石くんの顔みたら、)(ちょっとホッとしたけど、)

(白石くん、すごくかっこよくなってたから、)

(なんだか・・・びっくりしたなぁ・・・)

 

 

 


 

 

 

「とりあえず、我々は元々ここで過ごす期間は一週間の予定だった。もし連絡が取れないとなると、捜索隊が出ることだろう」

「そうだな、長くて2週間・・・早ければ5日で救助が来るだろう」

「二週間は長いな・・・精一、体調は大丈夫か」

「心配いらないよ、もう前と同じくらいには戻ってるよ」

「幸村・・・無理しないでね?」

「ああ、ありがとうさおり」

「それよりよぉ、先になんか食わねぇか?」

「そうだな…船から持ち出した食料があるから、食事にするか」

「ワイもハラへった~」

「しょーがねぇな・・・みんな食堂に集合だ!食事にするぞ!」

 

 

~~~~~~

 

私たちは持って来た食料を食べながらみんなで話し合った。

ちなみに食料は今日の分しかないらしく、明日から自給自足になる。

 

 

「全員で行動するのは、効率が悪い。メンバーを二分するぞ」

「二分?どのようにだ?」

「この合宿所は北側と南側で地形が違うようだからな」

「北側には山、南側には海があったな」

「ああ、この人数なら二手に分かれたほうが効率よく探索できる」

「なるほどな、確かにその通りだ」

「しかも、この合宿所はちょうど山側と海側にコテージもあるしちょうど良いだろう」

「で、誰が山側で、誰が海側になるのさ?」

「行きたい方に行けばいい」

「もし、どちらかに偏った場合は?」

「ジャンケンでもコイントスでもなんでも適当に決めりゃあいい、手塚お前は山側のリーダーをやってくれ」

「わかった」

「なんだよ、自分が海側のリーダーなのは決定事項かよ」

「跡部やからなぁ・・・」

「跡部くん、我々は別行動をさせてもらいますよ」

「何勝手な事言ってるんだよ!」

「海は俺たちのホームグラウンド・・・足でまといなんですよ、何も知らない人たちは」

「ふん、お前らは好きにしろ」

「いいのかい?」

「ああ、協調性のかけらのないやつらを置いといても空中分解するのは目に見えてるからな」

「難しいこと言うのやめろ」

「ま、まぁちゃん・・・」

「それじゃあ、各自どちらかに行くか決めろ」

 

 

 

話し合いの結果・・・

 

【山側】

 

 

 

 

 

 

【海側】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんで幸村海側に行っちゃうの!?」

「え?」

「幸村、真田と柳と一緒にいたほうがいいよ~~~!!何かあったら大変でしょ!!」

「大丈夫だって、何かあったら、すぐに助けるからよ!・・・ジャッカルが!」

「俺かよ!」

「大丈夫だよ、心配しなくても」

「そう・・・?」

「まなみとさおりはどうすんだよ」

「ああ、お前らは中間部に管理小屋があるから、そこでゆっくりしてろ。お前らの荷物ももう運んである」

「そんなわけにはいかないよ!みんな大変なんだから、私も手伝うよ!」

「えー跡部がせっかくゆっくりしてろって言ってるのに~」

「まぁちゃんどっちがいい?海?山?」

「え!一緒でいいしょ!きみと一緒がいい!」

「え、でも二人いるから分かれたほうが良くない?」

「やだよ!一緒がいいよ!」

「えーじゃあどっちがいい?」

 

チラッ

 

「・・・海一択」

「だよねぇ・・・私も虫がちょっとなぁ・・・」

「え~姉ちゃんたち海側いってまうん?」

「あ、ごめん、まぁちゃん私山側行くね(クソ可愛い)」

「な ん で だ よ !」

「よし決まったな」

「決まってねぇ!!さおちゃんと一緒がいい!!」

「よしじゃあ、俺たちは海側へ移動する」

「えーーーー!!やだやだやだ!!さおちゃあああああん!!」

「樺地」

「ウス」

「樺地ぃぃぃ!!!離してぇぇぇ!!!!」

「まぁちゃん・・・何がそんなに嫌なの・・・」

「あいつあー見えて人見知りだしな・・・」

「やっぱりそうだよね・・・」

 

 

こうしてまぁちゃんは樺地に担がれて消えていった・・・

 

 

「では、これからロッジに荷物を置いたら、また集合しよう。まずはこの辺のことを把握しなければいけないから、探索をしようと思う」

「あ、あの・・・」

「なんだ、前」

「管理小屋ってとこに、シャワーあるみたいだら、浴びちゃダメかな・・・」

「・・・」

「大変な状況だってことはわかってるんだけど・・・ちょっとこの恰好のままじゃ何もできないし・・・海水でベタベタしてるし、ちょっとイヤで・・・」

「それはあかんな、女の子なんやから気になるやろ」

「そうだな、前はシャワーを浴びて着替えてから来るといい」

「!!  ありがとう!!」

「じゃあ、解散」

 

 

「白石くん、ありがとね」

「え?ああ、ええよ、昨日大変やったみたいやし、気持ち悪いやろそのままやったら」

「うん・・・」

「せっかくキレイなドレスなのに、砂ついてえらいことになっとるな」

「うん・・・榊先生が用意してくれたんだけど、ちょっと申し訳ないな。帰ったらクリーニングに出すよ」

「それがええかもな」

「白石くん、すぐに着替えてくるから、そしたら白石くんのお手伝いさせてね!」

「え、ええの?」

「うん、白石くんどの辺探索するの?」

「おれはロッジの辺り行こうかなて思うてるけど・・・」

「じゃあ、ロッジのところにいくね」

「おお、ほな外で待っとるわ」

「うん、ありがとう」

「おん」

「・・・ふふ、白石くんがいてよかったぁ」

「え?」

「なんだかちょっと不安だったんだけどね、白石くんの顔みたらとっても安心したよ」

「・・・」

「じゃあ、すぐに着替えてくるから待っててね」

「お、おう・・・」

 

 

 

こうして、私は管理小屋へ向かったのだった。

 

 

 

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